イノベーションフィールド柏の葉を活用した東京大学発の技術の実証へ日本初 有機半導体フィルムデバイスを活用した長距離物流における温度/振動トレース・モニタリングシステムの実証実験に成功
三井不動産株式会社(所在:東京都中央区 代表取締役社長:菰田正信 以下、「三井不動産」)と、パイクリスタル株式会社(所在:千葉県柏市 代表取締役:平井成尚 以下、「パイクリスタル」)は、東京大学発、日本初の技術である有機半導体フィルムデバイス(※)を用いた、長距離物流過程の温度および振動を継続的に観測する実証実験を柏の葉スマートシティにて実施しました。これにより、温度や振動などの複数の情報を、1つの薄型・軽量なフィルムデバイスに搭載しデータを継続的に取得するとともに、取得したデータをクラウド上で共有できるトレースシステム(以下、「本システム」)の開発に成功したこととなります。
本システムにより、長距離物流過程の温度や荷物にかかる振動のデータを継続的に観測し、コロナウイルスワクチンをはじめとする医療分野や薬品輸送のGDP(※1)への対応、鮮魚など生鮮食品のHACCP(※2)・ISO22000(※3)対応など、今後さらに強化が必要となる物流品質の保証や品質改善の提案に向けた、有益なデータの供給が可能となります。さらに化学品や海外物流といった様々な分野において安心・安全な物流サービスを実現します。
(※)参考リリース:有機半導体温度/振動センサを用いた長寿命リユース型無線物流トレースフィルムの開発
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/0225/
※1:GDP: 輸送・保管過程における医薬品の品質を確保することを目的とした基準(適正な物流に関する基準)。製造業者から薬局、または医薬品を公共に供給する承認(資格)を有している個人に至るまでのサプライチェーン全段階で医薬品の品質が維持されることを保証する実践規範であり、医薬品品質保証の一環である。
※2:HACCP:食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法。国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたもの。
※3:ISO22000:『食品安全マネジメントシステム-フードチェーンに関わる組織に対する要求事項』の国際標準規格である。安全な食品を生産・流通・販売するために、HACCPシステムの手法を、ISO 9001(品質マネジメントシステム規格)を基礎としたマネジメントシステムとして運用するために必要な要求事項を規定している。
■長距離輸送時の温度・振動観測の実証実験に関して
<背景について>
近年、Eコマースが一般消費者にも身近になり、生鮮食品や医薬品などと取り扱い品目も拡大しており、より安心・安全な物流サービスが求められています。また、2021年6月からHACCPに沿った衛生管理への対応が完全に義務付けられるなど、一層その重要性は高まっております。一方で、医薬品や生鮮食品の安全性を長時間にわたって保つには、輸送時の温度や振動を継続的に管理していく必要がありますが、これまでの技術ではコストや利便性の観点から導入が十分ではありませんでした。
そこで、東京大学大学院新領域創成科学研究科 竹谷純一教授の開発した有機半導体の技術を活用し、パイクリスタルが開発した低コストで1年程度のバッテリー寿命を伴った長寿命のリユース型物流トレースタグにより、1回当たりの物流コストの上昇を抑えつつ、SDGsにも対応できる新しいエコフレンドリーな物流サービスの商用化に向けて、三井不動産が開発・運営する柏の葉スマートシティをフィールドとした実証実験を行うに至りました。
<実証実験踏まえ、今後実現できること>
・物流チェーン全体の温度管理
(HACCP対応義務化された鮮魚加工工場から温度管理対応の魚市場への物流輸送を事例に)
過去の実証実験(2020年6月~2021年2月)では、柏魚市場から柏の葉スマートシティ内のレストランやスーパーマーケットまでの生鮮食品の物流過程に加え、一般冷蔵品と医薬品物流を対象に、長距離輸送時の実証実験を実施いたしました。今回、三崎漁港(神奈川県三浦市)から柏の葉スマートシティ間約120kmの長距離かつ鮮魚輸送の温度計測を実施したことで、物流チェーン全体の温度管理が可能になったといえます。
・モニタリングデータを用いた、将来的な物流業者の品質改善
併せて実施している、リユース型トレースタグへの振動センサの搭載に関する検証により輸送時の振動の継続的なモニタリングが実現しました。特に物流事故の多くで原因とされている「落下」や「振動」による荷物の破損の実態を把握する事が可能となります。今後はさらなる長距離輸送において実証を積み重ねていくとともに、将来的には安価で使い捨てが可能なタグの開発により物流サービスの品質改善に寄与することを目指していきます。
