液化CO₂球形タンク大型化に関する技術確立について
日鉄エンジニアリング株式会社(代表取締役社長:石倭行人、本社:東京都品川区、以下「当社」)は、日本CCS調査株式会社(代表取締役社長:中島俊朗、本社:東京都千代田区、以下JCCS)が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より受託した「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/CO₂輸送に関する実証試験/CO₂船舶輸送に関する技術開発および実証試験」(以下、「本実証試験」)のうち、「液化CO₂大量貯蔵システムに関する技術開発」の再委託を受け※1、液化CO₂の低温・低圧条件下における大量輸送の実現に必要となる液化CO₂球形タンクの大容量化の技術開発を2021~2023年度に取り組みました。その後の実用化に向けた検討を進め、このたび技術確立しましたのでお知らせいたします。
これまで国内における液化CO₂球形タンクは、液化CO₂の温度・圧力(-20℃、2.0MPa)の制約から貯蔵可能な容量が850ton程度と小規模なものに留まっていました。本実証試験では液化CO₂の大量輸送に不可欠である液化CO₂球形タンクの大型化を実現するため、液化CO₂の低温・低圧(-50℃、0.7MPa)下での実証試験を実施しています。液化CO₂球形タンクの大型化が実現すれば、年間100万ton規模での液化CO₂の船舶輸送が可能となります。
液化CO₂球形タンクの大型化のためには、溶接部が高強度かつ低温の環境下でも十分な靭性を有する必要があることから、当社は低温靭性に優れた60kg級炭素鋼の溶接技術の確立に取り組みました。その取り組みにおいて、38mm以上の板厚でも現地での溶接後熱処理(Post Weld Heat Treatment)を不要とするため、公的機関審査用のテストピースで各種の溶接材料を使用して-50℃での溶接継手性能を確認するための破壊靭性試験を実施しました。併せて、液化CO₂球形タンクの加工・組立作業時におけるさまざまな溶接姿勢を想定した各種の性能試験も実施し、公的機関の認証を取得しました。
加えて、将来の熟練溶接工不足への対応と溶接作業の効率化を図るため、現地組立作業用自動溶接機を開発し※2、JCCSから受注した液化CO₂球形タンク建設の現地溶接に適用しました。
当社は、今後とも各種エネルギープラントの設計・建設で培ってきた技術と知見を活かし、CCUS関連事業などへの取り組みを通して、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
※1 液化CO₂大量貯蔵システムに関する技術開発の受託について
https://www.eng.nipponsteel.com/news/detail/20210907/
※2 自動溶接機の開発は当社が独自に行いました。
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