「宝物」を作る同人誌専門印刷所『しまや出版』!! 2025年度も新入社員が続々入社、最新機器も業界初導入!止まらぬ成長を支える現場の熱意と仕組みに迫る!

日本のサブカル文化が世界から注目される時代です。「私たちが作っているのは、作家にとっても、購入者にとっても『宝物』となる本」そう考える、『しまや出版』の思いや取り組みを紹介します。

足立ブランド

3代目の代表取締役を務める小早川真樹氏と、社員の皆さん

▎残しておくべき本を作り続ける

「同人誌印刷は実は設備投資産業なんです。お客様の『宝物』を求めるニーズは常に高く、さらに良いものを求められます。私たちも出来る限りニーズに答えられるように、またその先を行けるように日々努力を続けています。」そんなしまや出版は、コロナ禍に「一種の賭けでした」と小早川氏が話す最新のデジタルオンデマンド印刷機を業界初導入した。また2025年3月~4月にかけて最新のデジタルオンデマンド印刷機、最新製本機器の合計5台増設しました。

「飽きたら処分される本ではなくて、私たちはいつまでも本棚に残しておきたくなる『宝物』を、作家さんが気軽に作れる印刷所でありたいと、日々実現に向けて努力し続けています」というしまや出版では、他社では見られない特徴的な同人誌を創ることが出来ます。例えば「表紙に刺繍加工を施した本」これはあだちブランドyouth仲間だった刺繍屋とアイデアを出し合い商品にされたもので、他社にはない唯一のものとのことだ。

「すべてのページを金(または銀、ピンクなど)で印刷する同人誌もしまや出版オリジナル。そしてビデオテープケースに入れた同人誌はSNSでも話題になりニュースにも取り上げられました。そのシリーズのカセットテープケース入り同人誌、DVDケース入り同人誌もしまや出版だけが行っています。」

これらの商業冊子にも無いアイデアあふれる同人誌は、捨てずに取っておきたいと思われる方が多いのではないでしょうか。その同人誌アイデアや同人誌作りのヒントなどは日々しまや出版X(@ShimayaTokyo)にて発信されていて、業界内では高い注目を浴びています。「お客様に選ばれるオンリーワン企業でありたいと思っています。」

カセットテープケース入り同人誌、DVDケース入り同人誌
全てのページが箔の本

▎「コミケ」と共に歩んできた同人誌専門印刷所

「オタクの祭典」とも呼ばれ、今や世界最大級の同人誌即売会となった「コミックマーケット」(通称:コミケ)。個人や同好サークルが情熱を込めて作成した同人誌を販売する一大イベントですが、そこで販売される同人誌の印刷を、50年前のコミケ創成期から請け負ってきたのが東京都足立区の同人誌専門印刷所『株式会社しまや出版』です。

コミックマーケットへの搬入を終えた、しまや出版の皆さん

『しまや出版』のホームページには「はじめての方"にも"やさしい」というキャッチフレーズがあります。サイト内のコンテンツには「はじめての同人誌」というコーナーがあり、 イラスト漫画による解説やキャラクター同士の対話形式で原稿作りや即売会出展までのノウハウを解りやすく、詳細にレクチャーしてくれます。そしてSNS上では「しまや出版は初心者の私にも優しかった」「初めて同人誌を作る人にはしまや出版が安心」といった言葉が並びます。

イラスト漫画でノウハウを解りやすく、詳細にレクチャー

▎印刷のことを何も知らずに印刷所へ

同人誌印刷では老舗中の老舗と言える『しまや出版』が、何故「はじめての方"にも"やさしい」というキャッチコピーを打ち出したのか。それは現代表の小早川真樹氏が入社してからです。「実は義父であるしまや出版の創業社長の急逝を機に、サラリーマンを辞めてしまや出版に入社しました。」元々コンサルタント会社やベンチャー企業でサラリーマンとして働いていたと小早川氏は話します。

