液体の中でICT機器を直接冷却する新方式で、冷却エネルギーを最大97%削減
~脱炭素社会実現に向け、2023年度のサービス化をめざす~
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、脱炭素社会の実現をめざし、液浸冷却方式を採用したデータセンター冷却システム(以下:液浸冷却システム)を構築しました。液浸冷却方式は、サーバ等のICT機器を特殊な液体の中で直接冷却する方式で従来の空気での冷却と比べ、エネルギー効率の高い次世代の方式として注目されています。
2022年3月~4月にかけ、効率・運用性能の確認と商用化に向けた課題の抽出のため、NTTデータの三鷹データセンターEASTにおいて、液浸冷却システムの実機検証を実施しました。その結果、データセンターの冷却に使用するエネルギーを従来型のデータセンターと比較して最大97%(注1)削減できること(推定PUE(注2)=1.07(注3))、サーバ機器・NW類の安定稼働を確認したほか、メンテナンスを含めた機器運用に関する実用面の課題抽出を完了しました。
NTTデータは本実機検証で得られた結果を踏まえて、2023年度中の液浸冷却システムを活用した省エネデータセンターサービスの実装・提供に向け取り組みます。
2022年3月~4月にかけ、効率・運用性能の確認と商用化に向けた課題の抽出のため、NTTデータの三鷹データセンターEASTにおいて、液浸冷却システムの実機検証を実施しました。その結果、データセンターの冷却に使用するエネルギーを従来型のデータセンターと比較して最大97%(注1)削減できること(推定PUE(注2)=1.07(注3))、サーバ機器・NW類の安定稼働を確認したほか、メンテナンスを含めた機器運用に関する実用面の課題抽出を完了しました。
NTTデータは本実機検証で得られた結果を踏まえて、2023年度中の液浸冷却システムを活用した省エネデータセンターサービスの実装・提供に向け取り組みます。
【本検証について】
1.背景
社会全体のデジタル化によってもたらされた情報量の飛躍的な増加により、データセンターの電力消費量は増加の一途をたどっています。「脱炭素」が経営課題として重要視される中、電力消費量を削減することがデータセンターの1つの課題になっています。
NTTデータは2030年にデータセンターのカーボンニュートラル化を達成するという目標に対し、次世代の冷却方式として注目されている液浸冷却方式を採用し、協力企業9社とともに実機による検証を行いました。
2.検証概要
[実施時期] 2022年3月9日~4月28日
[検証場所] 三鷹データセンターEAST
[検証機器] 二相式液浸冷却装置(6kVA:2台) LiquidStack社製
[検証内容] ①模擬負荷を用いた冷却装置・冷却システムのエネルギー性能試験
②ICT機器を用いた性能試験
③設計・運用における課題の抽出
液浸冷却とは、IT機器を絶縁性のある液体(フッ素系不活性液体やシリコンオイル等)に浸すことで、効率的な冷却を図る冷却方式です。中でも本検証では、最も冷却効果が高いと言われる液体の沸騰による気化熱を冷却に活用する「二相式」を採用しています。高発熱サーバを密に配置できるため、空気を用いる従来の方式と比較して省スペースが可能となることや、一定の温度かつ密閉された環境で運用できることで故障率が低下すると言われています。
[協力企業]
三菱重工業株式会社、HPCシステムズ株式会社、LiquidStack Holding B.V.、日比谷総合設備株式会社、デル・テクノロジーズ株式会社、シスコシステムズ合同会社、エヌビディア合同会社、インテル株式会社、スリーエムジャパン株式会社の9社
表:各社役割
3.成果
■三鷹データセンターEASTにおいて液浸冷却システムを構築し、冷却能力を最大限活用するためのパラメーター要因と、各機器の運転限界値を把握することで、冷却エネルギーの97%削減を実現するための運転条件を明らかにした。
■実システムにおける利用を見据えタンク間の冗長性を考慮した機器構成において、冷媒液温度別におけるICT機器のパフォーマンスや、異常発生時の冷却システム・ICT機器の挙動を確認し、安全かつ効率的なシステム運用の実効性を確認した。
■ICT機器搭載・NW設計におけるソフトおよびハードのカスタマイズ条件の把握や、日常運用におけるメンテナンス性能、障害発生時の挙動に対する課題を明らかにすることで、NTTデータが得意とするソフトからハードまで一貫したシステムサービスの提供が液浸冷却システムを用いて実現できることを確認した。
【今後について】
本検証によって有効性が確認された液浸冷却システムの積極的な活用に向けて、自社データセンター内に液浸専用マシン室の構築を目標とするほか、2023年度中に社内システムへの導入を通して、早期のサービスモデル実現を図っていきます。
また、ICT機器調達、搭載・運用設計において、液浸向けの仕様変更・改造を伴うことが課題として認識されたことを踏まえ、調達方針の整理や運用・保守体制の構築を行い、より環境負荷の小さい(GWP(注4)<1)冷媒液の採用を図ることで、省エネルギーかつ地球にやさしいシステムサービスの実現・提供をめざします。
NTT Green Innovation toward 2040
NTTグループでは2021年9月28日に環境ビジョン「NTT Green Innovation toward 2040」を策定し、2030年度までに温室効果ガス排出量の80%削減(モバイル、データセンターはカーボンニュートラル)、2040年度までにカーボンニュートラルを実現することをめざしています。またNTTグループは、自らのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを社会へ拡大し、日本政府がめざす2030年に2013年度比で温室効果ガスを46%削減するという目標、および2050年までのカーボンニュートラルの実現に貢献します。
