今後の辞書に載るかもしれない新語を三省堂が発表!「チルい」「○○ガチャ」「マリトッツォ」などがランクイン!
〜辞書のプロが2021年を代表する10の新語+αを徹底解説!〜
辞書のトップメーカーである株式会社三省堂(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:瀧本多加志)は、2021年11月30日(火)に「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2021』選考発表会」を実施し、2021年を代表・象徴する新語ベスト10を発表いたしました。
新語の選定にあたっては一般公募を行い、応募総数は延べ1,525通(異なり777語)となりました。これらの投稿などをもとに、辞書を編む専門家である選考委員が一語一語厳正に審査し、「今年の新語2021」ベスト10を選定しました。
【選考結果はこちら】https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2021/best10/
新語の選定にあたっては一般公募を行い、応募総数は延べ1,525通(異なり777語)となりました。これらの投稿などをもとに、辞書を編む専門家である選考委員が一語一語厳正に審査し、「今年の新語2021」ベスト10を選定しました。
【選考結果はこちら】https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2021/best10/
- リラックスした様子をあらわす「チルい」が大賞
今回大賞に選ばれたのは、「リラックスした様子だ」「落ち着いて気分がよい」などの意味で使われる「チルい」です。もともとは音楽分野の「チルアウト(chill-out)」から来ています。2010年代後半から「最高にチルい時間」「チルい雰囲気」など音楽以外での用法が徐々に広まってきました。
「今年の新語」の投稿としては2016年より「チルする」「チルってる」「チルアウト」「チルい」が寄せられるようになりました。いずれも「チルアウト」「チル」の派生形です。
「チルい」が特徴的なのは、「外来語+い」の形の形容詞であるという点です。「今年の新語2016」では2位に「エモい」がランクインしましたが、外来語が形容詞化する例は少数です。それだけ、この言葉が日常的で基本的な感覚を表すものになったと考えられます。選考会では、この点に着目し、「チルい」の形での大賞となりました。
- コロナ時代2年目を物語るベスト10
2021年もコロナに明け、コロナに暮れようとしています。コロナ時代2年目となり、昨年のようなコロナ関連語がたくさん生まれるということはありませんでしたが、人々の日常の変容がうかがえる言葉が多くランクインしました。
投稿数が最も多かったのは「親ガチャ」です。「ガチャ」は「友だちガチャ」「人生ガチャ」などさまざまに使われることから「○○ガチャ」の形で2位に入りました。
3位「マリトッツォ」は、イタリアでは昔からある菓子パンですが、日本では今年一番流行した食品と言えます(日経トレンディ「2021年ヒット商品ランキング」)。1990年代にティラミスやナタデココなどが爆発的にヒットした時は、一過性の現象として収録を見合わせる国語辞典もありましたが、今ではどちらも普通に買えるものとなりました。マリトッツォも同様になるだろうと見込まれます。
4位「投げ銭」は、パフォーマーの活動の場がオンラインに移りつつある現状を象徴する言葉と言えるでしょう。
5位「人流」は、経済用語として「物流」などと並列的に使われていたものですが、感染拡大防止の文脈に応用されるようになりました。コロナ収束後も広く使われると見ています。
最近では、講演などのイベントもリモート形式が珍しくなくなり、今後もこうしたコミュニケーションのスタイルはいっそう普及すると考え、6位には「ウェビナー」がランクイン。
7位の「ギグワーク」は「単発の仕事」という意味です。例えば、オンラインで発注される宅配業務の依頼を、都合がよければ単発で請け負うというような労働形態です。
8位「更問い」は、記者会見などの場で、回答が不十分だと感じたときにさらに質問することです。
9位「おうち○○」は従来なら「家庭○○」「自家製○○」などと漢語を使って表現したところを、やわらかく「おうち」と表現したもの。21世紀に入り使用例が増えていたところ、コロナ禍で従来にも増して日常語になりました。
10位の「Z世代」は、いわゆる「デジタルネイティブ」の世代のことです。「X世代」「Y世代」はさほど注目されていないのに、今年に入って「Z世代」ばかりが知られるようになりました。
- 3語の選外
【それぞれの言葉を具体的に解説した、さらに詳しい選評はこちら】
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2021/best10/Preference01.html
- 選考委員が選出した10語
『三省堂現代新国語辞典』小野正弘先生:
SDGs/親ガチャ/Z世代/チルい/なんなら/鼻マスク/ブースター接種/副反応/マリトッツォ/やつ
『三省堂国語辞典』飯間浩明先生:
インクルーシブ/おうち/ギルトフリー/○○してもろて/じゃないほう/人流/チル/マリトッツォ/ライバー/レベチ
『新明解国語辞典』編集部:
ウェビナー/エコーチェンバー/○○ガチャ/GIGAスクール/キャンセル/人流/○○テック/ハウる/BAN/ラグい
『大辞林』編集部:
