世界初“発光層塗布型”有機EL照明モジュールのサンプル出荷を開始
~発光層を塗布プロセスで成膜することにより、製造コストを大幅に低減~
三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:石塚 博昭、以下「三菱化学」)とパイオニア株式会社(本社:神奈川県川崎市、社長:小谷 進、以下「パイオニア」)は、発光層を独自の塗布プロセスで成膜することにより製造コストを大幅に低減した、世界初の“発光層塗布型”有機EL照明モジュール(白単色型)のサンプル出荷を、2013年9月末より開始します。
有機EL照明は、面発光で薄型・軽量である上、形状に制約がなく透明にできるなど、既存の照明にない特徴を数多く有しており、次世代の照明として注目されています。三菱化学とパイオニアは、2011年7月に、発光層を蒸着プロセスで成膜した世界初の“カラー調色・調光型”有機EL照明パネル・モジュールの量産を始め、2013年6月には両社の出資によりMCパイオニアOLEDライティング株式会社(本社:東京都新宿区、社長:室山 敏)を設立し、店舗照明や美容・医療用照明器具などさまざまな用途向けに有機EL照明パネル・モジュールを提案・販売してきました。
このたびサンプル出荷を開始する “発光層塗布型”有機EL照明モジュール(白単色型)は、三菱化学が独自に開発した塗布材料を使用し、三菱化学とパイオニアの両社で開発を進めてきたデバイス・パネル製造技術を用いた製品です。 発光層蒸着型の従来品に比べ、製造コストを5分の1から10分の1程度へと大幅に低減するとともに、寿命については本格量産開始時に約4倍の長寿命(30,000時間:輝度 2,000 cd/m2時、LT70)を達成する予定です。
こうした低コスト・長寿命の実現により、これまでの店舗照明や美容・医療用照明器具に加え、オフィスや車載照明といった幅広いシーン・用途への有機EL照明の応用が可能になると期待しています。また、他社に無い“カラー調色・調光型”の従来品(発光層蒸着型)と組み合わせることにより、今までに無い、新しい照明空間の創出が可能となります。
三菱化学とパイオニアは、MCパイオニアOLEDライティング株式会社を通して“発光層塗布型”有機EL照明ならではのメリットを活かした用途提案を積極的に行い、早期に市場を開拓するとともに、2014年1~3月を目処に“発光層塗布型”有機EL照明モジュールの量産出荷を開始し、有機EL照明ビジネスを本格的に展開します。
【「蒸着成膜プロセス」と「塗布成膜プロセス」の違い】
「蒸着成膜プロセス」は、真空装置内で原料を加熱して蒸発させ、ガス状になった原料を基板上に堆積させる成膜方法です。清浄環境下で成膜できる一方、原料の利用効率が悪く、また、技術的・コスト的に真空装置の大型化が困難なため、基板の大型化が難しいと言われています。
「塗布成膜プロセス」は、原料を溶かし込んだ溶液を塗布して、原料を基板上に堆積させる成膜方法です。原料の利用効率がよく、また、真空状態を必要としないため、製造装置の大型化が比較的容易です。そのため、環境や溶液中の不純物を適正に制御できれば、基板の大型化に適していると言われています。
【“発光層塗布型”有機EL照明モジュール(白単色型)製品予定性能表】
種別: 回路一体型(定電流回路内蔵)
最大輝度(cd/㎡) *1: 3000/2000
色温度(K) *2 :2700
輝度寿命(h) LT70 *3: 15000/30000
サイズ(mm): 外形 92.4 × 92.4 発光部: ≧76.2 × 76.2
重量(g) :41
*1…輝度:発光体の単位面積あたりの明るさ。単位はカンデラ毎平方メートル(cd/m2)。
*2…色温度:光の色を定量的な数値で表現する尺度で、単位は熱力学的温度のK(ケルビン)。
*3…LT70:輝度が最大輝度の70%に達するまでの時間。
*数値は参考値であり性能を保証するものではありません
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