電通総研とICP、社会の信頼基盤となるデジタル証明書(VCs)の未来を提示 ― Pacific Meta共催イベントレポート公開

株式会社Pacific Meta

 2025年5月29日、株式会社Pacific Meta(所在地:東京都港区、代表取締役:岩崎翔太、以下「当社」)は、テクノロジーで企業と社会の進化を実現する株式会社電通総研(所在地:東京都港区、代表取締役社長:岩本 浩久、以下「電通総研」)およびICP HUB Japan(ICP Japan)(所在地:東京都港区、以下「ICP Japan」)とイベントを共催しました。当社は、Web3コミュニティの活性化を目的としてWeb3関連イベント開催に特化したコワーキングスペース「Pacific Hub」を運営しており、本イベントも同会場で開催されました。

 本イベントは、電通総研が企画・開発・提供するVCs(Verifiable Credentials:デジタル証明書)を発行・管理・検証するソリューション『VeCrea(ヴィクレア)』とICP(Internet Computer Protocol)の暗号技術を組み合わせることで実現する、新たなデジタル信頼基盤の可能性を探ることを目的として開催しています。

 2026年、EUで4.6億人を対象としたデジタルIDウォレットの義務化が迫る中、本イベントでは、VeCreaとICPがWeb2-Web3統合時代にどのように人々の生活を革新し、金融・製造業界やIoT領域にどのようなインパクトをもたらすのか、について議論を行いました。

【はじめに】EUのデジタルID義務化とVCs市場の拡大

 EU では2026年11月までに、約4.6億人を対象にデジタルIDウォレットの保持が義務化されます。これによりVCs市場の飛躍的な成長が見込まれており、VCsの国際標準化も進んでいます。電通総研が企画・開発・提供する VCsの発行・管理・検証ソリューション「VeCrea」は、国際標準規格(OID4VC, EU DIW RI, mdoc / SD-JWT VCなど)に対応し、2030年には約20兆円弱に達すると予測される、デジタルIDソリューション市場をターゲットとしています。

【第一部】「VeCrea」が目指す業界別PoC

 第一部では、電通総研の福嶋 徹晃氏が「VeCrea」 における共創PoC(概念実証)の取り組みについて説明しました。2025年7月時点で約20社からの応募があり、金融、製造、ユニバーサルID化といった分野での具体的なユースケースが構想されています。

▲ 想定されるユースケースの例


■VeCreaの主な特長

  • VCs(Verifiable Credentials:デジタル証明書)の発行・管理・検証までをワンストップで行えるプラットフォーム(仕組み)である

  • 国際標準技術仕様に準拠(OID4VCI、OID4VP、SIOP v2)

  • 柔軟なカスタマイズ性

  • WEBとアプリのシームレス連携(ICP連携予定)

  • デジタル庁での実証実績あり

  • 改ざん耐性のあるセキュアな管理システム(ICP連携予定)


 これらのユースケースは、2025年6月からのマイナンバーカードのiPhone対応や、EUでのデジタルIDウォレット普及といった社会的な動きとも連動し、市場拡大が期待されています。

 その背景には、情報の信頼性確保が課題となる中で、2020年10月に内閣官房デジタル市場競争会議において日本が世界で初めて提唱した「トラストウェブ(Trusted Web)」の概念があります。電通総研は2022年から本プロジェクトに参画し、その中核技術であるVCsに着目。新しい信頼基盤を構築するVCsプラットフォームとして「VeCrea」を誕生させました。

【第二部】VCsとICPが実現する劇的なユーザー体験の向上

 第二部では、電通総研の比嘉 康雄氏とICP JapanのSho T(高橋 翔)氏が、VCsプラットフォームとICP(Internet Computer Protocol)の暗号技術が融合することで、ユーザー体験が劇的に向上する点についてパネルディスカッションを行いました。

以下はICP技術との組み合わせで実現予定のものです。

■ 統合ID (ワンID) の実現

 複数のサービスで使うIDやポイントを、一つのデジタルアイデンティティウォレットで管理できるようになります。これにより、サービスごとのID・パスワード管理や、物理カードの所持が不要になります。

