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株式会社はくばく
会社概要

大麦レスポンダーの腸内細菌叢が明らかに大麦摂取が高血圧に及ぼす影響について解析

-科学雑誌『Microorganisms』掲載-

株式会社はくばく

『主食改革』を提唱する株式会社はくばく(本社:山梨県中央市、代表取締役社長:長澤 重俊)は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN(ニビオン))ヘルス・メディカル微生物研究センターの國澤純センター長および山梨大学大学院総合研究部医学域社会医学講座山縣然太朗教授らの研究グループとの共同研究により、大麦を摂取している人で且つ血圧が正常の人たちの腸内細菌叢の特徴を確認しました。また、いくつかの腸内細菌を調べることによって、大麦摂取がその人の血圧に良い影響を及ぼすかどうかを予測するモデルを作ることにも成功しました。
本研究成果は科学雑誌『Microorganisms』 (2023 11(5))に掲載されました。

<研究のポイント>

・大麦の摂取量が多い方でも、高血圧ではない人たち(大麦レスポンダー)と、そうでない人たち(大麦ノンレスポンダー)がいます。

・それらの人たちの腸内環境を比較したところ、大麦レスポンダーに特徴的な腸内細菌叢の存在が示唆され、中でも特徴的な腸内細菌6属が明らかとなりました。

・更に、機械学習の手法を用い、腸内細菌の検査結果から、その人が大麦レスポンダーなのかノンレスポンダーなのかを予測できるモデルを作成しました。


■研究の背景と目的

近年、複数の研究報告において腸内細菌叢が高血圧の発症や血圧コントロールに関与することが示されています。当社の先行研究でも、脂質異常を有さず、大麦の摂取量が多い人の腸内には、短鎖脂肪酸を産生する菌が豊富で、脂質代謝に対する大麦の効果の個体差が、腸内細菌叢に起因する可能性を示しました。

そこで我々は、脂質異常症だけでなく、高血圧に対する大麦摂取の影響の個体差にも、腸内細菌叢の違いが関与する可能性があると考えました。

本研究では大麦の摂取量が多くて高血圧ではない人たちと、大麦の摂取量は多いものの高血圧もしくは境界域高血圧に該当する人たちの腸内細菌叢を比較し、腸内環境の違いと大麦摂取が高血圧にどのように影響を与えるかを調べました。


■研究方法

精麦商品を取り扱う株式会社はくばくの40歳以上社員130名を対象に、観察研究を行いました。

参加者には簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)(1)による食生活調査を受けてもらい、麦ごはんの摂取頻度や摂取量、および麦ごはんの麦の配合比率などから、単位エネルギーあたりの大麦の摂取量(g/1000kcal)を算出しました。併せて、質問票による身体活動及び喫煙習慣調査を受けてもらうと共に、健康診断の結果から血液検査の結果や血圧などの基本情報の提供を受けました。

大麦摂取量の中央値(3.68g/1000kcal)に基づき、大麦高摂取群と大麦低摂取群に分け、大麦高摂取群は①収縮期血圧130mmHg以上、②拡張期血圧85mmHg以上、③高血圧の治療中、いずれか1つにでも該当する26人をノンレスポンダー、該当なしの39人をレスポンダー(2)としました。

対象者の糞便サンプルの16S rRNA解析を行い、α多様性(3)の検討、主座標分析(PCoA)(4)による腸内細菌の組成を検討しました。得られたデータを用い、腸内細菌に基づいてランダムフォレスト(5)を用いた機械学習によるレスポンダー予測モデルの構築を行いました。

■研究結果

レスポンダーとノンレスポンダーの間で大麦摂取量や摂取期間に有意差はなく、年齢、体重、BMI、空腹時血糖値、LDL-コレステロール値はノンレスポンダーで有意に高いことが明らかとなりました。

血圧への影響が考えられる食塩摂取量、喫煙習慣、身体活動に群間差はなく、α多様性は、レスポンダーでChao1指数が低く、Shannon指数は高い傾向でした。

主座標分析の結果、レスポンダーのPCo2がノンレスポンダーと比較して有意に低かったため、両者の腸内細菌叢構成が離れている(4)ことがわかりました。

腸内細菌の平均相対存在比が高い上位50属の存在量を比較したところ、レスポンダーの糞便ではノンレスポンダーよりもFaecalibacterium、Lachnospira、Ruminococcaceae UCG-013、Subdoligranulumが有意に高く、Prevotella 9とLachnoclostridiumが有意に低いことが明らかになりました。

腸内細菌を説明変数として、ランダムフォレストを用いたレスポンダー予測モデルを検討したところ、相対存在比の平均が上位64属の細菌を説明変数としたモデルのROC 曲線(6)で、AUC 0.805、正解率77%という、十分なモデルが構築できました。

