「chilink WORK SITE MINATOMIRAI」1周年記念イベントを開催

日産出身のトップランナーが語る、組織の壁を越える”越境”とキャリアのリアル

株式会社ATOMica

 ソーシャルコワーキング®︎スタートアップの株式会社ATOMica(本社:宮崎県宮崎市、代表取締役:嶋田 瑞生、南原 一輝、以下「ATOMica」)は、2025年5月28日に横浜・みなとみらいの「chilink WORK SITE MINATOMIRAI」にて、同施設の1周年を記念した特別イベント「越境Night − 組織の壁を越えて、未来のヒントを語り合う夜 −」を開催しました。

 本イベントは、日産自動車出身の卒業生によって構成されるコミュニティ「NAIS(Nissan Alumni Innovation Salon)(※)」との共催で実現し、株式会社INCJ代表取締役会長 志賀 俊之氏、シナモンAI会長 兼 CSDO 加治 慶光氏、株式会社資生堂 ブランド価値開発研究所マネージャー 中西 裕子氏が登壇。また、運営会社ATOMicaからは代表取締役Co-CEOの嶋田 瑞生・南原 一希両名が参加し、ファシリテーターを務めました。

※NAISとは、自動車業界を飛び出し異業種で活躍する日産卒業生たちが、イノベーションやビジネスを通じた社会貢献を共通の価値観として活動するネットワーク型コミュニティです。

 当日は、大企業出身者・若手社員・学生など多様な背景をもつ参加者53名が訪れ、越境人材のリアルな体験談に耳を傾けながら、世代や業種の垣根を越えた活発な対話が繰り広げられました。

前列左から、ATOMica Co-CEO 南原、株式会社INCJ 代表取締役会長 志賀氏、株式会社資生堂 ブランド価値開発研究所 マネージャー 中西氏、シナモンAI 会長 兼 CSDO 加治氏、ATOMica Co-CEO 嶋田。

■登壇者

株式会社INCJ 代表取締役会長/元 日産自動車 COO

志賀 俊之 氏

シナモンAI 会長 兼 CSDO/元 日産自動車 マーケティング・ダイレクター

加治 慶光 氏

株式会社資生堂 ブランド価値開発研究所 マネージャー

中西 裕子 氏

■トークセッション内容

 トークセッションでは、日産出身のトップランナーや異業種で活躍するゲスト3名が登壇し、「越境とは何か?」という問いを起点に、それぞれの体験や価値観が語られました。

◆トップランナーが語る、仕事への向き合い方

・志賀氏が61歳で飛び込んだ、常識の通じない世界

 志賀俊之氏は、43年間在籍した日産自動車を離れ、61歳で投資会社INCJに会長として参画。その転機を自分にとっての”越境”であると語りました。

 日産では、トップの発言に異を唱えることが少なく、組織内で通じる常識に染まっていたと振り返ります。一方で、多様な専門家が集まるINCJは、会長の自分に対しても「その意見は違う」と率直な指摘があるなど、肩書きが通用しない環境。最初は戸惑いもあったものの、異なる価値観のぶつかり合いの中で科学反応が起き、思いもよらないアイデアが生まれていくことに魅力を感じたと語ります。「以前は、肩書きで人が動いてくれた。でも今は、”志賀さんの言うことは本質的に正しいか”で評価される。肩書きではなく、自分の価値や人間性で勝負する世界にキャリアの後半の10年で入れたことは、本当に良かった」と、年齢を重ねてから飛び込んだ、新たな世界の価値を実感していました。

・日産リーフ発表時のマーケティング秘話

 志賀氏が”越境”の価値を感じた印象的なエピソードとして語られたのが、日産リーフ発売時のマーケティングです。

 志賀氏は、電気自動車の良さをただ企業が語るのではなく、「電気自動車のある未来」を消費者自身が描くワークショップを実施。子どもから高齢者までが模造紙に理想の未来を描き、その思いをステージ上で発信することで、「排気ガスを出さない車が社会を変える」という“共感の連鎖”が生まれました。日産リーフの発売日には、ワークショップの参加者全員をステージに呼び、みんなでリーフを世に送り出しました。この経験は、志賀氏にとっても、「越境の力と可能性を実感する瞬間だった」と振り返りました。

・アイデア発案の秘訣

 「どういったときにアイデアが浮かびますか?」という参加者からの問いに対し、志賀俊之氏は「考える時間の長さよりも、考える回数が大事」と語りました。ずっと同じ場所で思い悩むのではなく、外に出る・視点を変えることで、ふとアイデアが湧く経験を何度もしてきたといいます。たとえば、散歩や外出のように環境を変えるだけでも、思考がほぐれ、新しい発想にたどり着くことがあるとのこと。さらには「演出家・三谷幸喜さんの“アイデアに詰まったらシャワーを浴びる”という話を聞いて試してみたら、本当に思いついた」と、ユーモラスな実体験も披露。「ちょっとした環境の変化が、考えを前に進めてくれる。カフェでコーヒーを飲んでみるでも、公園に足を運んでみるでもいい。思い詰めるのではなく、環境を変えることで、結果的に良いアイデアが出てくる」と語りました。

