60代以上のメルカリ利用者数、前年比約1.4倍増加 一人当たりの年間平均出品数は約72個で20代の約2倍 意識調査では、COVID-19の影響で52.4%の「終活」意識が向上

『60代以上の「メルカリ」取引データ分析』 および『COVID-19拡大に伴う60代以上の意識・行動変化とフリマアプリ利用』に関する調査

株式会社メルカリ

メルカリ総合研究所(運営:株式会社メルカリ)は、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)が拡大した2020年4月から2021年3月の1年間におけるフリマアプリ「メルカリ」取引データの分析を行いました。その結果、60代以上の年間利用者数、年間購入商品総数ともに前年比約1.4倍、年間出品商品総数は前年比約1.6倍に増加していることがわかりました。これを受け、60代以上のフリマアプリ利用が増加した背景となる意識・行動の変化を明らかにすべく『COVID-19拡大に伴う60代以上の意識・行動変化とフリマアプリ利用』に関する調査を実施し、経済アナリスト 森永康平⽒に本調査結果に対する考察をいただきました。
 
  • 【結果サマリー】
1)60代以上「メルカリ」利用者の動向
・60代以上の一人当たり平均年間出品数は約72個で20代の約2倍

2)COVID-19拡大に伴う60代以上の消費行動・意識変化に関する調査
・COVID-19拡大で、44.4%が「インターネットでの買い物」増加、73.5%が「外出を伴う買い物」減少
・COVID-19拡大で、43.8%が「節約意識」向上
・フリマアプリ利用目的TOP3、1位「欲しいものがお得に購入できる」2位「不要品の処分ができる」3位「リユースにつながる」
・フリマアプリ利用後の意識変化「捨てる前に再利用を考える」が最多の67.6%

3)COVID-19拡大に伴う60代以上の生活意識変化に関する調査
・老後の不安TOP3、1位「病気・怪我」2位「体力・気力の低下」3位「生活費」
   2019年3月調査と比較し、「孤独・社会とのつながりが希薄になる」が10.2%向上
・フリマアプリ利用者34.8%が、「フリマアプリの売買相手に親近感を覚える」
・「終活」を意識している60代以上は66.5%、そのうち52.4%がCOVID-19拡大で「終活」意識向上
・「終活」意識向上理由TOP3、1位「家族に迷惑をかけたくないから」2位「スッキリしたいから」3位「いつ何     が起こるかわからないから」

 
  • 【コメント:株式会社マネネCEO / 経済アナリスト 森永康平⽒】

●プロフィール
証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在はキャッシュレス企業のCOOやAI企業のCFOも兼任している。著書に『MMTが日本を救う』(宝島社新書)や『親子ゼニ問答』(角川新書)がある。日本証券アナリスト協会検定会員。

コロナ禍において、わたしたち日本人の消費行動は大きく変容しました。そのなかでも、シニア世代のEC利用率の上昇は特筆すべき変化でしょう。総務省統計局が発表した「家計消費状況調査」によれば、2020年における65歳以上のEC利用率は29.2%となっており、2019年の24.2%から1年で5%も上昇しているのです。また、クレジットカードの決済データに基づいてもシニア世代のEC利用率が伸びていることは確認されており、伝統的な経済統計だけでなく、オルタナティブデータからもその事実が観測されています。

新型コロナウイルス感染症の特徴として、高齢者ほど重篤化リスクが高いということもあり、不要不急の外出を控えるために、これまでECを利用してこなかったシニア世代がコロナ禍を機にECを利用するようになったと考えられますが、フリマアプリでも同様の傾向が確認されました。

しかし今回の調査は、フリマアプリを利用する理由には、ただ外出を伴う消費行動の代替というだけではなく、非常に興味深い理由がいくつもあることを示唆しています。1つ目は、節約意識の高まりからフリマアプリを通じて「お得な買い物」をしたいというニーズです。2回にわたり緊急事態宣言が発令されたことや感染拡大が何度も起きるなど、不確実性が高く先行きが見通しづらいことから、シニア世代を含む全世代で消費を控える傾向がみられ節約意識が高まっており、その結果フリマアプリが利用されるようになった可能性を示しています。

つぎに、「捨てる前に再利用を考える」というサステナブルな消費志向への貢献が挙げられます。モノが溢れる時代のなかでSGDsを重視する潮流は世界的に確認されていますが、フリマアプリをその文脈で利用するシニア世代の利用者が一定数いることは大変興味深い結果でした。

