アツギと弘前大学、体形補正下着の着用が体重減少につながる可能性を発見 共同研究論文は国際学術雑誌に掲載 美意識・ファッションの力が健康増進への行動変容を促すことを示唆
本研究結果は、アツギ株式会社が2018年に弘前大学大学院医学研究科に設置した共同研究講座「健康と美 医科学講座」において、井原一成教授の監修のもと研究デザインした共同研究によるものです。
※1 体格指数 [BMI] ≥ 25 kg/㎡ ※2 試験開始時点から12週間後時点で3%以上の減量
https://www.mdpi.com/2227-9032/11/7/942
【アツギにおける研究の背景】
アツギは日本国内における女性向けの実用衣料やファッションを主な事業領域としてきましたが、少子高齢化・人口減少が進む社会においてターゲット人口も減少し続けています。そこで自社の技術を生かして新しい価値を創出し、事業領域を発展させ、より広く社会に貢献することを目指し、会社設立70周年の節目である2017年に、健康分野での価値創出を目指すことを決めました。その取り組みの一例が、翌2018年から着手した本研究で、アツギにとって初めてとなる医学的基礎研究です。
健康増進分野の産学官連携では、当時既に弘前大学COI ※3が卓越しており、「日本一の短命県」青森県において短命県返上を掲げ、健康増進に関する先進的研究を行い、生活習慣病予防法の開発と社会実装を目指していました。当時青森県むつ市に生産拠点を持っていたアツギは、生産拠点の従業員や地元自治体の皆様とともに健康増進の研究と短命県返上活動を進める意義も大きいと判断し、2018年から弘前大学COIに参画し、本研究をスタートさせました。
※3 弘前大学では、2013年に文部科学省・JST(科学技術振興機構)による「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」に採択され、超多項目健康ビッグデータを解析することで、認知症・生活習慣病などの早期発見を可能にし、予防方法の創出と検証を行い、その成果を社会実装する研究活動を弘前大学COI拠点で展開しました。(2013~2022年、拠点長:学長特別補佐/大学院医学研究科 特任教授 中路重之) なお、弘前大学は2022年10月に文部科学省・JST「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択され、これまでの弘前大学COI拠点の成果を発展的に承継し、持続的に成果を創出する自立した産学官共創拠点の形成を目指しています。
【今後の展望】
アツギは現在、従来のレッグウェア・インナーウェアのカテゴリーを超えた、フィールウェア(肌に心地よい・心に響く衣料)を提供する企業を目指しています。今回の研究結果は、体形補正下着の着用という、美意識やファッションの持つ力が人の行動を変え、肥満の改善・健康増進に寄与する可能性を示したものです。
アツギはお客様の「心に響く衣料」を提供することで、お客様に気づきと感動をもたらす、新しい価値を創出し、将来的には健康増進の分野においても社会に貢献できる企業を目指します。
添付資料
この資料は、アツギ株式会社と弘前大学大学院医学研究科 井原一成教授の研究グループがまとめた論文“Body Compression Corrective Garment and Eating Behavioural Change for Weight Reduction: The Mutsu City Randomised Controlled Trial”の内容について、参考用に要旨を日本語で簡易に紹介するものです。正確な内容は学術雑誌「Healthcare」掲載論文をご参照願います。
https://www.mdpi.com/2227-9032/11/7/942
【背景】
肥満は、心血管代謝疾患とその死亡の原因としてよく知られており、肥満の有病率を減らすことは社会課題の一つです。そこで生活習慣を変えることで体重を減らす様々な非薬物的介入法が開発されていますが、その中心は動機付け、目標設定、セルフモニタリングなどの行動変容テクニックを含む行動変容プログラムです。しかし行動変容プログラムの参加者にとっては時間的・心理的・経済的に様々な負担が生じるため、参加者がプログラムを開始して継続するためには、動機付けが重要です。
そこで今回、生活習慣の変化のための従来の減量介入プログラムに、ポジティブな外観、健康、および認知行動効果を統合するために開発された体形補正下着を導入しました。研究グループでは、体形補正下着が開始や継続のモチベーションツールとして機能することを期待していました。着用によって身体が軽く引き締められることで見た目が良くなり、その引き締めで健康が阻害されないことは、肥満の方が行動変容プログラムに参加する動機づけになります。体形補正下着の毎日の着用を含むこの新しいプログラムにより、参加者は意識的に自分の体型を感じ、生活習慣を変えるための持続可能な努力を促進する可能性があります。その結果、より魅力的な身体的外観になれそうだという見込みが、行動変化の強力な動機となる可能性があります。したがって、この研究の目的は、体形補正下着を12週間にわたる体重減少行動変容プログラムに組み込んだ試験の効果を判定することとしました。
【結果】
肥満症診療ガイドラインの減量目標である元の体重から3%以上の減少を基準とし、試験開始時点から3%以上減量した方を減量成功群としました。
1. 対象者の試験開始時点の特徴に有意な差はありませんでしたが、体形補正下着を取り入れた行動変容プログラムを実施したところ、対照群に比べて介入群の減量効果が統計学的に有意に大きく、12週の間に、介入群では対照群よりも1.3kg多く体重が減っていました。 (p < 0.05、反復測定混合モデル)。※1) ※1)p値 : 仮説の検証に用いる確率のこと。5%未満の確率(p値<0.05)の場合は有意性が認められる。
(表について)†、介入群の参加者数は試験開始時点で35人、12週目に32人でした。 ‡、介入群(n=35)と対照群(n=34)の測定値の変化の差を反復測定混合モデルで分析して、P<0.05。
2.減量成功の有無は、身体活動時間ではなく、体型補正下着着用日数と関連していました(12週間までの各一週間の下着着用日数の記録日誌を返却してくれた人について分析)。これとは別に、介入群は対照群に比べて食行動が改善していることも明らかになりました。「体型補正下着を着用し続けたことが減量に結びついている」と実感したことが、自主的な健康管理能力の向上につながった可能性があります。(肥満症診療ガイドラインの減量目標である元の体重から3%以上の減少を基準とし、試験開始時点から3%以上減量した方を減量成功群としています。)
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