障がい者の夢を叶える匠の自転車工房の46年、一台一台に込めた想い!「堀田製作所」がこの春、舎人公園 千本桜まつりで三輪自転車を展示します!!
堀田製作所が2025年3月29日(土)、30日(日)の2日間、都立舎人公園で開催される「舎人公園 千本桜まつり」で「足立ブランド」ブースに出展します。※堀田製作所の出展は29日(土)のみ

自転車に乗ることを諦めていた人々の「乗りたい」という夢を叶えてきた『堀田製作所』(住所:東京都足立区西新井、代表:堀田健一)。足立区の小さな町工場で、堀田健一氏は46年にわたり、障がい者向けのオーダーメイド自転車を作り続けてきました。累計2,700台の実績を持つ同社の歩みには、一人ひとりの可能性を信じ、寄り添い続けてきた深い愛情が込められています。
▎一人ひとりの夢を形にする、匠の技と情熱
足立区の静かな工場で、今日も金属を削る音が響いています。堀田氏の手には、46年の歳月が刻んだ確かな技が宿ります。もう何十年も、朝9時から夜8時まで、黙々と自転車作りに向き合ってきました。一台一台、全ての工程をひとりで担当し、魂を込めて作り上げていく特殊自転車は、様々な障がいを持つ人の人生を大きく変える大切な相棒となっています。
「障がいと言っても、その状態は一人ひとり全く違います。私が作る自転車は、その人の身体状態に合わせて作っているので、全てがオーダーメイド。身体に残った機能をどう使い、どう自転車の前進運動に変換させていくのか。その手段を考えることが最も大切な仕事なんです」

製造する自転車は、シンプルな構造にすることで、例え壊れても修理しやすく設計していますが、「あまり修理の依頼はありません」と堀田氏。高い技術もさることながら、部品へのこだわりも強く、高品質かつ厳選された国産部品を採用しています。その理由は「安いものを使って、すぐに壊れるようでは意味がない」から。堀田氏が作った自転車を愛用している人は、20年も30年も使い続けています。堅牢さを求めて、例え値段が張っても、いいものを使う。この姿勢が実績となって表れています。これが価格以上の価値を生み出しているのです。


堀田製作所の自転車は、大きく3つのタイプがあります。
・ペダルを回転させて前進する「回転式三輪」
・ペダルを踏みこむことで前進する「踏込式三輪」
・全長が短く小回りが利く「踏込式ミニ三輪」






これらをベースに、三輪自転車はそれぞれの身体状況に合わせて細かな調整を施していきます。例えば、手の操作が難しい方のために右足でハンドル操作を行い、左足でブレーキがかけられる自転車や、ブレーキを握ることが難しい方のために、ハンドルを下に押し込んでブレーキがかけられる自転車など、使う人の可能性を最大限に引き出す工夫を一台ずつ盛り込みます。また四輪自転車も、必要とあらば電動にすることも可能です。そうした創意工夫が満載の堀田氏の自転車は、自転車に乗ることを諦めていた障がい者に、「自転車に乗る」という新しい扉を用意しているのです。

堀田製作所は夫妻二人三脚でやってきました。
「私は作ることに没頭していましたからね。妻が電話対応から、カタログ発送、経理、顧客名簿の管理まで、全ての事務を担当してくれていました。取扱説明書は一から作ってくれてね。そうして積み上げたものが、今でも役立っています。助かっていますし、本当にありがたい」
堀田氏は感謝の言葉を何度も口にします。
▎38歳の出会いが変えた、人生の方向
堀田氏が特殊自転車の製作を始めたきっかけは、意外にも息子への贈り物でした。二輪自転車に乗ることを禁じられていた小学校に通う息子のためにと作った三輪自転車。公園で友だちと和気あいあいと乗り回す様子を見ていたのが、障がいのあるご婦人でした。
「『私も乗れそう』と挑戦されて、すぐに乗りこなすことができたんです。その感激されている様子が今も脳裏に焼き付いています。すぐに『同じものを作ってほしい』と依頼され、それが自転車作りを始めるきっかけになりました」
この出来事は、堀田氏の人生の方向を変えました。

