障害年金に関するアンケート調査結果について
~ がん治療経験者、ご家族を対象に~
2023年6月26日(月)~7月10日(月)に実施した本アンケートでは、がん治療経験者・がん患者のご家族の障害年金の認知度や相談先、請求を妨げるハードルなどを調べたところ、582件の回答が寄せられ、がん患者さんやご家族、そして医療従事者にも、障害年金について周知が必要であることが示されました。
<アンケート実施の背景>
障害年金は、病気などで障害を生じた人が、働くことや日常生活に困難がある場合に受け取ることができるものです。障害年金は患者さんの経済的支えとなり得ますが、要件に合えばがん患者さんが障害年金を請求できることを、患者さんにも、医師にも、十分に知られているとは言えません。また、障害年金請求の際に必要な診断書は、非常に書くことが難しいと言われています。
キャンサーネットジャパンでは、日常生活や仕事に支障があり、障害年金を必要とするがん患者さんが、障害年金を受け取りやすくなるように、医師向けに診断書作成ガイドブックを制作中です。また、あわせて、がん患者さん・ご家族向けに、障害年金についてわかりやすく説明をしたウェブサイトを作成しています。本アンケートは、それに先立ち、障害年金について現状を把握し、ガイドブックやウェブサイトに織り込むことができるように実施しました。
<アンケート結果の概要>
がん患者でも障害年金を受け取ることができる可能性があることを「知らなかった」と回答したがん治療経験者および家族は34.2%にも及びました。
「知っていた」と回答した方では、「記事や書籍、冊子(インターネット上含む)」から情報を得ていた方が51.4%と最も多く、医療従事者(主治医、看護師、がん相談支援センター、医療ソーシャルワーカー)から聞いたという回答はいずれも10%にも満たない結果でした。
自由記述欄においても、「主治医や看護師から知らせてほしい」、「病院でパンフレットやポスターで知ることができるとよい」、「がんの治療を受ける際に病院側から説明してほしい」といった声が多く寄せられ、医療従事者からの情報提供が求められていることをうかがい知ることができます。
一方で、障害年金の請求を決めるにあたり相談した先は、「主治医」が32.4%と最も多く、次いで「社会保険労務士」(21.0%)でした。
障害年金を請求するうえで困ったこと、請求を断念した理由で最も多いのは「手続きや書類作成が煩雑だった」(53.3%)、次いで「「初診日」や「障害認定日」など用語を理解するのが大変だった」(26.7%)と、制度を理解する難しさが上位にあがりましたが、「どこ/誰に相談してよいかわからなかった」(13.3%)との回答もあり、患者や家族に情報が行き届いていないことが見て取れました。
また、主治医に関して、「主治医が障害年金のことをよく知らなかった」(12.4%)、「主治医があまり協力的ではなかった」(9.5%)、「主治医に診断書作成を依頼するのをためらった」(4.8%)の回答があがっていますが、医師ががん患者さんも障害年金を受け取れる場合があることを知っておくこと、そして、煩雑と言われる診断書作成がガイダンスによってスムーズになれば、患者と医師とのコミュニケーションも改善される可能性があると考えられます。
障害年金は、患者自らが請求のアクションを起こさなければ、受け取ることができません。日常生活や仕事に支障のある方が障害年金を受け取ることができるために、まずは、がん患者さんとご家族、そして医療従事者が、がん患者さんも要件に合えば障害年金を受給できる場合があることを知っておくことが必要です。
アンケートの結果を受けて、医師向けの診断書作成ガイドブックやがん患者さん・ご家族向けの障害年金についてのサイトの制作の必要性が確認されました。キャンサーネットジャパンでは、必要とする方が障害年金を受給できるようになるよう、障害年金の認知度を高める活動を進めます。
◆がん患者さんにおける障害年金に関するアンケート
対象:がん治療経験者およびがん患者ご家族
アンケートの実施期間:2023年6月26日(月)~7月10日(月)
アンケート回答数:582件
結果の詳細はこちら https://www.cancernet.jp/investigation
※本アンケートは、ファイザー株式会社「医学教育プロジェクト︓急性白血病の治療環境向上」の助成⾦を活用し、キャンサーネットジャパンが企画した「医師向け障害年金診断書作成ガイドブックの制作」のためのプロジェクトの一環として実施しています。
<認定NPO法人キャンサーネットジャパン>
1991年に発足し、がん患者が本人の意思に基づき治療に臨むことができるように、科学的根拠に基づく情報発信を行うことをミッションとしています。2001年にNPO法人化、2007年1月に専用事務局を開設し、現在は東京と大阪を拠点に全国で活動しています。2016年8月に認定NPO法人となり、現在の主な活動は、各種がんについての啓発イベント、全国のがん診療連携拠点病院等に設置されている「もっと知ってほしいシリーズ冊子」の制作、養成講座や認定試験など教育事業等も実施しています。これらの活動を通して、がんと向き合う人々が自分らしくがんと向き合える社会を実現することを目指しています。希少がんも含め、あらゆるがんに関する最新医療情報発信のため、2014年より毎年開催しているジャパンキャンサーフォーラムは、がん患者・家族のみならず一般市民を対象とした最大級のがん啓発イベントです。
https://www.cancernet.jp/
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