Shizen Connect、仮想発電所の社会実装のため大手電力3社を含む計8社と資本業務提携契約を締結
- 提携先企業およびグループ会社から8.6億円の資金調達を実施-
VPP(*1)プラットフォーム開発会社の株式会社Shizen Connect(以下、Shizen Connect)は2024年7月9日、株式会社JERA(以下、JERA)、四国電力株式会社(以下、四国電力)、新日本空調株式会社(以下、新日本空調)、東急不動産株式会社(以下、東急不動産)、東京ガス株式会社(以下、東京ガス)、西日本鉄道株式会社(以下、西日本鉄道)、北陸電力株式会社(以下、北陸電力)、北海道電力株式会社(以下、北海道電力)の8社と、VPP(仮想発電所)の社会実装を目的とした資本業務提携契約(以下、本提携)を締結し、また、同時にグループ会社からの調達も実施することで合計で8.6億円の資金調達を実施したことを発表します。
本提携を通じて、提携先企業と共にVPPの社会実装の実現に一層努め、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
■VPP(仮想発電所)について
政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けて、再生可能エネルギー発電設備(以下、再エネ発電設備)の導入拡大が進められています。しかし、これらの再エネ発電設備は天候により大きく出力が変動するため、再エネを有効活用するためには電力の需要と供給をバランスさせる仕組みが必要であり、その手段としてVPPへの注目が高まっています。
VPPとは、家庭や企業が保有するEV(電気自動車)や蓄電池等のエネルギー機器をインターネットを通じて1つの大きな発電所のように遠隔制御する仕組みです。例えば、送配電網において電力が余っているときには蓄電し、電力が不足するときには放電することで、電力の需給バランスを効率的に調整します。
VPPの主なメリットは以下の通りです。
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家庭や企業:エネルギー機器が遠隔制御により充放電されることを承諾するだけで、VPP制御への協力報酬などの経済的メリットを得られます。機器に余力のある時間帯を活用して制御するため、生活や企業活動にほとんど影響はありません。
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EVや蓄電池等のメーカー:上記の経済的メリットによりVPP対応のEVや蓄電池等の販売を促進でき、また遠隔制御によるストック型収益も得られます。
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小売電気事業者:電力調達コストの削減等にVPPを活用できます。また、顧客に対してVPPサービスや、VPP対応のEVや蓄電池等の導入支援等のソリューションを提供できるようになります。
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再エネ事業者:VPPによる需給調整により出力抑制が軽減され、収益性が向上します。
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社会全体:VPPは設備投資や炭素排出がないため、低コストかつ脱炭素化された方法での電力の需給調整が可能になります。ひいては電力料金の低減、電力供給の安定化、停電リスクの減少、エネルギー安全保障の向上、脱炭素社会の実現に繋がります。
国内市場規模は急速に成長しており、2030年には730億円に達すると予測されています(*2)。
■株式会社Shizen Connectについて
Shizen Connectは、VPPプラットフォームを開発・運用するテクノロジー会社です。
研究開発においては、自社で開発・運用するエネルギー管理システム「Shizen Connect」(以下、「Shizen Connect」)を通じて以下に取り組んでいます。
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AIを用いた電力市場価格や需要量等の予測や充放電制御計画の立案
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多様なメーカーのEVや蓄電池等の各種エネルギー機器への制御対応
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大規模VPPに経済安全保障上求められるセキュリティの確保
事業開発においては、家庭や企業に直接アプローチするのではなく、以下のような協業を通じてビジネス拡大に取り組んでいます。
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機器メーカーとの協業:「Shizen Connect」を機器メーカーの遠隔制御サーバーとクラウド連携させることで、通信用ハードウェアや通信費などの追加コストなしで機器を制御します。既に家庭用蓄電池の分野では、国内市場シェアの合計で約57%(*3)のメーカーとのクラウド連携を実現しています。更にエコキュート(ヒートポンプ式電気給湯器)やEV等のメーカーとの連携も拡大していきます。
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小売電気事業者との協業:小売電気事業者が自社の顧客へVPP技術を活用したサービスを提供し、Shizen Connectはその制御を担います。例えば、東京ガスの「IGNITURE蓄電池」(*4)や東京電力エナジーパートナー社の「エコ・省エネチャレンジ機器制御オプション」(*5)などの顧客向けサービスにおいて「Shizen Connect」が採用されています。さらなるサービス拡大を視野に、多くの大手小売電気事業者と実証を実施しています(表1)。