そして、私が一番「なるほど」と膝を打ったのは、フリマアプリが新型コロナウイルス感染症によって奪われた密なコミュニケーションの場を提供し、シニア世代の孤独感を和らげている可能性があることでした。ECの場合は自分が欲しいものを探して決済するだけですが、フリマアプリの場合は自分が欲しいものを先に買っていた人から商品を買うことになるため、アプリ内でのコミュニケーションを通じて、自分と価値観があう人との対話を楽しんでいることが考えられます。

 
  • 【調査概要】
調査時期:2021年3月11日(木)~2021年3月12日(金)
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、60代以上の男女1,236名
※フリマアプリ利用者824名(うち412名は直近1年のうちに利用を開始)
フリマアプリ非利用者412名
※グラフ内の数値は小数点第二位以下四捨五入

 
  • 調査結果詳細
1)60代以上「メルカリ」利用者の動向

・60代以上の一人当たり平均年間出品数は約72個で20代の約2倍
2020年4月から2021年3月における60代以上の一人当たり平均年間出品数は約72個となり、20代の一人当たり平均年間出品数約39個の約2倍であることがわかりました。


20代の利用者数は60代以上の利用者数よりも多く、単純比較が難しい前提はあるものの、保有しているモノの多さに起因し、60代以上はより積極的に出品を行う人が多い可能性が考えられます。

また、60代以上の「メルカリ」取引データ分析からわかることをまとめると以下のようになりました。



2)COVID-19拡大に伴う60代以上の消費行動・意識変化に関する調査

・COVID-19拡大で、44.4%が「インターネットでの買い物」増加、73.5%が「外出を伴う買い物」減少
COVID-19拡大に伴う消費行動の変化を質問したところ、44.4%が「インターネットでの買い物」が「増加」と回答しました。また、73.5%が「外出を伴う買い物」が「減少」と回答しました。


自由回答では、COVID-19拡大に伴う消費行動の変化について、以下のような回答がありました。
  • 家にこもる時間が増えて内食、パソコン・携帯を触る時間が増えた。また、顔を見てコミュニケーションをする時間が減った。(60代男性)
  • 旅行、外食、映画、コンサート、舞台等に出かけなくなった。買い物も必要最小限になった。拡大前からテイクアウトやキャッシュレスは利用していたが、拡大後はより多くなった。(60代女性)
  • パソコンはある程度でき、家族もバックアップしてくれたおかげで、同年代の教員よりはるかにストレスは少なかったと感じる。何にでも対応できたので、メンタルがやられることがなかった。(60代女性)
  • 外食をしなくなったので、食事のテイクアウトやデリバリーサービスの利用が増えた。(70代男性)

これらのことから、COVID-19拡大に伴う外出自粛などで様々な行動が制限された一方、パソコンやスマートフォンを使用する時間が増加し、インターネットを通じたWEBサービスの利用を促進した可能性が考えられます。

・COVID-19拡大で、43.8%が「節約意識」向上
COVID-19拡大に伴う消費意識の変化を質問したところ、43.8%が「節約に対する意識」が「向上」と回答しました。


・フリマアプリ利用目的TOP3、1位「欲しいものがお得に購入できる」2位「不要品の処分ができる」3位「リユースにつながる」
フリマアプリ利用目的を質問したところ、最多回答は「欲しいものがお得に購入できるから」(62.0%)、次に「不要品の処分ができるから」(47.8%)、「リユースにつながるから」(36.5%)となりました。

 


これらのことから、COVID-19拡大により「節約に対する意識」の向上が、「欲しいものがお得に購入できる」フリマアプリの利用を促進した可能性が考えられます。

・フリマアプリ利用後の意識変化「捨てる前に再利用を考える」が最多の67.6%
フリマアプリ利用後の意識変化を質問したところ、62.1%が「変化あり」と回答しました。


変化した意識を質問したところ、最多回答は「捨てる前に再利用を考える」(67.6%)、次に「将来売るために、モノを大切に扱う」(32.8%)、「趣味やファッションを気軽に楽しめる」(16.2%)となりました。


