2021年12月7日 ロレアル財団・ユネスコ共催 For Women In Science Festival:科学分野における女性のためのフェスティバル開催
パリを拠点とするロレアル財団は、現地時間11月29日、来る12月7日(火)午後4時~6時15分に、科学分野における女性の祭典「For Women In Science Festival(以下FWISフェスティバル)」を開催する旨を発表しました。
新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、科学分野を含め、あらゆる場所で女性の権利に関する重要な課題が顕在化されました。またパンデミックとそれに伴うロックダウンは、科学システムにおける既存の格差を露呈し、ジェンダーギャップを拡大させました。
いくつかの研究によると、パンデミックの影響を受けた女性科学者、特に幼い子どもを持ち、キャリアの浅い女性科学者は、影響を受けた度合いが相対的に高くなっています[i]。
また、女性研究者は、新型コロナウイルスとの闘いの最前線で、ウイルスに関する知識の向上から患者の治療、ワクチンの開発に至るまで、世界中で極めて重要な役割を果たしているにもかかわらず、意思決定やリーダーシップ、メディアからは見えない存在となっています。
今こそ、女性科学者の声に耳を傾け、耳を傾けるべき時なのです。
そこで、ロレアル財団とユネスコは、12月7日に「FWISフェスティバル」という初のイベントを開催し、女性の科学的卓越性を称え、世界をリードする最も刺激的な女性研究者たちに光を当てます。
世界各国から集まった40名のスピーカーが、講演や個別インタビュー、パネルディスカッションを通じて、自身のキャリアや仕事について語ります。合計40本のオリジナル動画は、2021年12月7日にオンラインでグローバルに公開されます。
2021年12月7日 科学分野における女性を称える終日イベントを開催
新型コロナウイルス感染症蔓延の中、FWISフェスティバルでは、下記2つの重要な課題に焦点を当てて議論します。
■ グローバルヘルスケアの推進:医学研究の新しいアジェンダを定義し、大きな衝撃に耐え、すべての人にケアを提供できる新しい医療システムを設計する上での女性科学者の役割
■ デジタル革命の影響:感染拡大の危機によって加速され、日常生活のあらゆる分野に強い影響を与えているデジタル革命。このような状況の中で、女性の科学者、エンジニア、技術者が新しい科学技術の世界(人工知能、ロボット工学、材料科学、エネルギー貯蔵など)に十分に貢献するためにはどうすればよいか。また、これらの画期的な技術が、偏見や差別を越えてすべての人のために機能の模索
本フェスティバルでは、女性科学者のキャリアを妨げているものは何か、また包摂的な進歩のために科学を妨げている偏見や体系的な不平等を克服するにはどうしたらよいかについても議論します。
地域別に構成されたプログラム
「FWISフェスティバル」のプログラムは、地域別に構成されています。STEM分野の女性研究者のグローバル・コミュニティに声を届け、異なるタイムゾーンの視聴者が、それぞれ特有のコンテンツを視聴可能となっています。
(以下日本時間、それぞれ2時間のプログラムを予定)
■ 午後4時~6時15分:アジア太平洋地域
■ 午後6時30分~9時25分;アフリカ・アラブ諸国地域
■ 午後9時45分~午前0時10分(12月8日):ヨーロッパ地域
■ 午前1時30分~4時(12月8日):北米地域
■ 午前4時15分~6時35分(12月8日):中南米地域
フェスティバルはいつでもデジタル・プラットフォームevents.forwomeninscience.comで視聴可能
12月7日(火)には、5つの地域別セッションを events.forwomeninscience.com で展開します。英語と各国語の字幕(アジア・太平洋地域は中国語と日本語、アフリカ・アラブ諸国はアラビア語、ヨーロッパはフランス語、中南米はスペイン語とポルトガル語)で放映します。全40コンテンツは、同日から全世界で無料配信されるオンデマンドイベントとして提供されます。
また、視聴者が、ソーシャルメディアで動画をシェア、ウェブサイト上でお気に入りのコンテンツに投票することができる参加型イベントとなっています。デジタル・プラットフォーム( https://events.forwomeninscience.com/#/home )では、イベントに先立ち、以下の情報を展開しています。
