【開催レポート】第41回パラ研ワークショップ 「北京2022パラリンピック競技大会日本選手団報告会」 ~選手の発掘と育成、教育も課題に~
公益財団法人日本財団パラスポーツサポートセンター(パラサポ|東京都港区、会長 山脇康)パラリンピック研究会は4月12日、オンライン版ワークショップ 「北京2022パラリンピック競技大会日本選手団報告会」 を開催しました。
ワークショップには日本代表選手団の河合純一団長と大日方邦子アルペンスキーチームリーダーが登壇。ロシアによるウクライナ侵攻の影響、飛躍的にメダル数を伸ばした中国の取り組み、さらに2026年のミラノ・コルティナ大会に向けての課題を挙げました。討議では、モデレーターを渡正 順天堂大学准教授が務め、桜間裕子副団長を交えて、北京大会のメディアの取り上げ方や選手団に占める女性と障がい当事者の割合やその意味について議論を深めました。
ワークショップには日本代表選手団の河合純一団長と大日方邦子アルペンスキーチームリーダーが登壇。ロシアによるウクライナ侵攻の影響、飛躍的にメダル数を伸ばした中国の取り組み、さらに2026年のミラノ・コルティナ大会に向けての課題を挙げました。討議では、モデレーターを渡正 順天堂大学准教授が務め、桜間裕子副団長を交えて、北京大会のメディアの取り上げ方や選手団に占める女性と障がい当事者の割合やその意味について議論を深めました。
- 河合純一 (日本代表選手団団長)|北京2022パラリンピック冬季競技大会日本代表選手団報告
「日本代表は4個の金メダルを含む7個のメダルを獲得。2大会連続で金メダルを獲得した村岡桃佳選手は冬季における最多金メダルホルダー、川除大輝選手は冬季の最年少金メダリストに。主将と旗手がセットで金メダルというのは初めてであり、海外の大会で最多のメダルを獲得することができたのも成果。選手団としては、若手とベテランが融合したバランスの良い編成だったが、スノーボードの女子がゼロ、視覚障がいの選手が極端に少ないという特徴があった。一方、開催国の中国は金1から金18個に伸ばし、金メダルランキング1位に飛躍した。タレントの発掘と育成、年間を通じて練習できる施設の整備、海外からコーチを招へいするなど施策すべてを真似できるわけではないが、今後の取り組みの参考にしたい」
【河合純一プロフィール】
日本パラリンピック委員会委員長。アジアパラリンピック委員会アスリート委員。バルセロナ、アトランタ、シドニー、アテネ、北京、ロンドンの6つのパラリンピック大会に出場し、合計で金5個、銀9個、銅7個のメダルを獲得。2016年には、アジアから初の国際パラリンピック委員会殿堂入りを果たし、パラリンピアンとしてパラリンピック・ムーブメントを牽引している。早稲田大学大学院教育学研究科修了。
- 大日方邦子 (アルペンスキーチームリーダー)|北京2022パラリンピック競技結果報告
「今大会は、コロナ流行の影響で事前にコースの下見が一切できない上、難しいコンディションだった。そのため、選手は柔軟な対応が求められた。短い時間でコースを見極め、そこにあった技術を自分の引き出しから出していく村岡選手がアルペンスキーの女子で圧倒的な強さを発揮した。また、チェアスキーの主流モデルが日本のメーカーからフランスのメーカーに交代したり、自動車メーカーが参入するなど潮流の変化も見られた。スキー4競技に共通している点として、次世代選手の発掘と育成が大きな課題である」
【大日方邦子プロフィール】
(株)電通グループ フェロー/電通総研副所長、日本障害者スキー連盟常任理事/強化本部長。リレハンメル、長野、ソルトレークシティ、トリノ、バンクーバーの5つのパラリンピックに出場し、合計で金2、銀3、銅5個のメダルを獲得。平昌2018パラリンピックでは日本代表選手団団長を務めた。中央大学法学部卒業、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。
- 渡正(順天堂大学准教授)|討議、モデレーター
