【レポート】マーケターが熊野古道のPR戦略を考える2泊3日のワークショップを開催
「熊野古道=人生の節目で歩く道」を実現させるため、プロの講師陣のもと実践方法を考案
不動産開発・ホテル運営の株式会社日本ユニスト(大阪市、代表取締役:今村亙忠)は、熊野古道の1棟貸し宿「SEN.RETREAT TAKAHARA」(和歌山県田辺市)で、一流のPRパーソンやマーケターを講師に迎え、地域課題を解決する力を磨く1泊2日の合宿型ワークショップ「Kansai Marketing Camp in 熊野古道」を、12月9日~10日に開催しました。
熊野古道を「人生の節目で歩く道」と定義づけ、そのイメージを浸透させる施策を考えるにあたり、語り部とともに熊野古道をトレッキングしたり、地元で観光振興に従事する方にお話を聞いたりしながら、各参加者の知見や経験をもとに、戦略をグループごとに考案しました。全国各地からさまざまな専門領域を持つマーケターが集まり、集中的にワークショップに取り組むとともに、学びを深める場となりました。
講師陣による振り返り >https://sen-retreat.com/journal/47/
《「Kansai Marketing Camp in 熊野古道」概要》
地方の活性化に第一線で取り組むマーケターやPRパーソン3名とともに、地方創生を持続的に実現するための答えを探すワークショップを、2023年6月の第1回に引き続き、合宿形式で開催しました。1泊2日だった第1回からパワーアップし、2泊3日での開催となったほか、講師陣もマーケターだけではなく、PRやブランディングの専門家など幅広いジャンルの方をお招きしました。
舞台となったのは、和歌山県田辺市中辺路町の山間にある1棟貸し宿「SEN.RETREAT TAKAHARA」。人口約70人の集落に位置しており、少子高齢化や働き手不足、インバウンド需要に対する宿不足などの課題を抱えています。
熊野古道には日本の文化・自然・宗教を体感しようと、欧米豪から多くの方が訪れていますが、日本人で訪れる人はごくわずか。その価値と魅力が、国内で広く認知されていません。
熊野は約1000年前から、熊野速玉大社が前世の罪を清め、熊野那智大社が現世の縁を結び、熊野本宮大社が来世を救済すると言われており、その3社を巡れば、過去・現在・未来の安寧を得ると考えられ、多くの人々が熊野を訪れました。
そこで、SEN.RETREATは「現代の日本人も熊野古道を歩くことで、人生の悩みや変化に向き合えるのではないか」と考え、「熊野古道=人生の節目で歩く道」というイメージ付けに取り組むことを決めました。今回のワークショップでは、そのイメージを実現するための施策を考えるお力添えをいただくとともに、各地方で孤軍奮闘しているマーケター同士の横のつながりを作ろうと考え、実施するに至りました。
セミナーにはマーケターをはじめ、PR、広告、コンサル、学生起業家、人材開発など、さまざまな職種・属性の16人が参加。ゴール設定に対して、各人のスキルを活かしてどう解決へと導くことができるか、講師とともに熱い議論を交わしました。
【講師】※敬称略
・桜井貴斗 (HONE Inc. 代表取締役/マーケター)
・下村彩紀子(株式会社しんめ 代表取締役 / PR)
・平野 美優 (The Breakthrough Company GO / Business Producer)
・大﨑庸平(株式会社日本ユニスト SEN事業部)
当日のレポート
1日目
◆熊野古道の現状について、田辺市熊野ツーリズムビューローの方よりレクチャー
熊野古道の観光振興やインバウンド客の宿の手配などを行う「田辺市熊野ツーリズムビューロー」の方より、観光プロモーションのあり方についてセミナーを行っていただきました。
「世界に開かれた上質な観光地」「ブームよりルーツ」「インパクトを求めずローインパクト」といった観光戦略を取っていることや、同じく道の世界遺産である、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」との連携などについて、ご説明いただきました。
2日目
◆語り部とともに熊野古道をトレッキング
熊野三山の聖域の始まり・滝尻王子からSEN.RETREAT TAKAHARAまで、語り部のガイドさんとともにトレッキング。ワークショップに挑む前に、熊野古道を実際に歩き、どんな場所なのか肌身を持って体感しました。
◆「人生の節目に熊野古道を歩く」動きを作り出すためには、どうすればいいか議論
