全国のこども食堂は本年度も過去最大の「1万2,601」カ所に ~地域のインフラ化する一方で、物価高騰などの影響にも直面~「2025年度 こども食堂全国調査」

2025年度の「こども食堂 全国箇所数調査」(速報値)および、「こども食堂の実態・困りごと調査」、「こども食堂の認知調査」の結果を発表

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ

こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会の実現を目指す「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)」(東京都渋谷区、理事長:三島理恵)は、12月11日に2025年度の「こども食堂 全国箇所数調査」の速報値および「こども食堂の実態・困りごと調査」「こども食堂の認知調査」の結果をまとめ、「2025年度 こども食堂全国調査」として発表します。むすびえでは、「こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整える」ことをミッションに、全小学校区に対して1つ以上のこども食堂がある状態になることを目指しています。本調査は、その実現のための調査研究事業として、2018年度より毎年行なっているものです。

<グラフ1>こども食堂の箇所数と年間のべ参加人数(推計)の推移
<グラフ2>こども食堂と全国の公立小中学校(義務教育学校を含む)の推移・比較

2025年度の調査では、こども食堂の箇所数は本年度も過去最高となる「1万2,601」カ所となりました(速報値)。2023年度から毎年連続して1,700カ所以上増えており、公立の小学校・義務教育学校を合わせた1万8,545校の7割に近づく結果となっています。

今回、新たに80カ所の自治体において、118カ所のこども食堂が立ち上がっていました。一方、昨年度比で約600カ所減少も見られています。この数を加味すると、今年度は2,000カ所以上増加していることになります。

校区充足率*1は39.69%とほぼ4割に達し、全国の約4割の小学校区*2にこども食堂が1つ以上ある状態となりました。

また年間のべ利⽤者数においては、推計を始めた2021年度と比較して2倍以上の2,533万⼈がこども食堂を利用し、そのうち、⼦どもは 1,732万⼈にのぼることが判明しました。

※本調査は、全国のこども食堂地域ネットワーク団体、都道府県庁、都道府県社会福祉協議会など、こども食堂に関わる関係者に協力によるもの(2025年6月〜10月)。但し、こども食堂は自治体等への届出を要しない民間活動のため、箇所数としてすべてを網羅できていない可能性もある。

*1充足率(校区実施率)は、都道府県下の小学校区のうち、こども食堂が「ある」小学校区の比率を示したもの。1小学校区に複数のこども食堂がある場合にも「ある=1」とカウントするため、単純な%算出(こども食堂数÷小学校数×100)とは異なる。

*2小学校数、中学校数は文部科学省「令和7年度学校基本調査(速報値)」における公立の小中学校数および公立の義務教育学校数の合算による

■長引く物価高騰の影響下でも日本各地で広がり続けるこども食堂 増加の背景は

長引く物価高騰の影響下でも増加するこども食堂は、地域のつながりを生み出し、様々な課題に自発的に対応しようという市民の力・想いの現れといえます。さらにそれを支える取り組みも各地で進んでいます。

① 政策による後押しにより、こども食堂の社会的意義が認識されている

政府による政策の推進(「地域こどもの生活支援強化事業」など)や、全国の自治体の取り組み、デジタル庁の住民の「暮らしやすさ」と「幸福感(Well-being)」を可視化する地域幸福度(well-being)指標に「こども食堂の数」が追加されるなど、こども食堂が地域社会において公共性の高い取り組みとして認識され始め、活動維持が制度面で後押しされています。

② 増加を支える行政や企業、地域ネットワークの協働体制の強化

箇所数・充足率が高い地域や増加率が著しい地域では、行政・企業・地域ネットワーク団体の協働が活動推進のポイントとなっています。一例として、増加数上位である大阪府では自治体による支援事業の活用、千葉県では県委託によるサポートセンター設置。増加率上位である和歌山県では県振興局を中心に地域ネットワークと連携の強化、岡山県では地域ネットワーク団体の法人化と県との協働強化など、行政や企業、地域ネットワーク団体が強く協力し、こども食堂の立ち上げ・運営支援の環境を整備した事例が目立ちます。