<今回の実証実験概要>
①長距離輸送による、魚の切り身の真空パック内への温度トレースタグ封入による魚自体の温度計測の実験
・期間:2021年4月5日~6日、5月24日~25日
・場所:三崎漁港(神奈川県三浦市)→柏市公設市場→柏の葉スマートシティ内飲食店 約120km
・概要:
三重県漁業協同組合連合会との協力で、三崎漁港内の加工工場で魚の切り身に温度トレースタグを真空パックで同梱し、柏の葉スマートシティまでの約120kmの輸送における鮮魚の温度を直接モニタリング。
・対象:
ヒラメ/ブリ/マダイ/カンパチ/マグロ 三重県漁業協同組合連合会 三浦活魚流通センターにて養殖を行っている養殖魚を切り身加工し、真空パックを行った商品。
・結果:
2度の物流実証にて鮮魚自体の温度を測定した結果、温度トレースタグにより正しく鮮魚の温度が計測されていること、対象商品が鮮魚の鮮度保持に最適とされる0-5℃の温度帯を常時保って輸送されていることが確認されました。
また有機半導体で作られた薄型の温度トレースタグは温度変化に素早く応答する特徴があり、市販のタグと比較してより急激な温度変化も記録可能なことが確認されました。併せて、無線通信でクラウド上にデータをクラウドへ送り、モニタリングデータをシェア/可視化できる事も合わせて実証しました。
・期間:2021年6月15日~16日
・場所:パイクリスタル 大阪分室(大阪府茨木市)→パイクリスタル 柏分室(千葉県柏市) 約550km
・概要:
±8Gの振動を検知できる振動センサをフィルム状トレースタグへ取り付け2kgの荷物と同梱し、物流ルートで実証実験を実施。物流中の荷物に対する振動をモニタリング。
・結果:
運搬中の荷物の状態を推測するのに有用な荷物が受けている振動のデータを取得することができました。また、薄型でフレキシブルなタグは箱内に梱包された商品個別にタグを貼り付ける事が可能であるため、箱全体の振動ではなく、商品そのものが受けた振動の検知が可能になります。このような技術の開発によって、商品の物流過程における破損等の原因をデータから推定することが可能になることが見込まれ、商品梱包および物流過程の改善提案にもつながることが期待されます。
長寿命リユース型のトレースタグは、東京大学大学院新領域創成科学研究科、パイクリスタルによって開発が進められており、三井不動産、株式会社日立物流の協力の元、社会実証を進めています。配送事業者にとって使い勝手の良いコンパクトな形状でありながら、低コストで耐久性も高く、無線通信が可能でリユースもできる機能を併せ持っています。
有機半導体を用いたセンサ素子は、これまでは耐久性が課題でしたが、封止材料を柔軟かつ耐久性の高い素子にすることで長期安定動作を実現しました。また、極薄のフィルム上にデータ処理回路と無線通信回路を印刷することで、梱包時にも邪魔にならないコンパクトな大きさで無線機能を実装することができました。それらを内蔵したトレースタグを、公民学連携でスマートシティ構築を進めている柏の葉エリアで数度の実証実験を行うことで、長期の安定性や低消費電力性の検証を終えております。
温度/振動センサ等複数のセンサ素子の搭載が可能、かつフレキシブルでソフトな材質
■柏の葉キャンパスエリアについて
柏の葉スマートシティは、都心から約30分とアクセスも優れており、東京大学や千葉大学をはじめとする国内屈指の研究機関が柏の葉キャンパス駅半径2km圏内に集まる知の集積地でもあります。公民学連携でスマートシティ構築を進めており、スタートアップや大学の技術を活用した実証実験にも積極的に取り組んでいます。2019年2月には、社会課題の解決や新産業創造を目指す実証プラットフォーム「イノベーションフィールド柏の葉」を始動し、公民学連携で様々な実証実験を開始しています。本プロジェクトもこちらの枠組みを利用し、柏市公設市場の協力を得て実証実験を進めています。
■イノベーションフィールド柏の葉とは (https://innovation-field-kashiwanoha.jp/)
イノベーションフィールド柏の葉は、AI・IoT、ライフサイエンス・メディカルの2つの分野にて、柏の葉スマートシティを舞台とした実証プロジェクトの受け入れを一括して行い、新たな商品・サービスを共に生み出していく実証プラットフォームです。2019年2月の発足以降、全体で17件の実証プロジェクトを実行してまいりました。
・参考リリース:三井不動産 |「イノベーションフィールド柏の葉」を始動
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2019/0219_02/