■ 40名のスピーカーとその講演内容の詳細
■ 5つの地域セッションの具体的なプログラム
■ イベント前日のリマインダーメールの受信登録や、12月7日のカレンダー招待状のダウンロードも可能、
プラットフォームに簡単にアクセスできるリンクを提供
科学は女性を必要としているが、女性科学者は疎外されている
科学分野の最高レベルでは、依然として女性の割合が低い。
ユネスコがまとめた最新の科学に関する報告書によると、いくつかの進展があったにもかかわらず、世界の研究者の女性比率は33%に留まっています。この進歩はまだ遅く、重要な障壁が残っており、研究における「ガラスの天井」は依然として現実のものとなっています。女性が最高レベルの責任と評価を得ることはまだ稀です。
■ 2013年から2016年の間にヨーロッパで出願された特許の内、女性のみから出願されているのはわずか2.4%
■ 2019年、女性発明者の比率はわずか19%
■ 最先端の研究の1つである人工知能分野における女性研究者の割合は22%
■ 2021年の科学分野のノーベル賞に女性受賞者にはなし、1901年にノーベル賞が創設されて以来、
科学分野のノーベル賞受賞者に占める女性の割合は4%以下に留まる
このような状況は、体系的な障壁、無意識の偏見、自己検閲だけでなく、女性科学者のキャリアのあらゆる段階における根強い性差別の結果です。
これは女性だけの問題ではなく、研究全般の問題でもあります。
研究が適切なものであるためには、研究者は包摂的でなければならず、すべての才能を動員する必要があります。現在および未来の課題に立ち向かうためには、ジェンダー平等がソリューションに根付いていなければなりません。
これまでの経験から、研究チームに多様性が欠けていると、イノベーションが遅れてしまうことがわかっています。
例えば、顔認識技術が差別的であると指摘されたのは、ヘルスケアや法執行機関などの重要な業界で使用されている、性別や肌タイプで重み付けされた分類システムの精度を測定した研究がきっかけでした。 その研究結果は、男性の方が女性よりもはるかに高い精度を示しましたが、肌の色の違いによってその差はさらに開き、肌の色の濃い女性は誤認されることが多くなりました。誤判定率は、肌の色が明るい男性では1%と低いものの、肌の色が明るい女性では7%、肌の色が濃い女性では35%にも達しました。このような結果が出たため、この技術の普及は大幅に遅れています。
より包摂的な研究が大きなチャンスをもたらす
STEM教育におけるジェンダーギャップを解消することは、2050年までにEUの一人当たりのGDPを2.2~3.0%増加させることに貢献すると推定されています。
AI分野は急速に拡大しており、2015年から2017年にかけて、AIのスキルを持つ世界の労働者の数は190%増加しました。
また、多様なジェンダーにより構成される研究チームは、2年間で急進的な新しいイノベーションを市場に投入する可能性が高く、女性が主導する多くの企業は、歴史的に見ても男性のCEOを擁する企業よりも3倍の業績を上げています[ii]。
ロレアル-ユネスコ女性科学賞(L'Oréal-UNESCO For Women in Science)プログラム:長年のコミットメント
ロレアル財団とユネスコは、「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている」という信念に基づき、20年以上にわたり、科学分野における女性の活躍を促進し、その才能を広く知らしめ、次世代のキャリア構築を啓発することを目指しています。
毎年、ロレアル財団とユネスコは、世界の主要地域からそれぞれ5人の著名な女性研究者の科学的な卓越性を称え、世界各地で250人以上の若い女性科学者を支援しています。
1998年に「For Women in Science」プログラムが創設されて以来、110以上の国と地域で、122人の受賞者と3,800人以上の才能ある若い科学者、博士課程の学生、ポスドクを支援し、表彰してきました。
***
インタビュー対応が可能なイベント登壇者
今回のフェスティバルでは、著名な科学者による講演を通し、女性科学者とそのキャリア、そして画期的な研究を紹介します。
ASIA AND THE PACIFIC
アジア太平洋地域
■ TALK: “DREAMING BIG FOR SCIENCE COMMUNICATION IN ASIA”
