学校の壁をキャンバスにして繋がる日本とインドの「アート交流」『noco & Wall Art Festival』2016 活動報告会を開催

今年で7年目を迎えた、インド貧困地域の学校を「アートのチカラ」で支援する国際的交流プログラム

貝印 株式会社

NPO法人ウォールアートプロジェクトは、6月10日(金)に東京都千代田区の貝印本社にあるギャラリースペース、Kai Houseにて、『noco & Wall Art Festival 2016』の活動報告会を開催しました。

 

「Wall Art Festival(以下、WAF)」は、インドの学校校舎の壁をキャンバスに繰り広げる芸術祭で、2010年からはじまり、今年で10回目を迎えました。農村部の学校を舞台にしているのは、子どもたちとその親にアートの力を通じて学校への興味向上をはかり、学ぶことへの意識を高めることを目的として毎年活動を続けています。また、もう一つの活動の「noco project(ノコプロジェクト)」は、“私たちの未来を考えるプロジェクト”として、インド西部の先住民「ワルリ族」と一緒に家を建てることから2015年にスタートし、今年の9月には第一回目の「世界森会議」開催を予定しています。

 

 


貝印株式会社は、2010年の「WAF」初開催から毎年協賛しており、主催のNPO法人ウォールアートプロジェクトとともに、日本にて活動報告会を実施しております。

 

7年目となったWAFの今年は、画家の大小島真木さん、版画家のツツミエミコさん、アーティストの松岡亮さん、舞踊家の南加絵さんの4名のアーティストが参加。舞踊家の南加絵さんのダンスにより、報告会がスタートしました。会場の中を、ときにゆるやかな、ときにシャープな動きで、WAFの会場となった村の空気をまとって踊る姿に、来場者全員が魅了されていました。その後、各アーティストが、WAFの活動について語りました。今回初参加となったツツミエミコさんは「私は日本の伝統的な柄や素材で制作したのですが、伝統を伝えると向こうからも伝統が返ってくる。精神性の深い交流ができました」。また、同じく今回が初参加となった松岡亮さんは、「トイレで紙が使えないなど、都会でぬくぬく生活してきた僕なんて、最初は『絶対に無理だ』と(笑)。でも、村に行ってみたら、地に足のついた生活があってアートがある素晴らしい場所でした。みんなにぜひ一度、このプロジェクトに参加してほしいです。経験した者として、情報をどんどん発信していこうと思います」と話しました。南加絵さんは、「子どもたちとダンスを創ってオープニングセレモニーで発表しました。ワークショップというより、会った瞬間からレッツダンス!という感じで、日常生活と踊りに境目がないんです。パワフルだし、人間として根っこが強くて驚きます」と振り返りました。
 


 

さらに、ツツミさんは「アーティストたちが描いた世界を体験してきている子どもたちは、自分も何か描きたい、何か作りたいというパワーがものすごく高まっていて、私の部屋でワークショップをやったら、毎日30人、40人が集まってくる。私が制作する場所も時間もなくなり、嬉しい悲鳴でした(笑)。」と振り返りました。今回でWAFへは3回目の参加となる大小島さんは、「ワルリ族の住む村はとても特別な村だと思います。あの村の人たちは、自分たちが生物としてなにが大事で、なにを大切にしないといけないのかをとても良く知っているのです」と、村の人たちの様子を語りました。更に、「WAFは、ただエキシビションをしているだけではなく、アートを作り出す過程を見ることから参加が始まっていることに意義があります。アートの持つクリエイティビティを余すところなく交えたものがWAFなんです」と語りました。さらに、3年前に描いた作品を白い壁に戻すワークショップをしたことについて、大小島さんは、「壁画というものは、時間が経つにつれて絵から空間そのものに成長し、より一層作品として味が出てきます。だから初めは、本当にこれを消してしまうのだろうか・・・と私も感じていました。でもプロジェクトの性質上、最後まで壁画を管理できませんし、どう消すのかという部分まで徹底的に話し合った末に、白く戻す行為をすることで、『これをどう引き継いでいくのか』ということを表現しているのだと感じます」と答えました。


