なかよし学園、国連ACUNS国際学術会議で3回目の登壇
「世界とつながる学び」が、Pact for the Future時代の草の根平和構築モデルとして国際会議で紹介されました
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、2026年7月1日から3日にポルトガル・リスボンで開催された「第39回 ACUNS Annual Meeting」において、代表・中村雄一、事務局長・中村里英が登壇し、日本の学校教育と世界の現場をつなぐ教育モデル「CoRe Loop(Co-create & Return Loop Model)」について発表しました。

ACUNS(Academic Council on the United Nations System)は、国連システムに関する研究者・実務家・政策関係者が集う国際的な学術ネットワークです。2026年の年次大会は、Universidade NOVA de Lisboaを会場に、「Multilateralism under Challenge and the Future of the Pact」をテーマとして開催され、国連システムが直面する多国間協力の危機と、Pact for the Future以降の実装課題について議論が行われました。
国連では2024年9月、「Pact for the Future(未来のための協定)」が採択され、持続可能な開発、平和と安全保障、人権、若者・未来世代、グローバル・ガバナンス改革などを包括する新たな国際協力の方向性が示されました。 しかし、国際会議で掲げられる理念が、実際にどのように地域社会や学校、子どもたちの日常に届くのかは、ポストSDGs時代における大きな課題です。
なかよし学園は、この「宣言と実装の距離」を埋める実践モデルとして、日本の教室で生まれた学びを世界の教育現場に届け、その反応を再び日本の教室へ返す「世界とつながる学び」を発表しました。

国連の理念を、子どもたちの行動に変える「CoRe Loop」
今回の発表テーマは、「Cultivating Grassroots Multilateralism through Education — The CoRe Loop Model as a Research–Policy Tool」。
中村雄一は、国際会議の場で次の問いを提示しました。


「もし、多国間主義が教室から始まるとしたら?」
多国間主義は、通常、国際機関や外交交渉、条約、決議の中で語られます。しかし、国際協力を支える市民社会の土台は、ある日突然生まれるものではありません。遠く離れた誰かの存在を知り、文化や立場の違いを越えて協力し、自分にできる行動を考える経験が必要です。

なかよし学園が提唱する「CoRe Loop」は、日本の子どもたちが世界の課題を学び、教材やメッセージ、石けん、防災教材、平和カルタ、クイズカード、フライングディスクなどを制作し、それをなかよし学園が世界の学校や難民キャンプ、紛争後地域へ届け、現地で授業として実装し、その反応を日本の教室へ返す循環型の教育モデルです。
この流れは、Create、Deliver、Co-create、Returnの4段階で構成されます。日本の子どもたちは世界の課題を学び、教材やメッセージを作成し、それが海外の学校や紛争後地域に届けられ、現地の子どもたちと先生が授業で活用し、写真・動画・感想・感謝状などのフィードバックが日本の教室に戻ります。

従来の国際協力が「支援する側」から「支援される側」へ物資を届ける一方向のモデルになりやすいのに対し、CoRe Loopでは、学びが必ず戻ってきます。そのため、日本の子どもたちは「自分たちの行動が世界の誰かの役に立った」ことを実感し、現地の子どもたちもまた、日本の子どもたちに学びや反応を返す主体となります。
なかよし学園は、この循環を「寄付」ではなく「相互学習」として位置づけています。

「Peace can be practiced, tested, and returned」
発表の中で中村雄一は、平和は国際機関の会議室だけで交渉されるものではなく、教室の中で実践され、検証され、返ってくるものだと説明しました。




なかよし学園の発表資料では、CoRe Loopを「研究・政策ツール」として整理し、学校教育、地域社会、国際現場をつなぐ再現可能なモデルとして提示しました。発表では、平和教育を「よい話」や「感動的な交流」にとどめるのではなく、誰が何を作り、どこへ届けられ、どの授業で使われ、どのような反応が返ってきたのかを記録する「トレーサビリティ」の重要性も示しました。

