ダイソン国際エンジニアリングアワード2023、国際最優秀賞3作品が決定

ジェームズ ダイソン自身による選出、韓国、香港、ポーランドの作品が受賞

ダイソン株式会社

  • 国際最優秀賞は、韓国の「The Golden Capsule」が受賞。韓国の応募作品として初めて国際最優秀賞を受賞した、本作品は、被災地で使用するハンズフリーの静脈内投与(IV)装置。※上記写真左

  • サステナビリティ賞は、香港特別行政区の「E-COATING」が受賞。高い冷却効果によってエアコンの環境コストを低減する、サステナブルな外壁コーティング。※上記写真中央

  • 今年初めて設けられた特別人道賞(special humanitarian prize)は、ポーランドの「The Life Chariot」が受賞。この汎用牽引用オフロードトレーラー救急車は、ウクライナの医療従事者によって使用されている。 ※上記写真右

国際的なデザインエンジニアリング賞、ジェームズ ダイソン アワード(https://www.jamesdysonaward.org/ja-JP/)は、国際最優秀賞、サステナビリティ賞、特別人道賞の3つの国際賞の受賞者を発表しました。ジェームズ ダイソンによって選ばれた各受賞者には、発明を次なる段階へと展開するサポートととして3万ポンド(約477万円*)贈られます。

*参考金額:1ポンド=159円  発表時の為替相場に応じて換算


本アワードに関し、ジェームズ ダイソンは次のように述べています。「この若き発明家たちは、私たちが直面する問題について傍観するのではなく、自らが取り組み、テクノロジーとデザインを通じて解決しようとしています。世界を良くしようとする情熱と決意に、大きな感銘を受けます。今回の受賞が成功への足がかりになることを願っています」。 


  • 国際最優秀賞 「The Golden Capsule」 – 発明者: Yujin Chae、Daeyeon Kim、Yeonghwan Shin、Yuan Bai (韓国)

2023年2月のトルコ・シリア地震では5万5,000人以上が亡くなり、10万人が負傷しました。*¹ 救助の過程で、医療従事者は、患者のためにいくつもの点滴パックを手で運びながら、厳しい環境下を移動する必要がありました。


この問題を解決すべく、韓国ソウル弘益大学の学生チームは、重力ではなく弾性力と気圧差を利用する非電動のハンズフリー静脈内投与装置「The Golden Capsule」を設計。被災地の医療従事者が、患者を搬送する際、点滴パックを持ち上げる必要はなくなり、点滴速度の制御に電気が不要になります。


「The Golden Capsule」についてダイソンの創業者兼チーフエンジニア、 ジェームズ ダイソンは次のように述べています。「チームは、被災地における重力と電気に依存する既存の静注方法の限界を明らかにしました。『The Golden Capsule』は、加圧ブラダーを使用した、より実用的なハンズフリーのソリューションです。例えば患者の側面に固定するなど、どこにでも配置できます。ゆっくりと収縮し、患者に点滴が注入できるため、その間医療従事者は他の救命作業に取り組めます」 。


チームは今後も医療専門家と協力して試作品の改良とユーザーテストを継続して行い、様々な緊急事態、病院等において「The Golden Capsule」の機能を保証できるように取り組む予定です。将来的には量産も予定されています。


弘益大学の学生チームは次のように述べています。「自然災害の現場で医療従事者やファーストレスポンダーが点滴中の患者を搬送する際に直面する困難を目の当たりにしました。私たちのソリューションに対する現在までのフィードバックは肯定的です。最終的には緊急時だけでなく一般的な病院でも、本発明を点滴パックの新標準として確立したいと考えています」。


https://www.redcross.org.uk/stories/disasters-and-emergencies/world/turkey-syria-earthquake


  • サステナビリティ賞 「E-COATING」 – 発明者: Hoi Fung Ronaldo Chan、Can Jovial Xiao (香港特別行政区)

香港特別行政区では、エアコンが総電力消費量の約3分の1(31%)を占めています。*² さらに、毎日47万本超のガラス瓶が廃棄物として埋められています。*³

「E-COATING」は、1つで2つの問題を解決する環境に優しいソリューションです。廃ガラスを再生して作られた本作品を屋根や外壁に塗ることで、太陽光を反射し建物の熱吸収を抑えられます。こうしてエアコンなどの冷却ソリューションによる電力消費量を削減し、関連する温室効果ガスの排出を緩和できます。本受賞により、「E-COATING」の付着性と塗りやすさを高めるようとするチームの計画が後押しされるでしょう。屋内用の新たな「E-COATING」の製法も研究される予定です。


E-CORTINGに関して、ダイソン創業者兼チーフエンジニア、ジェームズ ダイソンは次のように述べています。「RonaldoとJovialは、廃棄物をはるかに価値のあるものへと変える巧みなアイデアを思いつきました。『E-COATING』では、再生ガラスを使って外壁に塗るコーティングを作り出します。これによって太陽光を反射し、建物の冷却に必要な電力をかなりの割合で節約できます。環境に優しく、しかも費用削減にもつながる、二重に優れたソリューションです」 


ジェームズ ダイソンとの会話の後、RonaldoとJovialは次のように述べています。「地球が直面する深刻な環境問題の解決に役立ちたいと願い、『E-COATING』を発明しました。本受賞により、研究開発の目標をさらに進め、会社を立ち上げ、この発明を次のレベルに引き上げることができます」。