講演タイトル「アジアにおけるサイエンス・コミュニケーションへの大いなる夢」
ジュリアナ・チャン博士 - ワイルドタイプ・メディア・グループのCEO、2011 ロレアル-ユネスコ女性科学賞ヤング・タレント・アワード受賞
ジュリアナ・チャン博士は、Asian Scientist Magazineの発行人であり、デジタル、ソーシャルメディア、ビデオ、印刷、カスタム出版、イベントなど、STEMおよびヘルスケア分野でアジアを代表するメディア企業であるWildtype Media GroupのCEOです。イギリスのケンブリッジ大学で自然科学の学士号と修士号を取得し、アメリカのマサチューセッツ工科大学で生物学の博士号を取得。2011ロレアル-ユネスコ女性科学賞ヤング・タレント・アワード受賞、2013年Singapore Youth Award、2014年MIT Technology Review's 10 Innovators Under 35 from Asia Pacificなど受賞。
チャン博士のドラッグデリバリーとナノメディシンに関する研究成果は、BBCやMITテクノロジーレビューで紹介されており、4件の特許の発明者であり、そのうちの1件はファイザー社から商品化のライセンスを受けています。チャン博士は、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーであり、そのプラットフォームを活用して、一般市民の科学的リテラシー、STEM分野における包摂性と多様性、そしてアジアの科学コミュニケーション産業を提唱しています。
■ ラウンドテーブル: 「未来に向けた偏見のないヘルスソリューション」
メイ・ヤン博士 - ハッピーライフテクノロジーズ グローバル・イノベイティブ・ヘルスケア・ソリューション担当副社長
また、本ラウンドテーブルには、米国在住の日本人開発経済学者の福田咲子(Sakiko Fukuda-Parr)博士も登壇します。
<その他地域の登壇者例>
アフリカ・中東地域
■ Nisreen Elsaim – Chair, UN Secretary General Youth Advisory Group on Climate Change
■ Dr. Ndoni Mcunu – Bilateral Engagement Lead, Climate Change, Adaptation Research Alliance (ARA) at SouthSouthNorth, Founder and CEO, Black Women in Science
ヨーロッパ地域
■ Prof. Françoise Combes – Professor, Galaxies and Cosmology Chair, Collège de France. Laureate of the 2021 L’Oréal-UNESCO For Women in Science International Award
■ Prof. Gina Rippon – Professor Emeritus of Cognitive Neuroimaging at the Aston Brain Centre, Aston University
■ Dr. Katalin Karikó – Biochemist and Senior Vice President
北米地域
■ Dr. Bonnie Prado Pino – Astrodynamics Engineer, LeoLabs Inc.
■ Africa Flores – SERVIR-Land Cover & Land Use Change Lead, NASA Applied Science
中南米・カリブ諸国地域
■ Prof. Susana Fiorentino – Research Director, Faculty of Sciences, Pontificia Universidad Javeriana. Entrepreneur, Main Shareholder, and Scientific Director of the DreemBio Spinoff
■ Dr. Denise Dresser – Writer, Political Scientist and Professor, Instituto Tecnológico Autónomo de México (ITAM).