さらに大きな転機となったのは38歳の時の出来事です。
当時は徐々に堀田氏の自転車が全国でも知られるようになり、北海道の身障者の子どもを持つ親から、子どものための自転車を作ってほしいという連絡が入ります。自転車製作のため、子どもが北海道からひとりで飛行機に乗ってやってくることになりました。
「到着時間に合わせて羽田空港に迎えに行ったんです。今でこそ、ボーディングブリッジで飛行機の乗り降りをしていますが、当時はタラップで飛行機から下りて、そこから歩いてターミナルに移動しなくてはなりませんでした。
いくら待っても、ほかの乗客が全員でてきたのに、その子が出てこないんです。
騙されたと思いました・・。でも、それは違ったんです。
いつまでも出てこなかったのは、ただ歩くのに時間がかかっていただけだったんです。
一生懸命にタラップを下りて、私の方に向かって歩いてきている姿を見て、涙が溢れました。私は身障者のことを何も解っていなかったと痛感しました。そして騙されたなんて思う、その自分の心の汚さにうんざりもしました。
あの出来事が、私を生まれ変わらせてくれた」

「それまで、身障者の実情を知ることなく生きてきた」と堀田氏。
しかし、その出会いを機に、障がいを持つ人々の可能性を信じ、その夢を実現するための道具として、自転車作りに打ち込むようになりました。
▎次世代へ繋ぐ、福祉と教育の架け橋
「頭の中に2,700台分のノウハウが詰まっています。1台ずつ考えに考えて作ってきた、だからどんなものでも生み出せてきたと思っています」と堀田氏は語ります。その言葉には46年間、ひとりで全工程を担ってきた自負と、一人ひとりの要望に応えたいという強い想いが込められています。
『堀田製作所』の自転車は、単なる移動手段ではありません。使う人の可能性を最大限に引き出し、その人の人生をより豊かにする存在なのです。
利用者の「この自転車のおかげで、生活にハリが出ました。今までは行けなかった場所にも行けるようになりました。一日中家にいるのではなく、外に出られること、自分ひとりで行動できることが凄く嬉しい」という声は、その証です。また、自立支援の面でも大きな役割を果たし、「堀田さんの自転車のおかげで、足に障がいがある息子が介助なしで移動できるようになりました。自立にも繋がり、息子にとっても親にとっても大きな前進となりました」と、喜びの声も聞かれます。

現在、多くの人に知ってもらいたいと考えているのが、養護学校向けの特別仕様自転車です。小さな子から大きな子どもまで、体格を問わずに1台で対応できる画期的な設計が特徴です。
「ハンドル、サドルの高さ、またタイヤの前後の長さなど、体格に合わせて調整できる。一台で多くの子どもたちが使える自転車を作りました」
今回の「舎人公園 千本桜まつり」では、こちらの自転車を展示します。人がたくさんいるため長距離の運転は難しいですが、実際にペダルを踏んでみることもできます。また、堀田氏自らがブースに立ち合いますので、様々なご相談がその場で可能です。
リハビリテーション用途への展開も視野に入れています。

「人間は身体を動かして生きているのです。少しでもどこかが悪いと、電動に頼り、ラクをして行動するようになっていきがちですが、それは誤りです。動くところ、残存機能を存分に使って生活することこそ、健康な身体を持続させることに繋がる。これは当然だと思います」
脳梗塞などで片側麻痺になった人も、堀田氏の作った自転車を使うことで、移動手段を得て、健康的に暮らしているそうです。
▎希望を生み続けるために
しかし、一方で事業継続の課題も抱えています。
「休みなく自転車作りに向き合っても、製造できるのは月に2~3台という現実もあります。利益が出ない仕事の中で後継者を育てていくのは難しいことです。オーダーメイドを主軸にしながらも、利益も出せる製品も並行して作る。これが私たちの自転車が残っていく手段だと考えています」
「足立ブランド」へは、障がい者向けのオーダーメイドの自転車があること、養護施設の子どもたちが楽しめる自転車があること、そしてこうした自転車を作っている自分のことを世に知ってもらうことを目指して、参加を決めました。
「自転車に乗ることを諦めている人に、自転車に乗る楽しさを知ってもらい、人生が快適になることを感じてもらいたい」
手作りだからこそ、一人ひとりに合った自転車が作れる。大企業ではなしえない仕事だからこそ、面白い――堀田氏はそう考えています。今も足立の町工場から、新たな希望への自転車が生まれ続けています。

企業情報
社名:堀田製作所
代表:堀田健一
所在地:東京都足立区西新井1-25-3
電話:03-3890-8666
事業内容:特殊自転車の製造・販売
「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。
『堀田製作所』は、この「足立ブランド」認定企業です。
取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある足立区役所産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。
足立区役所産業経済部 産業振興課 ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605
足立ブランド公式Webサイト
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