「私は妻と入籍したばかりで、まだ結婚式も挙げていない時の訃報でした。今後を話し合う親族会議の場でも新参者の私は蚊帳の外でした。耳を立てて聞くと『会社はたたむしかない』という言葉を耳にし「そういうものなんだ」と、実は他人事に捉えていました。数日後、義理の母とふたりきりになった時『うちは沢山のいいお客様に恵まれている』『頑張ってくれている社員もいる』『つぶしたくない』『借金も無いし』と話をされました。その後『人生の新たな挑戦をしてみるか』と入社することを決断しました。入社してみたら分かりましたが、実際には沢山の借金がありました。笑」

▎1968年から始まる『しまや出版』の歴史

『しまや出版』の起源は、1968年に東京都北区で創業した文房具店『有限会社しまや商店』になります。創業者は金子良次(しまや出版初代社長)氏で、妻の春子(2代目社長)さんと共に、十条富士見銀座商店街で文房具店を営んでいました。店の一角に印刷機を置き、名刺や封筒、年賀状などの印刷を請け負う中、ある時から同人誌印刷の依頼が来るようになり「十条にあるしまやで同人誌の印刷が出来る」と口コミで広がっていきました。そして、文房具の取り扱いを止め個人向け冊子、同人誌印刷を主業とするにあたり『しまや出版』に社名変更されました。

しまや商店の写真

商店街で行うには手狭になってきていた2000年、足立区に工場を構え印刷・製本機器を移設して足立工場が始動しました。一般的な商業印刷会社とは一線を画し、個人向け小ロットに対応した印刷・製本機器を揃えていました。


金子良次氏の急逝後、後継候補として入社した小早川氏は様々なギャップを感じたと言います。

「私はホワイトカラーとして働いてきていたので、いわゆる町工場であるブルーカラーの方々と仕事をするのは初めてでした。営業で使用していたいわゆる横文字単語を使用した際には『小早川さん、意味が分からないので使用しないでください』と言われた時もありました苦笑。

当時は良くも悪くも『ザ・町工場』というような雰囲気。皆さんもくもくときっちり仕事はされていたのですが、営業と製造現場との間に『壁』のようなものがあり、お互いに挨拶もなく、決して風通しの良い会社ではありませんでした。そこでまず始めたのは『気持ちの良い挨拶をする』ということでした。また朝礼では『3分間スピーチ』を行いました。それぞれが好きなことを自由に話してもらうことで、社員同士の理解、コミュニケーションのきっかけづくりを始めました。機械や担当が属人化しないように「多能工」の体制つくりをスタート、野良猫を社猫として招き入れたのもこのころでした。スタッフが「職人からプロフェッショナルへ」と意識変化していくことを実感していました。」

▎10部から印刷可能。初心者にも寄り添う経営に

「小早川さんは同人誌業界初めてだから分からないだろうけど、初心者は手がかかるから常連やベテラン相手に商売しなければ利益出ないよ。」

そう同業者の先輩経営者からアドバイスされたと言います。

当時印刷のこと、業界のことが全くわからない小早川氏は、そのことを逆手にとり、キャッチコピーを掲げました。それが「はじめての方"にも"やさしい同人誌専門印刷所」です。

そして「素人の僕でも解るようなホームページに作り変えましょう。僕が解れば、ベテランの同人作家さんだけでなく、初心者の方でも理解できます。他社さんが面倒ならばしまや出版がその役目を引き受けましょう」と方向性を決めたと言います。

「当時はまだ『印刷を請けてあげている』という意識が印刷所側にあった時代でした。自分が初心者だったら?と意識改革を進め、問い合わせなどで受ける電話応対も徹底的に丁寧に出来るように変更していきました。原稿作成や入稿方法なども初心者にも分かりやすいようにマニュアルを配布したり、料金表も分かりやすくオールインワン表記に変更したりしました。『はじめての方"にも"~』に"にも"と書いているのは、ベテランさんや常連さんにやさしいのも当たり前という意味です笑」

サイトで「はじめての同人誌」が公開されたのも初期のこのころです。

印刷受注数は小早川氏が入社した頃から3倍になっています。同人作家やクリエイターの間では「初めて印刷を頼むのならしまや出版」「初心者にも丁寧でやさしい」という口コミが広まるようにもなったそうです。

