“怒りによる健康被害”が深刻。不眠・頭痛・不安…53.8%が経験──『2025年イライラ大賞』発表、最大要因は“人間関係”。物価高・政治不信も上位に【日本アンガーマネジメント協会調査】
2025年、日本人の“怒りによる健康被害”が深刻化しています。不眠・頭痛・不安などの不調を経験した人は53.8%にのぼり、8割が「他人の怒りに振り回された」と回答しました。
こうした実態を受け、株式会社レビックグローバル(本社:東京都港区、代表取締役社長:柏木 理)が運営する一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(所在地:東京都港区、代表理事:戸田久実)は、全国の20~60代420名を対象に実施した「怒りとストレス実態調査」の結果をもとに、今年最も人々をイライラさせた出来事や社会現象を総括する『2025年イライラ大賞』を発表します。
今年最も人々をイライラさせたのは「人間関係のストレス(職場・家庭・近隣)」で、次いで「物価・生活コストの上昇」、「政治・政策への不信感」が上位に続く結果に。また、7割以上が何らかのハラスメント被害を経験し、半数以上が不眠・頭痛・不安感といった心身の不調を抱えていることが判明。6割が「怒りを我慢するタイプ」と回答するなど、現代社会では“他者の怒り”に日常的にさらされ、感情を内に溜め込みやすい構造が深刻化していることが明らかになりました。
詳しい調査結果は、以下をご覧ください。
【調査概要】
■調査名:「怒りとストレス実態調査」
■調査対象者:日本全国の20代~60代男女
■サンプル数:420人
■調査方法:インターネット調査
■調査時期:2025年10月28日~10月30日
■調査内容:「怒りとストレス」に関する単一回答、複数回答
【調査結果サマリー】
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7割(71.0%):何らかのハラスメント被害を経験 → 怒りや攻撃性が社会全体に広がる構造的課題
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半数以上(53.8%):不眠・頭痛・不安などの健康問題を経験 → 怒りが“個人の健康問題”に直結している現実
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8割以上(83.6%):他人の怒りに振り回された経験あり → 日常生活のあらゆる場面で“怒りの連鎖”が発生
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6割(60.0%):怒りを表に出さず“我慢するタイプ → 我慢文化がストレス蓄積と健康悪化を助長
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8割以上(83.1%):感情リテラシー教育が必要と回答 → 社会が「感情教育」を求める転換点に
【『2025年イライラ大賞』TOP5】
1位:人間関係のストレス(38.8%)→身近な関係ほど“怒りの発生源”になりやすく、最大のストレス要因に。
2位:物価・生活コストの上昇(15.2%)→生活の負担増が続き、慢性的なイライラ背景に。
3位:政治・政策への不信感(14.3%)→社会への不満や先行き不安が強まり、感情不安を増幅。
4位:将来への不透明感・不安(13.6%)→経済環境の変化が心理的負荷として蓄積。
5位:SNSやメディアでの過激・扇情的な発言・炎上(10.5%)→デジタル空間での“怒り”が新たなストレス源に。

【分析①】『2025年イライラ大賞』最大の要因は「人間関係」――社会問題を上回る“身近なストレス“
本調査では、2025年のストレス要因として 「人間関係のストレス(38.8%)」 が最多となり、物価高や政治不信といった社会課題を上回る結果となりました。職場・家庭・近隣といった日常的な関係性における負荷が、より大きいストレスとして認識されていることが特徴です。2位「物価・生活コストの上昇」(15.2%)、3位「政治・政策への不信感」(14.3%)が続き、経済不安や社会不信が背景として根強く存在しています。一方で4位「将来への不透明感・不安」(13.6%)、5位「SNS・メディアの過激な発言・炎上」(10.5%)も高い割合を示し、ストレスの原因が 身近な人間関係 × 社会情勢 × デジタル環境 と多層化していることが浮き彫りになりました。
(※詳細データは、公式サイトに掲載)
【分析②】半数以上が「他人の怒り」によって心身の不調を経験――“我慢する文化“が拡大要因か
調査結果で最も衝撃的だったのは、他人の怒りやストレスが原因で53.8%もの人が心身の健康問題を経験しているという事実です。単なる「気持ちの問題」では済まされない深刻な健康被害が広がっています。
さらに、仕事や学業のパフォーマンス低下を経験した人は47.9%、人間関係の悪化を経験した人は46.7%に上る。他人の怒りは、個人の健康だけでなく、仕事の質や人間関係にまで広範囲な悪影響を及ぼしているのが現実です。
一方で、60.0%が「怒りを表に出さないタイプ」と回答し、最も多い対処法は「黙る/我慢する」(54.8%)でした。感情を内に溜め込む「我慢する文化」が健康被害拡大の一因となっている可能性が高く、現代日本が抱える構造的な課題として無視できない結果 となりました。

【分析③】8割以上が“他人の怒りに振り回される“社会――SNSで怒りに晒され続ける負荷も深刻
「誰かの怒りに振り回されてモヤモヤしたことがある」と回答した人は 83.6% にのぼりました。
その理由として最も多かったのは 「言い方・態度が攻撃的だったから」(70.2%)。怒りの矛先が本人だけでなく、周囲の人々へ“飛び火”している実態が明らかです。
さらに、61.7%が「SNSやニュースで他人の怒りを見て疲れた」 と回答しており、スマートフォンを通じて 日常的に“怒りにさらされ続ける状態” が生まれている ことが分かりました。
こうした “他者の怒りの巻き込み” が、心身の不調やストレス蓄積の新たな要因となりつつあります。