***
ロレアル財団について
ロレアル財団は、科学研究とインクルーシブ・ビューティ、気候変動対策という3つの主要分野を中心に、女性が自らの未来を切り開き、社会に貢献できるよう支援し力を与えています。
1998年以来、L'Oréal-UNESCO For Women in Science プログラムは ( https://www.forwomeninscience.com/ )、より多くの女性科学者が進歩の障害を克服し、すべての人々の利益のために現代の大きな課題の解決に参加できるようにするために活動しています。23年間にわたり、110以上の国と地域から集まった3,900人以上の女性研究者を支援し、優れた科学者を表彰するとともに、若い世代の女性たちに科学の道を志すように奨励してきました。
ロレアル財団は、美しさが人生の再構築に貢献することを確信し、弱い立場の女性が無料の美容・健康トリートメントを通じて自尊心を高められるよう支援しています。また、恵まれない女性たちに美容の職業訓練を行い、雇用を確保しています。このプログラムの開始以来、毎年平均して約16,000人が無料のトリートメントを受け、18,000人以上が専門的な美容トレーニングに参加しています。
また、女性はジェンダーに基づく差別や不平等の影響を受けており、これは気候変動によって悪化しています。彼女たちは危機の最前線にいるにもかかわらず、気候変動に関する意思決定の場に十分に反映されていません。ロレアル財団の「女性と気候変動」プログラムは、特に、火急の気候変動に関する危機に対処するためのプロジェクトを展開する女性を支援し、ジェンダーに配慮した気候変動対策の重要性に対する認識を高めるものです。
ユネスコについて https://en.unesco.org/
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、諸国民の教育、科学及び文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の共通の 福祉の促進を目的とした国際 連合の専門機関です。本部はフランス・パリにあり、2021年10月現在の加盟国数は193カ国です。科学においては、技術、イノベーションや教育の発 展に注力しているほか、海洋資源や生物多様性の保全、科学的知識に基づく気候変動や自然災害への対応策に取り組んでいます。とりわけ研究におい て、あらゆる人種差別の撤廃と男女共同参画を推進しています。
[i]女性科学者は、男性科学者に比べて研究時間が5%減、また子どもが1人以上いる場合は、減少率が17%に達する。出典:ユネスコ「科学とエンジニアリング」https://en.unesco.org/news/covid-19-pandemic-disproportionately-affecting-women-science-and-engineering
[ii]Fortune 「Women-led companies perform three times better than the SP500」女性が主導する多くの企業は、男性のCEOを擁する企業よりも3倍の業績を上げる」https://fortune.com/2015/03/03/women-led-companies-perform-three-times-better-than-the-sp-500/
新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、科学分野を含め、あらゆる場所で女性の権利に関する重要な課題が顕在化されました。またパンデミックとそれに伴うロックダウンは、科学システムにおける既存の格差を露呈し、ジェンダーギャップを拡大させました。
いくつかの研究によると、パンデミックの影響を受けた女性科学者、特に幼い子どもを持ち、キャリアの浅い女性科学者は、影響を受けた度合いが相対的に高くなっています[i]。
また、女性研究者は、新型コロナウイルスとの闘いの最前線で、ウイルスに関する知識の向上から患者の治療、ワクチンの開発に至るまで、世界中で極めて重要な役割を果たしているにもかかわらず、意思決定やリーダーシップ、メディアからは見えない存在となっています。
今こそ、女性科学者の声に耳を傾け、耳を傾けるべき時なのです。
そこで、ロレアル財団とユネスコは、12月7日に「FWISフェスティバル」という初のイベントを開催し、女性の科学的卓越性を称え、世界をリードする最も刺激的な女性研究者たちに光を当てます。
世界各国から集まった40名のスピーカーが、講演や個別インタビュー、パネルディスカッションを通じて、自身のキャリアや仕事について語ります。合計40本のオリジナル動画は、2021年12月7日にオンラインでグローバルに公開されます。
2021年12月7日 科学分野における女性を称える終日イベントを開催
新型コロナウイルス感染症蔓延の中、FWISフェスティバルでは、下記2つの重要な課題に焦点を当てて議論します。
■ グローバルヘルスケアの推進:医学研究の新しいアジェンダを定義し、大きな衝撃に耐え、すべての人にケアを提供できる新しい医療システムを設計する上での女性科学者の役割
■ デジタル革命の影響:感染拡大の危機によって加速され、日常生活のあらゆる分野に強い影響を与えているデジタル革命。このような状況の中で、女性の科学者、エンジニア、技術者が新しい科学技術の世界(人工知能、ロボット工学、材料科学、エネルギー貯蔵など)に十分に貢献するためにはどうすればよいか。また、これらの画期的な技術が、偏見や差別を越えてすべての人のために機能の模索