■ 秘密鍵やパスワード管理が不要

 ICPの分散型クラウドが持つ秘密鍵分散管理技術(MPCなど)により、ユーザーは秘密鍵やパスワードの管理が不要となります。パスキー(指紋認証、顔認証など)だけで、統合ID(ワンID)を通じて様々なサービスにログインし、関連するVCsを紐付けることが可能です。


■ ウェブ、スマホ、IoTでのシームレスな利用

 これまでVCsの安全な利用は主にスマートフォンアプリを通してのみ可能でしたが、ICP技術とパスキー認証を組み合わせることで、ウェブブラウザやIoTデバイスでも、スマホアプリと同等のセキュリティレベルでVCsをシームレスに利用できるようになります。


■プライバシー保護と利便性の両立(選択的開示の進化)

 各サービスで発行されるVCsは個別に管理されますが、「VeCrea」に紐づくことで、プライバシーを守りながら利便性を高めます。さらにICPのVetKeys技術により、プライバシー保護は次の段階へ進みます。VetKeysを使うと、ユーザーは自分のデータを暗号化した上で、誰にどの情報を開示するかを完全にコントロールできます。データはユーザーの手元で暗号化され、復号鍵もユーザーが管理するため、サービス提供者やプラットフォーム運営者も元データにアクセスできません。これにより、医療情報や財務情報のような機微な情報でも安心して必要な範囲で共有でき、真のデータ主権をユーザーに取り戻すことで、信頼性の高いデジタル社会の実現に貢献します。

【第三部】「統合ID(ワンID)」と「サプライチェーン管理」のデモンストレーション

 第三部では、「VeCrea」とICP技術を活用した「統合ID(ワンID)」と「サプライチェーン管理」のデモンストレーションが行われました。これにより、これらの技術が実社会でどのように機能し、どのような価値を提供するかを具体的に示しました。

統合ID(ワンID)デモンストレーション

ECサイト、旅行予約サイト、ヘルスケアサイトなど、複数の異なるサービスで、単一の統合ID(ユニバーサルウォレットに格納されたVC)を使ってシームレスにログインし、サービスを利用する様子が示されました。

  • 技術的ポイント

    • ICPによるセキュアな認証(パスキー認証で秘密鍵管理不要)、「VeCrea」とのサービス連携、初回発行後は既存VCの再利用が可能であることなどが示されました。

  • ユーザーメリット

    • サービスごとのID・パスワード管理が不要になり、利便性が大幅に向上。提供する情報を自身でコントロールできます。

  • 事業者メリット

    • 既存の認証システムに大きな変更を加えず、複数サービス間での顧客ID・データ連携基盤を構築できます。

サプライチェーン管理デモンストレーション

製品の原材料調達から製造、納品までの各工程でVCs(納品書VC、部品証明VCなど)が発行・検証され、サプライチェーン全体のトレーサビリティと透明性が向上する様子が示されました。

  • 技術的ポイント

    • ICPのThreshold ECDSA Signature機能によるVCの真正性・改ざん不可能性の確保、選択的開示(開示情報の選択)の活用、リアルタイムな追跡・検証が可能であることが示されました。

  • ユーザーメリット(各企業)

    • 納品物の信頼性向上、不正部品の混入防止、リコール時の迅速な原因究明に貢献します。

  • 産業へのインパクト

    • これまでサイロ化されていたサプライチェーン情報がセキュアかつ標準化された形で連携可能になり、業界全体の効率化、コスト削減、リスク管理の高度化が期待されます。

これらのデモンストレーションは、「VeCrea」とICP技術が単なる理論に留まらず、実用的なソリューションとして多様な分野に応用可能であることを明確に示しました。

【考察】ICP Japanによる考察:IoT領域まで見据えた計り知れないインパクト

 本イベントの内容を踏まえ、ICP Japanが考察するIoT(Internet of Things)領域まで踏み込んだVCsとICPの今後のインパクトについて示唆します。

多様なユースケース展開(IoT時代の可能性):