顧客は北海道から沖縄まで日本全国です。時には海外からの注文もあります。年代も中学生、高校生もいますし、70代、80代の方もいます。幅広い方々にご利用いただけています。初心者からベテランの方までいらっしゃいますので、印刷セットを分かりやすくし受注部数も最低10部から最高で1万部までを短納期で対応できる体制を作っています。」

▎若手の会「あだちブランドyouth」を立ち上げ、足立ブランド会長に

2011年に代表取締役に就任した小早川氏は、経営理念に「良い(善い)会社」を掲げました。「社員自身にとっても、家族にとっても、お客様にとっても、取引先にとっても良い会社を目指す。その為に第3者に評価していただけることは大事だと思っていました」

一般の印刷とは一線を画した個人作家向けに特化し、多品種小ロットの高品質印刷・製本の製造、業務フローが評価され、2012年には「足立ブランド」に認定されました。2014年には足立ブランドの若手経営者の会『あだちブランドyouth』を発起人として創立し会長に就任。他区の若手経営者との活発的な交流や財務省を招いての勉強会実施などさまざまな活動を行ってきました。コロナ禍の2021年「足立ブランド」会長に40代の最年少で就任し、2年2期の任期を終え2025年3月に退任しました。

「地元の人が多い足立区で経営をさせていただき経営者と交流している中で、私自身は住まいも出身も足立区と関係が無いことがコンプレックスでした。足立ブランドとして活動することで足立区に多少は恩返しができたかと思っています

あだちブランドyouth立ち上げ当初

▎同人誌印刷会社の経営者としてのコンプレックス

『しまや出版』の代表就任後も小早川氏は常にコンプレックスを抱えていたと言います。その一つはご自身がコミケに参加したことがないこと。「同人誌専門の印刷所の社長なのに、同人誌を描いたこともなければコミケに個人参加したことがないことはずっとコンプレックスだった」と語ります。

社員の勧めで一念発起した小早川氏は、自ら同人誌を創りコミケに個人参加。「まず会場で自分の作品を手に取ってくれて、そしてお金を払って購入してくれることは驚きでした。その後もコミケには 7 回ほど個人参加したのですが、SNSをやっていないので告知も出来ていなかった中で、以前購入してくださった方が毎回新刊を求めて来てくれた時には大変感動しました。やはり参加しないとわからない苦労もありますし、参加して気づけた素晴らしい世界もありました。」

また「印刷・製本会社の社長ではあるが、これまで印刷や製本現場に全く関わってこなかったことがコンプレックスだった」そうです。「創業者の急逝で関わることになったので同人誌はもちろん、印刷や製本も初めてのことで、業界用語や知識がまったくないことがずっとコンプレックスです。今でも『日本一印刷・製本経験のない社長です』とあいさつしたりします。」と言います。

そんな小早川氏はコロナ禍期間に東京製本高等技術専門校に入学し、2年かけて製本の知識・技能全般を学び、製本に関する技能を認証する国家資格である「製本技能士一級」の資格試験に合格しました。現在同人誌専門印刷会社で「製本技能士一級」資格者を有する企業は無いそうです。また2024年度は社員の方も「製本技能士二級」「印刷技能士二級」に合格しました。「個人向けの印刷・製本物ということで一般の方々からしたら軽く見られてしまう部分があるかもしれませんが、私たちはお客様の『宝物』である同人誌を印刷し製本しています。美術印刷としての高い品質を追求し維持していくためにも、今後は従業員のスキルアップの継続はもちろんですが、可視化出来る資格取得のバックアップにも力を入れていきたいです」

▎同人誌印刷文化の伝承者として

「コミケ黎明期から関わる同人誌印刷会社は数少なく、その多くが当社よりも後に創業や参入されてきた企業です。当社には老舗印刷会社として、同人誌文化がある限り同人誌印刷会社として存続していく責務を持っていると考えています。その為にも単なる本ではなく、お客様の『宝物』である同人誌に関わらせていただいているという責任とプライドを持って経営をしています」

