【2023年度キャリア意識調査】従業員のキャリア展望を高めるには「組織のあり方」への着目が重要
組織に対する否定的な認識が要因となり、勤務先でのキャリア展望は高くない結果に
概要
・組織内でのキャリア形成を望みながらも、勤務先におけるキャリア展望は高くない。
・勤務先がキャリア形成を直接的に支援する施策に対しては、期待値も満足度もそれほど高くない。
・「組織のあり方」を見直すことで、企業の行う様々な支援がキャリア展望を高めることにつながってくる。
調査概要
・データ収集期間:2023年12月1日~2023年12月3日
・データ収集方法:WEB調査
・回答数:208件
・対象者:従業員規模1,000名以上、正社員、最終学歴大卒以上
調査結果
<従業員の仕事観や勤務先でのキャリア展望の現状>
大手企業に所属する従業員の仕事観、勤務先でのキャリア展望の現状について、組織内でのキャリア形成は望みながらも、勤務先におけるキャリア展望は高くないことが考えられる。
(1)同じ部署で長く働き、「キャリアアップしたい」とキャリアプランを抱きながらも、具体的なキャリアは描けていない
「特定の部署で長く働きながらキャリアアップ」を望む項目は、約3割と最も高い結果に。一方で、「具体的なイメージがない」「考えたことがない」の回答が続き、キャリアを具体的には描けていない層も一定数いることがわかる。
(2)組織内でのキャリア形成を望みながらも、勤務先におけるキャリア展望は高くない
勤務先におけるキャリア展望を5段階で尋ねたところ、肯定的な評価よりも否定的な評価(青枠囲み)の割合が約1割程度を上回る結果に。
<企業のキャリア支援策がキャリア展望に及ぼす影響>
企業が従業員に対して実施する組織内でのキャリア形成支援を目指す取り組みは期待値も満足度も高くないと考えられる。
(3)勤務先がキャリア形成を直接的に支援する施策に対しては、期待値も満足度もそれほど高くない
従業員の満足度として、「ワークライフバランス」「勤務地選択」「テレワーク」「定時までの勤務」など、仕事とプライベートの両立支援に対する期待は高いものの、満足度は平均を少し下回る結果に。また、安定的に働くことを希望する従業員の現状に対し、それを支援する勤務先の支援策に対しては期待値が高く、かつ満足もしており、その環境下で仕事への「やりがい」「興味・楽しさ」「成長機会」「適性に合った仕事」にはある程度満足している傾向にある。一方で、「キャリア形成を意識した異動・配置」「キャリア面談」「自己主導による異動」「副業の推進」など、直接的なキャリア形成支援は期待値も満足度も平均値を下回っている。
(4)安定的な働き方、仕事とプライベートの両立支援はキャリア展望を高める重要施策にはならない可能性がある
自身が従事する仕事に対する認識とキャリア展望は総じて高い相関がみられるが、安定的な働き方や仕事とプライベートの両立を支援する項目については、キャリア展望との相関は低い結果となった。
<組織としてのあり方がキャリア展望に及ぼす影響>
これまでの調査より、企業は安定的な働き方や仕事とプライベートの両立支援により、従業員の「安定した環境でプライベートも大事にしながらマイペースに働きたい」ニーズに応えている一方で、必ずしもキャリア展望を高めることにはつながっていない可能性があることがわかった。従業員のキャリア展望は、企業のキャリア支援と合わせて、管理職や人事部・経営者がつくる「組織のあり方」によって、従業員の心理や行動も規定されると考えられる。
※本レポートにおける理想の「組織のあり方」とは、「人としての器」の先行研究を参考に、心の余裕や感覚的な豊かさに関連する「感情」、相手を尊重し包み込もうとする「他者への態度」、信念やチャレンジに関わる「自我統合」、広い視野・高い視座に関わる「世界の認知」という四つの観点を踏まえて、多様な従業員のことを受け入れる組織のあり方と定義した。
参照:羽生琢哉・高橋香・前野隆司(2022) 「「人としての器」に関する探索的検討」『経営行動科学学会第25回年次大会発表論文』
〇「組織のあり方」を確認する指標
本設問以降では、「所属する組織を人に例えると、現在の組織はどのような性格を持っていると捉えていますか?」という設問に A /B のどちらにより当てはまるかを6段階で回答してもらった。( 【 A 】 に近いほど、また成熟していない組織、 【 B 】 に近いほど理想の組織を意味する。)
(5)所属する組織を理想の組織と認識している群は、そうではない群に比べキャリア展望を高く感じている
(6)「組織のあり方」が理想にあると認識している群では、上司のマネジメント・リーダーシップに対して、高く満足している。
「組織のあり方」が理想にあると認識している群では、総じてキャリア形成に影響する各項目に対する満足度が高い結果となった。特に「役割の明確さ」「上司のマネジメント」「上司のリーダーシップ」に対する満足度は、そう認識していない群との差分が大きく出ている。
(7)「組織のあり方」を理想につなげることで、企業が行う様々な支援策がキャリア展望を高めることにつながってくる
「組織のあり方」が理想にあると従業員が認識することで、従業員は企業の提供する環境・支援策を存分に生かしつつ、仕事へのやりがいを高めていくことが調査により明らかとなった。管理職や人事部・経営者のあり方と同時に、従業員一人ひとりのあり方・関係性に着目していくことで従業員のキャリア展望を高めることができると考えられる。
詳細については、こちらよりお問い合わせいただけます。( https://service.alue.co.jp/report/career-2023 )
上司のマネジメントやリーダーシップに関する研修事例
<日本曹達株式会社様>
階層別に研修を実施することで相応しい視座を獲得
https://service.alue.co.jp/case/nippon-soda
管理職向け研修プログラム
当社は、新任管理職向けをはじめとする、数多くのプログラムを提供しています。そのうちとくに、管理職に未来志向への切り替えを促すものが「マネジメント・ジャーニー」です。
<管理職向けアンラーニングプログラム「マネジメント・ジャーニー(自己変革)」>
現在の管理職層に多く見られる、従来の手法によって育成され、仕事に熟達した社員が、過去の成功体験から脱却し、自身の価値観や信念の一部を変更、もしくは手放し、しなやかさを身につけ、変化に適応する力を向上させることを主眼に置いたプログラム
<管理職向けマネジメント変革研修プログラム「マネジメント・ジャーニー(組織変革)」>
管理職が、自己変革という内面の変革だけでなく、他者の視点を取り入れ課題設定を行い、その解決に向けた目標設定・計画立案を行う力を身につけることを目的とする、組織変革力向上プログラム
(管理職向け研修紹介ページ:https://service.alue.co.jp/service/level-specific/chief)
アルー株式会社について
アルー株式会社は、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます ― all the possibilities
―」という Mission のもと、『育成の成果にこだわる』ことをテーマに、人材育成支援事業を行っています。 新入社員から経営者層までの幅広いレイヤーに対する階層別研修の実施をはじめ、グローバル人材や DX 人材の育成などのテーマ別教育プログラムの提供、さらにはラーニングマネジメントシステム「etudes」を用いた e ラーニングの提供などを通して、 組織や個人の成長を人材育成の側面から支援しています。 顧客ごとに個別最適化されたソリューションの提案および実施によって顧客企業の多様な課題を解決することを目指し、グループ全体で事業に取り組んでいます。
本件に関するお問い合わせ先
・アルー株式会社 コーポレート部 Tel 03-6268-9791
・ホームページお問い合わせフォーム https://mkt.alue.co.jp/l/882713/2021-03-18/xjpp
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