各地で開催される大規模イベントに備えて~日本医師会「大規模イベント医療・救護研修会」を開催

公益社団法人日本医師会

今般、日本医師会では2月24日に日本医師会「大規模イベント医療・救護研修会」を開催いたしました。

本研修会は、本年4月から大阪・関西万博、11月には東京デフリンピック、そして来年には愛知県でアジア競技大会が開催されるなど、国内で多くの大規模イベントの開催が予定されていることを控え、各地域の医師会として事前の段階からどのように関わっていくべきかを学ぶことを目的として、行われたものです。

当日は、日本医師会館とWEBのハイブリッド形式で開催され、全国から200人以上の受講者が参加しました。

あいさつする細川常任理事

冒頭あいさつした細川秀一常任理事は、今回の研修会開催の趣旨等を説明した上で、本研修会で得られた知見が、参加者の地元の医師会で活用されることに期待すると述べました。

当日のプログラムと講師は次の通りでした。

研修会全体の企画・監修は、杏林大学医学部主任教授・高度救命救急センター長で、日本医師会救急災害医療対策委員会委員長の山口芳裕先生に担当して頂きました。

13:30-13:40

開会挨拶

                 日本医師会 常任理事  細川 秀一

13:40-13:50

1.東京オリンピック・パラリンピック大会の経験と教訓        

  東京2020大会 都市オペレーションセンター 医療統括

                  加藤 聡一郎、井上 孝隆、山口 芳裕

13:50-14:00

2.2025年大阪・関西万博における医療救護対策  

  2025年日本国際博覧会協会医療救護協議会議長 /

                大阪公立大学大学院医学研究科 救急医学 教授  溝端 康光

14:00-14:10

3.大規模イベントの医療体制

  東京2020大会 東京スタジアム 会場医療者統括責任者 /   

     市立青梅総合医療センター 救命救急センター長  宮国 泰彦

14:10-14:20

4.マスギャザリング医療(総論)

       日本医師会救急災害医療対策委員会 委員長  山口 芳裕

14:20-14:30

休憩

14:30-14:55

5. CBRNEテロ:除染実習(デモ)

      埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科 教授  井上 孝隆

14:55-15:20

6.銃創・爆傷対応:止血実習(デモ)

             杏林大学医学部 救急医学 講師  加藤 聡一郎

15:20-15:30

休憩

15:30-15:40

7.大規模イベントと感染症

      埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科 教授  井上 孝隆

15:40-15:50

8.大規模イベントと外国人対応

              杏林大学医学部 救急医学 講師  加藤 聡一郎

15:50-15:55

質疑応答

        日本医師会救急災害医療対策委員会 委員長  山口 芳裕

15:55-16:00

閉会挨拶

                  日本医師会 副会長  茂松 茂人

司会進行する杏林大学山口教授

講義ではまず、「東京オリンピック・パラリンピック大会の経験と教訓」として、加藤聡一郎杏林大学医学部救急医学講師が都市オペレーションセンター(COC)で主催者側として関わった自身の経験を基に、「依頼から1週間という短い準備期間の中でリスクを収集し、評価・分析して、いかに現場に活用してもらうか」「日常的な医療提供体制をどのように維持していくか」が大きな課題になったと振り返り、「この経験を今後に生かしていきたい」と述べられました。

「2025年大阪・関西万博における医療救護対策」では、溝端康光2025年日本国際博覧会協会医療救護協議会議長が会場へのアクセスが限られるといった課題がある中で、万博開催中の救護・診察・搬送体制や多数傷病者対応をどのように行っていくかを説明。開会式当日には日本外科学会のTSAT(Trauma Surgical Assistant Team)派遣を調整中であることを明らかにするとともに、地域の救急・災害医療体制についても強化する必要があるとの考えを示されました。

 

「大規模イベントの医療体制」については、宮国泰彦市立青梅総合医療センター救命救急センター長が、大規模イベントを行う際にはどうしてもその地域の医療全体への負担が増すことになるため、そのことを踏まえた準備を進めることが大事になると指摘。具体的な対応策として、「地域の医療機関との連携の確保」「会場内の医療・救護体制の充実」等が求められるとしました。

講義をされる宮国講師

「マスギャザリング医療(総論)」については、山口救急災害医療対策員会委員長が「大規模イベントを行う際のリスクは、イベントの特性や環境因子によって変わってくるため、まずはイベントのリスクを評価し、そのリスクに対応するために必要な人材を集めることが求められる」とした他、大きなイベントになればなるほど、会場内ばかりでなく、最寄り駅から会場までのラストマイルの対応が重要になると強調されました。

続いて行われた二つの実習では、井上孝隆埼玉医科大学国際医療センター救命救急科教授がCBRNEテロへの対応として、汚染物質に可能な限り触れないようにする脱衣の仕方や10秒拭き取った後に10秒こするといった除染の仕方「10:10アプローチ」を、加藤杏林大講師が銃創や爆傷による出血は死に至る確率が高いとして、ターニケットの使用手順や装着時・装着中に気をつけたい合併症などを、実演を交えてそれぞれ開設されました。

 

除染実習のデモンストレーションを行う井上教授
ターニケット(止血帯)の巻き方をデモンストレーションする加藤講師

「大規模イベントと感染症」については、井上埼玉医大教授が国際イベント開催時の感染症リスクとして「開催地の既存するリスク」「持ち込まれる・持ち出されるリスク」「テロリズムによるリスク」の三つが考えられると説明。イベント開催の際には開催地の感染状況を把握し、医療体制の確保が難しい場合はイベントの中止も考えるべきとの考えを示されました。

 

「大規模イベントと外国人対応」については、加藤杏林大講師が大規模イベントの開催によって、外国人対応に慣れていない医療機関においてもその対応を求められる可能性があるが、あらかじめ準備ができる対応であると強調。その対策として、厚生労働省研究班作成のマニュアルや日本医師会のホームページに掲載されている情報の活用などを呼び掛けました。

総括を行う茂松副会長

質疑の後、総括を行った茂松茂人副会長は、大規模イベントの開催に当たって事前の段階からの積極的な関わりを参加者に呼び掛けるとともに、当日に配布した『改訂第二版大規模イベント医療・救護ガイドブック』の活用を求め、研修会は終了となりました。

『改訂第二版大規模イベント医療・救護ガイドブック』は発行所のへるす出版からお買い求めいただけますので、是非お手に取ってみてください。

『改訂第二版大規模イベント医療・救護ガイドブック』

問い合わせ先:日本医師会地域医療課、広報課 TEL03-346-2121(代)

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未上場
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設立
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