【WHI調査レポート】「研修や学びが仕事やキャリアに活かされている」と感じているのは約4割 企業への愛着や誇りが高いほど、社内の研修・学びへの満足度が高い結果に

~学び意欲の醸成にはエンゲージメントの向上が重要~

株式会社Works Human Intelligence

株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区、代表取締役最高経営責任者:安斎富太郎、以下 WHI)は、従業員数500名以上の企業に勤める会社員を対象に、企業が提供する研修・教育支援に関する調査を実施し、1,082名から回答を得ましたので調査結果をお知らせします(調査期間:2022年10月5日~2022年10月7日)。

 
  • 本調査の背景
岸田文雄首相が所信表明演説にて、個人のリスキリング(学び直し)の支援に5年で1兆円を投じると表明したことで、改めて企業におけるリスキリングを含めた研修・教育への取り組みに注目が集まっています。
企業における研修・教育施策について、従業員(提供を受ける側)の実態を把握し、今後の教育制度、施策立案の一助としていただくために本調査を実施いたしました。

 
  • 研修・教育施策に関する調査結果概要
1. お勤めの企業の学びの支援に満足していると回答したのは45.8%。
2. 企業の研修や学びが仕事やキャリアに活かされていると回答したのは38.6%。
3. 「会社の一員であることを誇りに思いますか」で「強く思う」「思う」と回答し、企業への愛着や誇りを持っている(=エンゲージメントが高い)従業員は、社内の研修や学びを仕事やキャリアに活かしているという実感が強く、企業の学びへの支援に対して満足度も高かった。

 
  • 調査結果
 
  • 1.お勤めの企業の学びの支援に満足していると回答したのは45.8%。
Q1. 現在お勤めの企業の学びの支援に満足していますか。(n=1,082、単一選択)


研修・教育施策の満足度について、「満足している」と回答したのは、45.8%と半分以下にとどまりました。
 
  • 2.企業の研修や学びが仕事やキャリアに活かされていると回答したのは38.6%。
Q2. 現在お勤めの企業における研修や学びは仕事やキャリアに活かされていますか?(n=1,082、単一選択)


企業の研修や学びが仕事やキャリアに活かされていると回答したのは38.6%でした。
 
  • 3.「会社の一員であることを誇りに思いますか」に対して「強く思う」「思う」と回答し、企業への愛着や誇りを持っている(=エンゲージメントが高い)従業員は、社内の研修や学びを仕事やキャリアに活かしているという実感が強く、企業の学びへの支援に対して満足度も高かった。
Q3. 会社の一員であることを誇りに思いますか?× Q4.現在お勤めの企業における研修や学びは仕事やキャリアに活かされていますか?
Q3. 会社の一員であることを誇りに思いますか?× Q5. 現在お勤めの企業の学びの支援に満足していますか。
(n=1,082、複数選択)

「会社の一員であることを誇りに思いますか」という質問への回答と「現在お勤めの企業における研修や学びは仕事やキャリアに活かされていますか」「現在お勤めの企業の学びの支援に満足していますか」への回答をクロス集計し、「会社の一員であることを誇りに思っていること(=エンゲージメント)」と「研修や学びは仕事やキャリアに活かされているという実感」「企業の学び支援への満足度」の間に相関関係があるかを調べました。
その結果、「現在お勤めの企業における研修や学びは仕事やキャリアに活かされていますか」「現在お勤めの企業の学びを支援に満足していますか」について「はい」と回答した人は「いいえ」と回答した人より、別の設問「会社の一員であることを誇りに思う」に対して「強く思う」「思う」と回答する割合が高くなりました。
この結果から、自分の働いている会社に誇りを持ち、エンゲージメントが高い人ほど、企業から学びの支援に満足し、それらが仕事やキャリアに活かしている実感が強いことがわかりました。