図2 レスポンダー・ノンレスポンダーの腸内細菌叢(相対存在比率が高い属)

(Microorganisms(2023 11(5))より引用して作図)


■今後の展望

本研究により、大麦レスポンダーに特徴的な腸内細菌叢の存在が示唆され、併せてレスポンダーに特徴的な腸内細菌6属を明らかとしました。また、Shannon指数はノンレスポンダーで低い傾向にあったことから、腸内細菌叢の多様性が低下しており、腸内細菌叢が乱れ、腸上皮における炎症を惹起している可能性がありました。

先行研究では、高血圧患者ではPrevotella 9の存在比が高く、それによる炎症の出現が血圧上昇と関連することが示されており、本研究でレスポンダーにおけるPrevotella 9の存在比が有意に低かったことは、大麦の摂取と腸内細菌叢との関連を議論するうえで重要であると考えられます。

相対存在比がレスポンダーで高かった腸内細菌、FaecalibacteriumLachnospira、Ruminococcaceae UCG-013、Subdoligranulumはいずれも短鎖脂肪酸産生菌として知られています。短鎖脂肪酸は腸上皮細胞の重要な栄養源であり、腸の各種分泌細胞などの成長、分化、機能の調節に関与し、ひいては血圧恒常性維持に潜在的役割を果たすとも考えられており、これらの細菌を豊富に有する人は血圧のコントロールに大麦の摂取が役立つものと推測されました。

今回はランダムフォレストという手法を用いて、腸内細菌の差によりレスポンダーを高精度で判定できるモデルを構築しましたが、このような統計的な予測モデルを用いたパーソナライズされた栄養戦略立てが、疾患リスク管理や、QOLと寿命の量を改善する、大きな可能性を与えてくれるようになるかもしれません。

 

■用語解説

(1)簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ):個人ごとの栄養素摂取量、食品摂取量、その他若干の定性的な食行動指標の情報を得るために設計された質問票。10分程度の質問に答えるだけで集計が可能となっている。

(2)レスポンダーとノンレスポンダー:機能性食品や医薬品を摂取した際、効果が見られる人とそうでない人がおり、その差が腸内環境の違いに基づいて観察されることがある。この効果が見られる人を「レスポンダー」、そうでない人を「ノンレスポンダー」という。

(3)α多様性:ある1つの環境での種の多様性のこと。指標として良く用いられるのがChao1指数とShannon指数であり、前者が種の豊富さ、後者が均等度を指す。これに対し、異なる環境間の種の多様性をβ多様性という。

(4)主座標分析(PCoA):高次元のデータを2~3次元に落として視覚化するための分析手法。腸内細菌叢を解析する場合は、細菌叢を一つの生態系と見なし、β多様性を視覚化する方法である。本試験では、被験者の腸内環境菌叢を2次元に落として座標にプロットしている。このうちPCo2と呼ばれる片方の軸において、レスポンダーとノンレスポンダーの間で差が見られた。

(5)ランダムフォレスト:機械学習のアルゴリズムの一つで、決定木による複数の学習器を統合させて汎化能力を向上させたもの。今回の検証でも使用したようにメカニズムの考察にも有効である。

(6)ROC曲線:Receiver Operating Characteristic曲線の略で、日本語では受信者動作特性曲線という。スクリーニングテストの精度評価、新しい検査法の従来法との比較などに用いられ、感度(真陽性率)と1-特異度(偽陽性率)の関連を表す。AUCと呼ばれる曲線下の⾯積が1に近いほど識別能力が高い。

  • はくばくについて

当社の社名「はくばく」は白い大麦という意味です。創業社長である祖父が「もっと麦ご飯を喜んで食べてもらいたい。」という思いから、大麦を一粒一粒半分に割って黒い筋を目立たなくした製品を開発しました。

以来、我々はくばくは穀物とともに歩み、精麦の他、雑穀、和麺、麦茶、穀粉、米を事業として手がけるようになりました。

人類を太古から支えてきた大切な「穀物」を、現代の食卓へもっと多く登場させ、もっと楽しんで食べてもらうこと。それは家族の笑顔が増えること。またそれは家族が健康になることだと考えています。これを実現するために、我々はくばくは主食であるごはんの「質」を見直す「主食改革」を、社員一丸となって本気で目指して参ります。


 社名    : 株式会社はくばく
 所在地   : 〒409-3843 山梨県中央市西花輪4629
 代表    : 代表取締役社長 長澤 重俊
 設立    : 昭和16年4月15日
 資本金   : 98,000,000円

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業種
製造業
本社所在地
山梨県中央市西花輪4629
電話番号
055-274-8989
代表者名
長澤重俊
上場
未上場
資本金
9800万円
設立
1941年04月
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