【大学院を修了した社会人の進路希望と選択に関する調査】7割が研究分野と関連のある企業に所属し、研究開発／専門職に従事

大学への就職を志望していた回答者の８割以上が「企業就職後でも大学職に就きたい」

技術者・研究者のキャリア支援に特化した事業を15年にわたって続けている株式会社アカリク（本社：東京都渋谷区、代表取締役社長：山田諒、以下 アカリク）は、大学院を修了した社会人106名を対象に、当時の研究分野と所属先の関係性や、当時の進路希望と実際の選択に関する調査を実施いたしましたので、お知らせいたします。

　技術者・研究者のキャリア支援に特化した事業を15年にわたって続けている株式会社アカリク（本社：東京都渋谷区、代表取締役社長：山田諒、以下 アカリク）は、大学院を修了した社会人106名を対象に、当時の研究分野と所属先の関係性や、当時の進路希望と実際の選択に関する調査を実施いたしましたので、お知らせいたします。
 

• サマリー

1. およそ3割が大学院の研究分野と「関連性がない」企業に所属している
2. 多い職種は「研究・開発」「専門職」
3. 「大学」への就職を志望していた者の8割以上が「今も大学教員職に就きたい」

 

• 調査概要

調査期間：2022年10月19日～2022年10月20日
調査方法：インターネット調査
調査目的：民間企業に就職した大学院修了者の進路状況と進路選択理由の実態把握
調査対象：大学院を修了し、民間企業へ就職した方々
有効回答数：106名

 

• 回答者のおよそ7割が修士課程修了者、3割は博士課程進学者

　「Q1 あなたの最終学歴を教えてください。」と質問したところ、「修士課程修了」が68.9%、「博士課程中途退学」が10.4%、「博士課程満期退学」7.5%、「博士課程修了」が12.3%という回答となりました。回答者の約7割が修士課程修了者であり、約3割は博士課程への進学経験があります。

「Q1 あなたの最終学歴を教えてください。」
・修士課程修了：68.9%
・博士課程中途退学：10.4%
・博士課程満期退学：7.5%
・博士課程修了：12.3%
・答えたくない：0.9%
 

• およそ3割が大学院の研究分野と「関連性がない」企業に所属

　「Q2 大学在院籍時の研究分野と、あなたが現在所属している企業の事業分野に関連性はありますか。」と質問したところ、最も多かったのは「やや関連性がある」で41.3%、次いで「非常に関連性がある」の23.6%となりました。回答者の6割以上が、大学院在籍時の研究分野と関連性のある分野の企業に所属しています。
一方で、「あまり関連性がない」と答えた方は18.9%、「全く関連性がない」が13.2%であり、約3割の回答者は学生時代の専門とは異なる分野の企業に所属しています。

「Q2 大学在院籍時の研究分野と、あなたが現在所属している企業の事業分野に関連性はありますか。」
・非常に関連性がある：23.6%    
・やや関連性がある：42.5%    
・あまり関連性がない：18.9%
・全く関連性がない：13.2%    
・わからない/答えられない：1.9%
 

• 「研究・開発」「専門職」など専門性が必要とされる職種の方が多い

　「Q3 現在所属している企業における、あなたの職種を教えてください。」と質問したところ、最も多かったのは「研究・開発」の25.5%、次いで「その他専門職」が20.8%となりました。回答者の45％以上が専門性が求められる職種に従事しており、Q2の回答も踏まえると、多くの方々が研究分野に関連する研究開発や専門職に就いていることがわかりました。多数の方々が大学院での研究活動を通して培った専門性を活かした仕事をしているといえるでしょう。

「Q3 現在所属している企業における、あなたの職種を教えてください。」
・研究・開発：25.5%
・その他専門職：20.8%
・営業：18.9%
・人事：8.5%
・マーケティング：7.5%
・経理・財務：3.8%
・経営企画・経営管理：2.8%
・総務：1.9%
・事務（一般・受付）：1.9%
・その他：8.5%
 

• 半数以上が大学院在籍時に「民間企業」を志望。「大学」「公的研究機関」はそれぞれ約2割

　「Q5 あなたが大学院在籍時に最も強く志望していた進路はどれですか。」と質問したところ、最も多かったのは「 民間企業」で56.6%、次いで「公的研究機関」が19.8%、「大学」が17.0%となりました。回答者のおよそ半数は、大学院在籍時から民間企業を志望しています。一方で、それ以外の回答者は大学院在籍時に大学や公的研究機関を志望していましたが、最終的に民間企業へ進んでいることがわかります。

