3Dのソムリエ!?“ステレオグラファー”に聞いた、3D映像制作のヒミツ ~3D映像制作の第一人者、ソニーPCLを訪ねて~
数年前までは、「3D」と言えば大きなイベントや特別な施設で楽しむ技術でしたが、2010年に入り、映画・テレビ・デジタルカメラなど私たちの日常の中で「3D」の文化が急速に広まり、現在ではブームから一つのカテゴリーとして成長をしています。
こうした環境の中、最近では「3D映像の見え方・しくみ」の解説を見かけることが多くなりましたが、3D映像の“制作手法”については、あまり多くは語られてきていません。3D映像を撮影・監修可能な機関は限られており、その撮影の裏側は秘密のベールに包まれているのです。今回〈ブラビア〉を発売しているソニーのグループ会社で、3D映像を撮影・監修し続けて20年以上の歴史を持つ「ソニーPCL」に協力いただき、3D撮影の裏側を徹底解明します。
こうした環境の中、最近では「3D映像の見え方・しくみ」の解説を見かけることが多くなりましたが、3D映像の“制作手法”については、あまり多くは語られてきていません。3D映像を撮影・監修可能な機関は限られており、その撮影の裏側は秘密のベールに包まれているのです。今回〈ブラビア〉を発売しているソニーのグループ会社で、3D映像を撮影・監修し続けて20年以上の歴史を持つ「ソニーPCL」に協力いただき、3D撮影の裏側を徹底解明します。
【3D映像の達人! ステレオグラファーとは !?】
「ステレオグラファー」 : 撮影現場で3D映像をチェックし、立体感や奥行き感などを監視・調整
「ステレオグラファー」は、3D映像の画質を確認し、それが3Dとして見易い映像であるかなどを最終的に監視・調整します。3D映像はカメラ2台で撮影すれば、それだけで完成するほど単純ではありません。被写体までの距離やそれに対する2台のカメラの間隔や角度など様々な要素を考えることで、映像酔いを抑えた、見ていて自然な3D映像が完成するのです。
迫力や臨場感ある3D映像の制作には、上記を行う「ステレオグラファー」の存在が不可欠。ステレオグラファーは言わば3D映像のソムリエです。3D映像が見易いものになるかどうかはステレオグラファーにかかっているとも言えます。
今回は、日本では数少ない「ステレオグラファー」の一人、ソニーPCL株式会社の金谷俊作氏にお話しを伺いました。
■ステレオグラファーになったきっかけは何ですか?
以前から3D映像の撮影に携わってきた経験もあり、自然とステレオグラファーと呼ばれるような立場になっていたというのが、正直なところです。世の中の3D映像への関心が高まるにつれ、3Dで撮影したいという依頼が増え、それに応えるためには、自らが最新の3D技術を取り込み、現場で実践していかなければなりません。そういった意味で、自然の流れだったのではないかと思っています。
■ステレオグラファーの具体的な作業の流れを教えて下さい。
撮影時の大まかな流れは、①プランニング、②機材の選定設置、③撮影の3段階です。ステレオグラファーとして一番大切なのは、最初のプランニングです。
撮影する対象は、音楽ライブやスポーツ、演劇など様々ですが、撮影イメージを正確に描かないと、実際の撮影も上手く進みません。従来の2D撮影と異なり、3D撮影では画角に加えて被写体の位置=奥行き感まで考える必要があります。これにより、使用する機材構成や撮影ポジションはもとより、3Dカメラのレンズ間距離や輻輳角と呼ばれる3Dならではのパラメータを決めていきます。
撮影時には、コントロールセンターからリモートでレンズ間距離や輻輳角の調整などを担当します。また、編集に立ち会うこともあり、3D映像として、より見やすく、立体・奥行き効果を高めたりなどのアドバイスを行います。その際には、やはりソニーのグループ会社ですから、3D対応〈ブラビア〉などで映像を確認しています。
■ 3D映像の調整で一番難しいところはどんな部分ですか?