なお、VPP技術は需要側機器だけでなく系統用蓄電池の制御にも活用できます。例えば、西鉄自然電力合同会社及び東急不動産株式会社などの系統用蓄電池事業の取引・運用の代行(*6、*7)や、大阪ガスの系統用蓄電池の遠隔制御・監視システム(*8)などに採用されています。
事業目標としては2030年までに売上高100億円を目指しています。
■資本業務提携および資金調達について
本提携の目的は、提携先企業が「Shizen Connect」を共用のプラットフォームとして活用し、共に長期的な視野に立ってVPPの社会実装を実現することです。
本提携のメリットは以下の通りです。
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提携先企業:研究開発コストを圧縮してVPPを活用した電力事業や関連サービスを展開できる
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Shizen Connect:制御対象の確保を提携先企業に任せ、研究開発に専念できる
本提携に基づき協業する制御対象機器と提携先の関係は以下の通りです。
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EVや家庭用蓄電池・エコキュート等
四国電力、東京ガス、北陸電力、北海道電力
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EVバス
四国電力、西日本鉄道 -
系統用や再エネ発電所併設の蓄電池
JERA、新日本空調、東急不動産、西日本鉄道 -
24/7 CFE(*9)サービス用の蓄電池
JERA、東急不動産
また資金調達としては、本提携先からの新株予約権付転換社債による資金調達と同時にグループ会社である自然電力株式会社(以下、自然電力)からの借入も実施し、合計で8.6億円を調達しました。これにより、Shizen Connectの累積の資金調達額は13.6億円となりました。本資金を活用しエンジニアの採用と研究開発投資を中心に成長のための経営基盤の強化を行います。
Shizen Connectは引き続き、各分野のリーディングカンパニーと共に、脱炭素化社会の実現に向けた貢献を続けてまいります。
■Shizen Connectのコメント
Shizen Connect 代表取締役CEO 松村 宗和
1つ1つのEVや蓄電池の充放電能力は送配電網からみたら「塵」のように小さなものです。ところがそれが数十万台、数百万台となれば大きな充放電能力になります。当社のIoT/AI技術がこの技術的可能性を担保できますが、多くの人に充放電制御を許可してもらうことは当社だけではできません。今回、大手エネルギー会社などがこの「塵を積もらせ山とする」取り組みに腰を据えて参画いただけたことは、日本のVPPにとって大きな一歩だと考えています。期待に応えられるよう私達のプラットフォームの研究開発を続け、安価で安定し脱炭素化した電力供給に貢献してまいります。
■提携先企業のコメント(五十音順)
株式会社JERA 財務戦略統括部 財務開発部長 大久保 功 様
JERAグループでは、カーボンニュートラルを目指し、より実効性あるCO2削減への要請が社会的に高まる中、24/7CFEの普及を国内で先駆的に進めるべく取り組んでおり、24/7 CFE実現にあたり、調整力となる蓄電池の役割は非常に大きいものです。株式会社JERAおよび株式会社JERA Crossは、Shizen Connectとのパートナーシップを通じて蓄電池制御・運用の24/7CFEへの取り込みだけでなく、蓄電池の充放電の電力属性・量を常にトラックすることで、利用電力の属性の透明性をより高め、社会のさらなる脱炭素化に貢献していきます。
四国電力株式会社 執行役員 新規事業部長 瀧川 重理登 様
Shizen Connect社が提供する分散型エネルギーリソースのプラットフォームは、今後の脱炭素化に向けて大きく貢献するものと期待を寄せております。弊社としても、この度の資本業務提携により、電動モビリティを起点とした協業の取り組みを加速させ、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
新日本空調株式会社 上席執行役員 未来戦略推進担当 宮下 公一 様
当社は、長期ビジョン「SNK Vision 2030」において「持続可能な地球環境の実現と、お客様資産の価値向上に向け、ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指す」ことを基本方針に掲げ、空調を中心とする建築設備の省エネルギーや温室効果ガスの削減に注力しています。Shizen Connectとの協業により、エネルギーマネジメント分野におけるサービスの高度化や事業開発を進め、地球環境への貢献をさらに加速してまいります。
東京ガス株式会社 BTMソリューションプロジェクト 部長 本橋 裕之 様
当社は、従来のエネルギーの枠を超えたソリューションを開発することで、社会の持続的発展とお客さまへの一層の価値提供を追求していくことを目指しております。その実現に向けた取り組みの一環として、家庭用蓄電池の遠隔制御によって電気を賢く使うお手伝いをすることで、蓄電池に新たな価値を加え、お客さま及び社会に貢献できると考えております。本取り組みは、小売事業者のみならず、アグリゲーター、プラットフォーマーと数多くのステークホルダにより構成されております。今回の資本業務提携により、様々なステークホルダが参集し、この業界を盛り上げて
いく気運がさらに高まることを期待しております。
