【救急集中治療医がマンガで解説】病気のもとになる細菌とウイルスとは
千葉大学発医療スタートアップ企業である株式会社Smart119(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長/CEO:中田孝明)は「細菌とウイルスの違い」を解説したイラストレーションを、本日一般公開しました。感染症の原因には、「細菌」と「ウイルス」があります。過去に流行した結核やコレラは「細菌」によるもので、「ウイルス」は新型コロナウイルス感染症で痛感してきました。「細菌」と「ウイルス」では、大きさと構造、そして増殖方法が異なります。また治療薬剤も「抗菌薬」「抗ウイルス薬」と種類があります。救急集中治療医の見地から、細菌とウイルスを親しみやすいマンガで解説します。本資料は学校、企業、公共機関、町内会等で自由に配布・利用していただくことが可能です。
流行病は、強い感染力を持つ病原体によって引き起こされます。過去にあった結核やコレラは「細菌」によって発症し、今日の新型コロナウイルス感染症やインフルエンザは「ウイルス」が原因です。細菌とウイルスは「病原体」と、ひとくくりにされますが、両者は大きさ、構造、増殖方法が全く異なるものです。
細菌では、結核菌やコレラ菌などがあります。約1〜10μm(0.001〜0.01mm)の大きさで、形づくる細胞壁と細胞膜の中にDNAを持ち、栄養分があるところで分裂をして自己増殖をします。
ウイルスで代表的なものは、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルスが挙げられます。大きさは約0.1μm(0.0001mm)で、遺伝情報であるDNAやRNAを持ちますが、自らで増殖ができません。他の生物の細胞に寄生し、宿主が持つ遺伝子材料やタンパク質を利用して増やしていくのです。またエンベロープ(膜)の有無によって分類されるのも特徴の一つです。コロナウイルスやインフルエンザウイルスは膜を持ちますが、ノロウイルスにはありません。
増殖方法が異なることから、ウイルスに「抗菌薬」は効きません。この薬は、遺伝子や細胞壁をつくるタンパク質の合成を阻害し、自己増殖するのを抑止するものです。したがって、自己増殖をしないウイルスには効果がありません。個々のウイルスに対しての「抗ウイルス薬」が必要です。ちなみに、動物細胞には細胞壁がありませんから、「抗菌薬」が人の細胞へ影響することはありません。
消毒で用いられるアルコールは、細菌の細胞壁や細胞膜を、ウイルスではエンベロープを壊して無毒化させます。しかし、ウイルスには、エンベロープを持たないものが存在しますから洗い流すことが必要です。
流行病の病原体である細菌とウイルスは、目に見えなくとも身近な存在です。手洗いとうがい、そしてアルコールによる消毒を徹底して病気を防ぎましょう。
◆テーマ
「細菌とウイルス 違いってなに?」
◆解説者
中田孝明
株式会社Smart119 代表取締役
千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 教授
https://twitter.com/Nakada119
◆監修協力
新井久美子(救急科専門医)
矢澤まり(外科専門医)
◆印刷用資料ダウンロードリンク
https://smart119.biz/manga/000570.html
◆どちらも病気の原因になりますが構造などは全く異なります
◆大きさ
- どちらも肉眼では見えません
- 細菌は光学顕微鏡で見ることができますが、ウイルスは見えません
- 細菌は約1〜10μmくらい、ウイルスは約0.1μmくらいです
◆構造
- 細菌はタンパク質からなる細胞の形を保つための細胞壁や、細胞膜、DNAをもっています
- ウイルスは、細胞の形をしておらず、遺伝情報であるDNA・RNAを持っています
◆増え方
- 細菌:多くが単体でも生きていくことができる単細胞生物です 栄養のあるところで自分で増えます
- ウイルス:ウイルスは単独では増えません 生きている生物の細胞の中に侵入し増えます
◆種類
- 細菌:ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、コレラ菌、赤痢菌、炭疽菌、結核菌など
- ウイルス:ノロウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルスなど
◆病気
- 細菌:感染性胃腸炎、腸管出血性大腸菌(O157)感染症、結核など
- ウイルス:新型コロナウイルス感染症、感染性胃腸炎、インフルエンザウイルス感染症、麻疹、風疹など
◆ウイルスに抗菌薬は効かない
- 抗菌薬は遺伝子やタンパク質の合成を阻害する薬です
- 抗菌薬は細菌の仕組みを利用した薬で、ヒトの細胞やウイルス、真菌などの細菌以外のものには効きません
・厚生労働省 広報誌『厚生労働』「特集1 一人ひとりの心がけが大切 抗生物質・抗菌薬の正しい使い方」
https://www.mhlw.go.jp/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/2018/09_01.html
・厚生労働省 『医療施設等における感染対策ガイドライン』
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/05/dl/s0525-5a_0002.pdf
PLoS Pathog. 2013 Mar;9(3):e1003205. doi: 10.1371/journal.ppat.1003205. Epub 2013 Mar 7.
・国立感染症研究所 感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/disease/resist.html
・微生物・感染看護学 第2版
◆医療情報イラストレーション・シリーズ ホームページ
https://smart119.biz/manga/
※画像など当コンテンツを報道にて引用いただく場合は、「(株)Smart119 提供」と記載ください。また、その際はpress@smart119.bizまでご一報いただけますと幸いです。
<株式会社Smart119について>
株式会社Smart119は「現役救急医が設立した、千葉大学発スタートアップ」です。
『今の「119」を変える』ため、音声認識とAIを活用した救急医療情報システム「Smart119」を開発・運用。
千葉市において、日本医療研究開発機構 (AMED) の救急医療に関する研究開発事業を実施。
緊急時医師集合要請システム「ACES」、災害時をはじめ、医療事業継続支援システム「レスポンサム(respon:sum)」の開発・運用を行っています。Smart119は「安心できる未来医療を創造する」を目指します。
【株式会社Smart119概要】
会社名: 株式会社Smart119
住所: 千葉県千葉市中央区中央2丁目5-1千葉中央ツインビル2号館 7階
設立: 2018年5月
代表者: 中田 孝明
事業内容:
音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」の開発・運用
緊急時医師集合要請システム「ACES」の開発・運用
医療事業継続支援システム「レスポンサム(respon:sum)」の開発・運用
URL: https://smart119.biz
Twitter: https://twitter.com/Smart119_jp
メールアドレス: press@smart119.biz (担当:中村)
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