探究学習に取り組んだ高校生は、「キャリア上の困難を乗り越える力」が社会人と同等かそれ以上であることが明らかに

〜NPOカタリバ、探究学習に取り組む高校生2,459名に実態調査を実施〜

認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都中野区、代表理事:今村久美、以下カタリバ)は、高校生が自ら問いを立て、課題を解決する探究プログラム「マイプロジェクト」の推進に取り組んでいます。この度、探究学習に取り組む高校生2,459名を対象に調査を行い、探究学習に取り組む高校生は「キャリアレジリエンスが社会人よりも高い」などの結果が明らかになりました。

調査背景

カタリバは2013年から、高校生が自ら問いを立て、課題を解決する探究プログラム「マイプロジェクト」の推進に取り組んでいます。2022年度からは、高等学校において「総合的な探究の時間」が必修化されました。不確実性の高い現代社会において、自ら問いを立て、課題を解決し、そのプロセスから学び次の問いにつなげていく力がより一層求められています。

一方で、生徒個々人がさまざまなテーマを設定し課題に取り組む「探究学習」の授業では、「授業案やカリキュラムの設計が難しい」「単なる調べ学習で終わってしまう」などの課題も。カタリバが2023年に全国の教員232名を対象に行った調査(*1)では、探究学習を推進している担当者の95%が「課題を感じている」と回答していました。

今回、実際に探究学習に取り組んだ生徒たちにはどのような変化がみられ、その経験がどのようなことにつながっているのかなどを把握するため、探究学習(マイプロジェクト)に取り組む高校生2,459名を対象に調査を実施しました。

*1:探究学習の推進における課題調査(2023年、認定NPO法人カタリバ)

https://www.katariba.or.jp/news/2023/03/20/40481/

この調査から分かること

●探究学習に取り組んだ高校生は、「キャリア上の困難を乗り越える力(キャリアレジリエンス)」が社会人と同等かそれ以上

●探究学習で身についた力TOP3は「主体性」「実行力」「課題発見能力」

●調査に参加した高校生の約9割が、マイプロ/探究の経験が進路の選択に役に立ったと回答

探究学習に取り組んだ高校生は、「キャリア上の困難を乗り越える力(キャリアレジリエンス)」が社会人と同等かそれ以上

・本調査は大学生用キャリアレジリエンス測定尺度(児玉, 2017)の項目を用いて実施した。*a

・先行研究は、児玉(2015)の文献を引用。ただし、問題対応力とチャレンジ因子など、一部概念名や質問項目が対応していないものがある。*b

心理学者のジョン・D・クランボルツ氏によって1999年に発表されたキャリア理論によると、「キャリアのターニングポイントの8割は予想できない偶然の出来事が影響する」とされています。このように予測不可能な出来事が避けられない中で、仕事や進路の変化にも柔軟に対応し、前向きに行動できる力のことを「キャリアレジリエンス(*2)」と言います。

今回の調査の中でキャリアレジリエンスの項目に注目したところ、探究学習に取り組んでいる高校生は、社会人と比較して同等、もしくはそれ以上にキャリアレジリエンスのスコアが高いという結果が出ました。

*2:児玉真樹子 「大学生用キャリアレジリエンス測定尺度の開発」 学習開発学研究第10巻 2017年 pp.15-23

探究学習で身についたと思う力TOP3は「主体性」「実行力」「課題発見能力」

今回の調査で、探究学習を通じて身についた力として「主体性(81.9%)」が最も高く、80%以上の高校生が選択していました。次いで「実行力(71.4%)」「課題発見力(63.1%)」と続きます。

高校生の約9割が、マイプロ/探究の経験が進路の選択に役に立ったと回答

進路選択との関連について問う設問では、87.9%の高校生がとてもそう思う・そう思うと回答。約9割の高校生が、探究学習の経験が進路選択に役立ったと感じていることが分かりました。

調査概要

調査名:全国高校生マイプロジェクトに関する調査 

調査方法:インターネットでのアンケート調査

調査地域:日本全国

対象者:全国高校生マイプロジェクトアワード2024に出場した、探究学習に取り組む高校生2,459名

実施期間:2024年12月13日~2024年12月25日

<参考文献>

*a 児玉真樹子 「大学生用キャリアレジリエンス測定尺度の開発」 学習開発学研究第10巻 2017年 pp.15-23

*b 児玉 真樹子「キャリアレジリエンスの構成概念の検討と測定尺度の開発」心理学研究 2015 年 第 86 巻 第 2 号 pp. 150– 159

事業紹介:全国高校生マイプロジェクト

身の回りの課題や関心をテーマにプロジェクトを立ち上げ、実行することを通して学ぶために2013年から行っている高校生向け実践型探究学習プログラムです。高校への探究学習プログラムを提供、教員向け探究学習勉強会を運営、地域の連携団体と共に行う探究支援の機会提供を通し、小さくても実際に起こす「アクション」と、プロジェクトに対する「主体性」を育み、高校時代に正解のない問題に向き合い探究することで未来への創造力を引き出すための探究学習プロセスを日本全国の高校生に広げるための取り組みを行っています。

認定特定非営利活動法人カタリバとは

どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。


<団体概要>

設立 : 2001年11月1日

代表 : 代表理事 今村久美

本部所在地 :東京都中野区中野5丁目15番2号

事業内容 :高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(岩手県大槌町・福島県広野町)/災害緊急支援(全国)/地域に密着した教育支援(東京都文京区)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区・全国)/外国ルーツの高校生支援(東京都)/不登校児童・生徒に対する支援(島根県雲南市・全国)/子どもの居場所立ち上げ支援(全国)

URL: https://www.katariba.or.jp

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https://www.katariba.or.jp/report/(担当:カタリバ広報 藤木)

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会社概要

URL
https://www.katariba.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ203
電話番号
03-5327-5667
代表者名
今村久美
上場
未上場
資本金
-
設立
2001年11月