「デジタル化への移行前に危機感を持つよう奨励」ファーウェイ郭平(グオ・ピン)講演 日本語訳全文

本参考資料は2021年11月17日(現地時間)にオーストリア・ウィーンで講演された内容の全文翻訳版です。

司会者:それでは、本日の課題:デジタル時代の「人類の責務:デジタル時代の不確実性の舵取り」についてのセッションを続けます。では、ファーウェイ輪番会長の郭平氏です。郭平氏をセッションにお招きします。

郭:ありがとう、エドゥアルド。今年のフォーラムに参加でき、大変光栄です。

今年のフォーラムのキーワードは「人類の責務」です。デジタル技術が新たな必須事項となりつつある今日、デジタル技術が人間に代わることを懸念する人もいます。そして、これは無理もないことです。しかし、多くの企業にとってデジタル化は始まったばかりだと考えます。彼らはデジタル化を表明していますが、その目標は依然、不明瞭で、単に大多数に従うだけかもしれません。

このことは、約20年前のファーウェイの初期のIT戦略計画を思い起こさせます。当社の目標は、「世界クラスのITの提供ではなく、ファーウェイを世界クラスの企業にする」ということで一致していました。振り返ると、非常に幸運だったと感じます。デジタル化の目標を会社全体の戦略目標と連動させることは、確かに正しい選択でした。

今日、多くの企業が対応すべき重要な課題は、「デジタル化により、いかに組織の競争力を向上させ、戦略的目標を達成するか」ということです。

次に、デジタル化とファーウェイの経営変革の経験についての私の考えをお話します。

第1に、これから多くの企業がデジタル化すると考えます。

Uberのようなテクノロジー企業がタクシー市場に参入後、従来の自動車サービスプロバイダーがデジタル技術の導入を開始して、オンラインで自動車サービスを提供するようになりました。今日、Uberは大量の車を購入しており、資産を多く所有するモデルへと移行しています。おそらく最終的に、多くの企業がデジタル企業となるでしょう。

第2に質の高い変革計画が、デジタル化を成功させる第一歩となります。
  • ファーウェイの例をお話します。1998年、当社では変革の取り組みに着手するために「IT戦略&計画」を立ち上げました。この計画に基づいて、ファーウェイでは10年以内にR&DのIPD変革とサプライチェーンのISC変革を完了しました。IFSも導入しました。これにより、新しいプロセスを確立し、組織を再構築して、その結果をITシステムに統合しました。当社の組織力は大幅に向上しました。これらの変革プログラムにより、当社は「世界クラスの企業」となりました。
  • 2016年には、デジタル時代をリードするというファーウェイの目標を支持すべく、当社では企業レベルのデジタル変革計画に着手しました。例えば、COVID-19の発生後は、展示ホールをクラウドに移行して、没入型で快適な体験をお客様に提供しています。この2、3年、私はもちろんオンラインで、個人的に中国や海外のお客様と、従来以上に頻繁に面会しています。

第3に、当社では人を変えることが変革を成功させる鍵であると考えます。

ファーウェイでは、概ね不変であることの1つは変化することであると認識しています。変わりつつある環境に適応するための戦略を調整する際、それに応じて管理システムも変更されます。また、企業全体に相応しい風土を作り出すよう努め、社内効率を高めるための準備を整備しています。全般的に、ファーウェイの変化の準備度は極めて高く、変革プログラムを展開する際に確実に役立ちます。

また、制度上の保証も提供します。例えば、
  • 変革への抵抗を低減するために、影響を受ける従業員の利益を保護します。
  • また、変革プログラムの成功を通じて、変革に対する使命感と深い理解を持った従業員を特定します。そして、これらの従業員を新たな場所に割り振り、そこで変化の推進に取り組ませます。
  • 変革を実施する際には、違いを尊重します。積極的に変化する従業員を動機付け、変化しない従業員には忍耐を与えます。当社は従業員に選択肢と変化のための時間を与えます。
  • もちろん、すべての従業員が快く変化を受け入れるわけではありません。適時、変化できない従業員には、より効果的に成長できる機会を提供します。

時代を先取りするには、変革計画を毎年見直し、当社の事業戦略に合致していることを確認します。継続的な経営変革により、多くの企業が絶えずデジタル時代の手腕を向上させることができると考えます。

また、すべての企業が大胆な変化を受け入れることを願います。結局のところ、これ以外、真の代替手段はありません。ピーター・ドラッカー自身の言葉を引用するなら、「変化を管理することはできません。先導する事のみ可能です。」

ありがとうございました!

司会者:郭平さん、ありがとうございました。確かに我々は絶えず変化する必要があります。不変であるのは、変化があることだけです。人を変えることが変革を成功させる鍵であると仰いましたが、絶え間ない変化において、いかに革新の文化を創造し、構築されますか?

