国民の8割「一次救命処置ができることは必要」、一方で50%を超える人が「何をすれば良いかわからず、特に何もしていない」と学習行動に移さず
日赤が海外における雑踏事故などの影響で関心が集まる一次救命処置に関し、国民の意識と行動を調査
日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:清家篤、以下「日赤」)は、「苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し、いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守る」という使命に基づき、身近な人を救うため、とっさの手当てや日常生活での事故防止など、健康安全に関する知識・技術の普及を目的とした講習や啓発活動を行っております。
2022年は、海外で発生した雑踏事故や、日本の街中における銃撃事件など痛ましい報道を目にする中で、心臓マッサージや人工呼吸、AEDの使用といった一次救命処置の必要性について語られる機会も多くありました。
この度、全国1,200名の男女を対象に、一次救命処置に関する認知や行動、社会情勢を背景とした意識変化などを把握する調査を実施いたしましたので、その結果をお知らせいたします。
2022年は、海外で発生した雑踏事故や、日本の街中における銃撃事件など痛ましい報道を目にする中で、心臓マッサージや人工呼吸、AEDの使用といった一次救命処置の必要性について語られる機会も多くありました。
この度、全国1,200名の男女を対象に、一次救命処置に関する認知や行動、社会情勢を背景とした意識変化などを把握する調査を実施いたしましたので、その結果をお知らせいたします。
<調査トピックスのハイライト>
日赤としても、これまで「救急法」といった健康安全に関する知識・技術の普及を目的とした講習などの活動に携わってきた知見を活かしながら、今後の取り組みを国民の皆様と一緒に考え、実践していきたいと思います。
一次救命処置や応急手当などの講習は、日本赤十字社の使命をまさに具体化している事業の一つとして、全国で広く普及しています。中でも、一次救命処置は、その場に居合わせた人がすぐに実践することで大切な命が守られる可能性が高い重要な手当です。
苦しんでいる人を「救いたい」、「助けたい」という思いは、今昔にかかわらず人間が誰しも持っている尊い善意です。また、現代社会では様々な事故や事件も発生しており、人命尊重のための安全管理の体制整備がさらに求められています。
今回の調査では、「心肺蘇生」や「AEDを用いた電気ショック」が大切な行為であることやその必要性を認識している人は、相当数いらっしゃることは予想どおりの結果でした。
一方で、赤十字や消防をはじめ、一次救命処置を講習等で普及・推進するNPO団体等も増え、受講される方も多くなってきていますが、そのスキルをいざという時に実践できるかというと、なかなか難しいという意見は講習現場でも耳にしたことがあります。調査結果にもあるとおり、知ってはいるが(習ったことはあるが)「実践できないと思う」と回答された方も多かったことは、現状の課題の一つであると思います。
日常生活の中で、一次救命処置が必要なケースに遭遇することはそれほど頻繁ではなく、非日常的で突然の出来事と言えるでしょう。当然のことながら、人はそのような突然の出来事に遭遇するとパニックになり慌ててしまい、不安や恐怖心も相まって、うまく対応できないことがあるかもしれません。
しかし、実際に講習等で体験していただくと分かりますが、一次救命処置は難しい技術などは必要なく一般市民でも十分実践できる手技であり、日本赤十字社においても青少年赤十字(JRC)※の小学生などに講習を行っていますし、実際に子どもが大人の命を救った事例もあります。
我々、一般市民が緊急事態において適切に対応するためには、次の3つのことが大切ではないかと思います。
①一次救命処置が必要な場面には、「いつ遭遇するか分からない」ことを心に留めておく
②講習は、1回のみの体験や受講だけでなく、できるだけ定期的に反復受講や練習をして身につける
③ほんの少しの勇気を持って行動に移す
これらを心掛けていただくことで大切な命を救うことに繋がりますし、そのような人が増えることで、周りにいる人と協力して対応できるだけでなく、万が一あなたが倒れた時に誰かがあなたを助けてくれるのではないでしょうか。つまり、一次救命処置を学び、いつでも実践できるようにしておくことはあなた自身を守ることにもつながると思います。
想像してみてください。あなたの大切な人が、今、目の前で突然倒れたら…どうしますか。その大切な人の命を救うために、日本赤十字社は一次救命処置を学んでいただくことを推奨します。
- 事故や急病で呼吸や心臓が止まった人に対して、救急車が到着するまでに行う取り組みである一次救命処置を実践できることについて、「とても必要だと思う」と回答した人は67.5%、「やや必要だと思う」と回答した人は18.9%と、8割を超える人が必要性を認識していた。【図1】
- 上記8割超の人のうち、一次救命処置を実践できることの必要性について考えるようになったきっかけの上位回答は、「交通事故(62.1%)」「レジャーや運動中の事故(42.8%)」「地震や豪雨などの自然災害(33.6%)」であった。
2022年に社会的な注目を集めた「人混みで発生した雑踏事故」は32.2%、「街中で発生した刺傷事件」は31.4%という結果となった。【図2】 - 同じく、一次救命処置の必要性を認識している8割の人のなかで、実際に救命講習の受講など行動に移さず「特に何もしていない」人は54.1%と半数を上回る状況となった。【図3】
必要性を感じながらも具体的な行動に移せなかった理由として、「何をすればいいのかわからなかったから」が47.1%にのぼった。次いで「調べたり学んだりしても、自分には実践できる自信がなかったから(21.2%)」「行動に移すほど、自分にとって優先度が高くなかったから(13.9%)」と続いた。【図4】 - 一次救命処置の認知や理解に関する質問では、「名前も行う取り組みもイメージできる(31.1%)」「名前は知っているが、行う取り組みまでは具体的にイメージできない(39.9%)」と回答し、7割超に達していた。【図5】
