「熱中症」は予防できる気象災害2025年「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線(第1回)」を公開
~今年も“猛暑”の可能性 本格的な暑さを迎える前に早めの熱中症対策を~
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクト(以下、本プロジェクト)は、本格的な暑さを迎える前に、事前に体を暑さに慣れさせること(暑熱順化:しょねつじゅんか※1)の大切さについて広く知ってもらうことを目的に、各地域で暑熱順化が必要なタイミングの目安となる「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線(第 1 回)」( https://www.netsuzero.jp/le15-zensen )を、本プロジェクト公式サイトで 2025年 4 月 10 日(木)に公開します。本プロジェクトでは、2021年から公式サイトにて「暑熱順化」のコンテンツを公開するなど、暑熱順化の大切さを伝え続けています。

※1 暑熱順化とは
暑くなる前からできる熱中症の対策には、暑さに強い体づくりがあります。暑さに強い体を作るためには、バランスの良い食事や十分な睡眠以外に、「暑熱順化」をすることも大切です。暑熱順化とは、体が暑さに慣れることです。暑熱順化ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まります。暑熱順化には個人差もありますが、数日から 2 週間程度かかります。暑くなる前から余裕をもって体を暑さに慣れさせましょう。

暑熱順化について(詳細)https://www.netsuzero.jp/learning/le15
■「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線」とは
軽い運動や湯船につかる入浴などで意識して汗をかくことで、体を暑さに慣れさせる暑熱順化を始め
るタイミングの目安を示しています。
昨年(2024年)は1898年の統計開始以降2023年に並び最も暑かった夏で、2024年6月から8月の平均気温は歴代1位の高温(タイ記録)となりました。7月後半から全国的に猛烈な暑さとなり、年間の猛暑日(日最高気温が35℃以上)日数は、福岡県太宰府市で62日と国内の歴代最多記録を更新、また猛暑日の連続日数も過去最多となった地点が多く、同じく福岡県太宰府市は40日と国内の歴代最長記録を更新しました。9月も厳しい残暑が続き、過去最も遅い猛暑日となった地点が多く、東京は82年ぶりに記録を更新しました。今年の4月から5月の気温は平年並みの所が多いですが、晴れて日差しが強い日は急な暑さに注意が必要です。
多くの人が暑熱順化をできていない、4月のタイミングでの急な暑さによる「春の熱中症」にはますます注意が必要で、熱中症の予防・対策が必要な時期も年々早まっています。暑熱順化をするには無理のない範囲で汗をかくことが大切です。軽い運動や湯船につかる入浴など、意識して汗をかくことが対策につながります。また暑熱順化と併せて、本格的な夏を迎える前からエアコンの点検や試運転を行ったり、暑さ対策アイテムをそろえたりするなど日頃の備えも大切です。気候変動による影響で、今後も暑さが激甚化する恐れがあります。熱中症は、命にかかわる危険な症状です。台風や大雨などの気象災害と同じように、熱中症に対しても防災意識を高めていくことが今まで以上に必要となります。熱中症は予防できる気象災害であることを意識し「備える」ことが大切です。
【熱中症ゼロへ 暑さへの備え】https://www.netsuzero.jp/learning/le20
本プロジェクトでは、暑熱順化開始の目安となるタイミングとあわせて、暑熱順化の具体的な方法を公式サイトやX(旧Twitter)の公式アカウント(@netsuzero2013)で随時発信していきます。
なお「熱中症ゼロへ」では今後、盛夏の暑さを迎える前の6月上旬ごろを目処に「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線(第 2 回)」を発表予定です。
■暑熱順化ポイントマニュアル
「熱中症ゼロへ」プロジェクトの「暑熱順化」コンテンツページでは、印刷して暑熱順化の知識を深めることができる「暑熱順化ポイントマニュアル」も掲載しています。
以下のページより、ポイントマニュアルを利用することができます。
コンテンツダウンロードページ
https://www.netsuzero.jp/images/learning/le15/download_pdf01_2025.pdf

【この先の気象傾向】
日本気象協会所属 気象予報士/防災士/熱中症予防指導員 久保智子
今年は3月下旬に季節外れの陽気となった所が多く、全国で今年初めて最高気温が30℃以上の真夏日を観測しました。3月に真夏日を観測するのは26年ぶりです。4月から5月の気温は平年並みの所が多いですが、晴れて日差しが強いと気温が上昇し、夏のような陽気になることがあります。急な暑さで熱中症にならないよう、日常的に適度な運動を行い、適切な食事や十分な睡眠をとるなど、暑さに負けない体づくりを心がけましょう。今年の夏は、太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、暖かい空気に覆われやすいため、気温は全国的に平年より高く、猛暑になりそうです。梅雨時期の降水量はほぼ平年並みですが、梅雨前線の活動が活発となる時期があるため、大雨への備えが必要です。なお、高気圧の張り出しが予想より強まった場合は、一昨年や昨年に匹敵する記録的な猛暑になる可能性があります。本格的に暑くなる前から、早めに熱中症対策を進めましょう。

参考資料 昨年の夏の振り返り
2024年の夏の平均気温は平年※2と比べて+1.76℃高く、1898年の統計開始以降、2023年と同じく最も高い値となりました。7月後半から全国的に猛烈な暑さとなり、7月29日に栃木県佐野市で最高気温41.0℃と2024年の国内最高気温を観測しました。また6月から9月にかけて全国のアメダス地点で観測された猛暑日の地点数の積算は10,273地点と、2010年以降で最も多くなりました。
5月から9月の全国の熱中症による救急搬送者数は97,578人(2023より6,111人増加)と、2008年の調査開始以降で最も多く、月別でみると、9月の搬送者数は11,503人と過去最多でした。
※2:平年とは1991~2020年の30年平均値

■「熱中症ゼロへ」プロジェクトとは
熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、一般財団法人 日本気象協会が推進するプロジェクトです。2013年夏のプロジェクト発足以来、熱中症の発生に大きな影響を与える気象情報の発信を核に、熱中症に関する正しい知識と対策をより多くの方に知ってもらう活動を展開してきました。活動13年目となる2025年は「熱中症は未然に防げる気象災害」をテーマに、熱中症の予防啓発活動を実践します。激甚化する暑さや熱中症への防災意識を高め、さまざまな働き方や生活に合わせて、暑さに備えるための情報発信を強化します。
■一般財団法人 日本気象協会について
日本気象協会は、民間気象コンサルティング企業の先駆けとして1950年に誕生しました。防災・減災や洋上風力発電の分野以外でも、気象データを活用した商品需要予測や電力需要予測、気候変動対策などのコンサルティングを通じ、気象データのビジネスでの利活用を提案しつづけています。所属する気象予報士の数は350人を超え、日本最大級の規模を誇る気象の専門家集団として企業のESG投資やSDGs活動への支援も積極的に展開中です。
・「熱中症ゼロへ」は日本気象協会の登録商標です。
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