従業員の新型コロナウイルス感染、約370社が公表 臨時休業や在宅勤務など感染防止策で増加ペースは鈍化

帝国データバンクは、新型コロナウイルスに従業員が感染したことを公表した上場企業について調査を行った。
  1. 新型コロナウイルスに感染した従業員が判明した上場企業(グループ会社や関連会社を含む)は、6月12日時点までに377社判明した。急増した4月に比べ、5~6月は大きく減少した
  2. 業種別にみると「製造」が最も多く129社。「サービス」や「小売」などB to C業種も多い
  3. 各社が相次ぎ導入した感染防止策が従業員の感染抑制に大きく寄与したと見られる。他方、製造や小売など「3密」リスクの高い業態では緊急事態宣言解除後に新たに感染が判明するケースもあり、各社とも感染リスク対策に気が抜けない状況は続く

 帝国データバンクの調べでは、新型コロナウイルスに感染した従業員が判明した上場企業(グループ会社や関連会社を含む)は、6月12日時点で累計377社に上った。2月以降、従業員の感染を公表した上場企業の数は増加。3月は新たに90社超が、4月は240社超が公表し、1日当たりの公表が10社超となった日は11日間にも上るなど、各社で従業員感染の公表が相次いでいた。しかし、5月に入ると新規に公表した企業数は大きく減少、月間累計で16社にとどまるなど、最も多かった4月の増加ペースからは大幅に鈍化していた。

 新型コロナの感染が急速に拡大した4月までは、各社とも在宅勤務の導入やマスクの着用、アルコール消毒の徹底など感染防止策を施しながら、勤務体制の維持に努めていた。しかし、建設や製造などの業種では複数拠点で従業員が感染したケースが相次いだほか、対面接客せざるを得ない小売やサービスでも従業員の感染ケースが増加するなど、各社の感染抑止に限界も見られていた。

  しかし、5月の大型連休前後から、建設や製造などでは多くの企業が現場や生産ラインの停止・縮小、従業員の一時帰休措置など思い切った対策措置を実施。小売・サービス各社でも、緊急事態宣言の対象範囲拡大や延長にともない、店舗営業の休止や営業時間の短縮、ソーシャル・ディスタンスの徹底など、従業員の感染防止により重点を置く企業が多く目立つようになった。結果的に従業員の感染拡大防止に大きく貢献したとみられる。


多くの業種で増加ペースは鈍化、在宅勤務の導入などが好影響

 業種別に見ると、最も多かったのは「製造」で129社に上り、全体の約3割を占めた。次いで多かったのは「サービス」(64社)で、「小売」(45社)、「卸売」(36社)、「運輸・通信」(31社)などが続く。
 



 最も多い製造では、自動車や機械や化学、食品など幅広い分野で感染者が発生。本社従業員などバックオフィス部門のみならず、工場に勤務する従業員の感染も相次いでいた。しかし、緊急事態宣言の発令に伴い多くの企業で在宅勤務を導入。経済同友会が4月24日までに加盟企業250社に対して行った調査では、製造業のうち国内事業所全体の出勤者を8割以上削減した企業は約3割、5割超の削減では約7割だった。サービス業など非製造業に比べると低位だったものの、各社がテレワーク可能な部署の在宅勤務制度導入や、生産部門のローテーション勤務の導入などにより自社従業員の感染リスクを最大限低減。5月の大型連休前後で一斉休業措置などを取った企業も多く、従業員の感染抑止に大きく貢献したとみられる。

 小売やサービスでも、不特定多数の消費者との接触などで感染リスクの高いスーパーや飲食店などでは、従業員のマスクの着用徹底などを行ったものの、感染者が発生する事態が相次いでいた。しかし、緊急事態宣言の発令後は入店制限やレジ待機列の間隔確保といった「ソーシャル・ディスタンス」への取り組みの強化、レジでの飛沫防止ビニールの導入、イートインスペースの閉鎖など、より強力な措置を取る企業も相次いだ。とりわけ首都圏では、東京都が独自に新型コロナウイルスへの警戒を呼びかける「東京アラート」の発令などで人出が引き続き抑制されたことも、従業員の感染リスク低下に大きく影響した。


緊急事態宣言解除で再開した企業活動、対コロナで健康管理見直しも課題

 緊急事態宣言の解除、さらに首都圏では6月2日から発動していた「東京アラート」も12日付で解除された。飲食店などの店舗では休業や営業時間短縮の要請が順次解除されるほか、街にも通勤などで徐々に人出が増加するなど、消費・企業活動共に再開に向けて大きく動き始めた。

 こうした局面で懸念されるのは、企業の従業員感染リスクが再び高まらないか、という点だ。実際に、多くの業態では従業員が感染した企業が新規に表れていないものの、製造と小売の2業態は緊急事態宣言解除前後で再び増加ペースにあるほか、既に感染が判明していた企業でも、別店舗や工場で従業員が罹患するケースがここに来てなお散発している。いずれも従業員が勤務中にマスクを着用するなど出来る限りの感染防止策が取られていたものの、こうした業種は比較的「3密」を満たしやすく感染リスクの高い業態でもあり、完全な感染防止は難しい。勤務体制の見直しなど抜本的な対策を抜きにした、従業員の防疫意識に頼った水際対策のみでは、再び企業での感染者発生ケースを増加させかねない。

  経済活動が本格的に再開するなか、新型コロナと共存せざるを得ない社会が目前に迫っている。こうしたなか、自社の営業機会を確保しつつ、従業員の健康の安全をどう確保するかというテーマの両立が経営上の新たな課題となってくる。しかし、十分な治療法や防疫手段が限られる中で従業員への感染を完全に防ぐことは未だ難しく、各社とも引き続き感染リスク対策に気が抜けない状況は続きそうだ。
※以下、メディア関係者限定の特記情報です。個人のSNS等での情報公開はご遠慮ください。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります。

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。
※内容はプレスリリースにより異なります。

  1. プレスリリース >
  2. TDB >
  3. 従業員の新型コロナウイルス感染、約370社が公表 臨時休業や在宅勤務など感染防止策で増加ペースは鈍化