これは、Pact for the Futureが求める「国際目標を現場で実装する力」に対して、学校教育から応答する取り組みです。国連の掲げるSDGs、平和、人権、インクルージョン、未来世代といった大きな言葉を、子どもたちが理解し、手を動かし、世界とつながる行動に変えていく。なかよし学園は、その実装装置としてCoRe Loopを提示しました。
50校・1万人規模の実践から生まれた、草の根の多国間主義
なかよし学園の「世界とつながる学び」は、これまで全国50校以上、年間約1万人の児童生徒・教職員が参加する規模へと広がってきました。発表資料では、10か国の海外フィールド、11,000点以上の学習成果物、193種類の教材、500件以上の海外実装事例が整理されています。
これらの実践は、日本の各地域で日常的に行われている学びが、世界の平和構築や教育支援に変わることを示しています。
広島の子どもたちが作った石けんは、ルワンダやネパールでWASH教育に活用されました。日本の子どもたちが作った平和カルタは、シリアの大学や難民キャンプで対話の教材となりました。岐阜県安八町の防災BOOKや新聞紙スリッパは、ネパールの学校で防災教育として実装されました。長崎県対馬市やオイスカ浜松国際高校の海洋プラスチック学習は、リサイクルフライングディスクとアルティメットを通じたスポーツ平和教育へ展開されています。
いずれの事例にも共通しているのは、地域の学びが世界の現場で使われ、その結果が日本に返ってくることです。
これは、国際協力を一部の専門家や外交官だけのものにせず、子ども、先生、学校、地域が参加する「草の根の多国間主義」です。



「支援される側から、支援する側へ」インクルーシブ教育として国際的にも評価
なかよし学園の取り組みは、インクルーシブ教育の観点からも国際的に注目されています。
UNESCOとEuropean Agency for Special Needs and Inclusive Educationが関わる国際的な知見プラットフォーム「Inclusive Education in Action」では、広島市立広島特別支援学校となかよし学園の取り組みが、「From being supported to becoming supporters」として紹介されています。これは、障害のある子どもたちや支援を受ける立場に置かれやすい子どもたちが、世界の子どもたちを励まし、教材を作り、平和の担い手になるモデルです。


なかよし学園は、障害のある子どもたちを「支援される存在」としてだけ見るのではなく、世界に貢献する主体として位置づけています。日本の特別支援学校の子どもたちが制作した平和ポスターや教材が、ルワンダ、カンボジア、シリア、ネパールなどの子どもたちに届き、その反応が日本へ返ってくる。この循環によって、子どもたちは「自分も誰かの力になれる」という実感を得ます。
これは、「誰一人取り残さない」という国連の理念を、学校教育の中で具体的に実行する取り組みです。
中村里英が語った、日本の教職員の意識改革
今回の発表では、事務局長・中村里英もショートスピーチを行い、「世界とつながる学び」が日本の教職員にもたらす変化について語りました。
日本の学校現場では、先生方が多忙な中で新しい教育活動に取り組むことは簡単ではありません。しかし、なかよし学園の活動では、先生方が子どもたちと一緒に目を輝かせながら、世界に届ける教材やメッセージを作り、現地から返ってくる反応に心を動かす姿が各地で見られています。
中村里英は、こうした変化を「これからの日本の教育に必要な姿」として紹介しました。
「日本の質の高い教育を世界へ」。
この言葉は、単に日本の教育を海外へ輸出するという意味ではありません。日本の教室で行われている探究、防災、平和、人権、環境、食育、ものづくり、地域学習を、世界の子どもたちと共有し、その反応を受け取ることで、日本の子どもたちと先生方自身も学び直すという意味です。
発表後、なかよし学園が持参した防災カルタ、クイズカード、海洋プラスチックリサイクルフライングディスクは、各国の研究者・実務家から大きな関心を集めました。国際会議の参加者が手に取り、質問し、実際に活用方法を尋ねる姿は、日本の教室で生まれた教材が、国際的な教育・平和構築の場でも通用することを示すものでした。


中村雄一、国際会議で議長を務めるなかよし学園は「登壇者」から「議論をつくる側」へ
今回のACUNS Annual Meetingにおいて、中村雄一は発表者としてだけでなく、セッションのChair、議長も務めました。
なかよし学園にとってACUNSでの登壇は今年で3回目となります。これまで日本の一NPOとして、現場実践を国際会議で報告してきたなかよし学園は、今回、国際的な研究者・実務家が集まる場で議論を整理し、登壇者をつなぎ、セッションを進行する役割を担いました。
これは、なかよし学園が単に「日本の教育実践を紹介する団体」ではなく、国連システムや国際協力の未来を考える議論の中で、実践知を持つ重要なアクターとして認識され始めていることを示しています。
国連が抱える課題は、理念を掲げることから、いかに現場へ届けるかという段階へ移っています。Pact for the Futureが掲げる未来世代への責任、SDGsの先を見据えた社会づくり、平和構築、人権、包摂、教育の質。そのすべてに共通するのは、「誰が、どこで、どのように実装するのか」という問いです。
なかよし学園は、その問いに対し、日本の教室と世界の教室をつなぐことで答えています。