撮影は当然として、3D作品としての仕上げ作業も苦労する点です。1つの作品は、映像が何カットもつながって構成されています。と言う事は、3Dではそれぞれの奥行き感や飛び出し感も上手くつなげてあげなければいけません。これが上手くできないと、見ている人が大変疲れてしまいます。作品としての流れを汲みながら、3D映像としても上手くつなげなければならないという点は、いつも苦労するところです。
■ステレオグラファー金谷氏 プロフィール
金谷俊作。ソニーPCL株式会社 デジタルプロダクション事業部 ビジュアルソリューション部。1990年4月にソニーPCLに入社、当初はビデオエンジニアとして企業VPやソニー関連のコンテンツ制作等に携わる。3Dに関しては、1994年ごろからコンサートやイベント施設用の映像制作などで携っている。以後、FIFA World Cup Korea/Japanのメガビジョン高速伝送実験や愛・地球博用映像などの特殊な映像制作からCM、映画、3Dなど様々なコンテンツの撮影制作を担当。
【3D映像制作の第一人者 「ソニーPCL」を直撃】
「ソニーPCL」 : 20年以上も前から、3Dコンテンツを制作している“3D映像制作の老舗”!
「ソニーPCL」は、ソニーの関連会社として、20年以上も前より3Dコンテンツを制作しており、1985年開催のつくば万博の3D映像の制作にも携わっていました。これまでに制作に携わった3Dコンテンツは50作品以上です。記憶に新しい、2010 FIFAワールドカップの埼玉アリーナでのパブリックパブリックビューイングなどにも関わり、3D制作の第一線で活躍しています。今回は「ソニーPCL」に3Dに関する疑問や今後の3Dに対する期待などのお話を伺ってきました。
■3D映像は2D映像と比較してどのくらい編集時間がかかりますか?
作業量は内容次第ですが、例えば視差調整などをたくさん行うと当然時間が必要となってくるので、2D編集時より、5倍ほど時間がかかる場合もあります。
■カメラを2台使って撮影したら、誰でも簡単に3D映像が制作できますか?
3D映像っぽくはなるでしょう。しかし、立体感・奥行き感の調整が上手くいかない時には、非常に見づらい3D映像になってしまいます。このノウハウを持っているのが「ステレオグラファー」です。
■3Dでミクロの世界も撮影できますか?
特殊な機材が必要ですが可能です。「3D Sony Aquarium」では顕微鏡を使って、「クワガタ・ウォーク」では特殊なレンズをカメラに装着して撮影しました。
■「3D=立体」のイメージですが、最近は「奥行き」という表現も良く聞きます。「奥行き」を出すことも3Dなのでしょうか?
昔の3Dはよく飛び出していましたが、3Dはあくまでも擬似的な立体感なので、効果が強すぎると眼や頭が疲れてしまいます。そこで、最近は「飛び出し」よりも「奥行き」に力を入れています。奥行きの方向であれば、見ていて比較的疲れが少ないのに加え、現在はHD技術によって細やかな映像表現も可能なため、そこに3D技術を重ねることにより、これまで表現できなかったような映像の奥行き感を作っています。
■今後、3Dにしてみたい映像はありますか?