本フェスティバルでは、女性科学者のキャリアを妨げているものは何か、また包摂的な進歩のために科学を妨げている偏見や体系的な不平等を克服するにはどうしたらよいかについても議論します。
地域別に構成されたプログラム
「FWISフェスティバル」のプログラムは、地域別に構成されています。STEM分野の女性研究者のグローバル・コミュニティに声を届け、異なるタイムゾーンの視聴者が、それぞれ特有のコンテンツを視聴可能となっています。
(以下日本時間、それぞれ2時間のプログラムを予定)
■ 午後4時~6時15分:アジア太平洋地域
■ 午後6時30分~9時25分;アフリカ・アラブ諸国地域
■ 午後9時45分~午前0時10分(12月8日):ヨーロッパ地域
■ 午前1時30分~4時(12月8日):北米地域
■ 午前4時15分~6時35分(12月8日):中南米地域
フェスティバルはいつでもデジタル・プラットフォームevents.forwomeninscience.comで視聴可能
12月7日(火)には、5つの地域別セッションを events.forwomeninscience.com で展開します。英語と各国語の字幕(アジア・太平洋地域は中国語と日本語、アフリカ・アラブ諸国はアラビア語、ヨーロッパはフランス語、中南米はスペイン語とポルトガル語)で放映します。全40コンテンツは、同日から全世界で無料配信されるオンデマンドイベントとして提供されます。
また、視聴者が、ソーシャルメディアで動画をシェア、ウェブサイト上でお気に入りのコンテンツに投票することができる参加型イベントとなっています。デジタル・プラットフォーム( https://events.forwomeninscience.com/#/home )では、イベントに先立ち、以下の情報を展開しています。
■ 40名のスピーカーとその講演内容の詳細
■ 5つの地域セッションの具体的なプログラム
■ イベント前日のリマインダーメールの受信登録や、12月7日のカレンダー招待状のダウンロードも可能、
プラットフォームに簡単にアクセスできるリンクを提供
科学は女性を必要としているが、女性科学者は疎外されている
科学分野の最高レベルでは、依然として女性の割合が低い。
ユネスコがまとめた最新の科学に関する報告書によると、いくつかの進展があったにもかかわらず、世界の研究者の女性比率は33%に留まっています。この進歩はまだ遅く、重要な障壁が残っており、研究における「ガラスの天井」は依然として現実のものとなっています。女性が最高レベルの責任と評価を得ることはまだ稀です。
■ 2013年から2016年の間にヨーロッパで出願された特許の内、女性のみから出願されているのはわずか2.4%
■ 2019年、女性発明者の比率はわずか19%
■ 最先端の研究の1つである人工知能分野における女性研究者の割合は22%
■ 2021年の科学分野のノーベル賞に女性受賞者にはなし、1901年にノーベル賞が創設されて以来、
科学分野のノーベル賞受賞者に占める女性の割合は4%以下に留まる
このような状況は、体系的な障壁、無意識の偏見、自己検閲だけでなく、女性科学者のキャリアのあらゆる段階における根強い性差別の結果です。
これは女性だけの問題ではなく、研究全般の問題でもあります。
研究が適切なものであるためには、研究者は包摂的でなければならず、すべての才能を動員する必要があります。現在および未来の課題に立ち向かうためには、ジェンダー平等がソリューションに根付いていなければなりません。
これまでの経験から、研究チームに多様性が欠けていると、イノベーションが遅れてしまうことがわかっています。
例えば、顔認識技術が差別的であると指摘されたのは、ヘルスケアや法執行機関などの重要な業界で使用されている、性別や肌タイプで重み付けされた分類システムの精度を測定した研究がきっかけでした。 その研究結果は、男性の方が女性よりもはるかに高い精度を示しましたが、肌の色の違いによってその差はさらに開き、肌の色の濃い女性は誤認されることが多くなりました。誤判定率は、肌の色が明るい男性では1%と低いものの、肌の色が明るい女性では7%、肌の色が濃い女性では35%にも達しました。このような結果が出たため、この技術の普及は大幅に遅れています。
より包摂的な研究が大きなチャンスをもたらす
STEM教育におけるジェンダーギャップを解消することは、2050年までにEUの一人当たりのGDPを2.2~3.0%増加させることに貢献すると推定されています。
AI分野は急速に拡大しており、2015年から2017年にかけて、AIのスキルを持つ世界の労働者の数は190%増加しました。
また、多様なジェンダーにより構成される研究チームは、2年間で急進的な新しいイノベーションを市場に投入する可能性が高く、女性が主導する多くの企業は、歴史的に見ても男性のCEOを擁する企業よりも3倍の業績を上げています[ii]。
ロレアル-ユネスコ女性科学賞(L'Oréal-UNESCO For Women in Science)プログラム:長年のコミットメント
ロレアル財団とユネスコは、「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている」という信念に基づき、20年以上にわたり、科学分野における女性の活躍を促進し、その才能を広く知らしめ、次世代のキャリア構築を啓発することを目指しています。