■増加と共に多様化するこども食堂、地域の様々なつながりを生む“居場所”として機能

こども食堂の箇所数増加と共に、こども食堂の活動目的や内容も多様化しています。この十数年で子ども・家庭への支援に加え、「多世代交流」や「地域づくり」など、つながりを育む役割を担う食堂も増えています。活動目的・活動内容の多様化により、地域でのつながりや食材や寄付などの資源の循環の起点となっています。

・こども食堂の7割が「参加条件は特になし」と回答、一方で「支援を必要とする人のために」との声も

こども食堂の7割超がこども食堂に参加する際に「参加条件はない」と回答しましたが、「こども食堂の実態・困りごと調査 2025」内の「こども食堂の主な活動目的(複数回答)」では、「ひとり親家庭への支援」「生活困窮家庭への支援」も5割を超えており、「誰でもどうぞ」と門戸が開かれているなかで、支援が必要な人も包摂していきたいというこども食堂もあります。また、それぞれの目的・想いを踏まえ、規模・活動内容を拡大していこうとするこども食堂、規模を縮小してでも活動を継続していこうというこども食堂があります。

<グラフ3>「こども食堂の活動を行うにあたり、連携している組織について」
<グラフ4>「周辺地域の住民や地域NW団体、企業から食材や資金の寄付サポートについて」

・地域でのつながりや、食材・寄付などの資源循環を生む場所としての機能

こども食堂の98.2%が何らかの組織・団体と連携して運営されています。連携先は社会福祉協議会、地域ネットワーク団体、行政、フードバンク、地縁団体など多岐にわたっています。また食品の提供をはじめ、運営場所や食材以外の物資の提供など、地域からの支援を得ているこども食堂は少なくなく、こども食堂を起点とした地域の資源循環が生まれています。

■物価高をはじめ、認知・イメージと実態のズレ…こども食堂の運営継続を揺るがす課題とは

箇所数・充足率の増加と多様化が進む一方で、こども食堂の活動を継続する上で様々な課題があることが今回実施した調査から明らかになりました。


・運営当事者の困りごと上位は「資金・人材・食材の不足」「必要な人への支援を届けるための広報活動」

「こども食堂での困りごと (複数回答)」については、「運営資金の不足」および「必要な人(貧困家庭など)に支援を届けるための周知・広報」がともに47.2%と最も高いという結果になりました。次いで、「運営スタッフ・ボランティアの不足」が42.2%という結果となりました。特に「後継者不足」は、2019年以前に開始した食堂や運営者が65歳以上の食堂で「一番の困りごと」として多く挙げられており、活動継続の大きな課題となっています。

・今年、大きく注目された物価高騰はこども食堂にとっても大きな負担に

この1年間で「物価上昇による影響を感じている」のは84.7%と、高い割合になりました。またこども食堂運営者の61.9%が「費用負担が増えた」と回答。また、物価上昇の影響を受けて「1年前に比べて開催頻度や料金、食事の内容などを変更していない」という回答が63.6%と最も多くなりましたが、「すでに変更している」という回答が14.2%という結果も出ています。また、参加者が増えたこと(全体30.7%)がさらなる費用増加につながる状況も伺えます。

・「こども食堂」への社会のイメージと現場実態の「ズレ」

こども食堂の役割として社会が大切だと感じている事項は、「子どもの食事提供」「子どもの居場所づくり」に続き、「ひとり親家庭の支援」「子どもの見守り支援(虐待防止)」といった支援目的が上位を占めます。

一方、運営者が活動目的として重視するのは、「子どもの食事提供」「子どもの居場所づくり」に続き、「地域づくり・まちづくり」「多世代交流」といった交流・コミュニティ形成の側面が大きいことが調査からわかりました。社会から求められる役割やイメージと運営側のこども食堂の現場実態におけるズレが、こども食堂の活動の難しさや負荷の一因となっています。