そんな小早川氏が率いる『しまや出版』は、2025年3月に解散した同業者の社員を4名雇い入れた。「急なことでしたし、当社自身大きな会社ではなく相当迷い悩みましたが、懇意にしていた企業でもありましたし、頑張っている姿も見ていたので、まだ同人誌に関わりたいという強い想いを持ったスタッフを雇用することを決断しました」

4月から新卒の新入社員を迎え入れる準備中の緊急決定だったそうです。

「社員の平均年齢は30.5歳、印刷・製本業界の中ではとても若い企業です。社員はみんなアニメや漫画、同人誌などのサブカルチャーに強い感心を持った人が多いです。明るくて前向きな『オタク』層が、いい雰囲気で働いてくれています。 北海道から福岡まで全国からやって来てくれていますが、スウェーデン人スタッフもいます。彼も同人誌が大好きで日本にやってきて語学学校、専門学校を経て、うちに入社してくれました。外国人をも魅了する同人誌の文化を、印刷会社の立場で伝承していきたいと考えています。」

社員の平均年齢は30歳、頼れる社員の皆さん

▎小さな会社のブランディング

しまや出版では、時に同人誌印刷以外の活動を行うこともあります。それが自社ブランド製品の企画・製造です。

・ビジネスカードゲーム「社長! 横文字で言うのはやめてください」

・コミュニケーションカードゲーム「ほめじょーず」

・足立区内の工場で働く「ものづくり男子」の写真集「あだち工場男子」

・しまや出版「社猫」フォトブック「わたしたち『癒し課』に配属されました」

・イベント用簡易設置台「ダンダン段ボール」

自社のブランド製品

これらすべての自社企画コンテンツがテレビをはじめとして、新聞、雑誌、ラジオ、Webなどのメディアで多数取り上げられ話題となっています。
「自社コンテンツはこれらで利益の柱になると思っているわけではありません。結果論ではありますが、それぞれが多数のメディアに掲載されたことで、これ以上ないブランディングになっています。NHKに4度も取り上げられているだけでも企業理念の良い会社を目指す中では、ステークホルダーの皆様に対して大変良いことだと思っていますし、お客様にとっても信用度の向上などに寄与してくれていると思います。事実、社猫の癒し課が取り上げられたニュースをご覧になって『保護猫活動など猫に優しい会社なのでしまや出版さんに入稿しました』とメッセージを頂くことも多々ありました。そして癒し課はとうとうKADOKAWAさんから書籍『ようこそ!しまや出版癒し課へ』(2023年8月)が出版されるまでになりました」

2025年は、コミケが始まり50周年の節目を迎えます。

「参加者の同人誌印刷に黎明期から関わっているということで、当社にとっても節目です。老舗として、この業界が続く限り、当社も存在していなければいけないという使命感で仕事をしています。」

そう小早川氏は話します。 ただ、一方で印刷業界自体は紙離れなど時代の変化を感じざるを得ません。そんな中、『しまや出版』は「残しておくべき本を作り続ける」ということに存在意義がある、と小早川氏は考えています。

「私たちが作っているのは作家さんたちの想いがこもった 『宝物』です。購入された方にとっても本棚に置いておきたい『宝物』。そんな『宝物』を 作っているという意識は、これからも大切に持ち続けていきます。」


企業情報

株式会社しまや出版

https://www.shimaya.net

会社名:株式会社しまや出版

所在地: 東京都足立区宮城2-10-12

TEL:03-5959-4320

代表者:小早川真樹

創業:1968年

事業内容:製版業務、印刷業務、製本業務、デザイン業務

「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。

『株式会社しまや出版』は、この「足立ブランド」認定企業です。


取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある足立区役所産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。


足立区役所産業経済部 産業振興課 ものづくり振興係

電話番号:03-3880-5869

ファクス:03-3880-5605

足立ブランド公式Webサイト

https://adachi-brand.jp/

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会社概要

足立ブランド

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https://adachi-brand.jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都足立区中央本町一丁目17番1号 足立区産業振興課
電話番号
03-3880-5869
代表者名
飯塚尚美
上場
未上場
資本金
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設立
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