日常的な抗酸化、抗炎症が可能な電解水素水に期待 電解水素水による包括的腎臓病対策研究の総説論文を発表
抗酸化に関する専門誌「Antioxidants」に掲載
※1 電解水素水は、水道水を整水器で浄水・電気分解することで得られる、弱アルカリ性で分子状水素
(molecular hydrogen)を含む飲用の水。
概要
この総説論文では、急性腎臓病、慢性腎臓病、末期腎不全患者の血液透析療法に対する電解水素水の応用研究の成果をまとめ、世界的に行われている水素分子(H2)の生体への影響評価研究成果と照らし合わせ、その推定作用機序や今後の展望等に関して述べられています。
要点
(1)電解水素水による抗酸化の推定作用機序
①化学反応と②生物学的反応の複合機構が推定されました。
①:生体内に発生した活性酸素種の一つであるヒドロキシラジカル・OHと電解水素水中の水素分子(H2)から発生したH・(反応性の高い水素)との化学反応によるH2Oへの変化による消去作用。
②:生体内の酸化ストレス応答機構の活性化{具体的には、酸化ストレス応答物質であるNrf2-Keap1複合体のチオール基(-SH)と電解水素水中の水素分子(H2)から発生したH・との反応によるNrf2による生体抗酸化機構(※2)の活性化}。
※2 Nrf2による生体抗酸化機構:この機構が活性化することで、抗酸化に関与する200以上の抗酸化分子や抗炎症分子の遺伝子発現を活性化させます。
以上2つの機構により、細胞内のミトコンドリア(※3)(エネルギー生産工場)の保護、および抗酸化機構、抗炎症機構、細胞死の抑制機構が働き、これまでの電解水素水による有用な作用が観察されていると推察されました。この推定機構では、通常の酸化ストレスによる細胞傷害は起きないことから副作用は想定されません。
※3 ミトコンドリア:ほぼすべての細胞に存在する細胞小器官で、生きるために必要なエネルギー(ATP)生成や、アポトーシス(細胞死)制御に役割を担っています。
(2)今後の展望
急性腎臓病、慢性腎臓病、末期腎不全患者の血液透析療法の共通の課題は、いずれも継続的な酸化ストレスと炎症による細胞の傷害です。これらを防ぐ、あるいは軽減するには安全で継続的な抗酸化、抗炎症の対策が必要です。
そのためには、日常的に簡易に利用できる機器・システムが必要となります。
飲用のための電解水素水整水器(※4)(日本生まれで日本育ちである管理医療機器)は、水道水の蛇口に接続し、蛇口をひねるだけで電解水素水を日常的に利用できます。また、水素濃度は100~1,300ppbと広く、自由に濃度を選択できるようになっており、電解水素水整水器も進化してきています。
※4 電解水素水整水器は、医薬品医療機器等法(旧薬事法)において胃腸症状の改善に効果が認められている管理医療機器。その使用目的・効果は、「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成」。
末期腎不全患者のための電解水透析®(※5)システムは、血液透析液を調製するための希釈水を水道水から作る水処理装置内に電解槽を組み込み、水素分子(H2)を含む血液透析液を調製して透析患者へ供給できます。
東北大学をはじめとした研究機関との産学官連携により開発されたこのシステムは、通常の血液透析システムの水処理装置と同じ使い方で、安全に且つ長期的に継続使用できます。
また、電解水透析®システムも100段階の電解レベルから選択できるようになり、水素濃度と効果の関連性の評価もできるようになってきました。今後もさらなる研究の推進と機器・システムの改良を続けることで、国民の健康維持・増進のための包括的腎臓病対策として、実質的な有用性がますます期待されます。
※5 電解水透析®とは、水の電気分解により陰極側に生じた、水素を含有した透析用水を利用して行なう透析療法
論文概要
Special issue(特集号):
タイトル:Antioxidant and Anti-inflammatory Effects of Hydrogen-Enriched Water
(和訳:水素豊富水の抗酸化・抗炎症効果)
論文タイトル:
「Application of Electrolyzed Hydrogen Water for Management of Chronic Kidney Disease and Dialysis Treatment—Perspective View」
(和訳:慢性腎臓病と透析療法対策としての電解水素水の応用―視点・展望-)
著者:(敬称略)
氏名 | 所属 | URL |
中山昌明 1) | 聖路加国際病院 腎臓内科 | https://hospital.luke.ac.jp/guide/08_nephrology/dr/nakayamamasaaki.html |
宮崎真理子 2) | 東北大学大学院医学系研究科 腎・膠原病・内分泌学分野 | |
樺山繁 3) | (株)日本トリム 神戸大学大学院 | |
1),2),3) | 東北大学病院血液浄化療法部 (兼任) |
掲載先
Antioxidants誌:
▼オープンアクセス論文のため下記よりご覧いただけます(英語サイト)
https://www.mdpi.com/2076-3921/13/1/90
紹介された電解水素水と電解水透析®による有用性報告の中の一例
総説論文で有用性報告のリストが示されました。その中の一例をご紹介します。
電解水素水飲用では、2型糖尿病患者の3か月間の飲用により、インスリン抵抗性高値の改善が確認されました(参考文献1)。
その二次解析として、その中の腎機能低下群においては、低下した腎機能指標の一つであるeGFR値(腎臓による老廃物ろ過機能)が有意に改善。同時に生体内DNAの酸化ストレス傷害の一つの指標である尿中8-OHdG濃度の有意な低下が確認されたことが紹介されました。
電解水透析®では、2か月間の電解水透析®により、透析患者の生命予後に大きく影響を与える透析関連疲労感を有意に軽減することが確認されました。
血液透析中のダイアライザー(透析器)内での酸化ストレス指標の一つである血中マロンジアルデヒド付加体濃度の上昇と、抗酸化ストレス指標の一つである血中チオレドキシン濃度の低下がそれぞれ有意に抑制されたことが紹介されました(参考文献2)。
参考文献1)
Diabetology International(2021) Published: 18 July 2021(英語サイト)
https://doi.org/10.1007/s13340-021-00524-3
「和訳:電解水素水飲用でインスリン抵抗性高値を改善 2型糖尿病患者の病態改善に期待」
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/08/press20210802-01-water.html
参考文献2)
Ren. Replace. Ther. (2021) 7, 37.(英語サイト)
https://doi.org/10.1186/s41100-021-00353-9
「和訳:電解水透析®による透析関連酸化ストレスと疲労感の抑制」
総説論文で紹介された他の有用性報告については総説論文をご参照ください。
日本トリムについて
株式会社日本トリムは、医療機器である電解水素水整水器製造販売を主軸とした事業を展開しています。当社は世界に先駆けて水が持つ機能に着目し、25年以上にわたる産官学共同研究により健康に寄与する電解水素水の機能、有用性を追求しています。
現在では、電解水素水の活用は飲用にとどまらず、血液透析における次世代新規治療法や農作物の栽培など様々な分野へと応用し展開しています。
また、グループ会社では国内最大手の民間さい帯血バンク(ステムセル研究所、東証グロース市場:7096)事業を展開するなど、日本トリムグループはグローバルなメディカルカンパニーを目指しています。
会社名/株式会社日本トリム(東証プライム市場:6788)
□設立年月日:1982年(昭和57年)6月12日
□代表取締役社長:田原 周夫(たはら のりお)
□資本金:992,597,306円
□従業員数:659名(2023年12月末日時点 ※関連会社等を含む)
□企業ホームページ:https://www.nihon-trim.co.jp/
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