 
  • 総括(解説:WHI総研※シニアマネージャー 伊藤 裕之)
人的資本経営への意識の高まりや人的資本開示のトレンド、リスキリングやIT人材の育成の重要性などが取り沙汰される中で、今後各企業の人材育成や社内教育への投資が加速することが予想されます。
(※従業員数500人以上の企業の人事担当者541名へのアンケート結果では、60%近くが人材育成に関する投資が増える見込みという結果でした。)
一方で、投資を受ける対象となる従業員のアンケート結果からは、投資効果を最大化するためにはいくつかの受け皿が必要であることがうかがえます。

一つ目は、従業員の企業への定着・エンゲージメントです。
従業員が企業に対して愛着や誇りを感じ、自社で可能な限りキャリアを向上させたいという意識は、企業の教育や学びの支援を有効に活用することにつながっていることがわかります。

二つ目は、研修や学びを活かす制度や組織文化の存在です。
教育や学びの成果を仕事の中で活かす仕組みや共有する機会があることで、部門や組織、さらには周囲の仲間に対して貢献できる、評価されるという体験が、継続的に教育や学びを活用しようというモチベーションにつながります。そのためには、上長とのコミュニケーションの中で、学びを活かす職務やキャリアが与えられていることも重要となるでしょう。
アンケート結果から「現在お勤めの企業における研修や学びは仕事やキャリアに活かされていますか」への回答と「現在お勤めの企業の制度や組織文化について、あてはまるものを教えてください」への回答をクロス集計し、「研修や学びは仕事やキャリアに活かされているという実感」と「企業の制度や組織文化」に相関関係があるかを調べたところ、「学びが仕事やキャリアに活かされている」と感じている人ほど、勤め先の企業に上長と話す機会や勉強会や情報交換の場、学びの成果を仕事の中で活かす仕組み等、学びを活用する制度や組織文化があると回答している割合が高い、という結果が出ています。

Q4. 現在お勤めの企業における研修や学びは仕事やキャリアに活かされていますか?× Q6.現在お勤めの企業の制度や組織文化について、あてはまるものを教えてください。(n=1,082、複数選択)

「従業員の企業への定着・エンゲージメント」と「研修や学びを活かす制度や組織文化の存在」の2点は密接につながっており、エンゲージメントの高い従業員ほど企業の育成施策や制度の理解度も高く、従業員の学びの意識や学びを活かす組織や、上長の支援の文化を生み、学びが業務や部門の成果へつながり、本人の評価や処遇という形にあらわれることでエンゲージメントがより高まる、という正のサイクルが生み出されます。
逆に研修や学びを活かす制度や組織文化のどちらかが損なわれることで、人材育成や教育研修への投資対効果は大きく低減することになるでしょう。

正のサイクルの実現に向けて、下記のようなステップで状況のモニタリングを行うことが必要と考えます。


1 エンゲージメント調査(組織サーベイ)結果を人材育成における測定指標とする
人材育成への投資は学びを活かす実践と組織への貢献や定着があってリターンが生まれる、という前提に立ち、まずはエンゲージメントスコアで実態を調査します。
育成や成長に対する満足度だけでなく、処遇や評価に対する納得度や組織風土やマネジメントへの評価等、関連性のある項目についても確認を行い、課題の相関性やボトルネックを把握し、対策を実施します。


2 改善に必要な指標を「研修や学び~実践~定着~価値創出」のサイクル内の各フェーズで測定する
エンゲージメントスコアを踏まえた人材育成の施策は、学びを業務へ活かす実践状況や組織への貢献と帰属意識など、多角的に指標を設定することで有効な効果測定が可能となります。
効果測定のための指標の例は以下のとおりです。

学びを現場で活かすことができているか、業務に定着しているか
・研修内容・ラーニングの実施半年~1年後の定着度調査
・評価や目標管理、定期的な自己申告等による学び定着度合いの測定
・部門の業績目標や成長を前提とした人材ポートフォリオの充足度合い