注釈
注1:PUE=1.7のデータセンターの総使用電力と比較した場合。
注2:PUE (Power Usage Effectiveness)はデータセンターの冷却効率を示す指標の一つです。データセンター全体の消費エネルギー(年間消費電力量)をIT 機器の消費エネルギー(年間消費電力量)で割った数値で示され、数値が1.0 に近いほど、データセンターのエネルギー効率が良いことを示します。
注3:検証結果に基づき、気象データや各機器能力条件を総合して、年間PUEを推定しています。
注4:地球温暖化係数(Global Warming Potential)の略語。そのガスが同じ質量の二酸化炭素と比較して何倍の温室効果があるかを示します。
*文章中の会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
1.背景
社会全体のデジタル化によってもたらされた情報量の飛躍的な増加により、データセンターの電力消費量は増加の一途をたどっています。「脱炭素」が経営課題として重要視される中、電力消費量を削減することがデータセンターの1つの課題になっています。
NTTデータは2030年にデータセンターのカーボンニュートラル化を達成するという目標に対し、次世代の冷却方式として注目されている液浸冷却方式を採用し、協力企業9社とともに実機による検証を行いました。
2.検証概要
[実施時期] 2022年3月9日~4月28日
[検証場所] 三鷹データセンターEAST
[検証機器] 二相式液浸冷却装置(6kVA:2台) LiquidStack社製
[検証内容] ①模擬負荷を用いた冷却装置・冷却システムのエネルギー性能試験
②ICT機器を用いた性能試験
③設計・運用における課題の抽出
図1:液浸冷却システム概要
図2:二相式液浸冷却イメージ
液浸冷却とは、IT機器を絶縁性のある液体(フッ素系不活性液体やシリコンオイル等)に浸すことで、効率的な冷却を図る冷却方式です。中でも本検証では、最も冷却効果が高いと言われる液体の沸騰による気化熱を冷却に活用する「二相式」を採用しています。高発熱サーバを密に配置できるため、空気を用いる従来の方式と比較して省スペースが可能となることや、一定の温度かつ密閉された環境で運用できることで故障率が低下すると言われています。
[協力企業]
三菱重工業株式会社、HPCシステムズ株式会社、LiquidStack Holding B.V.、日比谷総合設備株式会社、デル・テクノロジーズ株式会社、シスコシステムズ合同会社、エヌビディア合同会社、インテル株式会社、スリーエムジャパン株式会社の9社
表:各社役割
3.成果
■三鷹データセンターEASTにおいて液浸冷却システムを構築し、冷却能力を最大限活用するためのパラメーター要因と、各機器の運転限界値を把握することで、冷却エネルギーの97%削減を実現するための運転条件を明らかにした。
■実システムにおける利用を見据えタンク間の冗長性を考慮した機器構成において、冷媒液温度別におけるICT機器のパフォーマンスや、異常発生時の冷却システム・ICT機器の挙動を確認し、安全かつ効率的なシステム運用の実効性を確認した。
■ICT機器搭載・NW設計におけるソフトおよびハードのカスタマイズ条件の把握や、日常運用におけるメンテナンス性能、障害発生時の挙動に対する課題を明らかにすることで、NTTデータが得意とするソフトからハードまで一貫したシステムサービスの提供が液浸冷却システムを用いて実現できることを確認した。
【今後について】
本検証によって有効性が確認された液浸冷却システムの積極的な活用に向けて、自社データセンター内に液浸専用マシン室の構築を目標とするほか、2023年度中に社内システムへの導入を通して、早期のサービスモデル実現を図っていきます。
また、ICT機器調達、搭載・運用設計において、液浸向けの仕様変更・改造を伴うことが課題として認識されたことを踏まえ、調達方針の整理や運用・保守体制の構築を行い、より環境負荷の小さい(GWP(注4)<1)冷媒液の採用を図ることで、省エネルギーかつ地球にやさしいシステムサービスの実現・提供をめざします。
NTT Green Innovation toward 2040
NTTグループでは2021年9月28日に環境ビジョン「NTT Green Innovation toward 2040」を策定し、2030年度までに温室効果ガス排出量の80%削減(モバイル、データセンターはカーボンニュートラル)、2040年度までにカーボンニュートラルを実現することをめざしています。またNTTグループは、自らのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを社会へ拡大し、日本政府がめざす2030年に2013年度比で温室効果ガスを46%削減するという目標、および2050年までのカーボンニュートラルの実現に貢献します。
注釈
注1:PUE=1.7のデータセンターの総使用電力と比較した場合。
注2:PUE (Power Usage Effectiveness)はデータセンターの冷却効率を示す指標の一つです。データセンター全体の消費エネルギー(年間消費電力量)をIT 機器の消費エネルギー(年間消費電力量)で割った数値で示され、数値が1.0 に近いほど、データセンターのエネルギー効率が良いことを示します。
注3:検証結果に基づき、気象データや各機器能力条件を総合して、年間PUEを推定しています。
注4:地球温暖化係数(Global Warming Potential)の略語。そのガスが同じ質量の二酸化炭素と比較して何倍の温室効果があるかを示します。
*文章中の会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
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