*² 機電工程署(Electrical and Mechanical Services Department、EMSD)(2022年)。2022年香港エネルギー最終使用データ(Hong Kong Energy End-use Data 2022)。

http://gmc.baguio.com.hk/glass-bottle-recycling-service/?lang=en


  • 特別人道賞 (special humanitarian prize) 「The Life Chariot」– 発明者 Piotr Tłuszcz(ポーランド)

若き発明家Piotrは、ウクライナ紛争の状況を目にし、厳しい地形を横断して医療救助を行うことの難しさに気付きました。そこからインスピレーションを得た彼は、あらゆるフックを備える車両に取り付けられる医療後送オフロード救急車、「The Life Chariot」を設計しました。低重量とサスペンションのおかげで、車両の荷室よりも安全に負傷者を運べます。


Piotrがトレーラーのデザインに興味を持ったきっかけは、家族とともにバルカン半島やピレネー山脈をオフロードで旅した経験でした。それから10年間を費やし、学士課程と修士課程でオフロードトレーラーや洞窟救助トレーラーを設計したで、本作品「The Life Chariot」を開発したのです。ストレッチャーに乗せた負傷者1人のためのスペースと医療従事者または軽傷者用のシートをさらに2つ追加することで、レスキューチームの救助能力を高めています。最初の車両2台の提供先となったのは、ウクライナの軍事医療部隊とダミアン・ドゥダ「W Międzyczasie」財団によるポーランドの志願医療部隊であり、山道、森、洞窟、鉱山などの地形でテストが行われています。


「The Life Chariot」についてダイソンの創業者兼チーフエンジニア、ジェームズ ダイソンは次のように述べています。「今年のジェームズ ダイソン アワードは、厳しい地形から負傷者を救出する独創的な方法を考案したPiotrに対して、特別人道賞を授与します。『The Life Chariot』はあらゆる車両で牽引できるため、医療従事者は手元にあるリソースで救命活動を行えます。現場で使用している人たちからのフィードバックを受け、反復的な設計プロセスが継続しているのも素晴らしい点です」 。


Piotrは最前線で働く医療従事者からのフィードバックに基づき「The Life Chariot」の改良を続けています。山岳救助用の車両改造にも取り組んでいます。


2023年ジェームズ ダイソン アワードの受賞について、Piotrは次のように述べています。「最前線からの医療後送でも、アクセスの悪い場所における事故の救助でも、ジェームズ ダイソン アワードのサポートを受けた『The Life Chariot』が、これからも命を救い続けることを願います」。


  • 参考資料

ジェームズ ダイソン財団https://www.jamesdysonfoundation.co.uk/news/the-science-of-sound.html)は2002年に設立された国際的慈善団体です。熱意あるエンジニアたちを2002年に設立されたジェームズ ダイソン財団は、意欲的なエンジニアの育成、エンジニアリング教育の支援、医療研究への投資を行う国際的な慈善団体です。財団は毎年、国際エンジニアリングアワード、ジェームズ ダイソンアワードhttps://www.jamesdysonaward.org/ja-JP/)を主催し、エンジニアリングやデザインを学ぶ学生や卒業生にアイデアを発表する機会を与えています。2005年に始まったこのアワードは、これまでに世界で400以上の発明を支援し、受賞者には製品化をサポートするための賞金が贈られます。


  • これまでの国際賞受賞作品

・2022年国際最優秀賞 – SMARTHEAL

https://www.jamesdysonaward.org/en-US/2022/project/smartheal/

pHレベルを測定して傷の治り具合を示す、包帯用スマートセンサー。

・2022年サステナビリティ賞 – Polyformer

https://www.jamesdysonaward.org/2022/project/polyformer-plastic-bottles-to-filament-in-rwanda/

ペットボトルを新興国向けの安価な3Dプリンター用フィラメントに再生する装置。

・2021年国際最優秀賞 – HOPES

https://www.dyson.com.sg/newsroom/jda-hopes

「Home Eye Pressure E‐skin Sensor(HOPES)」は無痛で低コストの、自宅で眼圧(IOP)検査を行えるウェアラブルバイオメディカル装置です。

・2021年サステナビリティ賞 – Plastic Scanner

https://www.jamesdysonaward.org/2021/project/plastic-scanner/

「Plastic Scanner」は、プラスチックにかざすと材料を教えてくれる携帯型デバイスです。プラスチックの75%以上を分類できる近赤外線分光法を用いています。

・2020年国際最優秀賞 – The Blue Box

https://www.dyson.co.uk/newsroom/overview/features/november-2020/interview-the-blue-box-jda-2020

「The Blue Box」は、自宅で尿サンプルを使って乳がんを検出する新たな方法です。

・2020年サステナビリティ賞 – AuREUS

https://www.dyson.co.uk/newsroom/overview/features/november-2020/interview-aureus-system-technology-jda-2020

 「AuREUS」は、紫外線を再生可能エネルギーに変換する、廃棄農作物から作られた新素材です。サステナビリティ賞は2020年に新設されました。

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会社概要

ダイソン株式会社

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URL
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業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区麹町1-12-1
電話番号
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代表者名
ピーター・スミス
上場
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資本金
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設立
1998年05月