第69回産経児童出版文化賞・翻訳作品賞を受賞! 吃音の少年を救った、父からの言葉とは? 絵本『ぼくは川のように話す』

2度のケイト・グリーナウェイ賞に輝くなど、世界の注目を集めるカナダの絵本作家シドニー・スミスが絵を手がけた話題の1冊です。

偕成社

株式会社偕成社(出版社 本社:東京都新宿区 代表取締役社長:今村正樹)が刊行した翻訳絵本『ぼくは川のように話す』(ジョーダン・スコット 文/シドニー・スミス 絵/原田 勝 訳、2021年7月刊)が、第69回産経児童出版文化賞の翻訳作品賞を受賞しました。


▶︎『ぼくは川のように話す』(ジョーダン・スコット 文/シドニー・スミス 絵/原田 勝 訳)小学校低学年から/26cm×24cm/42ページ
https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034253700

▶︎受賞ニュース記事(産経新聞サイト)
https://www.sankei.com/article/20220505-M3WDLI5YKRIZ3N6XT7H6EBH5GQ/
 
  • 産経児童出版文化賞とは?
昭和29年(1954年)の学校図書館法施行と共に、「次の世代をになう子どもたちに良い本を」の主旨で制定された賞。前年1年間に発行された児童書を対象に審査が行われる。

▶︎参照元:産経新聞イベントガイド・いべさん
https://www.eventsankei.jp/child_award/
 
  • 翻訳作品賞を受賞!『ぼくは川のように話す』が生まれた背景
第69回産経児童出版文化賞の翻訳作品賞を受賞した本作は、吃音をもつカナダの詩人、ジョーダン・スコットの実体験から生まれました。今、世界で最も注目されている絵本作家の1人、シドニー・スミスが絵を手がけています。

バイデン米大統領や故・田中角栄元首相も悩んだ吃音症は、幼少期には20人に1人が経験し、成人になっても100人に1人がその症状をもつと言われています。そのことが原因でからかいの対象になったり、コミュニケーションに不安を感じたりすることで、多くの子どもたちや大人が今も苦しんでいます。

そんな吃音のみならず、人と同じようにものごとが「なめらかに」できないことに悩む子どもたちを、「言葉と絵のイメージ」で救ってくれるのが、作者の実体験をもとに書かれた絵本『ぼくは川のように話す』です。


ジョーダン・スコット氏が初めて手がけた絵本でもある本作は、「障害をもつ体験を芸術的な表現としてあらわした児童書」に与えられる、シュナイダー・ファミリーブック賞(米国図書館協会:主催)を受賞しています。

<あらすじ>
主人公の、吃音に悩む男の子は、症状のひどいある日、憂鬱な気持ちのまま学校へ行き、放課後を迎えます。
すると、迎えに来た父親が、「うまくしゃべれない日もあるさ。どこかしずかなところへいこう」と少年を川へ誘い出しました。そして、川を眺めながら、男の子にこう声をかけたのです。

「ほら、川の水を見てみろ。あれが、おまえの話し方だ」
見ると、川は……あわだって、なみをうち、うずをまいて、くだけていた。
「おまえは、川のように話してるんだ」

<作者あとがきより>
川には河口があり、合流点があり、流れがあります。川というのは、永遠に、自分より大きなもの、広い場所をめざして、気負わず、たゆまず流れていきます。ところが、川は流れていく途中でどもることがあり、それはぼくも同じなのです。 (中略)

父が川を指さしたとき、ぼくはそこに、自分にしかわからない恐ろしいものを、言葉にするためのイメージや表現があることを知りました。こうして、父が吃音を自然の中の動きにたとえてくれたおかげで、ぼくは自分の口が勝手に動くのを感じるのが楽しくなりました。(中略)

ぼくはときおり、なんの心配もなくしゃべりたい、「上品な」、「流暢な」と言えるような、なめらかな話し方であればいいのに、と思います。でも、そうなったら、それはぼくではありません。
ぼくは、川のように話すのです。

 

▲絵本の中の重要な場面のひとつ、観音開きになるページ。
 
  • 受賞発表時のコメント
今回の受賞に際し、作家の落合恵子さんからは、下記のような選評が寄せられました。

(前略)カナダの詩人を支えた父の言葉と、美しい川の光と影。本書が翻訳されるときはぜひにと手を挙げ続けた訳者、原田勝さんの訳もシドニー・スミスの繊細にしてダイナミックな絵も、詩人の言葉も豊かに心に響く。

▶︎受賞ニュース記事(産経新聞サイト)
https://www.sankei.com/article/20220505-M3WDLI5YKRIZ3N6XT7H6EBH5GQ/

発売以来、世代を問わず支持を集めてきた本作。今ふたたび注目が高まる中、ぜひ貴媒体でご紹介ください。
 
  • 書籍詳細
【著者紹介】
文:ジョーダン・スコット
1978年生まれ。カナダの詩人。2018年、これまでの業績に対してThe Latner Writers’ Trust Poetry Prizeを受賞。初めて絵本のテキストを手がけた『ぼくは川のように話す』により、シドニー・スミスとともに、障害をもつ体験を芸術的な表現としてあらわした児童書を対象に選ばれるシュナイダー・ファミリーブック賞を受賞。

絵:シドニー・スミス
1980年生まれ。カナダの画家。『おはなをあげる』(ジョナルノ・ローソン作)によりカナダ総督文学賞、『うみべのまちで』(ジョアン・シュウォーツ文)によりケイト・グリーナウェイ賞、初めての自作絵本『このまちのどこかに』によりケイト・グリーナウェイ賞、エズラ・ジャック・キーツ賞、カナダ総督文学賞を受賞。上記3作と本書『ぼくは川のように話す』はすべてニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞している。

訳:原田 勝
1957年生まれ。東京外国語大学卒業。長編の翻訳に『弟の戦争』『ハーレムの闘う本屋』『ペーパーボーイ』『コピーボーイ』『ヒトラーと暮らした少年』『夢見る人』、絵本の翻訳に『夜のあいだに』『セント・キルダの子』などがある。


【書籍詳細】
『ぼくは川のように話す』
文: ジョーダン・スコット
絵: シドニー・スミス    
訳: 原田 勝
定価1,760円(税込)
判型:26cm×24cm 
ページ数:42ページ
対象:小学校低学年から
初版:2021年7月
書籍詳細:https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034253700

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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区市谷砂土原町3-5
電話番号
03-3260-3221
代表者名
今村 正樹
上場
未上場
資本金
6500万円
設立
1936年11月