紙とExcelによる運用が7割超・「労働現場DX」の空白地帯が浮き彫りにー全国1,242社を対象に「シフト管理」の実態を調査

〜「103万円の壁」撤廃や人手不足時代に問われるシフト管理の役割〜

株式会社クロスビット

クラウドシフト管理「らくしふ」を運営する株式会社クロスビット(本社:東京都千代田区、代表取締役:小久保 孝咲)は、シフト制で従業員を管理している企業に勤めており、シフト管理を担当している方もしくは導入に関与している20~65歳の男女全国1,242人を対象に「シフト管理の実態調査」を実施しました。

◾️調査サマリー

・調査企業の約7割の企業が、依然として紙とExcelでシフト管理を実施している。

・シフト管理ツールの導入率は25%(自社開発・外部開発込み)にとどまり、「費用負担」「運用の手間」「現状で十分」といった声が導入の壁に。

・勤怠・給与など他の業務はIT化が進む一方で、シフト管理は分断され“取り残された存在”に。

・「103万円の壁」対策は約7割が実施。外食・小売業(食料品)では対応率が約8割と高水準。

・シフト管理の属人化と非効率が、人的資源の最適配置や定着率向上の足かせとなっている可能性がある。

◾️調査背景

労働力人口の減少や人材の流動化が進む中、企業は限られた人材で最大の成果を上げるマネジメント体制を求められています。特にサービス業・医療福祉・小売業など、日々の現場オペレーションを支える「シフト管理」は、その中核を担う業務でありながら、いまだ多くの現場では紙やExcelといったアナログな手法が中心となっているのが現状です。今回の調査では、こうした旧来型の運用がもたらす非効率や属人化の実態、そして現場が抱える管理課題を定量的に可視化しました。加えて、外部ツールの導入状況や、制度改正で注目を集める年収制限(いわゆる「103万円の壁」)への対応の工夫、業務全体のIT化の進行度との比較も行うことで、シフト管理が経営全体に与えるインパクトの大きさを明らかにしています。

◾️調査概要

調査名:シフト管理に関する実態調査

調査対象:シフト制で従業員を管理している企業に勤めており、シフト管理を担当している方もしくは導入に関与している20~65歳の男女(パート・アルバイト除く)

調査方法:インターネット調査(マクロミル) 調査期間:2025年3月21日〜3月25日

有効回答数:1,242件            調査主体:株式会社クロスビット

※本リリース内容を引用される際は、「シフト管理に関する実態調査2025​/クロスビット調べ」の明記をお願いいたします。

◾️シフト管理の7割超がExcel運用ー中小企業及び福祉・介護業界でより顕著

「現在のシフト管理方法」を尋ねたところ、「紙や口頭で希望を回収し、Excelで作成・管理している」との回答が全体の7割を超えました。中でも最も多かったのは「紙で回収し、Excelで管理する」方法で、47.7%にのぼります。依然として、紙とExcelを用いたアナログな運用が主流である実態が浮かび上がりました。一方で、シフト管理ツールを導入している企業は全体の25.0%にとどまり、内訳は自社開発ツールが11.0%、外部サービスが14.0%でした。

業種別では、外食業のツール導入率が約32%と比較的高く、Excel利用率は66%と他業種よりも低めではありますが、それでも3社に2社はExcel主体での運用となっています。特に注目すべきは、福祉・介護業界の現状です。日々の業務が複雑で流動的なうえ、突発的な対応も頻発するこの業種では、本来は柔軟かつ効率的なシフト管理体制が求められます。しかし実際にはExcelの利用率は82.6%と今回の調査内では際立って高く、シフト管理ツールの導入率も16.4%で、IT化の遅れが顕著です。

企業規模別に見ると、規模が大きいほどシフト管理ツールの導入が進んでおり、従業員数の多い企業では約35%が何らかのシステムを活用しています。一方で、小規模企業では導入率がわずか16%にとどまり、約8割の企業では、現在もExcelなどを使った手作業による管理が行われていることがわかりました。こうした結果から、シフト管理の現場では、業種・規模を問わずExcelに依存した属人的な運用が根強く残っており、多くの企業で、デジタル化の利点が十分に発揮されていない状況です。

◾️シフト管理ツール未導入企業の3割は「そもそも知らない」ー導入の壁は“費用”と“現状維持”

外部のシフト管理ツールを導入していない企業に対して、「今後の導入意向や未導入の理由」について触れました。まず、未導入企業にツール導入の意向を尋ねると、「そもそもそのようなツールを知らなかった」と回答した企業が32.2%と最多となり、未認知層が3社に1社近くを占めています。次いで、「今後1年以内の導入予定はない」が25.8%で、過半数以上は消極的または無関心層であることが分かります。業種別に見ると、外食業では導入意向が比較的高く、「過去に導入していた」割合も23.4%と多い一方で、病院や小売業では「そもそも知らなかった」が35%前後と、認知が特に遅れている傾向があります。市場の成熟度が十分とは言えない現状が明らかになりました。

