TopoLogic株式会社への追加出資を決定
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:植田浩輔、以下「東大IPC」)が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(以下「AOI1号ファンド」)は、トポロジカル物質の社会実装を通じて世界の産業課題の解決を目指すTopoLogic株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:佐藤太紀、以下「TopoLogic」)に対して、1億円の追加出資を行うことを決定しました。
今回のTopoLogic社への投資は、SBIインベストメント株式会社(本社:東京都港区、
代表取締役 執行役員会長兼社長:北尾吉孝)、大和企業投資株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平野清久)、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、株式会社アイティーファーム(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:黒崎守峰、以下「IT-Farm」)、JMTCキャピタル合同会社(本社:東京都中央区、職務執行者:浦田興優)、Plug and Play Japan株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長 :ヴィンセント・フィリップ)との共同出資となります。
半導体に続く第4の新たな物質「トポロジカル物質」を社会実装するTopoLogic
TopoLogicは、トポロジカル物質の社会実装を通じ、世界の産業課題の解決を目指す東大発・研究開発型スタートアップです。トポロジカル物質は、これまでの物質とはまったく異なる電子バンド構造を持ち、従来の代表的な物質である絶縁体・導体(金属)・半導体には見られない現象を起こす物質です。2016年には「トポロジカル相転移および物質のトポロジカル相の理論的発見」の業績で、3名の研究者がノーベル物理学賞を受賞しました。
トポロジカル物質を用いることで、従来の物質では成し得なかったレベルの高度な「エネルギーの可視化」「省エネルギー化」を推進でき、エネルギー問題への貢献を加速させることも可能となります。この革新的な物質の社会実装によって、豊かな社会の永続的な実現を目指すべく、東京大学大学院・中辻研究室との共同研究のもと、デバイスの開発や協業企業様との技術提携に取り組んでいます。
サステナブルな省エネルギー社会の実現を目指し、実用化に向けた開発・企業連携の拡大へ
現在、同社では、トポロジカル物質の特性を応用した2つのデバイスを開発しています。
1つ目は、従来のMRAM(磁気メモリ)と比べて、1/10以下の低消費電力・数十倍の超高速書き込みを実現し、高集積化を可能とする「TL-RAM™」です。
近年、ChatGPTをはじめとするAIの急速な普及により、大規模なデータセンターの新設と、それに伴う消費電力が世界的に急増しています。国際エネルギー機関(IEA)の試算では、2026年に予測される消費電力量は2022年の2.3倍と、さらなる急騰が見込まれています。この実用化・普及を通じ、メモリに基づく総エネルギー消費量を低下させ、サステナブル省エネルギー社会の実現を目指しています。
また、2つ目に、微細な「熱」を0.01秒未満で可視化し、異常現象を高速検知する、「TL-SENSING™」を開発しています。バッテリーやパワー半導体の異常検出・故障予知、体温や車内・室内の熱快適性コントロールデバイス、反応触媒・光吸収膜を組み合わせた化学センサ、ガスセンサなど、多くの用途への可能性があります。現在も幅広い企業と協働でのPoCを実施しており、この「TL-SENSING™」の実用化・普及により、これまで産業現場で見過ごされてきた「熱」の課題を解決し、より安全かつ便利に電子デバイス・半導体デバイスを活用できる社会の実現を目指しています。
東大IPCは、大学における基礎研究から新たな社会実装を目指す同社の取り組みを支援するべく、2022年4月にTopoLogicに出資しました。この度、実用化に向けた研究開発及び事業会社への連携強化を目指すべく追加投資実行に至りました。
「TL-RAM™」は、2025年度末に向けたプロトタイプチップの設計・開発、そして実証の実現を目指すとともに「TL-SENSING™」においては、熱流束センサの実用化に向け、パートナー企業との用途・応用開発および熱流束センサを用いたプロダクト・システムの上市を目指し、支援してまいります。
TopoLogic株式会社 代表取締役CEO(Chief Executive Officer)佐藤太紀 コメント
TopoLogicには、国内屈指の開発経験を持つ半導体エンジニアや、弁理士である取締役COO澤井をはじめ、特許に強いメンバーが在籍しています。この度の資金調達は、弊社の事業やトポロジカル物質の可能性に共感いただくとともに、こうした力のあるチームメンバーの技術と熱意に対し、投資家の皆様から、この度の投資について検討から決断まで、ご尽力いただきましたことを厚く御礼申し上げます。
今後はご参画いただいたパートナー企業の皆様と協調し、弊社だけでは実現できないネットワーク構築などもサポートいただきながら、世界でいち早くトポロジカル物質を社会実装し、世の中のコンピューティングや熱に関する課題の解決を行っていき、グローバル社会をリードする企業を目指してまいります。
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 協創1号CIO パートナー 河原三紀郎 コメント
本分野の基礎研究で世界をリードする中辻・酒井研究室の研究成果の社会実装を目指すTopoLogic社には初期から支援させていただいており、今回本格的な研究開発に向けた資金調達まで進展したことを嬉しく思っております。社会実装に長い時間と投資が必要とされる素材分野ではありますが、トポロジカル物質を応用した同社独自のMRAMの開発、超高速応答熱センサーの開発が、各業界のパートナーと共に着実に進捗している状況です。MRAMは、30年以上前から究極の半導体メモリ技術と期待されながら、技術的な課題から限定的な発展にとどまってきました。TopoLogic社の技術は、この状況をブレイクスルー出来る十分な可能性を秘めております。また、これらの展開においては、国内外の多くの事業会社との連携が不可欠です。東大IPCのイノベーション・エコシステムのネットワークを最大限活用し、その実現をともに目指してまいります。
日本のオープンイノベーション活動の発展寄与を目指すAOI1号ファンド
AOI1号ファンドは、東京大学周辺でのオープンイノベーション活動の推進を目的とし、「企業とアカデミアとの連携によるベンチャーの育成・投資」というコンセプトで2020年に組成されました。本ファンドでは、各業界のリーディングカンパニーと連携した新会社設立やカーブアウトベンチャー、および彼らのアセットを有効活用するベンチャーへの投資を通じ、新たな分野におけるオープンイノベーションの成功事例創出を目指します。
東大IPCは、今後も、東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展およびそれを通じた世界のイノベーションを加速するため、ベンチャーキャピタルやオープンイノベーションを推進する企業との様々な連携を通じ、アカデミアの生み出す学術・研究成果を活用するベンチャーの創出、育成および投資を進めていきます。
【TopoLogic株式会社について】
概 要 トポロジカル物質の研究、開発、設計、製造および販売
トポロジカル物質およびトポロジカル物質を用いたデバイスに関連するソフト ウェアの開発、設計、製造、販売および保守
トポロジカル物質に関連する業務および研究開発のコンサルティング業務
設 立 2021年7月
社 名 TopoLogic株式会社
本 社 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ
資本金 416,075,437円
代表者 代表取締役社長 佐藤太紀
U R L https://TopoLogic.jp/
【東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)について】
概 要 東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展を目指す投資事業会社
設 立 2016年1月
株 主 国立大学法人東京大学(100%)
所在地 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ261
代表者 代表取締役社長 植田浩輔
URL https://www.utokyo-ipc.co.jp/
【お問い合わせ】
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社
東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ261
TEL: 03-3830-0200 / FAX: 03-3830-0183 / Email: info2@utokyo-ipc.co.jp
担当パートナー: 河原三紀郎
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