クラックプログラムのネット販売に対し、不正競争防止法違反で初の損害賠償請求を認める民事判決

BSA | The Software Alliance(本部:米国ワシントンDC、以下BSA)は本日、大阪地方裁判所(26部・知財専門部)が2016年12月26日、インターネットオークションでのクラックプログラムの提供が不正競争防止法の禁止する不正競争に当たるとして、岡山県倉敷市内の男性に対する損害賠償請求を認容する判決を下したと発表しました。本判決は、ライセンス認証システムを回避するためのクラックプログラム販売に対して、初めて損害賠償請求が認められたものです。
今回の判決は、2015年9月に神戸地方裁判所が男性に対して判決を下した刑事事件[1]の後、BSA加盟企業であるマイクロソフト コーポレーション(以下、マイクロソフト)が同男性に対してクラックプログラムの提供が不正競争行為(技術的制限手段の回避)に該当するとして、不正競争防止法4条に基づき損害賠償請求していた民事訴訟について下されたものです。

今回の判決は、神戸地裁の刑事判決と同様、クラックプログラムの提供が不正競争防止法の禁止する不正競争に当たると判断したうえで、原告の損害賠償請求を認めました。具体的には、不正競争該当性に関して、「原告製品の実行は、原告製品のライセンス取得者以外の者に原告製品の実行をさせないために営業上用いている技術的制限手段であるライセンス認証システムにより制限されていた」と認定したうえ、「被告は、原告製品の実行を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する被告プログラムを電気通信回線を通じて提供し、平成27年法律第54号による改正前の不正競争防止法2条1項11号・・・所定の不正競争を行」ったと判断しました。また、損害賠償請求に関して、「被告の行為によって、原告の営業上の利益が侵害されたと認められる」としたうえ、原告が被った損害額について、「原告は、被告の行為によって、被告プログラムの販売数量(ダウンロード数)に相当する数量の原告製品を販売する機会を失ったと認められる」と判断しました[2]。

今回の判決の特徴は、以下の通りです。
・原告が主張するライセンス認証システムを不正競争防止法2条7項にいう技術的制限手段に該当するとし、被告のクラックプログラムの提供行為を不正競争行為(技術的制限手段の回避)と認めたこと
・原告の損害額(逸失利益)に関して、被告が提供した(ダウンロードさせた)数量につき、原告が原告製品を販売する機会を失ったと認めたこと

今回の判決を受けBSA日本担当共同事務局長の松尾早苗は、「BSAは、クラックプログラムの提供者に対して不正競争防止法違反で初めて損害賠償請求を認容した今回の判決を歓迎いたします。技術の進歩とソフトウェア販売のビジネスモデルの変化に伴い、BSA加盟企業が用いるライセンス認証システムの役割の重大性は格段に増しています。しかしながら、残念なことに、これを回避するプロダクトキーやクラックプログラム等の不正販売による被害が後を絶たず、BSA加盟企業にも多くの消費者から相談が寄せられていました。今回の判決は、今後の知的財産権保護を強化していくうえで画期的な判決といえます」とコメントしています。

[1] 2014年6月頃、インターネットオークションを通じて、マイクロソフトが著作権を有する「Microsoft® Office Professional Plus 2013」試用版プログラムのライセンス認証システムによる認証を回避し、製品版として使用可能にするクラックプログラムを販売したとして、神戸地裁が2015年9月8日、男性に対し懲役2年(執行猶予5年)、罰金200万円を併科する有罪を下したもの

[2] 第一回口頭弁論に被告が欠席したため、請求原因事実に関しては自白が成立しているが、不正競争該当性、損害賠償の算定等については裁判所による法的判断がなされた

【クラックプログラムについて】
クラックプログラムは、不正な信号をユーザーパソコン内に偽造・偽装することで、プログラムと共に信号をユーザーのパソコンに記録することでプログラムの実行を可視化するライセンス認証システムの仕組みを回避し、制限のないプログラムの実行を可能にする極めて悪質なプログラムです。

【組織内の不正コピーについて】
企業や学校、病院など複数のコンピュータでソフトウェアを使う組織内における不正コピーのことを指しています。現在日本でもっとも多く見られるソフトウェアの不正コピー形態でもあります。例えば、1台のコンピュータでのみ使用することが許諾されたソフトウェアのパッケージを入手して複数のコンピュータにインストールするような場合がこれに該当します。

【違法告発.comについて】
「違法告発.com」(http://145982.com/)は、組織内の不正コピーの実態と情報提供の安全性等を広く訴求することを目的にしたマイクロサイトです。2014年11月にリニューアルされ、気弱な主人公が職場に潜む不正コピーに立ち向かう姿を描いた新連載マンガ「知財×ブラック」を公開しています。このほか、過去の通報案件をヒントに組織内における不正コピーの手口を読み切り漫画で紹介する「不正コピーのある風景」、BSA日本担当顧問が情報提供の安全性等をお答えする「BSAへの情報提供が安心な4つの理由」、不正コピーの通報経験者へのアンケートをもとに、通報から不正コピー使用状態の改善までの貴重な体験談まとめた「私が決断した理由」の4つのコンテンツを中心に構成されています。

【BSA | The Software Allianceについて】

BSA | The Software Alliance(BSA | ザ・ソフトウェア・アライアンス)は、グローバル市場において世界のソフトウェア産業を牽引する業界団体です。BSAの加盟企業は世界中で最もイノベーティブな企業を中心に構成されており、経済の活性化とより良い現代社会を築くためのソフトウェア・ソリューションを創造しています。ワシントンDCに本部を構え、世界60カ国以上で活動するBSAは、正規ソフトウェアの使用を促進するコンプライアンスプログラムの開発、技術革新の発展とデジタル経済の成長を推進する公共政策の支援に取り組んでいます。詳しくはウェブサイトをご覧ください。

ホームページ : http://bsa.or.jp/
マイクロサイト : http://145982.com/(違法告発.com)
Twitter公式アカウント: https://twitter.com/BSA_100/
Facebook公式ページ: https://www.facebook.com/BSATheSoftwareAllianceJapan/

組織内不正コピーに対するBSAの取り組み
BSAでは組織内不正コピーの問題解決を目的に、一般から組織内不正コピーに関する情報を受付ける「情報提供フォーム*1」を設置しており、現在、有力情報に最高100万円:*2を提供する「報奨金プログラム」を実施しています。
*1情報提供フォームのリンク先URL:https://reporting.bsa.org/r/report/add.aspx?src=jp&ln=ja-JP&_ga
*2 報奨金の提供には一定の条件があります。詳しくは、同サイト内の「報奨金の適用条件」をご確認ください。

 

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本社所在地
20 F Street, NW Suite 800, Washington, DC 20001 USA
電話番号
-
代表者名
BSA日本担当共同事務局長:松尾早苗、竹下千恵
上場
未上場
資本金
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設立
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