また、ツール導入に踏み切れていない理由として最も多かったのは「費用が高い」(37.0%)で、次いで「現在のやり方で十分」(34.4%)、「導入や運用の手間がかかりそう」(27.2%)、「使いこなせるか不安」(25.1%)と続きました。コスト対効果への疑念や、現状の方法に安心感を持つ“現状維持バイアス”が根強いことが見受けられます。特に中小企業では、「現在のやり方で十分」と約4割(39.5%)が回答しました。

ツールを導入することによる“新しい負担”への警戒心が強く、未来の効率よりも「今日をどう回すか」に意識が向いているように見受けられます。さらに、「DXに積極的でない」(17.5%)、「既存ツールと連携できない」(17.3%)、「依存システムと連携できない」(17.0%)など、組織的・技術的な壁も一定数存在しています。こうした結果から、ツール未導入の背景には「費用対効果への懐疑」と「現状維持の安心感」という二大要因があることが明らかになりました。加えて、導入・運用のハードルや既存システムとの非連携、経営層の消極姿勢、業種特有の運用事情といった複合的な障壁が導入の足かせとなっていると想定されます。

◾️約85%がシフト作成に課題/突発対応・作成負荷・希望調整・公平性が上位

続いて、「シフト作成・管理業務における課題」について問いました。最も多く挙げられたのは、「欠勤やシフト交代など、急な変更対応が大変」(32%)という項目でした。次いで、「シフト表の作成に時間がかかる」(30%)が続いており、およそ3割の企業が、突発的な対応や日々の作業負担そのものに課題を感じていることがわかります。さらに、「従業員の希望と業務上の必要人員とのバランス調整が難しい」(28.3%)や、「公平なシフト編成が難しい」(22.1%)といった項目も上位に並びました。

スタッフの希望に配慮しながらも、業務に支障のない体制を整える難しさや、特定の従業員に業務負担が偏ってしまう不公平感への懸念が浮き彫りになっています。これら4項目はいずれも2割以上の企業が課題として挙げており、現場における“調整負荷”が共通の悩みとなっていることがうかがえます。

一方、「特に課題はない」と約15%の企業が回答しており、シフト作成・管理がスムーズな企業も存在しています。しかし裏を返せば、全体の約85%が何らかの課題を抱えていることを意味しており、シフト管理業務が多くの企業にとって負担となっている状況が改めて明らかになりました。

業種別に見ると、福祉・介護業で「急な変更対応が大変」40.3%、「作成に時間がかかる」37.7%と課題感が突出しており、介護現場では人手不足の中で急な欠勤(スタッフの体調不良等)や人繰り変更が難しく、シフト調整負荷が他業種より重い実態がうかがえます。また、外食業では「従業員の希望と業務ニーズの調整が難しい」(34.8%)という声が多く寄せられました。たとえば、学生アルバイトは授業の合間や週末に働きたい一方で、店舗側は平日ランチや急な欠員対応にも人手を確保したいといったギャップが生じやすく、希望と必要人数のバランスを取ることに苦労している店舗が多いようです。ホテル業では「繁閑に応じた配置が難しい」(23.2%)が他業種より高く、季節や曜日、時間帯によって宿泊需要が大きく変動する中、その波に合わせた最適な人員配置が難しいという課題が見えます。特に繁忙期と閑散期の落差が大きい宿泊業ならではの特性ゆえに、柔軟なシフト設計が難しくなる傾向があると推察されます。さらに小売業(その他)では「公平なシフト」26.6%にのぼっており、特に従業員数の少ない店舗で業務が担当できる人材が偏ってしまう傾向もあり、公正性の担保に課題を感じているようです。

◾️勤怠・給与はIT化しているのに、「シフト」は属人化──業務分断の実態

続いて、シフト管理以外の業務領域で導入しているITツールについて問いました。シフト管理以外の業務領域におけるITツールの導入状況を尋ねたところ、最も導入率が高かったのは勤怠管理システムで、全体の約6割(59.7%)が導入済みと回答しました。一方で、最も導入率の高い勤怠管理システムでも「導入経験がない/わからない」が35.1%となっており、IT化の浸透度には業種や企業規模によるばらつきが見られました。

少なくとも勤怠管理システムをIT導入している企業が約6割にのぼる一方で、同じ労務領域であるシフト管理ツールの導入率はわずか25.0%(外部14%+自社開発11%/前述記載)と、主要業務システムの中でも下位に位置しており、DXの“空白地帯”となっている実態がうかがえます。

続いて、業種の傾向を見てみると、勤怠管理システムでは、外食業で64.7%、ホテル業で59.9%、福祉・介護業でも51.2%と、いずれの業種でも一定の導入が進んでいます。加えて、給与計算・労務管理・スタッフ教育・社内チャット等のコミュニケーションツールにおいても、30~50%台と比較的高い導入率を示しており、業務全体のデジタル化は着実に進んでいることがわかります。