【分析④】7割がハラスメント被害を経験――パワハラ53%、カスハラは5人に1人
ハラスメント経験者は 7割以上に達し、もはや特定の場に限らない社会全体の深刻な課題であることが示されました。
内訳では、
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パワハラ:53.6%(最多)
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カスハラ:20%(5人に1人)
怒りや攻撃性によるトラブルが、職場・教育現場・サービス現場など広範囲で起きていることが分かります。

【分析⑤】感情教育に必要性は83.1%――“学びの不足“が怒り問題の温床に
感情教育が「必要」と回答した人は 83.1% にのぼりました。
しかし実際に学んだ経験がある人は、
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学校:36.7%
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職場:52.4%
にとどまり、需要と供給に大きなギャップが生じています。
怒りを適切に扱うスキルが十分に学べないまま、ハラスメント増加や心身の不調が深刻化している可能性が示唆されます。

《日本アンガーマネジメント協会 代表理事 戸田久実の考察》
分析①
現代社会における怒りやストレスの最大の要因が、政治や経済環境の変化より、身近な「人間関係」であることが、今回の調査で示されました。怒りは身近な対象に強くなるという性質があります。身近な対象ほど怒りの元になる「〜あるべき」を強く求め、思う通りにしてくれる「はず」という期待も高くなりがちです。職場や家庭、地域など、日常的に接する相手へのイライラ、ストレスなどの心理的負荷を軽減するためにもお互いの「べき」を尊重し、擦り合わせるコミュニケーションが必要でしょう。また、自身ではコントロールできない経済・社会環境の変化をどう受け入れ、自身にできることは何かを感情に振り回されずに判断し、適切な行動選択ができるようになることも併せて必要です。
分析②
他者の怒りにより、不眠や頭痛、不安などの心身の不調を感じる人が半数を超え、さらには仕事の質や人間関係にまで悪影響を及ぼすという結果は、非常に憂慮すべきことです。アンガーマネジメントを身につけることで、自身の怒りをうまく扱うことができるのはもちろん、誰かの怒りに振り回されなくなります。日々トレーニングを続けることで身につけることができるアンガーマネジメントに取り組むことは、自分の心身の健康を守り、自分を大切にすることにもつながると言えるでしょう。
分析③
アンガーマネジメントでは、「怒らないこと」ではなく「怒る必要があることには、上手に怒ることができる」ことを目指します。誰かの怒りに振り回され、ストレスを感じる理由が「言い方、態度が攻撃的だったから」が最多であり、怒りを表に出せない人の割合も高いことから、怒りを適切に扱い、表現できるようになることが必要であると言えるでしょう。また、SNSやニュースで他人の怒りを目にすることによってストレスを感じる人61.7%、特に20代後半でその傾向が顕著というのは新たな健康リスクとして今後ますます注視すべき課題です。
分析④
ハラスメントを経験した人が7割を超えている現状は、もはや「一部の人の問題」ではなく、社会全体の課題であることを物語っています。特にパワハラを受けた経験のある人が53%と一番高い数値です。また、カスハラを受けた人も5人に1人の割合です。怒りや圧力で誰かをコントロールするのではなく、「怒りは感じてもいいが、どう怒るか(表現するか)」が問われる時代になったと言えるでしょう。
分析⑤
調査結果において、「感情教育が必要」と考えている人が83.1%にものぼる一方で、実際に教育の場を経験した人は職場で約5割、学校では3割強にとどまっているという、需要と供給のギャップが顕著です。感情教育はストレス軽減や人間関係の改善を通じてウェルビーイングの向上にもつながります。心の健康を支え、パフォーマンス向上のためにも感情リテラシー教育は今後ますます重要性を増すでしょう。学校や職場といった組織の中で、体系的な感情教育の導入が必要と考えます。
《日本アンガーマネジメント協会 ファウンダー 安藤俊介の総括》
怒りの感情は、誰にでも湧き起こる自然な反応です。大切なのは、それをどう扱うか――つまり、自分自身がどう向き合い、どう選択するかです。
アンガーマネジメントとは、怒らないようにすることではなく、「怒る必要があるときに、適切に怒る」力を養うトレーニングです。
誰かの怒りに巻き込まれて傷ついたり、逆に自分の怒りをうまく扱えずに後悔したり…。そうした日常の“怒り”の連鎖を断ち切ることが、いま社会全体に求められています。
アンガーマネジメントを学ぶことで、他人の感情に流されず、「自分の人生の舵を握る」力を育むことができます。それは、自分を守り、大切にする第一歩でもあるのです。
アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
現在では、教育現場、企業、医療、行政など幅広い領域で導入されており、DV加害者更生プログラムから業務パフォーマンス向上まで、多様な目的で活用されています。
一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会について
「怒りの連鎖を断ち切ろう」を理念に、アンガーマネジメントの普及を通じて、人が人に当たらない社会の実現を目指しています。
個人向け講座の認定、法人研修の実施、資格保持者の育成などを行なっています。
【法人概要】
協会名 :一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会
所在地 :〒105-0014 東京都港区芝1-5-9 住友不動産芝ビル2号館4階
代表理事: 戸田 久実
設立 :2011(平成23)年6月8日
URL :https://www.angermanagement.co.jp/
株式会社レビックグローバルについて(事業運営会社)
株式会社ウィザス(東証スタンダード)のグループ会社として、LMS(学習管理システム)やeラーニング、企業向け教育コンテンツなどを提供。教育システムの運用ノウハウを活かし、日本アンガーマネジメント協会の運営支援も担っています。
本件に関するお問い合わせ先
一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会事務局広報
MAIL: pr@angermanagement.co.jp
※本データ及び内容を引用いただく際は、広報担当までご連絡ください。
※詳細データは、公式サイトに掲載しています。
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