新事業開発を加速するNEC X、災害時の初動対応要員向けリアルタイム位置測位ソリューションを提供するスタートアップを新たに設立

消防士の位置をタブレットにリアルタイムで表示し、火災時の救助時間を60%短縮

日本電気株式会社

NECの子会社で、新事業の創出を推進するNEC X, Inc.(注1、以下 NEC X)は、火災などの災害や事故現場における初動対応要員向けリアルタイム位置測位ソリューションを提供するスタートアップ「NavigateIO Inc.(注2、ナビゲートアイオー、以下NavigateIO)」を設立しました。同社は、NEC Xの事業創出プログラムを通じて設立された6社目のスタートアップとなります。
米国において、火事の件数は減少する一方、死者は過去10年で24%増加しており(注3)、年間約88,000人の消防士が負傷しています(注4)。NavigateIOは、NEC北米研究所が開発したUWB(Ultra Wide Band、注5)を用いた屋内位置測位の特許技術を活用して開発された初の商用ソリューションで、GPSが届かない、かつ、位置情報を取得するためのインフラが予め設置されていない場所でも、モバイルビーコンを装着した対応要員の位置情報を確認することができます。現場到着時にアンカービーコンを設置するだけで、複数の対応要員の現在位置がリアルタイムにタブレット端末に表示されるため、緊急時に指令官が初動隊員を視覚的かつ正確に追跡・把握することが可能となります。

消防士によるモバイルビーコン装着イメージ消防士によるモバイルビーコン装着イメージ


NavigateIOは米国にある4地区の消防署と実証実験を行っており、その結果、救助時間の60%短縮に成功しています。また、建物火災時の屋内位置の把握のみならず、山火事周辺の状況把握や、警察・SWAT等の隊員の位置把握などにも有効であることがわかりました。

実証実験について、カリフォルニア州サンラファエル消防署の大隊長であるJason Hatfield氏は、「消防士の救難訓練において、画面上で構造物内の消防士の位置を追跡することができた」、ニュージャージー州ジャクソン第二消防区の消防官/地区管理者であるScott Rauch氏は、「私たちの訓練では、追跡システム不使用時に救助時間が4分半だったのに対し、NavigateIOを使うことで1分半を達成できた」と述べています。

NavigateIOは、NEC Xの事業創出プログラム卒業に加え、2022年4月にはカナダの大手電気通信事業者TELUSが提供するTELUS Community Safety & Wellness Acceleratorプログラムを、また、同年5月にはAlchemist Acceleratorのプログラムを卒業しています。また、NIST(米国立標準技術研究所)主催のFirst Responder Smart Tracking Challengeにおいて、「事前のインフラ設置なしでさまざまな建物での初動対応の屋内位置測定および1メートル以内の精度での追跡」という与えられた課題に成功し、2022年3月発表のフェーズ1、同年5月発表のフェーズ2において、Top Tier Awardsを受賞しています。 

タブレット端末イメージタブレット端末イメージ

NEC Xの新事業創出プログラムでは、ビジネスとテクノロジーに精通した客員起業家(注6、以下 EIR)に技術や研究者を紹介し、EIRは各々のビジネスアイデアを提案します。その中で優れたものやマッチングが成立したものが、顧客発見や顧客実証などのプロセスを経て事業化されます。NEC Xは、2018年の設立以来、本プログラムを通じて5つのスタートアップ企業をスピンアウトさせており、NavigateIOが6社目となります。

本件に関する各社のコメントは以下のとおりです。

「山火事のような緊急自然災害や、銃乱射事件のような深刻な事件の発生の増加に伴い、初動対応における位置情報把握の必要性が高まっています。NavigateIOの創業メンバーは情熱的かつ野心的で、4消防署における顧客検証を済ませ、さらに20件以上のリード、400万ドルの収益をパイプラインに乗せています。NavigateIOが私たちのプログラムを卒業・スピンアウトし、今後大きな成功を収めることを期待しています。」
  NEC X, President and CEO, 井原 成人 

「私は2017年にカリフォルニア州で発生した山火事の被災者として、消防士間の迅速な追跡と連携の必要性を目の当たりにしました。この経験から、初動対応の指揮官が安全性を向上させ、救助時間を短縮できるようなスマートトラッキングソリューションを開発することを思いつきました。NECの研究開発チームとチームを組み、位置追跡技術を開発し、顧客検証できたことは、このソリューションを実現するにあたり素晴らしい機会になりました。」
  NavigateIO, Co-Founder and CEO, Sukhwinder Lamba 

以上

(注1) 本社:米国・カリフォルニア州、President and CEO:井原成人
(注2) 本社:米国・カリフォルニア州、Co-Founder and CEO:Sukhwinder Lamba
(注3) 出典:https://www.usfa.fema.gov/data/statistics/#tab-2
(注4) 出典:https://www.cdc.gov/niosh/programs/epr/risks.html
(注5) Ultra Wide Band:超広帯域無線通信。極めて広い帯域幅を用いる無線通信で、高精度の測位・測距が可能。
(注6) Entrepreneur In Residence:起業家が企業に社員や業務委託として入り、新事業の立ち上げや起業の準備を行う仕組みのこと。

<本件のお問い合わせ先>
NEC グローバルイノベーションユニット NEC X PJグループ
E-Mail:contact@necx.jp.nec.com

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


関連リンク
https://nec-x.com/
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

日本電気株式会社

58フォロワー

RSS
URL
https://jpn.nec.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区芝5丁目7-1
電話番号
-
代表者名
森田 隆之
上場
東証1部
資本金
-
設立
-