スキルを活かせる場の提供、キャリア感に即した職務の配置がなされているか
・キャリア面談実施率
・社内公募実施率
・部門間異動実施率
・上長との1on1実施率

評価や報酬や処遇へ反映されているか
・昇格数、昇格率

これらを研修の満足度や研修内容・ラーニングの定着度の調査を組み合わせながら、実践と定着につながっているのかを定期的にモニタリングすることで、育成施策の有用性を判断します。


3 現場部門を巻き込んだPDCAを実践する
エンゲージメント調査や各種分析内容は、人事にとどめるだけではなく、現場部門にも積極的に情報提供して改善を進めていくことが必要となります。
そのためには、あらわれた数値や結果を部門長や責任者の「成績(=責任をとるもの)」とするのではなく、「診断結果(=より良い環境にするための物差し)」として、未来志向で議論することが求められるでしょう。

人材育成や社内教育に対する取組を人事内で完結するのではなく、経営・現場部門を含め企業が一体となって実施し結果を考えることが、投資対効果を最大化するための基盤になるのではないかと考えます。

 
  • 解説者プロフィール

伊藤 裕之(いとう ひろゆき)
株式会社Works Human Intelligence WHI総研 シニアマネージャー
約20年にわたり、日本の大手法人の人事システム導入および保守を担当。
コンサルタント部門のマネージャとして、多くのコンサルタントの育成と部門運営を実施。これまでに約100社の人事業務設計・運用コンサルティングに従事。WHI総研のシニアマネージャーとしては、自身の経験およびWHIの顧客約1,200法人グループから得られる事例・ノウハウを分析し、人事制度や人事トレンドの情報収集・研究分析・提言を行っている。

※WHI総研:当社製品「COMPANY」の約1,200法人グループの利用実績を通して、大手法人人事部の人事制度設計や業務改善ノウハウの集約・分析・提言を行う組織。

<調査概要>
調査名 :企業が提供する研修・教育支援に関する調査
期間 :2022年10月5日~10月7日
調査機関 :自社調べ
対象     :従業員数500名以上の企業に勤務する会社員1,082名
調査方法 :インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:従業員数500名以上の企業に勤務する会社員1,082名

<引用・転載時のクレジット記載のお願い>
本リリース内容の転載にあたりましては、「Works Human Intelligence調べ」という表記をお使いいただきますようお願い申し上げます。
本記事のグラフの内訳は、小数点第一位まで表示しています。そのため、端数処理の関係で内訳の和が100%にならない場合がございます。
なお、本調査では他にも「人事部が考える人材育成における課題」「人的資本開示へ対する人材育成テーマに関する各テーマの実施状況」等に対する回答も得ております。詳細レポートをご要望の方は、当社ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
https://www.works-hi.co.jp/contact

WHIでは引き続き、大手法人の人事トレンドや業務実態について調査をしてまいります。
 
  • WHIについて
WHIは大手法人向け統合人事システム「COMPANY」の開発・販売・サポートの他、HR関連サービスの提供を行っています。「COMPANY」は、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメント等人事にまつわる業務領域を広くカバーしており、約1,200法人グループへの導入実績を持つ、ERP市場人事・給与業務分野シェアNo.1※の製品です。

私たちは、日々複雑化・多様化する社会課題に対してあらゆる「人の知恵」を結集し解決に取り組み、すべてのビジネスパーソンが情熱と貢献意欲を持って「はたらく」を楽しむ社会を実現します。
※2020年度 ERP市場 - 人事・給与業務分野:ベンダー別売上金額シェア
出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2022」

株式会社Works Human Intelligence Webサイト https://www.works-hi.co.jp/




* 会社名、製品名等はそれぞれ各社の商標または登録商標です。
* 本リリースに掲載された内容は発表日現在のものであり、予告なく変更または撤回される場合があります。また、本リリースに掲載された予測や将来の見通し等に関する情報は不確実なものであり、実際に生じる結果と異なる場合がありますので、予めご了承ください。

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情報通信
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電話番号
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代表者名
安斎 富太郎
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2019年09月