東急不動産株式会社 インフラ・インダストリー事業ユニット 環境エネルギー事業本部
環境エネルギー事業第一部 統括部長 古田 誠 様
当社は2014年より再生可能エネルギー事業に参入し、全国108事業・1,761MWの電源の開発保有(2024年5月末基準)並びに小売りの事業を拡大しています。さらに、調整力を持たせる「系統用蓄電池事業」や、環境負荷を大幅に下げられる「再生可能エネルギー100%のデータセンター事業」にも参画しており、今後はより多様かつ高度なエネルギーのサプライチェーンを構築する必要があると考えています。Shizen Connectの展開するアグリゲーション事業並びにVPP事業の強みを活かした再生可能エネルギーと蓄電池の最適活用、並びに24/7CFEの領域における相互連携について大いに期待をしています。
西日本鉄道株式会社 新領域事業開発部 部長 林田 安弘 様
当社は、自然電力様との合弁会社「西鉄自然電力合同会社」を通じて、太陽光発電によるコーポレートPPA事業や系統用蓄電池事業に取り組んでいます。これらの事業において既にShizen Connect様と連携しており、今回の資本業務提携により一層の連携拡大を目指すほか、モビリティ領域での事業創出や西鉄グループが保有するアセットのVPP活用など新たな取り組みを共に推進し、再エネの普及や電力供給の安定化に貢献してまいります。
北陸電力株式会社 営業本部 営業本部室 CNビジネス開発チーム 統括課長 神田 友和 様
当社は、Shizen Connectとの資本業務提携を通じて、エネルギーリソースの効率的・効果的な活用を推進しています。特に、エコキュートを利用したDRサービス等を通じて、地域のエネルギー需給の最適化を図り、持続可能なエネルギーソリューションを提供することを目指しています。この取組みを通じて、北陸地域のエネルギー効率の向上と脱炭素化の推進に大いに寄与するものと期待しています。
表1 大手小売電気事業者との実証実験実績
*1 Virtual Power Plant(仮想発電所):分散型電源(発電設備、蓄電池、EVなど)や需要設備を遠隔で統合・制御することで、あたかもひとつの発電所のように機能させること。
*2 矢野経済研究所「2019 エネルギーリソースアグリゲーションビジネスの現状と将来展望」より引用。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2283
*3 「月刊スマートハウス」No.108(2024年2月号)の蓄電池メーカーシェアに基づき当社試算。
*4 東京ガスのソリューション「IGNITURE蓄電池」の制御プラットフォームとして「Shizen Connect」を採用(2024年4月23日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2024/04/23/shizen_connect_igniture_saas/
*5 東京電力エナジーパートナーが低圧VPP運用にShizen Connectを採用(2024年6月21日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2024/06/21/sc_tepco_adopt_dr_support/
*6 西鉄と自然電力、系統用蓄電池事業に参入(2023年7月19日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2023/07/19/grid_scale_battery_nishitetsu/
*7 Shizen Connect、東急不動産がTENOHA東松山で実施する系統用蓄電池事業に採用(2023年8月3日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2023/08/03/shizenconnect_tokyu_grid_battery/
*8 エネルギー管理システム「Shizen Connect」が、大手都市ガス会社の系統用蓄電池事業の制御・監視システムに採用(2023年12月8日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2023/12/08/osaka_gas_adopt_shizen_connect/
*9 24/7CFE(Twenty-four Seven Carbon Free Energy):毎日24時間・毎週7日間、すなわち年間365日にわたってCO2を排出しない電力の名称。
【エネルギー管理システム「Shizen Connect」について:https://www.se-digital.net/】
「Shizen Connect」は再エネ発電設備や蓄電池・EV・エコキュートなどのエネルギーリソースを集合的に制御するアグリゲート・エネルギー管理システムです。蓄電池やEV充電器などの個別制御から、複数の建物を自営線などで繋いだマイクログリッド制御、大規模のエネルギーリソースによるVPP制御などが実現できます。分断されがちだった個別の制御とVPP制御などをワンストップで提供でき、エネルギーリソースをマルチパーパスで利用することで経済性を向上させられます。またベンダーフリーなのでメーカーに依存することなくエネルギーリソースは自由に選定できます。
【株式会社Shizen Connect 会社概要】
会社名 :株式会社Shizen Connect
本社所在地:東京都中央区日本橋本町2丁目4番7号
設立 :2023年10月2日
株主構成 :自然電力株式会社100%
代表者 :代表取締役 松村宗和
事業内容 :VPPプラットフォーム事業、エネルギー管理サービス事業、IoT機器販売事業など
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