これまでも撮影は行っていますが、音楽のライブコンサートなどは今後も力を入れていきたいですね。撮影自体は大変ですが、華やかなステージでパフォーマンスするアーティストの姿は3D映像の魅力を十分伝えてくれると思います。コンサートは、会場で一緒になって楽しめる反面、アーティストの表情がなかなか肉眼では捉えきれません。3D映像では、それを画面いっぱいに見ることができ、会場では気がつかなかったステージや衣装のことなども見えてくると思います。
■今後の3Dの展開に関して一言お願いします。
映画やBDソフトに加え、一部では放送も行われるなど様々な分野で3Dが広がっています。まだ3D映像をご覧になったことがない方は、ぜひ一度店頭や映画館でご体験下さい。
【長年、3D映像制作に取り組んできたソニーグループから発売中の3D〈ブラビア〉。3D Readyモデルも好調!】
■ LX900シリーズ(3D内蔵モデル)~今すぐ3D映像を家庭で楽しみにたい人に!~
商品名:〈ブラビア〉LX900シリーズ
展開色:ブラック
サイズ:40V型、46V型、52V型、60V型
価格:オープン価格
■ HX900、HX800シリーズ(3D対応モデル)~見たいコンテンツが3Dになったら、自宅のテレビで3Dを見たい~
商品名:HX900シリーズ
展開色:ブラック
サイズ:52V型、46V型
価格:オープン価格
商品名:HX800シリーズ
展開色:ブラック
サイズ:46V型、40V型
価格:オープン価格
※上記2機種は3D映像を見るためには、別売の「3Dシンクロトランスミッター」と「3Dメガネ」が必要です。
「ステレオグラファー」 : 撮影現場で3D映像をチェックし、立体感や奥行き感などを監視・調整
「ステレオグラファー」は、3D映像の画質を確認し、それが3Dとして見易い映像であるかなどを最終的に監視・調整します。3D映像はカメラ2台で撮影すれば、それだけで完成するほど単純ではありません。被写体までの距離やそれに対する2台のカメラの間隔や角度など様々な要素を考えることで、映像酔いを抑えた、見ていて自然な3D映像が完成するのです。
迫力や臨場感ある3D映像の制作には、上記を行う「ステレオグラファー」の存在が不可欠。ステレオグラファーは言わば3D映像のソムリエです。3D映像が見易いものになるかどうかはステレオグラファーにかかっているとも言えます。
今回は、日本では数少ない「ステレオグラファー」の一人、ソニーPCL株式会社の金谷俊作氏にお話しを伺いました。
■ステレオグラファーになったきっかけは何ですか?
以前から3D映像の撮影に携わってきた経験もあり、自然とステレオグラファーと呼ばれるような立場になっていたというのが、正直なところです。世の中の3D映像への関心が高まるにつれ、3Dで撮影したいという依頼が増え、それに応えるためには、自らが最新の3D技術を取り込み、現場で実践していかなければなりません。そういった意味で、自然の流れだったのではないかと思っています。
■ステレオグラファーの具体的な作業の流れを教えて下さい。
撮影時の大まかな流れは、①プランニング、②機材の選定設置、③撮影の3段階です。ステレオグラファーとして一番大切なのは、最初のプランニングです。
撮影する対象は、音楽ライブやスポーツ、演劇など様々ですが、撮影イメージを正確に描かないと、実際の撮影も上手く進みません。従来の2D撮影と異なり、3D撮影では画角に加えて被写体の位置=奥行き感まで考える必要があります。これにより、使用する機材構成や撮影ポジションはもとより、3Dカメラのレンズ間距離や輻輳角と呼ばれる3Dならではのパラメータを決めていきます。
撮影時には、コントロールセンターからリモートでレンズ間距離や輻輳角の調整などを担当します。また、編集に立ち会うこともあり、3D映像として、より見やすく、立体・奥行き効果を高めたりなどのアドバイスを行います。その際には、やはりソニーのグループ会社ですから、3D対応〈ブラビア〉などで映像を確認しています。
■ 3D映像の調整で一番難しいところはどんな部分ですか?
撮影は当然として、3D作品としての仕上げ作業も苦労する点です。1つの作品は、映像が何カットもつながって構成されています。と言う事は、3Dではそれぞれの奥行き感や飛び出し感も上手くつなげてあげなければいけません。これが上手くできないと、見ている人が大変疲れてしまいます。作品としての流れを汲みながら、3D映像としても上手くつなげなければならないという点は、いつも苦労するところです。
■ステレオグラファー金谷氏 プロフィール
金谷俊作。ソニーPCL株式会社 デジタルプロダクション事業部 ビジュアルソリューション部。1990年4月にソニーPCLに入社、当初はビデオエンジニアとして企業VPやソニー関連のコンテンツ制作等に携わる。3Dに関しては、1994年ごろからコンサートやイベント施設用の映像制作などで携っている。以後、FIFA World Cup Korea/Japanのメガビジョン高速伝送実験や愛・地球博用映像などの特殊な映像制作からCM、映画、3Dなど様々なコンテンツの撮影制作を担当。
【3D映像制作の第一人者 「ソニーPCL」を直撃】
「ソニーPCL」 : 20年以上も前から、3Dコンテンツを制作している“3D映像制作の老舗”!