これらのことからフリマアプリの活用が、日常生活におけるモノの取り扱いに関して意識変容をもたらす可能性が考えられます。


3)COVID-19拡大に伴う60代以上の生活意識変化に関する調査

・老後の不安TOP3、1位「病気・怪我」2位「体力・気力の低下」3位「生活費」
2019年3月調査と比較し、「孤独・社会とのつながりが希薄になる」が10.2%向上
老後の不安を質問したところ、最多回答は「病気・怪我」(74.5%)、次に「体力・気力の低下」(66.3%)、「生活費」(51.5%)となりました。
2019年3月発表の「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する意識調査※1と比較すると、
「孤独・社会とのつながりが希薄になる」が最も増加し、10.2%向上(2018年3月調査結果:12.0%)しました。

※1 「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する意識調査
https://about.mercari.com/press/news/articles/20190311_survey_over60s/

自由回答では、COVID-19拡大に伴う意識や行動の変化について、以下のような回答がありました。
  • お友達と会うことができなくて寂しい。スポーツクラブやヨガ教室に行けないので、体力が落ちそうで心配。(70代女性)
  • 少し距離がある家族以外の友人、知り合いとの交流が一切なくなり、どこへ出かけるにしてもマスクに手指の消毒、体温計とかなり面倒くさく、流行前の生活には永久に戻れないのではないかと思うと気が滅入る。(60代女性)
  • 毎日の買い物はすべて子供たちにお願いし、外出を控え、スポーツジムも退会して人との接触を断つ生活になってしまった。(60代女性)
  • 子供や孫たちに会えなくなり、寂しい気持ちが募った。(60代男性)

・フリマアプリ利用者34.8%が「フリマアプリの売買相手に親近感を覚える」
フリマアプリの売買相手に親近感を覚えるか質問をしたところ、34.8%が「覚える」と回答しました。

 


自由回答では、売買相手に親近感を覚えるの理由について以下のような回答がありました。
  • 「こんにちは」からはじまり、「コメント失礼します」とあったり、「短い期間ですがよろしくお願いします」とあったり、はじめての方なのにいいなと思う時がある(60代女性)
  • アプリを通して、前向きな言葉でやりとりができた時に、たかがフリマではなく、つながっているささやかな嬉しさを感じた(60代女性)
  • お互いに気持ちよく売買ができ、それが相手の方に気に入っていただいて、喜んでいただけるととても嬉しい気持ちになります。お顔が見えないなかでちょっとした一言がとてもいいコミュニケーションになっていると感じる(70代女性)
  • PCの色が変色しているように感じたため、質問を送ったら、日常で起こしがちなある出来事で変色してしまったとの回答があった。「それなら、こういう方法で変色した部分をもとの色に戻せますよ」と返信したところ、感謝の連絡があった。文体からも馴染みやすい方で、しばらく商品の売買から外れた会話を繰り返していた(60代男性)
通常のECでの購買とは異なり、フリマアプリ上では、売買相手とのコミュニケーションがあることから、親近感を覚えている可能性が考えられます。

・「終活」を意識している60代以上は66.5%、そのうち、52.4%がCOVID-19拡大で「終活」意識向上
終活・生前整理への意識を質問したところ、66.5%が「意識している」と回答しました。
フリマアプリ利用者・非利用者別に見ると、フリマアプリ利用者の71.6%、COVID-19拡大中にフリマアプリをはじめた利用者の70.9%が「意識している」と回答しました。一方で、フリマアプリ非利用者の57.0%が「意識している」と回答し、フリマアプリ利用者は非利用者よりも、終活・生前整理を意識していることがわかりました。


終活・生前整理を意識していると回答した人に、COVID-19拡大に伴う終活・生前整理に対する意識変化を質問したところ、52.4%が「意識が向上」と回答しました。


・「終活」意識向上理由TOP3、1位「家族に迷惑をかけたくないから」2位「スッキリしたいから」3位「いつ何が起こるかわからないから」
終活・生前整理の意識が向上した理由を質問したところ、最多回答は「家族に迷惑をかけたくないから」(64.3%)、次に「モノを整理してスッキリしたいから」(59.6%)、「いつ何が起こるかわからないから」(40.1%)となりました。




【メルカリ概要】
会社名:株式会社メルカリ
所在地:〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
事業内容:スマートフォン向けフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運営
代表者名:山田進太郎
Webサイト:https://about.mercari.com/














 

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業種
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本社所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
電話番号
-
代表者名
山田進太郎
上場
マザーズ
資本金
125億5020万円
設立
2013年02月