  • 金融: スマートホームやコネクテッドカーのデータなどをVCsとして活用し、より精緻なリスク評価や不正検知を実現。融資・保険審査の迅速化やDeFi連携も可能になります。

  • 教育・スキル証明: AR/VRトレーニングやオンライン学習の進捗、IoTを活用した実務経験をVCsとして記録・証明。実践的なスキルセットの可視化を促進します。

  • 不動産・モビリティ: スマートロックのアクセス履歴やエネルギー消費データをVCsとして管理し、不動産の価値評価や管理効率を向上。MaaS(Mobility as a Service)では、モビリティからのリアルタイムデータをVCsで連携し、シームレスで安全な移動体験を実現します。

 そのほかにもIoT・スマートシティや医療、エンターテインメントなど、多岐にわたる分野におけるユースケースの可能性が多数示されました。

このように、VCsとICPがもたらす『ビッグ・インパクト』は、未来のデジタル社会のあり方を大きく変える可能性を秘めています。

 当社は、本イベントでの議論を契機に、電通総研およびICP Japanとの連携をさらに強化してまいります。デジタル証明書と分散型技術が織りなす未来のインフラ構築に向けて、当社はWeb3領域における知見とコミュニティを活かし、革新的なソリューションの普及と発展に貢献し続けてまいります。

本件に関するお問い合わせ先

・株式会社Pacific Meta Marketing&PR
  お問い合わせフォーム:https://pacific-meta.co.jp/contact/

共催:電通総研



電通総研は、「HUMANOLOGY for the future~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」という企業ビジョンの下、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」という3つの機能の連携により、企業・官庁・自治体や生活者を含めた「社会」全体と真摯に向き合い、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出し、より良い社会への進化を支援・実装することを目指しています。

テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、これからも人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出し続けます。

公式サイト:https://www.dentsusoken.com/

■主催:ICP Japan

「ICP Japan」は、日本でのInternet Computer(分散型クラウド)エコシステム普及と促進を目的とした組織です。Dfinity財団及び世界のHUB(ICP HUB)と連携して、各種オンボーディング機会を創出し、日本の政府/エンタープライズ企業/スタートアップ/開発者/メディア/イノベーション機関/投資家とともに、Web3時代のブロックチェーンを活用したユースケース創出に向けたコミュニティの構築、及びインキュベーション等を実施します。


ICP Japan 公式サイト:https://www.icp-japan.org/
ICP HP公式サイト:https://internetcomputer.org/

共催:Pacific Meta


Pacific Metaは「Web3領域のアクセラレーター」として、Web3事業に挑戦する国内外のWeb3プロジェクトを一気通貫で支援しています。世界40か国以上との取引実績を持つグローバルチームとして、国内プロジェクトの海外進出、海外プロジェクトの日本(および東アジア)進出サポートも得意としています。資金調達/コンサルティング/事業開発/マーケティング支援などの幅広い領域において、豊富なアセットおよびノウハウを活かし、お客様の事業成長を実現します。
また、自社オフィスであるPacific Hubでは、Web3コミュニティの交流機会を創出しています。

事業内容にご興味がある企業様は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【会社概要】
所在地:東京都港区芝2-2-12 浜松町PREX8階
代表者:代表取締役社長 岩崎 翔太
設立年月日:2022年8月10日
事業内容:Web3アクセラレーター事業
     ・投資
     ・資金調達支援
     ・コンサルティング
     ・マーケティング
     ・パートナーシップ
     ・トークンコンサルティング
資本金:8.5億円(資本準備金含む)
公式サイト: https://pacific-meta.co.jp/

【お問い合わせ】
会社フォーム:https://pacific-meta.co.jp/contact/
Email:info@pacific-meta.co.jp
Pacific Meta Magazine : https://pacific-meta.co.jp/magazine/

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・会社HP:https://pacific-meta.co.jp/contact/

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会社概要

株式会社Pacific Meta

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URL
https://pacific-meta.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区 芝2丁目2−12 浜松町PREX 801
電話番号
-
代表者名
岩﨑翔太
上場
未上場
資本金
8億5000万円
設立
2022年08月