国連の大きな言葉を、子どもたちの「今日できる行動」へ
なかよし学園が作成した国内向け教材「世界とつながる学びは、未来をつくる力になる」では、国連が大切にする「戦争をなくす」「人権を守る」「貧困をなくす」「教育を広げる」「地球環境を守る」「誰一人取り残さない」という理念を、子どもたちにもわかる言葉で整理しています。
同資料では、国連の大きな言葉と現場の学びの間にある距離を示し、SDGs、Leave No One Behind、Future Generations、Inclusion、Peacebuilding、Human Rightsといった概念を、学校や教室の中で理解できる学びに変える必要性を説明しています。
なかよし学園の役割は、まさにここにあります。
国連の言葉を、子どもたちが手を動かせる教材へ。
国際会議の理念を、先生が明日から使える授業へ。
世界の課題を、地域の学びとつながる行動へ。
そして、日本の子どもたちの小さな行動を、世界の誰かの喜びへ。


「世界は遠くにあるものではない。私たちの教室とつながっている。」
なかよし学園は、世界とつながる学びを通して、子どもたちが未来を待つ存在ではなく、未来をつくる主体になる教育を実践しています。

代表 中村雄一 コメント
今回のACUNS国際学術会議では、なかよし学園がこれまで日本各地の学校と取り組んできた「世界とつながる学び」を、国連システムの課題と接続して発表することができました。
国連はPact for the Futureを採択し、未来世代、平和、人権、持続可能な開発を改めて世界に呼びかけています。しかし、その理念を現場に届ける仕組みがなければ、子どもたちの生活は変わりません。
私たちは、日本の教室で生まれた学びが、世界の教室で使われ、その反応が日本へ戻ってくる仕組みをつくってきました。これは小さな活動に見えるかもしれませんが、子どもたちが遠くの誰かを思い、自分にできることを考え、行動する経験は、未来の多国間協力を支える市民社会の土台になります。
平和は会議室だけでつくられるものではありません。教室で実践され、世界で検証され、もう一度教室へ返ってくるものです。なかよし学園はこれからも、日本の子どもたち、先生方、地域の皆様とともに、草の根から世界平和を実装していきます。

事務局長 中村里英 コメント
今回の発表を通して、世界の研究者や実務家の方々が、日本の子どもたちが作った防災カルタやクイズカード、海洋プラスチックリサイクルフライングディスクに強い関心を示してくださいました。
日本の先生方は、日々本当に忙しい中で、子どもたちと向き合い、学びをつくっています。その学びが世界の子どもたちの笑顔につながり、現地から反応が返ってきたとき、先生方の表情が変わります。子どもたちと一緒に「もっとできることはないか」と考える姿が生まれます。
世界とつながる学びは、海外の子どもたちのためだけの活動ではありません。日本の子どもたちにとっても、先生方にとっても、自分たちの学びの価値を再発見する時間です。
日本の質の高い教育を世界へ。そして、世界から返ってくる学びを日本の教室へ。これからも、子どもたちと先生方が目を輝かせる教育を、世界中の仲間とつくっていきたいです。

今後の展開
なかよし学園は、今後も全国の小中高校、特別支援学校、自治体、企業、地域団体と連携し、「世界とつながる学び」を展開していきます。
防災、平和、WASH、食育、環境、スポーツ、人権、インクルーシブ教育など、日本の学校や地域で育まれてきた学びを、世界の教育現場で実装し、その成果を日本へ返すことで、子どもたちが世界平和の当事者となる循環を広げていきます。
国連が掲げるPact for the Futureの実現には、国家や国際機関だけでなく、地域、学校、先生、子どもたちの参加が不可欠です。
なかよし学園は、日本の教室から世界の未来をつくる「草の根の多国間主義」を、これからも実践していきます。

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトについて
なかよし学園プロジェクトは、「日本の学びで世界の学びを応援する」をテーマに、国内外で教育支援・平和構築活動を行うNPOです。日本の学校で生まれた教材、作品、地域資源、探究学習の成果を、海外の学校、難民キャンプ、紛争後地域、貧困地域などで授業として実装し、その反応を日本の教室へ返す「CoRe Loop」を展開しています。
活動地域は、ルワンダ、シリア、カンボジア、ネパール、東ティモール、南スーダンなど世界各地に広がり、国内では全国の小中高校、特別支援学校、自治体、企業、地域団体と連携しています。
公式サイト:
https://nakayoshigakuen.org
CoRe Loop紹介ページ:
https://nakayoshigakuen.org/coreloop
これまでのニュースリリース:
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/166170
すべての画像