「ソニーPCL」は、ソニーの関連会社として、20年以上も前より3Dコンテンツを制作しており、1985年開催のつくば万博の3D映像の制作にも携わっていました。これまでに制作に携わった3Dコンテンツは50作品以上です。記憶に新しい、2010 FIFAワールドカップの埼玉アリーナでのパブリックパブリックビューイングなどにも関わり、3D制作の第一線で活躍しています。今回は「ソニーPCL」に3Dに関する疑問や今後の3Dに対する期待などのお話を伺ってきました。
■3D映像は2D映像と比較してどのくらい編集時間がかかりますか?
作業量は内容次第ですが、例えば視差調整などをたくさん行うと当然時間が必要となってくるので、2D編集時より、5倍ほど時間がかかる場合もあります。
■カメラを2台使って撮影したら、誰でも簡単に3D映像が制作できますか?
3D映像っぽくはなるでしょう。しかし、立体感・奥行き感の調整が上手くいかない時には、非常に見づらい3D映像になってしまいます。このノウハウを持っているのが「ステレオグラファー」です。
■3Dでミクロの世界も撮影できますか?
特殊な機材が必要ですが可能です。「3D Sony Aquarium」では顕微鏡を使って、「クワガタ・ウォーク」では特殊なレンズをカメラに装着して撮影しました。
■「3D=立体」のイメージですが、最近は「奥行き」という表現も良く聞きます。「奥行き」を出すことも3Dなのでしょうか?
昔の3Dはよく飛び出していましたが、3Dはあくまでも擬似的な立体感なので、効果が強すぎると眼や頭が疲れてしまいます。そこで、最近は「飛び出し」よりも「奥行き」に力を入れています。奥行きの方向であれば、見ていて比較的疲れが少ないのに加え、現在はHD技術によって細やかな映像表現も可能なため、そこに3D技術を重ねることにより、これまで表現できなかったような映像の奥行き感を作っています。
■今後、3Dにしてみたい映像はありますか?
これまでも撮影は行っていますが、音楽のライブコンサートなどは今後も力を入れていきたいですね。撮影自体は大変ですが、華やかなステージでパフォーマンスするアーティストの姿は3D映像の魅力を十分伝えてくれると思います。コンサートは、会場で一緒になって楽しめる反面、アーティストの表情がなかなか肉眼では捉えきれません。3D映像では、それを画面いっぱいに見ることができ、会場では気がつかなかったステージや衣装のことなども見えてくると思います。
■今後の3Dの展開に関して一言お願いします。
映画やBDソフトに加え、一部では放送も行われるなど様々な分野で3Dが広がっています。まだ3D映像をご覧になったことがない方は、ぜひ一度店頭や映画館でご体験下さい。
【長年、3D映像制作に取り組んできたソニーグループから発売中の3D〈ブラビア〉。3D Readyモデルも好調!】
■ LX900シリーズ(3D内蔵モデル)~今すぐ3D映像を家庭で楽しみにたい人に!~
商品名:〈ブラビア〉LX900シリーズ
展開色:ブラック
サイズ:40V型、46V型、52V型、60V型
価格:オープン価格
■ HX900、HX800シリーズ(3D対応モデル)~見たいコンテンツが3Dになったら、自宅のテレビで3Dを見たい~
商品名:HX900シリーズ
展開色:ブラック
サイズ:52V型、46V型
価格:オープン価格
商品名:HX800シリーズ
展開色:ブラック
サイズ:46V型、40V型
価格:オープン価格
※上記2機種は3D映像を見るためには、別売の「3Dシンクロトランスミッター」と「3Dメガネ」が必要です。
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