一方、シフト管理ツールの導入率は外食業で32.4%、ホテル業で21.7%、福祉・介護業ではわずか16.4%にとどまっており、他業務とのギャップが際立っています。特に福祉・介護業では、勤怠管理やチャットツールの導入が進んでいるにもかかわらず、シフト管理はアナログのまま取り残されている現状が顕著です。

◾️話題となる「103万円の壁」撤廃、企業の対応実態と今後求められる体制整備とは

2025年3月、政府は「103万円の壁(配偶者控除の年収上限)」の見直しを正式に決定し、課税対象の年収上限を160万円へ引き上げられる見込みです。これにより、年収160万円以下であれば所得税がかからず、従業員の“働き控え”の緩和が期待されます。企業にとっても、特に人手不足が深刻な外食業や小売業では、稼働調整の自由度が増し、戦略的なシフト運用がしやすくなると見込まれます。一方で、「どの年収ラインまで働けるか」が不明瞭になり、管理の複雑化や106万円・130万円の社会保険の壁との整合性が課題となる可能性もあります。

今回の調査では、パート・アルバイトの年収制限、いわゆる「103万円の壁」に関するシフト管理上の工夫についても尋ねました。その結果、全体の68.1%が“何らかの配慮をしている”と回答。中でも「103万円以内に収まるようシフトを調整している」(32.0%)、「130万円の壁も考慮している」(25.6%)といった制度を意識した調整が既に多くの職場で実施されていることが明らかになりました。一方で、残り約3割の企業では対策が講じられておらず、業種による対応状況には大きなばらつきが見受けられます。特に病院(医療)では「特に何もしていない」との回答が49.3%に上り、他業種と比べても制度への対応が遅れている傾向が顕著です。

「103万円の壁」は撤廃されるものの、過少・過剰労働のリスクや、人件費の予実管理との乖離といった課題は今後も残り続けると考えられます。こうした背景を踏まえると、今後企業に求められるのは、年収ラインや社会保険加入条件を踏まえた、より精緻で再現性のあるシフト管理体制の構築です。たとえば、自動シミュレーション機能を活用することで、年収上限や社会保険ラインを踏まえた効率的・公平なシフト設計が可能になります。さらに、勤怠や人件費データと連携すれば、現場の実態と経営判断がつながり、無駄のない人員配置が実現します。稼働計画を通年で可視化し、アラートを活用することで、法令順守と安定稼働の両立も期待できます。

このような仕組みによって、現場が無理なく制度対応できる「設計されたシフト管理」が、これからのスタンダードになっていくと考えられます。シフト管理は、もはや単なる勤務表の作成業務ではありません。企業の労働力最適化、従業員の定着と満足度向上、そして法令順守を支える経営基盤として、その役割は大きく変化しています。今回の制度改正はその意義を再確認し、戦略的なシフト運用へと舵を切るきっかけにもなりえるでしょう。

◾️まとめーー属人化と非効率からの脱却が、従業員の人材定着、さらにはサービスを受ける顧客満足にもつながる

本調査を通じて、多くの企業が「シフト管理」における属人化や非効率といった課題に直面し、突発的な欠勤対応や法令順守、人員バランスの調整に負担を感じている実態が明らかになりました。特に紙やExcelを使ったアナログな運用では、突発的な変更や属人化への対応が難しく、業務継続におけるリスク要因になることもあります。また、勤怠や給与などの周辺業務ではIT化が進んでおり、シフト管理は“取り残された領域”となっているのが現状です。このような状況を変えるには、シフト管理をテクノロジーの力で再設計し、従業員にも管理者にも納得感と安定性をもたらす仕組みへと進化させることが求められます。従業員の希望が反映された働きやすい環境と、管理者の「見える化」や作業負荷の軽減によって、現場のサービス品質は維持・向上し、その結果として顧客満足度の向上にもつながります。こうしたシフト管理こそが、これからの新しいスタンダードとなるでしょう。

クロスビットが提供するクラウドシフト管理「らくしふ」は、LINEを活用した希望収集、自動作成、人件費の可視化、法令アラートなどの機能を通じて、シフト管理を“負担”から“戦略資産”へと変革する支援を行っています。変化にしなやかに対応できる「設計されたシフト管理」こそが、これからの時代における競争力の源泉になるはずです。

■クロスビット提供サービスについて

労働人口の減少に伴って、非正規雇用やオンデマンドワーク化が進んでいます。リソース分配計画の重要性が高まり、管理・作業工数削減、各種計算自動化を推進する動きが加速しています。私たちはクラウドシフト管理「らくしふ」(https://rakushifu.jp)の提供を通じて、シフト管理の効率化・管理工数削減・人件費最適化を支援しています。今後は必要な労働力を最適に配置するためAIを活用するなど、サービス提供を通じて企業の成長に貢献します。

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<企業情報>

社名:株式会社クロスビット

所在地:東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント 19階

代表:代表取締役 小久保 孝咲  設立:2016年4月  企業 URL:https://x-bit.co.jp



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URL
https://x-bit.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント 19階
電話番号
050-3188-9824
代表者名
小久保孝咲
上場
未上場
資本金
-
設立
2016年04月