ダイセルとメタジェンの共同研究成果が科学雑誌「Frontiers in Nutrition」に掲載
-ウロリチンAの血管内皮機能改善効果と腸内細菌叢との関係が明らかに-
株式会社ダイセル(本社:大阪市北区、代表取締役社長 小河義美)は、腸内環境を適切にデザインすることで病気ゼロの実現を目指す株式会社メタジェン(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長CEO・CGDO 福田真嗣)と共同研究を行い、ウロリチンAには血管内皮機能(※1)改善効果があること、ウロリチンAの血管内皮機能改善効果が個人の腸内環境に影響されることを明らかにしました。この研究成果が科学雑誌「Frontiers in Nutrition」に2023年1月5日付で掲載されました。
※1 血管内皮機能:血管内皮機能は、血管内皮細胞の機能のことです。血管内皮細胞は、全身をめぐる血管の最内層にある細胞で、血管の健康状態を維持するのに非常に重要な役割を果たしています。血管内皮細胞は血管の健康維持機能に関わる物質を数多く放出しており、血管壁の収縮や弛緩をはじめ、血管壁への炎症細胞の接着、血管透過性、凝固・線溶系の調節などを行っています。
■研究の背景
果物はポリフェノールなどの抗酸化物質の豊富な供給源です。果物の中でも、ザクロは古くから抗酸化作用や血管内皮機能改善など、さまざまな健康効果が知られています。この健康効果は、ザクロに含まれるエラグ酸などのポリフェノール類によるものと考えられますが、個々人の腸内細菌のバランスにより健康効果を発揮しないこともあることが知られていました。そこで、近年はこれらポリフェノールの腸内代謝物質であるウロリチンAに注目が集まっています。先行研究において、エラグ酸による血管内皮機能改善や腸内環境と血管内皮機能の関連性は報告されているものの、ウロリチンAの摂取による血管内皮機能や腸内環境への直接的な影響は評価されていませんでした。
そこで、本共同研究においては血管内皮機能が比較的悪く、かつエラグ酸からウロリチンAへの代謝能が低い人たちに対して、ウロリチンAが血管内皮機能や腸内環境に対して与える影響の評価を実施しました。
■研究成果の概要
血管内皮機能が比較的悪く、かつエラグ酸からウロリチンAへの代謝能が低い日本人の成人36名に、12週間にわたってウロリチンAの入ったカプセルあるいはウロリチンAを含まないカプセル(プラセボ)を摂取してもらいました。ウロリチンAは1日10 mgまたは50 mgを摂取してもらいました。主な結果としては、次の通りです。
●ウロリチンAを1日10 mg摂取した群において血管内皮機能が改善される傾向にありました。
ウロリチンAを1日10 mg摂取した群の摂取8週において血管内皮機能の改善傾向が認められたことから、摂取前と摂取8週時点における腸内環境の解析をさらに行いました。
●ウロリチンAを1日50 mg摂取した群において腸内細菌叢のα多様性(生息する腸内細菌の種類数や均等性)が有意に増加していました。
●ウロリチンA摂取により血管内皮機能が改善した被験者の腸内環境の特徴を調べた結果、Firmicutes/Bacteroidetes比が低いなど、エラグ酸を代謝できない人がもつ腸内環境と同様であることがわかりました。
●また、血管内皮機能が改善した被験者においてはFirmicutesが増加する傾向にありました。エラグ酸を代謝できる人の腸内環境に近づく可能性が示されました。
以上のことから、ウロリチンAを摂取することでエラグ酸からウロリチンを産生する腸内細菌が増加することが期待されます。その結果さらにウロリチンAが増加し、血管内皮機能が改善するというような正のフィードバックが起きている可能性が考えられます。
■研究の意義と今後の展開
本共同研究により、ウロリチンAが日本人の腸内環境に対して与える影響、および血管内皮機能改善効果における腸内環境との関連性が明らかになりました。今後、本研究をさらに進めることで、腸内環境の制御を介した血管内皮機能の制御方法の開発が期待されます。
今後も株式会社ダイセルは、腸内代謝物のもつ機能性を解明する研究開発を推進し、個々人の腸内環境を考慮した健康維持・疾病予防に関する製品・サービスの開発を促進すべく、さらに邁進してまいります。
■研究の背景
果物はポリフェノールなどの抗酸化物質の豊富な供給源です。果物の中でも、ザクロは古くから抗酸化作用や血管内皮機能改善など、さまざまな健康効果が知られています。この健康効果は、ザクロに含まれるエラグ酸などのポリフェノール類によるものと考えられますが、個々人の腸内細菌のバランスにより健康効果を発揮しないこともあることが知られていました。そこで、近年はこれらポリフェノールの腸内代謝物質であるウロリチンAに注目が集まっています。先行研究において、エラグ酸による血管内皮機能改善や腸内環境と血管内皮機能の関連性は報告されているものの、ウロリチンAの摂取による血管内皮機能や腸内環境への直接的な影響は評価されていませんでした。
そこで、本共同研究においては血管内皮機能が比較的悪く、かつエラグ酸からウロリチンAへの代謝能が低い人たちに対して、ウロリチンAが血管内皮機能や腸内環境に対して与える影響の評価を実施しました。
■研究成果の概要
血管内皮機能が比較的悪く、かつエラグ酸からウロリチンAへの代謝能が低い日本人の成人36名に、12週間にわたってウロリチンAの入ったカプセルあるいはウロリチンAを含まないカプセル(プラセボ)を摂取してもらいました。ウロリチンAは1日10 mgまたは50 mgを摂取してもらいました。主な結果としては、次の通りです。
●ウロリチンAを1日10 mg摂取した群において血管内皮機能が改善される傾向にありました。
ウロリチンAを1日10 mg摂取した群の摂取8週において血管内皮機能の改善傾向が認められたことから、摂取前と摂取8週時点における腸内環境の解析をさらに行いました。
●ウロリチンAを1日50 mg摂取した群において腸内細菌叢のα多様性(生息する腸内細菌の種類数や均等性)が有意に増加していました。
●ウロリチンA摂取により血管内皮機能が改善した被験者の腸内環境の特徴を調べた結果、Firmicutes/Bacteroidetes比が低いなど、エラグ酸を代謝できない人がもつ腸内環境と同様であることがわかりました。
●また、血管内皮機能が改善した被験者においてはFirmicutesが増加する傾向にありました。エラグ酸を代謝できる人の腸内環境に近づく可能性が示されました。
以上のことから、ウロリチンAを摂取することでエラグ酸からウロリチンを産生する腸内細菌が増加することが期待されます。その結果さらにウロリチンAが増加し、血管内皮機能が改善するというような正のフィードバックが起きている可能性が考えられます。
■研究の意義と今後の展開
本共同研究により、ウロリチンAが日本人の腸内環境に対して与える影響、および血管内皮機能改善効果における腸内環境との関連性が明らかになりました。今後、本研究をさらに進めることで、腸内環境の制御を介した血管内皮機能の制御方法の開発が期待されます。
今後も株式会社ダイセルは、腸内代謝物のもつ機能性を解明する研究開発を推進し、個々人の腸内環境を考慮した健康維持・疾病予防に関する製品・サービスの開発を促進すべく、さらに邁進してまいります。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像