【文化財×デジタル】スマホを活用した文化財のアーカイブ化の実践 完成間近!【島根県立大学】
地域に眠る文化財のウェブ上での可視化とその活用を考える - 芋代官頌徳碑533基を対象として -
「芋代官」として親しまれる石見銀山領の代官・井戸平左衛門(1672~1733)。江戸時代にサツマイモを普及させて領民を飢饉から救ったことがこの名前の由来となっています。その功績をたたえて建立された頌徳碑(しょうとくひ)は、島根県を中心に533基の存在が確認されており、昨年には詳しい位置情報も記載された『いも代官頌徳碑 533基 全覧』が大田市文化協会より発刊されました。
同協会は2024年6月22日(土)から7月21日(日)までの約1か月、533基全てを撮影した写真展をいわみ文化振興センター(浜田市)で開催しており、島根県立大学地域政策学部地域づくりコースの学生たちもその展示準備に協力しました。
また、この展示会には同コースの伊藤研究室が文化財保全活動の一つとしてゼミ生と実践中の、『いも代官頌徳碑 533基 全覧』をもとに作成した島根県内全ての頌徳碑の位置情報を記載したマップや、Scaniverseと呼ばれるスマートフォン用アプリを使って作成した頌徳碑の3Dモデル(平面画像を元にした立体データ)の画像と、それらを3Dプリンターで印刷した模型も複数展示されています。
場所によっては今まで守られてきた文化財が、高齢化や過疎化によってその保全が困難になりつつあるものも存在しており、そのような文化財をデジタル化して記録し、広く目にとまるような形として公開することで、それらがいつか誰かの関心を引き、地域資源としての活用につながり、新しい歴史的発見に役立つ可能性もあります。
同研究室では現在、全533基のうち529基について3Dモデル化が完了しており、残る頌徳碑は益田市の高島などを含む4箇所のみとなっています。今後は作成した全ての3Dモデルをデジタルアーカイブとしてウェブ上で閲覧できるようにする方向で活動を進めているほか、地域住民が近隣の文化財を自分たちの手で残すことを実現するための、3Dモデルの作成・共有の仕組みづくりも検討しています。
なお、この活動は令和5年度浜田キャンパス市民研究員共同研究助成金事業に採択され、市民研究員の斎藤めぐみさんにご協力いただきました。
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