2030年まで世界産業サービス市場は年6.5%成長、平均EBIT率27%―OEMに価格改革を提言【A.T. カーニー】

新規設備販売の平均EBIT率11%に対しアフターサービスは27%、10%以上のマージン流出も招く価格課題に5領域で対応

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、製造業のアフターマーケット・サービスにおける成長機会と価格戦略を分析した論考「アフターマーケット・サービス拡大機会の取り込み」(英題:Tapping into the growing opportunity in aftermarket services)を公開しました。

本稿では、高い資本コストを背景に、顧客が新規設備の購入を先送りし、既存設備の性能向上へ支出を振り向ける中、アフターマーケット・サービスが製造業の成長と収益性を支える重要領域になると指摘しています。世界の産業サービス市場は2024年から2030年に年平均6.5%で成長する見通しで、アフターマーケット・サービスの平均EBITマージンは27%と、新規設備販売の11%を大きく上回ります。

一方、多くの自動車・産業財メーカーでは、価格設定能力がなお基礎的な段階にとどまり、顧客・製品ライン・市場間のセグメンテーションや価格の整合が不十分です。本稿は、チャネル間の価格不整合、粗いまたは不正確なアップセル提案、キット化・バンドル化された提案の不足などが重なると、10%以上のマージン流出を含む大きな価値の取りこぼしが生じ得るとし、価格戦略、価格設定、価格実行、価格モニタリングと、それらを支える推進基盤の5領域を示しています。

 

北米の新規機械・設備は年1.12%、世界の産業サービスは年6.5%

北米の機械・新規設備市場は、高金利や経済不確実性を受け、2025年から2029年の年平均成長率が1.12%にとどまる見通しです。これに対し、保守、スペアパーツ、その他の付加価値サービスへの需要に支えられ、世界の産業サービス市場は2024年から2030年に年平均6.5%で成長すると予測されています。世界の航空機アフターマーケット部品市場は同期間の成長率が8.5%と見込まれています。

予測対象の地域や期間は異なるものの、アフターマーケット領域の成長率は多くの市場のGDP成長率を上回ります。米国の経済成長率は2027年から2035年に年平均1.8%と見込まれています。さらに平均EBITマージンはアフターマーケット・サービスが27%、新規設備販売が11%であり、OEMにとって大きな成長機会であることを示しています。

 

図表1 アフターマーケット・サービスの成長・収益性に関する主要指標

価格不整合などで10%以上のマージン流出も、価格能力は5領域で改善

市場環境が追い風でも、OEMがその恩恵を利益へ転換できるとは限りません。ネットワーク拡充、複雑性管理、サプライヤー供給品向けサービスの開発など複数の打ち手がある中で、本稿は、最も取り組みやすく、大きなインパクトが期待できる領域として価格設定を挙げています。

典型的な課題は、販売チャネルごとに価格が異なること、顧客や製品の価値差を十分に反映できていないこと、アップセル提案が粗いまたは不正確であること、補完部品やサービスをキット化・バンドル化した提案が不足していることです。これらの課題が重なると、10%以上のマージン流出を含む大きな価値の取りこぼしにつながり得ます。

改善には、外部市場と顧客を踏まえる「価格戦略」「価格設定」、社内プロセスを変える「価格実行」「価格モニタリング」、そして4つの価格領域を支える「推進基盤」を連動させる必要があります。個別施策ではなく、価格決定から現場実行、継続的な改善までを一つの仕組みとして設計することが重要です。

 

図表2 アフターマーケット・サービスの価格設定能力を高める5領域

価値ベース価格、自動化、バンドル・アップセルで収益機会を取り込む

価格設定では、コストに一定の上乗せを行う「コストプラス」、競合価格を基準とする「市場基準」、顧客が認識する価値と支払意思額を起点とする「価値ベース」を、製品特性や競争環境に応じて使い分ける必要があります。独自性が高い部品やサービスでは、初期価格、運用コスト、保守要件、信頼性などの価値ドライバーを競合と比較し、顧客価値に基づいて価格を設計することが利益最大化につながります。

価格の実行段階では、権限委譲と値引き承認のガバナンス、契約管理、交渉力を整備し、価格支配力を維持することが求められます。モニタリングでは、数量と価格だけでなく、製品・顧客セグメント別のマージンや、営業担当者ごとの価格乖離まで追跡することで、市場変化への迅速な対応が可能になります。

価格チームの育成、価格実現度とマージンに連動した営業インセンティブ、堅牢なデータ基盤と高度な価格ツールは、4つの価格領域を支える推進基盤です。自動価格ツールがデータ取り込み、価格計算、承認、価格管理、分析・最適化をつなぐことで、手作業を減らし、価格判断の一貫性を高められます。

 

バンドリングとアップセルで顧客をOEMのエコシステムへ取り込む

複数の部品やサービスを一体で提供するバンドリングは、補完商品の購入を促し、販売量とマージンを高めるとともに、競合との差別化や顧客満足の向上につながります。より高価値な部品や追加コンポーネントを提案するアップセルは、マージンを損なわずに注文額を引き上げ、競合の市場シェアを取り込む手段となります。

市場や顧客の嗜好が変化する中、OEMは価格戦略を継続的に評価・精緻化し、社内外で価格を整合させる必要があります。定期的な価格最適化は、利益率の防衛・拡大に加え、既存顧客の維持、新規顧客の獲得、長期的な競争優位の構築を支えます。

論考について

-論考名:「アフターマーケット・サービス拡大機会の取り込み」(英題:Tapping into the growing opportunity in aftermarket services)

-URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/tapping-into-the-growing-opportunity-in-aftermarket-services

 

監修者

-竹村 文伯 シニア パートナー

東北大学工学部卒業、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修士。松下電器産業(現パナソニック)を経てA.T.カーニーに入社。日本の大手製造業、主にエレクトロニクス、機械メーカーを中心に、経営戦略、組織、事業戦略、新規事業展開、M&A等のコンサルティングに従事。

 

-西川 覚也 シニアパートナー

東京大学工学部卒。特許事務所を経て、A.T. カーニー入社。現在の技術軸に新しい技術軸を足して、需要を創造するM&A戦略、IoTを梃にした新しい価値の創造(ビジネスモデル、オペレーションモデル)を支援。

 

A.T. カーニーについて

 A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、あらゆる主要産業のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。詳しくはWebサイトをご覧ください。www.jp.kearney.com

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月