■パイクリスタル株式会社 (https://www.daicel.com/smart/pi-crystal/)
有機半導体単結晶の成膜技術を核とし、フィルム状でフレキシブルかつ薄型のデバイスを開発・製造・販売する事を事業としていく事を目的とした東京大学発のベンチャー企業。有機半導体で世界トップレベルの性能(10㎠/Vs以上の電子移動度)、低消費電力駆動が可能なCMOS回路、高いトランジスタ集積度、などを実現しています。
有機半導体デバイスの開発・マーケティングを加速し、新たな価値を創造していきます。さらに当デバイスをプラットフォームとし活用する事で、センシングビジネスの事業領域を拡大していきます。
■三井不動産株式会社 (WEB:柏の葉スマートシティ https://www.kashiwanoha-smartcity.com/)
街づくりを通じて社会課題の解決に挑戦し、新たな価値を創っていく総合デベロッパー。柏の葉スマートシティにおいては、AI/IoTなど新技術の導入によるデータ駆動型のスマート・コンパクトシティの形成を目指しており、国土交通省「Society5.0」の実現に向けたスマートシティモデル事業の先行モデルプロジェクトに選定されました。今後、健康・医療に係る医療機関サービスのスマート化に取り組んでいきます。また、三井不動産グループは、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進することで、日本政府が提唱する「Society5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
■三井不動産グループのSDGsへの貢献について (https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。当社グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
*なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における4つの目標に貢献しています。
目標3 すべての人に健康と福祉を
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標12 つくる責任 つかう責任
本システムにより、長距離物流過程の温度や荷物にかかる振動のデータを継続的に観測し、コロナウイルスワクチンをはじめとする医療分野や薬品輸送のGDP(※1)への対応、鮮魚など生鮮食品のHACCP(※2)・ISO22000(※3)対応など、今後さらに強化が必要となる物流品質の保証や品質改善の提案に向けた、有益なデータの供給が可能となります。さらに化学品や海外物流といった様々な分野において安心・安全な物流サービスを実現します。
(※)参考リリース:有機半導体温度/振動センサを用いた長寿命リユース型無線物流トレースフィルムの開発
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/0225/
今回の実証実験は、柏の葉スマートシティの街を舞台とした実証プラットフォーム「イノベーションフィールド柏の葉」の枠組みを活用し、柏の葉スマートシティ内の複数拠点の連携や事業者からの協力を得ることで実施に至りました。今後も継続的な実証プロジェクトを実施し、パイクリスタルが開発した有機半導体フィルムデバイスを、柏の葉エリアの様々なアセットにおける利活用の検討を進めることで、サービスとしての確立と全国的な拡大を目指します。三井不動産は、今回の実証実験の取り組みを通じて柏の葉エリアにおける安心・安全な物流サービスの実装を目指すとともに、その他のアセットへの有機半導体フィルムデバイスの技術の活用による街全体のスマート化についても検討を進めて参ります。
※1:GDP: 輸送・保管過程における医薬品の品質を確保することを目的とした基準(適正な物流に関する基準)。製造業者から薬局、または医薬品を公共に供給する承認(資格)を有している個人に至るまでのサプライチェーン全段階で医薬品の品質が維持されることを保証する実践規範であり、医薬品品質保証の一環である。
※2:HACCP:食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法。国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたもの。
※3:ISO22000:『食品安全マネジメントシステム-フードチェーンに関わる組織に対する要求事項』の国際標準規格である。安全な食品を生産・流通・販売するために、HACCPシステムの手法を、ISO 9001(品質マネジメントシステム規格)を基礎としたマネジメントシステムとして運用するために必要な要求事項を規定している。