■こども食堂の認知度は約9割、またこども食堂に対するイメージにも変化が

同時に発表された「こども食堂の認知調査2025」では、こども食堂の認知についての質問に対して、86.9%が「知っている(「名前・内容も知っている」+「名前は聞いたことがある」)と回答。しかし、こども食堂の「内容も知っている」と回答した人は48.0%にとどまっています。

また、こども食堂の利用対象については、「生活困窮者(家庭)が行くところ」51.7%、「ひとり親家庭が行くところ」43.6%、「誰もが行くところ」42.5%、「子どもだけが行くところ」40.0%の順に多い結果となりました。「生活困窮者(家庭)が行くところ」は昨年(59.1%)より7.4ポイント減少した一方、「誰もが行くところ」は昨年(36.2%)から6.3ポイント増加しており、全体として「 こども食堂の“ひらかれた場”というイメージも広がりをみせている様子がうかがえます。

【謝辞】

こども食堂の「全国箇所数調査」は、むすびえと自治体・地域ネットワーク団体・こども食堂の皆さんが協力し、毎年実施している調査です。今年度は、ファミリーマートからのご支援(ファミリーマート店頭募金(夢の掛け橋募金)を活用したご寄付)を受け、継続実施することができました。

また、今回の「実態・困りごと調査」および「認知調査」は、2025年4月から6月にかけて実施したクラウドファンディング “1万箇所を超えたこども食堂の「いま」を見える化したい” での301名の皆さまからのご寄付により実施が可能となりました。

ご協力・ご支援いただいた皆さまに改めて感謝申し上げます。

「ファミリーマート夢の掛け橋募金」とは店頭募金をもとに、こども食堂を新たに立ち上げる際に必要な費用を助成するプログラムです。

2023年度から開始した本プログラムでは、これまで全国各地で451カ所のこども食堂の新規開設に活用いただきました。


ふるさと納税について

むすびえでは、東京都渋谷区の「ふるさと納税」を通じた「ふるさと納税型クラウドファンディング」を実施しています。ぜひ渋谷区のふるさと納税の仕組みを活用いただき、私たちの活動を支える仲間になっていただけたらうれしく思います。
【2025年12月末までご寄付を受付中】〜物価高騰でふんばる「こども食堂」。子どもの食と居場所を守りたい! 〜渋谷区のふるさと納税型クラウドファンディング


【こども食堂とは】

地域食堂、みんなの家などという名称にかかわらず、子どもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂。各地で自発的に運営され、多くは子どもを中心に幅広い世代の人たちが食を通じて交流する「みんなの居場所」となっています。地域のにぎわいづくりや高齢者の生きがいづくり、孤独孤立や貧困などの課題の改善にも寄与しています。制度の裏付けはありませんが、箇所数は1万2,601(2025年12月)あることが明らかになっています(参考:全国の小学校は約2万校、中学校は約1万校、児童館は約4,000カ所)。

▼「こども食堂が大事にしていること/これからも大事にしていきたいこと」

https://musubie.org/precious/


【認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ】

代表者 : 理事長 三島 理恵

所在地 : 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-5 リンクスクエア新宿16F

設立 : 2018年12月(2021年5月認定NPO法人取得)

むすびえは、「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」をビジョンに、こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整えるとともに、こども食堂を通じて、多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるように活動しています。具体的には、各地でこども食堂を支える地域ネットワーク支援事業、こども食堂支援を行う企業・団体との協働事業、こども食堂の実態を明らかにし普及・啓発する調査・研究事業という、3つの分野の事業を行っています。2024年度は、のべ3,914団体に約7.0億円の助成を行った他、企業等からの物資等支援をのべ10,532団体へ仲介しました(売価計算で約4.7億円)。

▼「むすびえについて」

https://musubie.org/about/

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会社概要

URL
https://musubie.org/
業種
医療・福祉
本社所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-5 リンクスクエア新宿16F
電話番号
03-6778-8230
代表者名
三島理恵
上場
未上場
資本金
-
設立
2018年12月