教育AI活用協会、全国の教育委員会・学校288団体へ生成AIの活用に関する調査を実施
文科省によるガイドライン発表後調査、9割近くが活用に「関心あり」も、導入決定・検討中は4割に留まる 「教育現場に与える影響が未知数」など様々な声も
株式会社みんがくの代表 佐藤雄太が代表理事を務める、一般社団法人教育AI活用協会は、生成AIの教育活用に関する調査を2025年3月5日〜31日に実施しました。本調査は、全国の教育委員会・教育センターおよび学校(小・中・高)を対象に、生成AIの活用状況や課題、今後の展望についてアンケート形式で実施し、全国より288団体(教育委員会・教育センター164団体、学校124団体)の回答が寄せられました。
結果から、9割近くが生成AIの活用に関心があるとしながら、導入が決定している・検討を進めている割合は4割に留まりました。自由回答では「活用事例が知りたい」「どのような手続きをすればいいかを知りたい」「教育現場に与える影響が未知数」など、新しいツールに期待する声や不安視する声など様々な声が寄せられました。
■9割近くが生成AIに「関心あり」

調査結果によると、回答者の89.9%が生成AIの教育活用に対して「関心がある」と回答しました(「とても関心がある」47.9%、「ある程度関心がある」42.0%)。自由記述では活用事例やガイドラインに関する研修など具体的な関心の声が多く寄せられました。
■理解度は半数超え
生成AIのガイドラインや活用方法に対する理解度に関しては、50.7%が基本的な理解があると回答しました(「よく理解している」7.3%、「ある程度理解している」43.4% )。調査を実施した時期は文部科学省より生成AIガイドライン(略称)Ver2.0が公表された直後でしたが、理解度は半数を超え、関心の高さが伺えます。

■令和7年度の活用実証、4割が具体的に進行している

活用実証を行う予定についての設問では「既に実施が決定している」は16.3%、「実施を検討している」は25.0%となり、41.3%が具体的に進行していることが分かりました。残りの約6割が未定となりましたが、関心度の高さから近く具体的な検討がされることが見込まれます。
■生成AIのツール選定、ChatGPTが7割

前問で既に活用実証が決定している、検討していると回答した人に対し、使用する生成AIが決定しているかを聞くと、「すでに決定している」が39.5%となり、そのうち約7割が自由回答でChatGPTを活用すると回答しました。またBingやGoogle Gemini(旧Bard)といった回答が目立ったほか、スクールAIやスタディポケット、tomoLinksなど教育特化型のAIサービスを挙げる回答もありました。
■教育委員会と教育センター、補助金や制度の活用は2割強に留まる

生成AIの実証や導入に際し利用できる制度が様々あります。実際にこれらの活用予定があるか、生成AIの活用実証予定があると回答した教育委員会・教育センターを対象に聞きました。補助金・制度に関して活用予定があるとの回答は23.3%に留まり、残る8割弱に利用予定がないことが分かりました。活用予定があるという回答者のうち最も多かったのは、文部科学省が先進的なデジタル技術を活用した教育のモデル校を支援する「リーディングDXスクール事業」、次いでAI技術を用いた英語の教育支援をする「AIの活用による英語教育強化事業」でした。補助金制度への理解不足や手続きの複雑さが利用ハードルにつながっているのかもしれません。
■期待や課題、懸念の声
自由回答では、生成AI導入に対する期待の声とともに、課題、懸念の声も多く寄せられました。
期待する声
•「ガイドラインについての研修や活用事例研修をお願いしたい」
•「活用事例を教えて欲しい」
•「生徒が安全に使用できるAIを紹介してほしい」
•「他地域の動向などを知りたい」
•「生成AIアプリ及びガイドライン策定の必要性について知りたい」
•「生成AIの保護者説明(透明性)の在り方について」
•「どのような手続きを踏めばよいのか、フローについて詳しく教えて欲しい」
課題、懸念の声
•「著作権やプライバシーのリスクが懸念される」
•「AIへの依存が教育現場に与える影響が未知数」
•「まだ研究の一歩にも進めていない状況」
■考察 「生成AIの教育活用に関する調査の結果をめぐって」
本調査は2025年3月に全国の教育委員会・教育センターおよび小中学校・高等学校の教員を対象に実施した調査です。この時期は、生成AIガイドライン(略称)Ver2.0が文部科学省から公表された直後であり、この時期の特徴が今回の結果に反映されるだろうと想定していた通り、高い関心と研修への意欲的な意見が多く見られました。これは、生成AIの活用によって大きな教育効果をもたらすことに現場が期待している表れと考えています。教育委員会・教育センターに関しては、文部科学省からの通知を受けて自治体として動き出さなければならないという焦燥感もあると想像できます。この調査から、現場・行政ともに「専門知識を得るための研修」「活用事例を知るための研修」を提供していくことで、生成AIの教育活用を推進できると考えます。
これらの考察を経て、当団体がやるべき施策としては次の3つ。
(1)生成AIガイドライン(略称)に関する研修
(2)生成AIの教育活用に関する研修
(3)生成AIアプリの活用・導入支援
以上の施策を通して、教育現場での生成AI活用を推進し、より深い学びの実現と協働的な学びを推進することができると期待しています。

考察者:一般社団法人教育AI活用協会 代表理事 佐藤雄太
筑波大学を卒業し大手予備校に勤務した後、大手フランチャイズ塾を経営し最優秀オーナー賞を5年連続受賞。2021年、教育現場の課題解決を目指すEdTechカンパニー株式会社みんがくを設立し、オンライン自習室サービス「みんがく」や教育現場に特化した生成AI活用プラットフォーム「スクールAI」をリリース。教育機関向けのAI活用研修や東京学芸大学をはじめとする多数の機関との共同研究も行う。2024年には教育分野におけるAIの活用促進を目指す一般社団法人教育AI活用協会(AIUEO)を旗揚げし、日本最大級の教育×AIイベント「教育AIサミット」を主催するなど「生成AI×教育」をテーマに精力的に活動。
これまでに、Asia EdTech Summit(AES)第2回金賞、同・第4回銀賞、第20回(2023年度)日本e-Learning大賞・経済産業大臣賞など数多くの賞を受賞。
■調査概要
調査名称:文部科学省「生成AIガイドライン(略称)」発表後の生成AIの教育活用に関する調査実施期間:2025年3月5日〜3月31日
調査対象:全国の教育委員会・教育センターおよび学校(小・中・高)
有効回答数:288団体(教育委員会・教育センター:164団体、学校:124団体)
調査方法:インターネット、FAX
調査主体:一般社団法人教育AI活用協会
■株式会社みんがく
株式会社みんがくは、「次世代の教育のスタンダードを創る」をビジョンに掲げ、教育現場の課題にテクノロジーの力で応えることを使命とするEdTechカンパニーです。全国の教育者が協力して運営していた合同オンライン自習室サービスを母体に2021年に法人化しました。以来、教育サービスの開発、教育機関向けのコンサルティング・研修、教育メディアの運営など「教育×テクノロジー」を軸に幅広く事業を展開しています。現在は、生成AIを活用したプラットフォーム「スクールAI」の開発に注力。AIと教育現場をつなぐ実践的なソリューションの提供を通じて、教育現場の業務支援や個別最適な学びの実現を支えています。2025年1月には、さらなる開発推進・全国展開の本格化に向けて、株式会社サクシード(証券コード:東証グロース9256)との資本提携を発表しました。
URL:https://school-ai.mingaku.net/company/
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