【武蔵野大学】国際会議WCCE2022で林 浩一教授と島田 徳子教授が国籍、学歴、職業、性別による論理思考力の比較結果とステレオタイプ的な見方との差異に関する発表を行いました
【発表の概要】
学会名 | 第12回 WCCE (World Conference on Computers in Education) (情報教育および教育へのデジタル技術利用に関する代表的な国際会議) |
URL | https://wcce2022.org |
主催 | 情報処理学会 教育学習支援情報システム研究会・コンピュータと教育研究会 |
共催 | 日本学術会議 |
開催期間 | 2022年8月20日(土)~8月24日(水) |
会場 | 広島国際会議場 |
発表・セッション | 2022年8月24日 11:00 セッション17B (学校・大学・各種教育機関でのデジタル教育) 因果関係の影響による論理の誤読についての国籍、学歴、職業、性別の違いによる傾向分析(Comparison of Causality-Influenced Logic Misreads by Nationality, Education, Occupation, and Gender) 林 浩一 (武蔵野大学教養教育リサーチセンター/MUSIC) 島田 徳子 (武蔵野大学グローバル学部グローバルコミュニケーション学科) |
【研究内容詳細】
論理思考力の強化は、STEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)教育の中核となるプログラミング教育の目的の一つともなっており、今日、ますます重要性が高くなっています。論理思考力については、「日本人は外国人よりも不得意である」、あるいは、「女性は男性よりも不得意である」といったステレオタイプ的な見方が存在しています。しかしながら、論理思考が何かについて明確な定義はなく、その能力を比較する客観的な方法はありませんでした。
私たちは因果関係(原因と結果の関係)と論理関係(主張と根拠の関係)が逆順になっている論理において、大きな割合で誤読が発生することに着目し、誤読率によって客観的に論理思考力を評価することが可能になると考えました。論理の誤読率を判断する質問の組み合わせを開発し、2021年には日本人の被験者300名、2022年には日本に住む外国人を含む465名の被験者に対して調査を行いました。
調査の結果から、以下のことが明らかになっています。
(1) 学歴が高いほど論理誤読率は低くなる
(2) 日本人と外国人で誤読率に違いはない
(3) 女性のほうが男性よりも誤読率はやや低い
(4) 技術職と一般事務職で誤読率に違いはない
(1)については、常識的な予想に合致する傾向であり、大学教育の意義が確認できた結果であると言えますが、(2)と(3)については、従来のステレオタイプ的な見方が事実とは異なる可能性が高いことを示しています。(4)についてはプログラミングなどを日常的に行っている技術職が他の職種に比べて論理思考力が高いわけではないということを示しています。このことは、「プログラミング教育によって論理思考力を高められる」というSTEM教育の想定に見直しが必要なことを示唆します。
今後、これらの結果を引き起こした要因を明確にすることで、論理思考力を伸ばすための、より効果的な手法の確立を目指した研究を進めていく予定です。
【関連リンク】
■ 第12回WCCE:https://wcce2022.org/index.html
■ 第12回WCCE発表プログラム一覧:https://wcce2022.org/program.html
【武蔵野大学】
1924年に仏教精神を根幹にした人格教育を理想に掲げ、武蔵野女子学院を設立。武蔵野女子大学を前身とし、2003年に武蔵野大学に名称変更。2004年の男女共学化以降、大学改革を推進し12学部20学科、13大学院研究科、通信教育部など学生数13,000人超の総合大学に発展。2019年に国内私立大学初のデータサイエンス学部を開設。2021年に国内初のアントレプレナーシップ学部を開設し、「AI活用」「SDGs」を必修科目とした全学共通基礎課程「武蔵野INITIAL」をスタートさせる。2023年には国内初のサステナビリティ学科を開設する。2024年の創立100周年とその先の2050年の未来に向けてクリエイティブな人材を育成するため、大学改革を進めている。武蔵野大学HP:https://www.musashino-u.ac.jp
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