“作れる材料候補”を選び抜く合金MI(マテリアルズ・インフォマティクス)探索システムを自社構築、複数材料系で動作確認
AIが出す候補を「実際に作れるものだけ」に最初から絞り込む仕組みを自社開発し、宇宙用途を含む複数の材料系で動作を確認

宇宙系ディープテックベンチャービルダーであるスペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾、以下「当社」)は、本日2026年5月30日、AIとアルゴリズムを活用した合金材料の探索システム「マテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)探索システム」を構築したことを報告します。
本システムは、AIが提案する大量の材料候補を「実際に製造装置で作れるものだけ」に最初から絞り込み、有望な候補を出力するまでを一気通貫で行うソフトウェアです。当社はこれを実際に動作する状態までつくり上げ、宇宙用途を含む複数の材料系で候補の絞り込みを実行できることを社内で確認しました。当社は「SFをノンフィクションにする」をミッションに掲げ、2040年までに人類が宇宙空間で居住するために必要な技術を揃えることを長期目標としており、本システムはその実現を支える素材開発基盤の中核を担います。
背景:宇宙でのものづくりから、地上での材料設計へ
当社は「研究支援で宇宙を目指す」ことを掲げ、宇宙利用研究を軸にディープテックの事業化を進めています。その出発点のひとつが、「宇宙空間でものづくりを行う」「宇宙空間における居住空間を守る素材をつくる」「月面でものづくりを行う」という構想です。
こうした環境で素材を生み出す手段として、当社は早くから焼結(SPS:放電プラズマ焼結)技術に強い関心を寄せてきました。粉末を短時間で緻密な固体へと焼き固める焼結は、限られた資源とエネルギーのなかで素材を成形する宇宙・月面のものづくりと親和性が高い技術です。当社はこの焼結を起点とした素材開発を、まず地上で開発・検証する道筋を描いています。
この関心と非常に相性が良いのが、今回構築したMI探索システムの基盤となるMIです。MIは、AIをはじめとするデジタル技術を用い、膨大な材料の組み合わせのなかから有望な候補を効率よく絞り込む、データ駆動型の材料設計アプローチです。実験と経験の積み重ねに頼ってきた従来手法とは異なる切り口で、材料探索のスピードと精度を引き上げます。

今回の成果:合金MI探索システムを構築
今回当社が構築したのは、合金材料の探索を一気通貫で行うMI探索システム(ソフトウェア)です。本システムは、(1) AIが多数の材料候補を生成し、(2) そのうち「自社の製造装置で実際に作れるもの」だけを最上流で絞り込み、(3) 有望な候補を出力する、という一連の流れを自動で進めます。「計算上は優れていても実際には作れない候補」を最初から外すことが、本システムの最大の特長です。
当社は本システムを、机上の構想にとどめず、実際に動作する状態まで構築しました。社内で実装し、探索から「作れる候補」への絞り込み、有望候補の出力までが一連で動作することを確認しています。さらに、宇宙用途を含む複数の材料系について、本システムで候補の絞り込みを実行できることも確認しました。
当社は本システムを、特定の用途に閉じない汎用の材料探索基盤として位置づけ、適用範囲を広げていきます。なお、本システムの具体的なシミュレーション内容や個別の探索結果については、追って報告します。
ソフトとハードの接続:設計から検証へ
本システムの価値は、設計(ソフト)と検証(ハード)が噛み合う点でさらに高まります。
当社は、焼結(SPS)による材料検証の枠組みづくりを、協力先とともに進めています。MI探索システムが出力した「作れる候補」を、この焼結の仕組みに乗せることで、設計から実機検証までをスムーズに、かつハイスループット(多数を高速に検証)でつなげられます。この一気通貫性が、当社のアプローチの特長です。
ソフトで賢く設計し、ハードで素早く確かめる。この往復を速く回せることが、材料開発全体のスピードを決めると当社は考えています。

想定される活用シーン
当社のMI探索システムは、「AIが出す候補の多くが実際には作れない」という材料開発の悩みに応えるとともに、軽さ・強さ・耐熱のように相反する条件を同時に満たす素材の設計にも力を発揮します。
シーン1:装置で「作れる候補」だけを最初から探す
AIに材料を提案させると、計算上は高性能でも自社の製造装置では再現できない組成が大量に混ざり、研究者は「試しては作れなかった」を繰り返しがちです。当社のアプローチは、探索の最上流に「装置で作れる条件のゲート」を置き、AIが出す候補を最初から実際に作れるものだけに絞り込みます。作れない候補に検証コストを払う空振りを構造的に減らし、本当に試すべき候補へ集中できます。
シーン2:宇宙で使う「軽くて・丈夫で・熱に耐える」素材を設計する
宇宙機の構造材、宇宙居住モジュールを守る外壁材、そして将来の月面でのものづくりでは、打ち上げコストのために「とにかく軽く」したい一方、苛烈な荷重や温度差に耐える「丈夫さ」「耐熱性」も欠かせません。これらは互いに相反しやすく、満たすべき条件が増えるほど人手の試行錯誤では最適点を見失います。当社は軽さ・強さ・耐熱という複数の目標を同時に扱い、どれかを犠牲にせず釣り合う候補群だけを取り出します。さらに探索の最上流で「実際に作れる範囲」に絞り込むため、選び抜いた候補をそのまま実証の枠組みへ渡せます。

今後の展開:素材開発の立場から、ソフトもハードも
当社は今後、半導体をはじめとする各種の新素材分野に対して、素材開発という立場から、ソフト(設計)とハード(検証)の両面を含めた提案ができる体制を目指します。今回構築したMI探索システムは、そのソフト面を担う基盤の第一歩にあたります。
なお、関連技術について特許出願も行っており、出願した技術は追ってご報告します。
代表コメント
当社代表取締役の鈴木健吾は、次のようにコメントしています。
「『計算上は良くても、実際には作れない』――材料開発の現場が抱えるこの壁を越えるために、AIの提案を最初から“作れる候補”だけに絞り込む探索システムを自分たちの手で作り上げ、実際に動くところまで確かめました。私たちが見据えているのは、宇宙でものづくりをし、人が宇宙で暮らせる時代です。その時代に必要な素材を、いま地上で設計し、確かめておく。AIで賢く設計し、焼結で素早く検証する。この往復を速く回せる基盤を起点に、新素材開発のスピードを大きく引き上げ、当社のミッション『SFをノンフィクションにする』を一歩ずつ現実にしていきます。」
スペースシードホールディングス株式会社について
スペースシードホールディングス株式会社は、研究シーズを自ら探索し社会に実装する宇宙系ディープテックのベンチャービルダーです。2024年1月の設立以来、「SFをノンフィクションにする」をミッションとし、2040年までに人類が宇宙空間で居住するために必要な技術を揃えることを長期目標に、宇宙利用研究事業「SPACE LAB.」をはじめとするディープテック領域の研究開発・事業化に取り組んでいます。地上での研究開発と将来の宇宙でのものづくりを地続きのものととらえ、素材・発酵・医学など多様な分野で、社会実装に資する技術づくりを進めています。
会社概要
社名:スペースシードホールディングス株式会社(Space Seed Holdings Inc.)
本社:東京都港区浜松町二丁目2番15号 浜松町ダイヤビル2F
代表者:代表取締役 鈴木 健吾
設立:2024年1月
事業内容:宇宙利用研究事業(SPACE LAB.)ほか、ディープテック領域の研究支援・事業化
ミッション:SFをノンフィクションにする
公式サイト:https://ss-hd.co.jp/
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