Craif 技術顧問・共同創業者 安井隆雄による研究成果発表
〜尿中DNA変異検出による神経膠腫(グリオーマ)検知〜
■ 本研究について
cfDNAは、非侵襲的ながんバイオマーカーとして、FDAからGuardant360CDxテストやFoundationOne Liquid CDxの形で承認されており、その臨床的意義はアメリカ国立衛生研究所(NIH)や各国のリキッドバイオプシー学会によって現在も強調されてきています。特に、尿中cfDNAは、がんのスクリーニング、診断、予後、がんの進行や治療効果のモニタリングのためのサンプル収集が極めて容易な“真の非侵襲的バイオマーカー”として認識されています。しかし、cfDNAの濃度が比較的低い尿からcfDNAを効率よく分離する技術がないことが大きなボトルネックとなっています。
本研究では、ナノワイヤ表面とcfDNAの水素結合に着目し、水素結合を介した cfDNAの「キャッチ」、競合的に結合可能な分子の導入によるcfDNAの「リリース」のメカニズムを解明し、尿中cfDNAのキャッチ&リリース技術を開発しました。本技術を展開することで、従来法では分離できなかった他のがん種の尿中cfDNAの変異検出 への発展が期待されます。
■技術顧問・共同創業者 安井 隆雄について
東京工業大学 生命理工学院 教授。2014〜2019年ImPACTプロジェクトマネージャー補佐就任、2015〜2019年JSTさきがけ研究員、2019年〜2023年再度JSTさきがけ研究員を拝命。2018~2023年名古屋大学大学院工学研究科・生命分子工学専攻准教授。研究テーマはナノ空間を利用した新奇生体分子解析手法の開発。がん細胞から正常細胞へ輸送されるがん化因子であるエクソソームの定量解析を目指している中で、ナノワイヤを利用して、わずか1ミリリットルの尿からがんを特定する技術を新たに発見。同技術を実用化すべく、代表の小野瀨と共に2018年5月にCraif株式会社を創業。
■ Craifについて
Craifは、2018年創業の名古屋大学発ベンチャー企業です。尿などの簡単に採取できる体液中から、マイクロRNAをはじめとする病気に関連した生体物質を高い精度で検出する基盤技術「NANO IP™(NANO Intelligence Platform)」を有しています。CraifではNANO IP™を用いてがんの早期発見や一人ひとりに合わせた医療を実現するための検査の開発に取り組んでいます。
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