親ガチャ/オリパラ/ギグワーク/更問い/人流/投げ銭/フェムテック/マリトッツォ/黙食/ヤングケアラー
- 三省堂の新語には、国語辞典のプロの手による解説(語釈)をつけて発表
【大賞】チルい
チル・い[2](形)〔落ち着く意の「チルアウト〘=chill out〙」の「チル」を形容詞化したもの〕 〔音楽などで〕心身の緊張を解くような、心地よさが感じられる様子だ。「―曲/―雰囲気がいい感じのカフェ」
『新明解国語辞典』編集部
チル┓・ い⦅形⦆〔「チル〘←chill out〙」を形容詞化した語〕〔俗〕気持ちが ゆったりする感じだ。「最高に―曲・日曜の午後は―」〔二〇一〇年代後半に広まったことば〕
『三省堂国語辞典』飯間浩明先生
チル・い〈形〉[←chill]気持ちが落ちついて くつろげるようす。「━音楽で安らぐ・チルくロマンティックな風景」[英語chillは、もともとは、冷たさや肌寒さを意味していたが、特に、chill out と言うときなどには、俗語としての用法で、落ちついたとか、くつろいだという意味で用いられるようになり、「チルい」は、その意味を引きついだもの。また、外来語は、「ワイドな」などのように、形容動詞で受けいれられることが普通であるが、形容詞として受けいれられることは珍しく、ほかには、「ナウい」「エロい」「グロい」「エモい」などを数えるのみである][類]まったり
『三省堂現代新国語辞典』小野正弘先生
チル・い[2](形)〔「チルアウト」の「チル」を形容詞化した若者言葉〕リラックスした様子である。落ち着いて気分がよい。「―・い曲でまったりする」〔チルは「チルな空間」「お気に入りの店でチルする」のように形容動詞や動詞としても用いられる〕
『大辞林』編集部
【2位】○○ガチャ
がちゃ【ガチャ】〈造語〉結果のよしあしが自分で選べず、偶然に左右されること。よくないことを引き当てた うらみごとや言い訳に用いる場合も多い。「親━(=親の地位や収入などによって、子の人生や運命がほぼ決まってしまうこと)・国━・時代━」[もともと、ソーシャルゲームで、アイテムやキャラクターを引き当てることをガチャと呼んだことによるが、ガチャは擬音語に由来する]
『三省堂現代新国語辞典』小野正弘先生
【3位】マリトッツォ
マリト┓ッツォ〔イ maritozzo〕パンをカスタネットのように ひらき、生クリームをたっぷり つめこんだ菓子{かし}。
『三省堂国語辞典』飯間浩明先生(※第八版の語釈とは一部異なります)
【4位】投げ銭
なげせん【投げ銭】〈名〉①ふるく、芝居や見世物などで観客から舞台へ、また、大道{だいどう}で通行人から芸人などへ、芸の代価として、紙に包んだ銭{ぜに}を投げ与えたこと。また、その銭。[類]おひねり・チップ ②ウェブサイトで、無料で企画やコンテンツを作成したことに対して、応援の意味を込めて寄付すること。また、そのときのお金やネット独自のポイント。「━システム・━サイト」③時代劇・時代小説の主人公、銭形平次{ぜにがたへいじ}が、悪玉めがけて投げつける銭。「決め手の━を飛ばした」
『三省堂現代新国語辞典』小野正弘先生
【5位】人流
じん りゅう[0]―リウ【人流】〔「物流」に対して〕旅客の輸送。またはそれに関係する活動。「―の要」〔単に人の(移動の)流れの意にも用いられる。例、「―を抑制し感染症の拡大を防ぐ」〕
『新明解国語辞典』編集部
【6位】ウェビナー
ウェビナー[0][1]〔webinar ← web+seminar〕インターネットを介して行なう講演会や研修会。また、そのためのアプリケーションなど。
『新明解国語辞典』編集部
【7位】ギグワーク
ギグ ワーク[3]〖gig work〗インターネット経由で発注先から直接個人で請け負う単発の仕事。労働機会の拡大や人材活用、副業の促進などに資する反面、多く低賃金であることや、雇用契約がなく、トラブルに際しての補償のないことなどが問題視される。
『大辞林』編集部
【8位】更問い
さら とい[0]―とひ【更問い】記者会見などで、会見内容の不明な箇所をただしたり、関連する質問を発したりすること。また、その質問。「事前に通告した質問以外の―が禁じられていることに不満が噴出する」
『大辞林』編集部
【9位】おうち○○
お うち[一]おうち━[お≪△家≫]「家{いえ|うち}」の尊敬語・美化語。「―のかた〔=保護者のかた〕」[二][造〉自宅での。「―カフェ・―時間・―居酒屋」〔二十一世紀になって広まった言い方で、二〇二〇年の新型コロナウイルス感染{かんせん}拡大に ともない、特に使う機会が増えた〕
『三省堂国語辞典』飯間浩明先生(※第八版の語釈とは一部異なります)
【10位】Z世代
ゼットせだい【Z世代】〈名〉一九九〇年代後半から二〇〇〇年代以降に出生した世代。生まれたときから、あたりまえのようにインターネット環境が整っていて、情報を得たり、価値観を形成する際のよりどころとするところに特徴がある。デジタルネイティブ。ジェネレーションZ。[もともと、一九六〇年代から七〇年代生まれをX世代、八〇年代から九〇年代生まれをY世代と呼んでいて、その次に位置する世代。みずから名乗る世代名として用いられる傾向がある]
『三省堂現代新国語辞典』小野正弘先生
- 従来の新語・流行語ランキングとの違い
- 本件に関するお問い合わせ先
Tel:03-3230-9536 E-mail:www-info@sanseido-publ.co.jp
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