あの豪華客船の現場が警告したものは何か。4人の当事者の証言を中心に描き出す連載企画「ドキュメント ダイヤモンド・プリンセス号の実相」がスタート!
9月1日の毎日新聞朝刊より15回(予定)連載
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<内容>
企画は、神奈川DMATの調整官だった阿南英明医師をはじめ、それぞれが異なる立場で、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染の対応に関わった4人の証言を中心に展開されていきます。彼らの中には、2011年の東京電力福島第1原発事故の発生時、災害対策本部で対応にあたった経験がある者もいました。「救える命は何が何でも救いたい」。すぐ想起したのは、事故直後、救急搬送ができなかったことで救えなかった特別養護老人ホームの入所者のいのちだったといいます。
乗客乗員3711人の命をどう守るか。DMAT(災害派遣医療チーム)を中心とした対応チームは、絶望的な状況の下、苦しみながら活路を見出していきます。法律的な裏付けや所掌にこだわることでは解決できない連続を支えたのは、現場の判断でした。そして最後は、全国の自治体の感染症対策の下敷きになるモデルを構築していくのです。
<筆者>
滝野隆浩(毎日新聞社会部専門編集委員)
1983年入社。甲府支局、社会部、「サンデー毎日」編集部、夕刊編集部、前橋支局長などを経て現職。防衛問題を中心に取材。著書に「自衛隊指揮官」などがある。
<企画に至るストーリー>
- 取材のきっかけは、8年前に知り合った阿南英明医師(55)です。彼が、神奈川県DMATの調整官をしてダイヤモンド・プリンセス号事案にかかわったことを知り、「半年も経ったから、苦労話でも聞いてみようか」という気持ちで会いに行きました。彼はその後、県医療危機対策統括官になっていました。県庁の小さな部屋で約2時間。じっくり聞いた話は、未知のウイルスと格闘しながら700人を超える陽性患者を全国に搬送したという事実にとどまりませんでした。患者を重症、中等症、軽症というように的確にトリアージしながら受け入れ機関を選んでいく作業は、綱渡りの連続でした。この考え方はまもなく、国の施策にも取り込まれていきます。言い換えれば、阿南医師らの奮闘がなければ、クルーズ船では感染症以外の原因で亡くなる人がいたかもしれないし、横浜市や神奈川県の医療体制は、半年前に一時、崩壊したかもしれなかったのです。
- その後、何度か阿南医師に会い、何時間か話し込み、また彼の同志、あるいは「戦友」ともいえる仲間たちにも取材し、この事案の実相が見えてきました。圧倒的な人手不足に法律の不備、さらには「役所の壁」も立ちふさがった中で、彼らは問題を解決していき、前に進みます。それはたぶん、彼らが日本人には珍しい「自分が責任を持つから、やろう」というチャレンジ精神を持っていたからだと思います。阿南医師とその仲間たちは役人、官僚でありながら、等しく、役人気質とは対極の、この前向きの精神を持っていたのです。
- コロナ禍はこれからも続いていきます。しかし、半年前に困難な事態に遭遇しても、決して引き下がることのなかった人たちのことを知っていただければ、新たに何かを考えるきっかけになると私は信じています。ご期待ください。
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