- 一次救命処置について認知・理解していた7割の人のうち、その主な取り組みへの経験については以下のとおり。
➢「名前もやり方も知っていて、講習などで実演したことがある」
…心臓マッサージ50.0%、人工呼吸42.5%、AED45.5%
➢「名前もやり方も知っているが、現実場面での実践や講習などで実演はしたことがない」
…心臓マッサージ22.4%、人工呼吸31.0%、AED24.4%
そのなかで、実際に一次救命処置が必要な場面に遭遇した際に「実践できないと思う」と回答した人は、
心臓マッサージ33.9%、人工呼吸50.6%、AED25.5%と、理解や経験があっても実践となると難しいと考える人が一定数存在することが分かった。【図6】【図7】 - その人たちの一次救命処置を実践できない第1位の理由として、
心臓マッサージでは「自分が対処した相手が死亡したり状態が悪化したりすると怖いから(53.0%)」であり、人工呼吸とAEDでは「とっさにやり方を思い出せないだろうから(人工呼吸40.5%、AED56.1%)」があげられた。【図8】
一次救命処置をできることの必要性を感じたきっかけとして「交通事故」や「レジャーや運動中の事故」が上位であったという結果から、一次救命処置に対する関心は“より身近な”日常生活中の出来事によって形成されていると考えられます。また、2022年を象徴する出来事である「海外での雑踏事故」や「街中での死傷事件」などについては、その影響は3割程度という結果となりました。
あわせて、今回の調査により、8割を超える人が一次救命処置の必要性について感じながらも、救命講習などの具体的行動に移した人は半数を下回っていることや、一次救命処置を実践できないと感じる要因として、心臓マッサージ、人工呼吸、AEDのいずれも「とっさにやり方を思い出せないだろうから」が回答の上位になるなど、スムーズに行動に移すための課題も見えました。日赤としても、これまで「救急法」といった健康安全に関する知識・技術の普及を目的とした講習などの活動に携わってきた知見を活かしながら、今後の取り組みを国民の皆様と一緒に考え、実践していきたいと思います。
■日赤専門家のコメント |
一次救命処置や応急手当などの講習は、日本赤十字社の使命をまさに具体化している事業の一つとして、全国で広く普及しています。中でも、一次救命処置は、その場に居合わせた人がすぐに実践することで大切な命が守られる可能性が高い重要な手当です。
苦しんでいる人を「救いたい」、「助けたい」という思いは、今昔にかかわらず人間が誰しも持っている尊い善意です。また、現代社会では様々な事故や事件も発生しており、人命尊重のための安全管理の体制整備がさらに求められています。
今回の調査では、「心肺蘇生」や「AEDを用いた電気ショック」が大切な行為であることやその必要性を認識している人は、相当数いらっしゃることは予想どおりの結果でした。
一方で、赤十字や消防をはじめ、一次救命処置を講習等で普及・推進するNPO団体等も増え、受講される方も多くなってきていますが、そのスキルをいざという時に実践できるかというと、なかなか難しいという意見は講習現場でも耳にしたことがあります。調査結果にもあるとおり、知ってはいるが(習ったことはあるが)「実践できないと思う」と回答された方も多かったことは、現状の課題の一つであると思います。
日常生活の中で、一次救命処置が必要なケースに遭遇することはそれほど頻繁ではなく、非日常的で突然の出来事と言えるでしょう。当然のことながら、人はそのような突然の出来事に遭遇するとパニックになり慌ててしまい、不安や恐怖心も相まって、うまく対応できないことがあるかもしれません。
しかし、実際に講習等で体験していただくと分かりますが、一次救命処置は難しい技術などは必要なく一般市民でも十分実践できる手技であり、日本赤十字社においても青少年赤十字(JRC)※の小学生などに講習を行っていますし、実際に子どもが大人の命を救った事例もあります。
我々、一般市民が緊急事態において適切に対応するためには、次の3つのことが大切ではないかと思います。
①一次救命処置が必要な場面には、「いつ遭遇するか分からない」ことを心に留めておく
②講習は、1回のみの体験や受講だけでなく、できるだけ定期的に反復受講や練習をして身につける
③ほんの少しの勇気を持って行動に移す
これらを心掛けていただくことで大切な命を救うことに繋がりますし、そのような人が増えることで、周りにいる人と協力して対応できるだけでなく、万が一あなたが倒れた時に誰かがあなたを助けてくれるのではないでしょうか。つまり、一次救命処置を学び、いつでも実践できるようにしておくことはあなた自身を守ることにもつながると思います。
想像してみてください。あなたの大切な人が、今、目の前で突然倒れたら…どうしますか。その大切な人の命を救うために、日本赤十字社は一次救命処置を学んでいただくことを推奨します。
(※) 青少年赤十字(JRC)とは 青少年赤十字(JRC)は、赤十字の理念を通じて人を思いやる豊かな心を持ち、自主的に行動できる子どもを育てることを目的としています。いのちと健康を大切にすること、地域社会や世界のために奉仕すること、世界の人々との親善を深めることを目標とし、ご理解いただいた先生により、学校教育の中で展開されています。 全国の幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等で、現在約14,400校、349万人が活動しています。 |
- 調査概要
・調査名
一次救命処置に関する意識調査
・調査対象
日本全国の男女1,200名
(10代(15~19歳)/20代/30代/40代/50代/60代以上の男女各100名)
・調査方法
インターネット調査
・調査機関
楽天インサイト株式会社(調査委託)
・調査期間
2022年11月28日~30日
※その他詳細なデータについては、日本赤十字社広報室にお問い合わせください。
※本調査を引用する場合は「2022年日赤調べ」もしくは「日本赤十字社『一次救命処置に関する意識調査』」と記載ください。
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