毎年、ロレアル財団とユネスコは、世界の主要地域からそれぞれ5人の著名な女性研究者の科学的な卓越性を称え、世界各地で250人以上の若い女性科学者を支援しています。
1998年に「For Women in Science」プログラムが創設されて以来、110以上の国と地域で、122人の受賞者と3,800人以上の才能ある若い科学者、博士課程の学生、ポスドクを支援し、表彰してきました。
***
インタビュー対応が可能なイベント登壇者
今回のフェスティバルでは、著名な科学者による講演を通し、女性科学者とそのキャリア、そして画期的な研究を紹介します。
ASIA AND THE PACIFIC
アジア太平洋地域
■ TALK: “DREAMING BIG FOR SCIENCE COMMUNICATION IN ASIA”
講演タイトル「アジアにおけるサイエンス・コミュニケーションへの大いなる夢」
ジュリアナ・チャン博士 - ワイルドタイプ・メディア・グループのCEO、2011 ロレアル-ユネスコ女性科学賞ヤング・タレント・アワード受賞
ジュリアナ・チャン博士は、Asian Scientist Magazineの発行人であり、デジタル、ソーシャルメディア、ビデオ、印刷、カスタム出版、イベントなど、STEMおよびヘルスケア分野でアジアを代表するメディア企業であるWildtype Media GroupのCEOです。イギリスのケンブリッジ大学で自然科学の学士号と修士号を取得し、アメリカのマサチューセッツ工科大学で生物学の博士号を取得。2011ロレアル-ユネスコ女性科学賞ヤング・タレント・アワード受賞、2013年Singapore Youth Award、2014年MIT Technology Review's 10 Innovators Under 35 from Asia Pacificなど受賞。
チャン博士のドラッグデリバリーとナノメディシンに関する研究成果は、BBCやMITテクノロジーレビューで紹介されており、4件の特許の発明者であり、そのうちの1件はファイザー社から商品化のライセンスを受けています。チャン博士は、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーであり、そのプラットフォームを活用して、一般市民の科学的リテラシー、STEM分野における包摂性と多様性、そしてアジアの科学コミュニケーション産業を提唱しています。
■ ラウンドテーブル: 「未来に向けた偏見のないヘルスソリューション」
メイ・ヤン博士 - ハッピーライフテクノロジーズ グローバル・イノベイティブ・ヘルスケア・ソリューション担当副社長
メイ・ヤン博士は、ボストン大学公衆衛生学部で博士号を取得しました。MerckやAbbVieなどの企業で、エビデンスリサーチ、医療経済学、PRO(患者報告アウトカム)などの分野で10年以上の経験を有します。臨床開発、疫学、実地調査、健康、経済モデル、機械学習などのトピックを取り上げ、一流の医学雑誌に約40の論文を発表しています。彼女は、進化する医療提供システムや償還システム、多様な顧客グループのエビデンス上のニーズに対する深い洞察力を持つリーダーです。ヤン博士は、このグローバルに進化する環境に専念し、ビッグデータ、AI技術、ヘルスケア政策に幅広い関心を持っています。
また、本ラウンドテーブルには、米国在住の日本人開発経済学者の福田咲子(Sakiko Fukuda-Parr)博士も登壇します。
<その他地域の登壇者例>
アフリカ・中東地域
■ Nisreen Elsaim – Chair, UN Secretary General Youth Advisory Group on Climate Change
■ Dr. Ndoni Mcunu – Bilateral Engagement Lead, Climate Change, Adaptation Research Alliance (ARA) at SouthSouthNorth, Founder and CEO, Black Women in Science
ヨーロッパ地域
■ Prof. Françoise Combes – Professor, Galaxies and Cosmology Chair, Collège de France. Laureate of the 2021 L’Oréal-UNESCO For Women in Science International Award
■ Prof. Gina Rippon – Professor Emeritus of Cognitive Neuroimaging at the Aston Brain Centre, Aston University
■ Dr. Katalin Karikó – Biochemist and Senior Vice President
at BioNTech SE. Laureate of the 2022 L’Oréal-UNESCO For Women in Science International Award
北米地域
■ Dr. Bonnie Prado Pino – Astrodynamics Engineer, LeoLabs Inc.