 「人と交流することでの成果物の出し方を教えてほしい」という問いに対し、加治慶光氏は「イノベーションは、普段交わらない人との接点から生まれる」と語りました。これは「ウィークタイズ(弱いつながり)」の概念に基づくもので、日常的に関わりのない相手との出会いが、斬新な発想の源になるという考え方です。加治氏は、「異なる世界の間に立ち、媒介として人と人とを繋ぐ人の存在が、新しい価値を生む」と述べ、まさにchilinkがそのような役割を果たす場所だと強調しました。

 加治氏はさらに、「生成AIなどのツールを活用することで、そうした場で得た発想を形にしていくスピードも上がる」とコメント。「ChatGPTに話の要点を入力すれば、わずか15秒でプレゼン資料のたたき台ができる時代」と述べ、アイデアを成果へ昇華させる手段として、AI活用の可能性にも言及しました。

◆トップランナーが問う、働き方のこれから

・意欲ある人材が流出する現代の会社組織

 志賀俊之氏は、近年大企業の中で進行している人材の“二極化”について指摘しました。挑戦意欲の高い人材が次々と社外に出ていく一方で、組織内には、出世に興味がなく言われたことをこなすタイプ、いわゆる“静かな退職(Quiet Quitting)”状態の人が残りやすくなっている状況にあるといいます。志賀氏は「どんな働き方もリスペクトされるべきだ」と前置きしつつも、「意欲ある人が居づらい環境は、組織としての危機」だと警鐘を鳴らしました。

 「ガバナンスやコンプライアンスの名の下に、緩くなった組織の中で、自分が本当に成長している実感を持てますか?」と問いかけ、「越境したい」「挑戦したい」という人たちが集まれる場所として、chilinkのような外部の人同士が交わるコミュニティの価値を強調。「こういう場を増やすことが、日本人にとって重要だ」と語りました。

・ポストコロナの働き方と、共創の場が果たす役割

 加治慶光氏は、協業スペースが増えている背景として「社会課題の複雑化」を挙げました。高度経済成長期には大量生産によって生活が豊かになった一方で、気候変動やパンデミックといった新たな課題が発生。こうした時代には多様な人が連携して課題に立ち向かう必要があるとし、越境は目的ではなく、課題解決のための手段であると語りました。そのうえで、「このような場が1年間継続されていることに大きな意味がある」と、chilinkの意義にも言及しました。

  また、働き方の変化については「多様な働き方の選択肢が認められるようになったことで、子育てや家庭と両立しやすくなり、社会全体が良い方向に進んだ。その一方で生産性が下がったという理由で出社回帰の動きもあり、まだ社会全体が探っている状況だが、将来的には最適なバランスを見つけられるのではないか」と語りました。

 中西裕子氏は、「出社とリモートが選べる柔軟な制度は、社員の多様なライフスタイルに寄り添っている」と話し、現代の働き方において、場所を選ばずに働ける自由さが重要であると述べました。現代の働き方については志賀俊之氏も、「リモートワークによって自分の時間を持てるようになり、新しいネットワークに出会える場に足を運びやすくなった」と述べ、会社という枠にとらわれず、社外に足を運ぶことの価値を強調しました。

 それぞれの発言からは、ポストコロナで拡張した働き方の選択肢が、仕事だけでなく暮らしや人とのつながりにも新しい可能性をもたらしていることが読み取れます。また、その変化を支える開かれた”越境”の場として、chilinkのような新たな交流を生み出すスペースの存在がますます重要になっていることが浮き彫りとなりました。

 chilink WORK SITE MINATOMIRAIは、「居心地の良い空間で人と人がつながり、連鎖反応を起こす場所」をコンセプトに、2024年5月9日に開業したオープンイノベーション創出拠点です。

 今後もATOMicaとchilinkは、多様な共創や対話が生まれる場として、人々が出会い、交わるコミュニティ作りを後押ししてまいります。

■株式会社ATOMicaについて

株式会社ATOMica(読み:アトミカ)は、ソーシャルコワーキング®事業を全国で展開する、創業6年のスタートアップ企業。あらゆる願いに寄り添い、人と人を結び続けるために、企業や自治体、大学や地域をはじめとする多種多様なステークホルダーが保有する場に対して、コワーキング施設をゼロからプロデュース・運営。場所としてのコワーキングスペースの枠を超え、出会いや交流、共創を持続的に生み出すためのコミュニティづくり、街づくりを行なう。現在、全国で50以上の施設(※)を運営している。

※2025年6月時点

【会社概要】

社名:株式会社ATOMica(アトミカ)

設立:2019年4月5日

代表者:代表取締役Co-CEO 嶋田 瑞生、南原 一輝

所在地:東京都中央区日本橋1-4-1日本橋一丁目三井ビルディング5階 THE E.A.S.T. 日本橋一丁目(東京オフィス)

事業概要:コワーキングスペースの立ち上げ・運営支援、産学協同プロジェクトの企画・運営、コミュニティを通じたDX/CX領域の人材育成とマッチングをはじめとするソーシャルコワーキング®事業

コーポレートWEBサイト:https://atomica.co.jp

コミュニティマネージャー特設WEBサイト:https://atomica-communitymanager.com

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会社概要

株式会社ATOMica

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URL
https://atomica.co.jp
業種
サービス業
本社所在地
宮崎県宮崎市橘通西3-10-32 宮崎ナナイロ東館8階
電話番号
-
代表者名
嶋田瑞生
上場
未上場
資本金
13億2647万円
設立
2019年04月