午後からは再び宿に集まり、SEN.RETREATの取り組みや熊野古道の状況について、参加者の方へ紹介。その後、3つのチームに講師が1人ずつ配置され、ワークを実施しました。
「人生の節目に熊野古道を歩くこと」を実現させるためにどういった企画を行えばいいのか、4時間集中して考え抜きました。
◆チームごとに企画を発表
桜井さんのチーム…セカンドライフを迎える60歳以上を対象に、自分の過去の人生や価値観と決別できる企画を提案。60歳以上の方99名を集め、熊野古道を歩いた後に、自分自身の内省を行うだけでなく、他の参加者の価値観にも触れるワークを行う、という具体案を発表しました。
下村さんのチーム…ネガティブな感情に苛まれた際、ひとり旅に行く選択肢はあるものの、
第一想起される旅行先がないことから、熊野古道を「ロスの聖地」にすることを発案。
失恋・離婚などの傷心旅行のほか、身近な人との死別などを経験した人を対象に、同じ境遇の人々で集まれるコミュニティをつくり、感情を共有し、節目で熊野古道を訪れるような仕組みを作り上げることを提言しました。
平野さんのチーム…「人生を更新する3日間」というコンセプトを設定。
ひたすら1人で歩く「内省」、カウンセラーや僧侶と歩く「壁打ち」、合宿形式の「ワークショップ」など複数のプランを用意し、さまざまなアプローチで自分自身と向き合うことを提案しました。
各チームの発表後は、講師や参加者からフィードバックの時間を設けました。
「熊野古道のイメージを毀損しないためにも、もう少し真面目で堅い企画内容にする方がよいのでは」などの講評が寄せられました。
◆Kumanoko Saunaも体験
熱い議論を交わした後は、フィンランド式薪サウナに入って、トレッキングによる身体の疲労を癒やしました。
3日目
朝に宿の近くから雲海を見た後は、発心門王子から熊野本宮大社まで再びトレッキング。
限られた時間の中で巡礼文化を体験し、ゴールである熊野本宮大社を参拝しました。
参加者の声
・地域の課題を先に聞いて山に登るのは、歩いて楽しみ、課題を考えるという一味違った体験になりました。語り部さんなど、地域の人と触れ合う体験もあってより良いなとは感じます。
・前回よりもさらにパワーアップした内容で、それぞれのアプローチの思考吸収がたくさんありました。 前回参加した際は転職活動中で、マーケ(広告)の世界に飛び込む勇気をもらいました。熊野古道に再び訪れ、古道を歩いたり参加者の皆様との交流を通して転職3ヶ月を振り返り、内省することができました。 ワークの中で私自身のキャリアでは貢献できることが少なく悔しかったですが、 さらなるパワーアップをしていきたいなと改めて思いました!
・少しずつ領域の異なる多様なマーケターが集まり交流できたこと、そして、参加者同士の意見交換によるインプットが濃密だったことは、これからの地方マーケティングの重要な糧になりました。また「物事を前向きに捉えていて、かつ否定する発言をしない」「名刺交換をしない」「営業トークをしない」という環境が自然と生まれていたのが印象的でした。
このイベント、各地でバトンをつなぎながら様々な地域で実施できたら楽しいだろうな。
・熊野古道は世界遺産で遠い、行く目的が無いと思っていた関西の人間だったので、実際に来ないと分からないことを掴めたのは良かったです。普段の仕事で地方に向き合う機会は無いのですが、地方マーケは総合力が問われるので、学ぶことでどの業界でも活かされると改めて感じました。ワークからの学びは、各講師の特性や切り口、ディスカッションのやり方も参加者それぞれレベルが高く個性が出ていて、勉強になりました。
・熊野古道は2回目でしたが、魅力の一つに内省できるというものがあると思います。これは全国の中でも熊野古道特有な感じがしました。+αで様々な人に出会えるという点は全国に繋げやすいフォーマットだと思うので、様々な地域で本当の地方課題をみんなで解決できたら素晴らしいと思います。
今後について
「熊野古道=人生の節目で歩く道」というコンセプトを掲げ、4種類の「人生の節目」ごとに適した、内省のための冊子(ジャーナリングブック)を作成し、お客様にお渡しします。
①出会い…結婚
②別れ…死別・離婚
③キャリア…転職・起業
④セカンドライフ…定年退職・還暦・子どもの独立
★今回のワークショップと同様、一流のマーケターを講師に迎え、合宿を行いたい個人・団体・企業の方を募集します。下記のフォームよりお問い合わせください。
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