■ Africa Flores – SERVIR-Land Cover & Land Use Change Lead, NASA Applied Science
中南米・カリブ諸国地域
■ Prof. Susana Fiorentino – Research Director, Faculty of Sciences, Pontificia Universidad Javeriana. Entrepreneur, Main Shareholder, and Scientific Director of the DreemBio Spinoff
■ Dr. Denise Dresser – Writer, Political Scientist and Professor, Instituto Tecnológico Autónomo de México (ITAM).
***
ロレアル財団について
ロレアル財団は、科学研究とインクルーシブ・ビューティ、気候変動対策という3つの主要分野を中心に、女性が自らの未来を切り開き、社会に貢献できるよう支援し力を与えています。
1998年以来、L'Oréal-UNESCO For Women in Science プログラムは ( https://www.forwomeninscience.com/ )、より多くの女性科学者が進歩の障害を克服し、すべての人々の利益のために現代の大きな課題の解決に参加できるようにするために活動しています。23年間にわたり、110以上の国と地域から集まった3,900人以上の女性研究者を支援し、優れた科学者を表彰するとともに、若い世代の女性たちに科学の道を志すように奨励してきました。
ロレアル財団は、美しさが人生の再構築に貢献することを確信し、弱い立場の女性が無料の美容・健康トリートメントを通じて自尊心を高められるよう支援しています。また、恵まれない女性たちに美容の職業訓練を行い、雇用を確保しています。このプログラムの開始以来、毎年平均して約16,000人が無料のトリートメントを受け、18,000人以上が専門的な美容トレーニングに参加しています。
また、女性はジェンダーに基づく差別や不平等の影響を受けており、これは気候変動によって悪化しています。彼女たちは危機の最前線にいるにもかかわらず、気候変動に関する意思決定の場に十分に反映されていません。ロレアル財団の「女性と気候変動」プログラムは、特に、火急の気候変動に関する危機に対処するためのプロジェクトを展開する女性を支援し、ジェンダーに配慮した気候変動対策の重要性に対する認識を高めるものです。
ユネスコについて https://en.unesco.org/
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、諸国民の教育、科学及び文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の共通の 福祉の促進を目的とした国際 連合の専門機関です。本部はフランス・パリにあり、2021年10月現在の加盟国数は193カ国です。科学においては、技術、イノベーションや教育の発 展に注力しているほか、海洋資源や生物多様性の保全、科学的知識に基づく気候変動や自然災害への対応策に取り組んでいます。とりわけ研究におい て、あらゆる人種差別の撤廃と男女共同参画を推進しています。
[i]女性科学者は、男性科学者に比べて研究時間が5%減、また子どもが1人以上いる場合は、減少率が17%に達する。出典:ユネスコ「科学とエンジニアリング」https://en.unesco.org/news/covid-19-pandemic-disproportionately-affecting-women-science-and-engineering
[ii]Fortune 「Women-led companies perform three times better than the SP500」女性が主導する多くの企業は、男性のCEOを擁する企業よりも3倍の業績を上げる」https://fortune.com/2015/03/03/women-led-companies-perform-three-times-better-than-the-sp-500/
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