■長距離輸送時の温度・振動観測の実証実験に関して
<背景について>
近年、Eコマースが一般消費者にも身近になり、生鮮食品や医薬品などと取り扱い品目も拡大しており、より安心・安全な物流サービスが求められています。また、2021年6月からHACCPに沿った衛生管理への対応が完全に義務付けられるなど、一層その重要性は高まっております。一方で、医薬品や生鮮食品の安全性を長時間にわたって保つには、輸送時の温度や振動を継続的に管理していく必要がありますが、これまでの技術ではコストや利便性の観点から導入が十分ではありませんでした。
そこで、東京大学大学院新領域創成科学研究科 竹谷純一教授の開発した有機半導体の技術を活用し、パイクリスタルが開発した低コストで1年程度のバッテリー寿命を伴った長寿命のリユース型物流トレースタグにより、1回当たりの物流コストの上昇を抑えつつ、SDGsにも対応できる新しいエコフレンドリーな物流サービスの商用化に向けて、三井不動産が開発・運営する柏の葉スマートシティをフィールドとした実証実験を行うに至りました。
<実証実験踏まえ、今後実現できること>
・物流チェーン全体の温度管理
(HACCP対応義務化された鮮魚加工工場から温度管理対応の魚市場への物流輸送を事例に)
過去の実証実験(2020年6月~2021年2月)では、柏魚市場から柏の葉スマートシティ内のレストランやスーパーマーケットまでの生鮮食品の物流過程に加え、一般冷蔵品と医薬品物流を対象に、長距離輸送時の実証実験を実施いたしました。今回、三崎漁港(神奈川県三浦市)から柏の葉スマートシティ間約120kmの長距離かつ鮮魚輸送の温度計測を実施したことで、物流チェーン全体の温度管理が可能になったといえます。
・モニタリングデータを用いた、将来的な物流業者の品質改善
併せて実施している、リユース型トレースタグへの振動センサの搭載に関する検証により輸送時の振動の継続的なモニタリングが実現しました。特に物流事故の多くで原因とされている「落下」や「振動」による荷物の破損の実態を把握する事が可能となります。今後はさらなる長距離輸送において実証を積み重ねていくとともに、将来的には安価で使い捨てが可能なタグの開発により物流サービスの品質改善に寄与することを目指していきます。
<今回の実証実験概要>
①長距離輸送による、魚の切り身の真空パック内への温度トレースタグ封入による魚自体の温度計測の実験
・期間:2021年4月5日~6日、5月24日~25日
・場所:三崎漁港(神奈川県三浦市)→柏市公設市場→柏の葉スマートシティ内飲食店 約120km
・概要:
三重県漁業協同組合連合会との協力で、三崎漁港内の加工工場で魚の切り身に温度トレースタグを真空パックで同梱し、柏の葉スマートシティまでの約120kmの輸送における鮮魚の温度を直接モニタリング。
・対象:
ヒラメ/ブリ/マダイ/カンパチ/マグロ 三重県漁業協同組合連合会 三浦活魚流通センターにて養殖を行っている養殖魚を切り身加工し、真空パックを行った商品。
・結果:
2度の物流実証にて鮮魚自体の温度を測定した結果、温度トレースタグにより正しく鮮魚の温度が計測されていること、対象商品が鮮魚の鮮度保持に最適とされる0-5℃の温度帯を常時保って輸送されていることが確認されました。
また有機半導体で作られた薄型の温度トレースタグは温度変化に素早く応答する特徴があり、市販のタグと比較してより急激な温度変化も記録可能なことが確認されました。併せて、無線通信でクラウド上にデータをクラウドへ送り、モニタリングデータをシェア/可視化できる事も合わせて実証しました。
②振動センサを搭載したフィルム状トレースタグを開発し、長距離輸送時の振動計測を実験
・期間:2021年6月15日~16日
・場所:パイクリスタル 大阪分室(大阪府茨木市)→パイクリスタル 柏分室(千葉県柏市) 約550km
・概要:
±8Gの振動を検知できる振動センサをフィルム状トレースタグへ取り付け2kgの荷物と同梱し、物流ルートで実証実験を実施。物流中の荷物に対する振動をモニタリング。
・結果:
運搬中の荷物の状態を推測するのに有用な荷物が受けている振動のデータを取得することができました。また、薄型でフレキシブルなタグは箱内に梱包された商品個別にタグを貼り付ける事が可能であるため、箱全体の振動ではなく、商品そのものが受けた振動の検知が可能になります。このような技術の開発によって、商品の物流過程における破損等の原因をデータから推定することが可能になることが見込まれ、商品梱包および物流過程の改善提案にもつながることが期待されます。
■長寿命リユース型のトレースタグとは