「東京大会に比べてテレビ放送はかなり減り、NHKの生放送も多くなかったと感じている。東京ではなく海外で行われたこと、冬季競技ということがどう影響しているのか。具体的な放送時間、イベントの大きさに対して、メディアの注目度はどの程度だったのか。今後、データや分析が出てくることを期待したい。また、今大会、選手たちは新型コロナの影響に加えウクライナ危機に直面した。社会の中にスポーツがあるという認識を持ちにくいかもしれないが、河合さんからアスリート教育に力を入れていくという力強い言葉をもらい、日本のスポーツ界に希望があると感じた」
【渡正プロフィール】
順天堂大学スポーツ健康科学部准教授。千葉大学文学部卒業、筑波大学大学院博士過程を単位取得退学後、早稲田大学スポーツ科学学術院助手、徳山大学経済学部准教授などを経て、2015年より現職。専門はスポーツ社会学、障害者スポーツ論。車椅子バスケットボールのフィールドワークをベースにした研究で博士号を取得。
- 桜間裕子(日本代表選手団副団長)|討議、指定討論者
「大会中には日本パラリンピック委員会の女性委員会として国際女性デーを祝うアクションを起こし、SNSなどで発信した。昨今、ジェンダーバランスが話題になるが、北京冬季パラリンピック日本団表選手団の役員に占める女性の割合は27.3%であり、オリンピックの17.4%に比べ、女性の進出が進んでいるといえる。私が副団長になった経緯もそうだが、JPCが常にジェンダーバランスを考慮しているからではないか。とくに競技にかかわるスタッフで女性であり、障がい者であり、冬季競技であることは限りなくマイノリティになる。競技団体の中で女性について理解できる人がいることが重要だと感じさせられた」
【桜間裕子プロフィール】
順天堂大学女性スポーツ研究センター特任助手。筑波大学在学中に日本学生選手権(競泳)女子100m自由形で優勝、リレー種目で日本記録を更新した。大学卒業後に高校教諭となったが退職し、青年海外協力隊員として中国にて水泳チームを指導。日本パラリンピック委員会(JPC)勤務を経て、2011年より順天堂大学に勤務。2014年より同学現所属。2017年よりJPC女性スポーツ委員会副委員長を務める。
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パラリンピック研究会紀要17号を発行
パラリンピック研究会では、研究者、パラリンピアン、企業関係者、日本パラリンピック委員会を中心とする障がい者スポーツ関係者、ジャーナリストなどからもアドバイスを受けつつ、パラリンピックをめぐる広範囲の課題について、調査・研究を進めています。成果の一端を紹介する紀要を発行し、また、研究機関と共催の国際シンポジウム、さまざまな分野の専門家や実務者を講師に招いての勉強会等を開催しています。
パラリンピック研究会紀要17号はWEBでもご覧いただけます。
URL|http://para.tokyo/bulletin/
日本財団パラスポーツサポートセンターについて
日本財団の支援を受け2015年5月に活動を開始した日本財団パラスポーツサポートセンター*(パラサポ)は、運営基盤に課題があったパラリンピック競技団体の持続可能な運営体制構築のために、2015年11月に共同オフィスをオープンし、安定した団体運営に欠かせない事務局人件費、競技人口を増やす活動を行うための普及啓発費、広報・マーケティング費等の助成金をはじめ、会計・翻訳など共通する業務を集約。効率的な団体運営を推進する「シェアードサービス」を提供し、基盤強化に取り組んでいます。2018年6月には、パラアスリートの練習環境向上のためにパラスポーツ専用体育館「日本財団パラアリーナ」をオープンしました。
また、パラアスリートを中心とした講師が行う小・中・高・特別支援学校向けの教育プログラムや企業・団体・自治体・大学等を対象とした研修プログラムを2016年度から2021年度末までに国内外で3,000回開催、子どもから大人まで33万人以上が参加しています。パラサポは「SOCIAL CHANGE with SPORTS」をスローガンに、一人ひとりの違いを認め、誰もが活躍できるD&I社会の実現に向けて、スポーツを通じて社会を変えていきます。
*2022年1月に日本財団パラリンピックサポートセンターから名称変更
パラサポ公式サイト|https://www.parasapo.or.jp/
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