「事業を通じた社会課題解決」に関するアンケート調査結果

~上場企業の取り組み状況、目的、課題、支援ニーズなどを明らかに~

株式会社日本総合研究所

 株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)は、全国の上場企業を対象に、事業を通じた社会課題解決への取り組み状況や抱えている課題などに関するアンケート調査(以下「本調査」)を実施し、結果を取りまとめました。

 本調査の結果は、以下からご覧になれます。

 「事業を通じた社会課題解決に関するアンケート調査結果」

 https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/release/2025/0324.pdf

■本調査の背景と目的
 近年、多様なステークホルダーからの期待を背景に、企業は環境保全、人権尊重、地域社会への貢献などさまざまな社会的責任を果たすことが求められるようになりました。そうした中、社会課題の解決を重要な経営課題の一つとして認識し、事業を通じて積極的に取り組もうとする企業も増えてきています。
 本調査は、本格化しつつある事業を通じた社会課題解決の現状と課題を把握するために実施しました。全国の上場企業を対象にアンケート調査を行い、取り組みの現状や取り組み意向のほか、必要とする支援について情報を収集し取りまとめています。

■調査概要
 調査期間: 2024年8月2日~9月6日
 調査方法: ウェブアンケート
 調査対象: 全国の上場企業2,000社の経営企画部門、または類する組織
 回答数: 回答 127社(回答率6.4%)

■調査結果のサマリー
〇「事業を通じた社会課題解決」には高い関心

 「事業を通じた社会課題解決」について、回答企業127社のうち62.2%が情報収集を行っており、実践する企業も4割程度(「社会課題解決に取り組む企業との戦略的連携(41.7%)」「CVCやインパクト投資としての活動(39.4%)」)に上るなど、このテーマへの企業の関心の高さがうかがえる結果となりました。

〇長期的な視点から企業価値を高める効果が目的

 「事業を通じた社会課題解決」に取り組むことによる自社への効果として、「長期的な成長」「企業ブランド・イメージUP」「自社のパーパスや存在意義の具体化」については、「効果がある」「どちらかといえば効果がある」の合計が9割を超えました。このことから、企業はこのテーマを長期的な視点から企業価値を高めるための本質的な取り組みとして捉えていることが分かります。

〇取り組む上で最も多く挙がる課題は「リソース不足」。ステークホルダーの理解を得る難しさも

 「事業を通じた社会課題解決」に取り組む上での課題として最も多く挙げられたのは、「リソース(ヒト、モノ、カネ、ノウハウ等)不足」の62.0%でした。また、「社会課題の解決を実現する具体的な事業モデルの構築が難しい」も26.5%に上りました。

 このテーマに取り組む意義について、社内外のステークホルダーから理解を得ることの難しさを指摘する声も少なくありませんでした。「社会的・環境的インパクトの測定・費用対効果の測定が難しい(38.8%)」という技術的な課題のほか、「利益目的事業と同じ時間軸や基準で評価されてしまっている(18.2%)」「短期的な成果が求められるため、中長期的な視点に立つことが難しい(16.5%)」「ステークホルダーから利益重視のプレッシャーがある(10.7%)」などコミュニケーション上の課題が複数挙げられています。

〇マッチング先の見つけやすさなどに支援のニーズ

 仕組みや支援の要望として多かったのは、「同じように社会課題解決に取り組む企業と取引先や連携先としてマッチングしやすくなる仕組み(37.0%)」「社会課題解決への取り組みを、社会に広く知らせることができるような仕組み(35.4%)」「既に事業を通じた社会課題解決に取り組んでいる企業による情報発信(統合報告書での説明など)(30.7%)」でした。これらは、質問3で課題とされた、「リソース不足」や「効果の見える化」、「社内外のステークホルダーとのコミュニケーション」などを解決するものといえます。

 また、「政府や自治体による、公共調達時の入札での優遇(評価点が追加されるなど)(26.8%)」「民間金融機関による、金利等の融資条件の優遇(24.4%)」など、取り組みを推進することによる具体的なメリットを求める声も上がりました。

〇各種認証制度への認知は道半ば

 公益性の高い取り組みをする営利企業に関連する認証制度については、まだあまり認知されていないことが分かりました。SDGsに取り組む地域事業者などを対象とした「地方創生SDGs登録・認証等制度」は最も認知度が高い認証制度でしたが、「内容・条件まで含めて知っている」は15.8%にとどまりました。

 また、近年日本でも注目を集め始めている、社会や環境に配慮しながら利益と公益を両立できる「よい企業」のための認証制度「B Corp認証」については、「聞いたことはあるが、内容・条件までは知らない」も含めると38.6%でしたが、内容・条件まで含めて知っているとの回答は4.7%でした。

■総括

 本調査の結果からは、9割以上の企業が事業を通じた社会課題解決によって自社の長期的な成長が見込めると考え、4割程度の企業で既に取り組みを行っていることが分かりました。

 他方、課題としては、リソース不足や効果測定のノウハウ不足、社内外のステークホルダーとのコミュニケーションが存在することも明らかとなりました。

 今後、このテーマの取り組みを加速させるためには、方向性を同じくする企業との取引先・連携先としてのマッチング機能や自社の取り組みの情報発信機能などへの支援が求められます。また、取り組みを進めている企業への公的な優遇措置などの制度的基盤の整備も必要です。

 日本総研は、一般社団法人B Market Builder Japanのオフィシャルパートナーに就任(注1)するなど、経済的利益の追求と社会的利益の実現を両立する社会的営利企業を育てるためのムーブメントづくりに取り組んでいます。4社に1社が社会課題の解決を実現する具体的な事業モデルの構築の難しさを課題に挙げる現状を解消するため、日本総研はエコシステム全体の視点から企業が抱える課題を捉え直すことで、企業が社会性と経済性を両立する事業を実現する支援に取り組んでいきます。

(注1)「B Market Builder Japanのオフィシャルパートナーに就任」(日本総研ニュースリリース/2024年4月25日)

https://www.jri.co.jp/company/release/2024/0425/

■本件に関するお問い合わせ

【報道関係者様】 広報部             山口  電話: 080-7154-5017

【一般のお客様】 リサーチ・コンサルティング部門 木下、水野、堀内、宮下

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会社概要

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都品川区東五反田2-18-1 大崎フォレストビルディング
電話番号
03-6833-0900
代表者名
谷崎勝教
上場
未上場
資本金
100億円
設立
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