長寿命リユース型のトレースタグは、東京大学大学院新領域創成科学研究科、パイクリスタルによって開発が進められており、三井不動産、株式会社日立物流の協力の元、社会実証を進めています。配送事業者にとって使い勝手の良いコンパクトな形状でありながら、低コストで耐久性も高く、無線通信が可能でリユースもできる機能を併せ持っています。
有機半導体を用いたセンサ素子は、これまでは耐久性が課題でしたが、封止材料を柔軟かつ耐久性の高い素子にすることで長期安定動作を実現しました。また、極薄のフィルム上にデータ処理回路と無線通信回路を印刷することで、梱包時にも邪魔にならないコンパクトな大きさで無線機能を実装することができました。それらを内蔵したトレースタグを、公民学連携でスマートシティ構築を進めている柏の葉エリアで数度の実証実験を行うことで、長期の安定性や低消費電力性の検証を終えております。
実証実験に用いたカードサイズのトレースタグイメージ
温度/振動センサ等複数のセンサ素子の搭載が可能、かつフレキシブルでソフトな材質
■柏の葉キャンパスエリアについて
柏の葉スマートシティは、都心から約30分とアクセスも優れており、東京大学や千葉大学をはじめとする国内屈指の研究機関が柏の葉キャンパス駅半径2km圏内に集まる知の集積地でもあります。公民学連携でスマートシティ構築を進めており、スタートアップや大学の技術を活用した実証実験にも積極的に取り組んでいます。2019年2月には、社会課題の解決や新産業創造を目指す実証プラットフォーム「イノベーションフィールド柏の葉」を始動し、公民学連携で様々な実証実験を開始しています。本プロジェクトもこちらの枠組みを利用し、柏市公設市場の協力を得て実証実験を進めています。
■イノベーションフィールド柏の葉とは (https://innovation-field-kashiwanoha.jp/)
イノベーションフィールド柏の葉は、AI・IoT、ライフサイエンス・メディカルの2つの分野にて、柏の葉スマートシティを舞台とした実証プロジェクトの受け入れを一括して行い、新たな商品・サービスを共に生み出していく実証プラットフォームです。2019年2月の発足以降、全体で17件の実証プロジェクトを実行してまいりました。
・参考リリース:三井不動産 |「イノベーションフィールド柏の葉」を始動
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2019/0219_02/
■パイクリスタル株式会社 (https://www.daicel.com/smart/pi-crystal/)
有機半導体単結晶の成膜技術を核とし、フィルム状でフレキシブルかつ薄型のデバイスを開発・製造・販売する事を事業としていく事を目的とした東京大学発のベンチャー企業。有機半導体で世界トップレベルの性能(10㎠/Vs以上の電子移動度)、低消費電力駆動が可能なCMOS回路、高いトランジスタ集積度、などを実現しています。
有機半導体デバイスの開発・マーケティングを加速し、新たな価値を創造していきます。さらに当デバイスをプラットフォームとし活用する事で、センシングビジネスの事業領域を拡大していきます。
■三井不動産株式会社 (WEB:柏の葉スマートシティ https://www.kashiwanoha-smartcity.com/)
街づくりを通じて社会課題の解決に挑戦し、新たな価値を創っていく総合デベロッパー。柏の葉スマートシティにおいては、AI/IoTなど新技術の導入によるデータ駆動型のスマート・コンパクトシティの形成を目指しており、国土交通省「Society5.0」の実現に向けたスマートシティモデル事業の先行モデルプロジェクトに選定されました。今後、健康・医療に係る医療機関サービスのスマート化に取り組んでいきます。また、三井不動産グループは、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進することで、日本政府が提唱する「Society5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
■三井不動産グループのSDGsへの貢献について (https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。当社グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
*なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における4つの目標に貢献しています。
目標3 すべての人に健康と福祉を
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標12 つくる責任 つかう責任
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