郭:デジタル化された健全なプロセスにより、大半の従業員は従うべき規則を持ちますが、すべての活動が厳密に規制されているわけではありません。

また、当社では革新文化の創造にも取り組んでいます。そして、それは失敗への耐性から始まります。

当社では毎年、収益の10%以上をR&Dに投資しています。そして、その予算の30%は研究とイノベーションに用いられます。2012ラボは基礎研究を専門とする研究部門であり、マルチパス、マルチウェーブ、試行錯誤的アプローチの採用を奨励しています。例えば、特定のテクノロジーが業界標準の一部に選定される以前、当社では5Gのさまざまなテクノロジーに取り組んでいました。当社が取り組んだ中には業界標準とならなかったものも多数ありました。かつて創設者の任は、「ある道を進んで、それが行き止まりになることを見届け、その事を他人に共有することで、彼らが同じことを繰り返さず、別の道を試すことが出来るようにすることも成功である。」と話しました。

第2に、当社ではハイエンド人材の採用に真剣に取り組んでいます。

ファーウェイでは世界各地の研究センターに勤務する、最精鋭の人材の採用に努めています。当社はかつて、故国に残ることを希望する研究者に研究センターを設立しました。人材の足跡をたどり、研究者や鬼才の可能性を存分に発揮できるよう、リラックスした職場環境の構築に取り組んでいます。

司会者:ありがとうございました!失敗への耐性、リラックスした職場環境の構築、そして最高の人材を雇用することが鍵ですね。このイノベーションのプロセスにおいては、失敗や変化を通じて学習することが重要です。従業員のトレーニングおよび能力開発の促進のために、ファーウェイではどのようなアプローチを導入されていますか?

郭:当社では変化とは従業員の考え方、および行動を変えさせる事であり、変化のための最大の課題は従業員を変えることだと考えます。ファーウェイでは20年の変革の取り組みを通じて、変革過程の人材の課題に体系的に対処するための、包括的なフレームワークを開発しています。

最初に、関係者の分析を行い、影響を受ける個人を能力と意欲別に複数グループに分けて、異なるフォローアップアクションを実施します。変化を積極的に支持する人員を動機付け、変化に抵抗する人員は別の立場に置くか、その他の適切な措置を講じます。

次に、変革全体を通してコミュニケーション、およびトレーニングを実施します。関係者の分析を行い、複数のグループでさまざまなコミュニケーションアプローチを導入します。次に、目的別のトレーニングで影響を受ける従業員に再教育を実施し、効果的な変革実施を確保します。

例えばIFS、すなわち統合型金融サービスの変革の際に、当社では管理、業務、そして財務担当者向けに1,000を超えるトレーニングセッションを実施しました。最後に、企業文化の変化に特別な注意を払います。例えばR&DのIPD変革においては、マトリックス構造が導入されました。そして、機能責任者への報告に親しんだ従業員がプロジェクトマネージャーに快く先導されるには、対策が必要でした。企業文化の形成と移行は、変革を推進するための効果的な保証となります。

司会者:学習、革新、変化を実現するには、非常に多くの断片を統合しなければなりません。「企業全体に相応しい風潮を作り出す」と繰り返し話され、最近では「落ち着いた職場環境」と言及されたことについて、再度お尋ねします。この文化、この職場環境をいかに創出するかについて、具体的な例を挙げてください。

郭:いくつかあると思います。まず、ポジティブなインセンティブです。ファーウェイでは、変革チームの報酬にポジティブなインセンティブを頻繁に用いるため、誰もが会社の方向性を認識できます。毎年、何千人もの従業員にさまざまな賞が授与され、これが確実に変化に対する前向きな推進力となっています。

しかし、当社の経験では危機感も非常に重要です。危機感が変化の気運を生み、真の変化のための道を切り開きます。

時に、視覚により潜在的危機を可視化することで、従業員の危機感を強め、彼らが変化の必要性を真に理解できるようにする必要があります。例えば2014年には、サプライチェーンに問題がありました。実際の商品は会計記録と完全には一致していませんでした。時として情報は商品の流れよりも遅いため、多くの人が問題を認識しているものの、これが顧客満足と運用セキュリティにもたらす潜在的リスクを完全には把握できていませんでした。

当社は2014年に、世界中の100を超える営業所から取締役を招集し、世界規模の倉庫会議を開催し、世界各地の従業員に生放送されました。下請け業者に山のように積み上げられた帳簿外の材料等、衝撃的な写真や動画が映し出されました。これは、従業員に変化の必要性を深く理解させ、覚悟を持って取り組ませるために実施されました。その後の数年間の努力で、最終的に在庫勘定と実際の商品を一致させるという目標を達成できました。

深刻な危機は、より効率的で抜本的な変化を促します。当社は20年以上にわたり、世界最高のパーツおよび部品を調達して、最高の製品を開発することに慣れ親しんでおり、年々事業を成長させてきました。これは、ファーウェイの多くの従業員に馴染みあるパターンです。この2年、ファーウェイでは外的環境の重大な課題に直面しました。ファーウェイの全ての従業員は、当社の環境の変化を認識し、自ら改革するよう動機付け、決意し、R&D全体でさらなる変化を促し、供給の継続を確保するために、より多様でレジリエントなサプライチェーンの構築に取り組んでいます。当社は、環境の変化と生存へのプレッシャーが変化の原動力であり、変革に向けた風潮作りの絶好の機会であると認識するようになりました。

司会者:非常に興味深いです。お考えに大変共感致しました。おっしゃった言葉と表現をいくつか強調させてください。「当社の目標は、世界クラスのITの提供ではなく、世界クラスの企業を提供することです。人を変えることが、変革を成功させる鍵です。人を変えるには、緊張感を持って、自ら改革するよう鼓舞しなければなりません。生き残るプレッシャーにより、前進することができる」、と仰いましたね。洞察に溢れています。郭平さん、ありがとうございました。

郭:ありがとうございます。お招き頂き、ありがとうございました。今後の発展をお祈りします。

司会者:はい。ありがとうございます。では、イベントを続けます。
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