「Q5 あなたが大学院在籍時に最も強く志望していた進路はどれですか。」
・大学：17.0%
・公的研究機関：19.8%
・民間企業：56.6%
・起業：1.9%
・その他：0.9%
・わからない/答えられない：3.8%
 

• 「今でも大学の職に就きたい」と思う回答者が7割を超える

　「Q6 Q5で「大学」と答えた方にお聞きします。今もし大学に教員職として採用される見込みがあるのであれば、大学で職に就きたいと思いますか。」と質問したところ、最も多かったのは「非常にそう思う」で41.2%、次いで「ややそう思う」が35.3%となりました。これらの項目を合計すると76.5％となり、大学への就職を目指していた回答者の多くが、今でもアカデミアの道に進みたいという想いを持っているようです。

「Q6 Q5で「大学」と答えた方にお聞きします。今もし大学に教員職として採用される見込みがあるのであれば、大学で職に就きたいと思いますか。」
・非常にそう思う：41.2%    
・ややそう思う：38.1%
・あまりそう思わない：11.8%
・全くそう思わない：5.9%
・わからない／答えられない：5.9%

　また、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した方に、その理由を尋ねたところ、「社会的地位が低い・金銭面での待遇がよくない・自由時間が少ない・大学に将来性を感じられない」などの回答が得られました。
 

• まとめ

　今回は、大学院を修了した社会人106名に対し、大学院在籍時の進路希望と実際の進路選択について調査を行いました。回答者のおよそ3割が、大学院在籍時の研究分野とは関連のない企業に所属していることがわかりました。また、半数以上が大学院在籍時に「民間企業」を最も志望し、約4割が「大学／公的研究機関」を志望していたことがわかりました。「大学」を志望していた者の7割以上は「今でも採用の見込があるのであれば大学の職に就きたい」と答えており、多くがアカデミアの道に進みたいとの想いを持っているようです。
 

• 調査者コメント

　本調査では、民間企業で活躍する大学院修了者に対して、当時の進路希望と現状のギャップや、アカデミアに対する思いについて明らかにする目的で行いました。結果として、大学院で培った専門性を、合致する分野において専門職として活用する方が多数存在することがわかりました。一方で、大学院在籍時に「大学」を志望していた回答者のうち、7割以上が「民間企業に就職したあとでも、機会があるならば大学の職に就きたい」と思っていることがわかりました。今回、これらの方々にその理由について確認しませんでしたが、大学教員を目指して大学院を修了した方々にとって、大学で研究活動・教育活動を行うことは諦めきれない希望であることが垣間見える結果となりました。
　政府は、大企業が博士号を取得した研究者であるポスドクを起用して研究開発を行った場合、その人件費の20％を法人税額から差し引く試みを発表しました。博士号取得者やポスドクの採用に際してインセンティブを与えることで、彼らが民間企業において活躍する機会を増やす施策だと考えられます。しかしながら、大学院修了者の一定数が大学・公的研究機関を強く志望する中で、「満足度の高い民間企業への進路選択」を実現するにはどうすればよいのか、についても検討する必要があると考えられます。
 

• アカリクについて

　アカリクは「知恵の流通の最適化」というコーポレートミッションのもと、大学院生や研究者の方々のキャリア支援を行っています。高度研究機関である大学院・その他研究機関において日々産み出される「知恵」を広く社会・産業界につなぐことで価値を創出し、「知恵の流通」の最適化に貢献していくことを目指しています。大学院生のキャリア選択肢を増やすことで、大学院進学者が増え、結果として日本の研究レベルが上がると考えられます。そして、優秀な研究者がさまざまな場所で活躍することで、世の中の研究開発活動が活発化し、たくさんのイノベーションが生まれ続ける、そんな世界を実現するためのインフラとなることを目指します。

会社名：株式会社アカリク（https://acaric.co.jp/）
創業　：2006年11月
代表者：代表取締役社長　山田諒
所在地：東京都渋谷区渋谷2-1-5　青山第一田中ビル2階
資本金：1億1500万円
事業　：大学院生・ポスドク向け就活情報サイト「アカリク」の運営、研究分野・業種・職種別イベントの企画開催、大学等でのキャリアセミナーの実施、新卒大学院生・若手研究者・大学院出身者の人材紹介、オンラインLaTeXエディター「Cloud LaTeX」の運営など｡