また、2年目を迎えた、「ノコプロジェクト」は、参加者みんなでワルリ族の家を建てることからスタート。ウォールアートプロジェクトの代表であるおおくにさんは、「これからも家を建てますが、肝心なのは、この家をどう使っていくのかということ。プロや研究者でなくても、みんなで社会彫刻の取り組みをしていると捉えて、常にフレキシブルなスタンスで、次はなにをしていこうか考えています。今年の2月に建てたOMOYA(母家)で開催予定の世界森会議も、最初は小さくてもいいと思っています。この取り組みを少しずつ発信して、少しずつ輪を広げてつなげて、100回やる頃にはきっと大きな変化になっているだろうと思っています」と話しました。

会場では、活動の様子を撮影した写真や映像の展示に加え、インドの手仕事ブランド「TSOMORIRI(ツォモリリ)」の 展示即売会も行われており、来場者に振る舞われたインドのスパイスを使ったカレーパンやチャイを楽しみながら、終始笑顔の絶えない雰囲気でした。
 

 

<会中のゲストコメント>

■夏目知道(空間デザイナー・愛知県立芸術大学准教授)

「ワルリ族の人々は、牛ふんを大切な建材として活用します。食物繊維が豊富なので、床のメンテナンスのときにはワックスのように使い床を滑らかに、ひび割れにくくします。叩きしめた土間は、コンクリートや石の固い感じと違い、柔らかく、清潔な感じがします。温かみがあり、かつ、ひんやりもして、とても気持ちがよい床なんです。生活を成り立たせる大切な資材だと思うと、素手で集めるのもイヤになりませんよ。」

■酒匂克之(空間デザイナー)

「ワルリ族の村ではなぜトイレをしたあと紙でふかず水で洗うだけなのか。なぜシンプルな暮らしをしているのか。WAFを開催し、ワルリ族の村の生活の中で感じた事にフューチャーして、今の僕たちの日本での暮らしはどうなんだろう、と考えながら進めるのがノコプロジェクトです。そういう村に日本の子どもたちやアーティストが滞在する拠点として家を建てています。今回は、家があるファームと地域をつなぐカフェスタンドとダイニングホールとして使う母屋の一部を建設しました。継続的に村人と関わり合いながらどういう事が出来るのかを考え、進めて行きます」

 

<開催概要>

◇名称     『noco & Wall Art Festival』2016 活動報告会

◇日時     2016年6月10日(金)17:00〜20:30
◇場所     Kai House 2F (貝印本社 東京都千代田区岩本町3−9−5)
◇出演     大小島真木(おおこじままき)/画家
ツツミエミコ/版画家
松岡亮(まつおかりょう)/アーティスト、
夏目知道(なつめともみち)/空間デザイナー・愛知県立芸術大学准教授
酒匂克之(さこうかつゆき)/空間デザイナー
おおくにあきこ 浜尾和徳(ウォールアートプロジェクト)
◇トークモデレーター 千葉薫(公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)
 

 


※参考
<ウォールアートフェスティバルとは?>
インドの学校校舎の壁をキャンバスに、日本とインドのアーティストが10~20日間滞在し、現地の子ども達と交流を通じてアートを作り上げる芸術祭です。インドでは、識字率が50%以下と言う地域もある程、教育の機会が保障されていないのが実状です。そこで、インドの農村部の学校を舞台に、子供たちとその親にアートの力を通じて学校への興味向上をはかり、学ぶことへの意識を高めてもらうことを目的とし、2010年から毎年開催しています。

<noco project とは?>
ノコ=先住民族ワルリ族の言葉で、「もう十分です、ストップ」の意味。不便なように見えて、とても気持ちがいい生活をしている人たちに出会いました―それがこのプロジェクトの出発点です。ワルリ族が持つ「ノコ」、という言葉には、彼らのシンプルな生活を支える精神性が表れていました。自分の生活に、本当はどのくらいの水が必要なんだろう。電気は?そこで1 週間でも暮らすと、暮らしの根元が見えてきます。私たちの未来を考えるプロジェクト。2015年2月「ワルリ族の人々と一緒に家を建てる」ことからこのプロジェクトが始まりました。

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会社概要

貝印 株式会社

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URL
http://www.kai-group.com/
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区岩本町3-9-5 KAIビル
電話番号
03-3862-6411
代表者名
遠藤 宏治
上場
未上場
資本金
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設立
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