内田樹氏推薦!著者が紡ぎ続けた言葉が珠玉の現代詩と絡み合う。珠玉の言葉、魂の言葉が詰まったエッセイ。
前作『言葉が鍛えられる場所』(大和書房)から4年。がんを克服し、紡ぎ続けた言葉が珠玉の現代詩と絡み合う。「見えないもの」とはなんだったの
株式会社大和書房(本社:東京都文京区、代表取締役:佐藤 靖)は『見えないものとの対話~喪われた時間を呼び戻すための18章』(平川克美 著)を2020年4月11日に発売いたしました。
文筆家 平川克美氏 最新作『見えないものとの対話~喪われた時間を呼び戻すための18章』がいよいよ発売となった。
呟くように始まるメロディに乗せられた「I’m sitting in the railway station」
という歌い出しが、青年期の旅先の空気を呼び出してくれるのだろう。
この歌にくりかえし出てくる言葉。
I wish I was Homeward bound.
「もし、いまのこの旅が、うちへ帰る旅の途中だったら」という意味である。
原詩のタイトルは「Homeward Bound」、邦題は「早く家へ帰りたい」。
なかなか含蓄のある翻訳である。この歌の気持ちは、邦題のほうがよく表しているように思える。
しかし、この邦題だと単なる願望を表しているだけであるとも取れる。
「もう二度と家へ帰ることはできない」からこそ「帰りたい」のだ、という不可能性については、この日本語だけではうまく表現する事ができない。
英語の歌詞には、仮定法過去が使われている。
学校では仮定法過去は「I wish I were」と習ったが、当時は変な言い方をするなあと思ったものだ。
何でI=一人称単数の構文に、 were=二人称複数のbe動詞を使うんだと。
でも、この奇妙な言い方には、何か不思議な力があるようにも思えたのである。
それはともかく、わたしには歌詞のこの部分が、「もしあのときにもう一度戻れるなら」と聞こえてしまう。
それはすでに失われてしまった過去のある時間であり、過去のある場所である。
過ぎ去ったものは二度と戻らない、などと書けば老人の懐古趣味かと笑われそうだが、英語特有の「仮定法過去」とは、不可能を可能にする言葉であり、一人称単数の文章に使われるwereという複数形二人称動詞は、まさに過去を呼び戻すためのマジックワードのように思えてくる。
何かを破壊することでしか、得られないものもある。(本書より)
平川君はここでも僕が前に聞いたのと同じ話をいくつも繰り返している。
でも、僕はつい聴き入ってしまう。
語るたびに彼の物語は滋味を増し、未聞の深みに達するからである。
――――― 内田樹
「何の役にも立たない」から読みたくなる。珠玉の言葉、魂の言葉が詰まったエッセイ。
まえがきにかえて 「何の役にも立たない」何か
孤独なイナゴ
われわれが生きている場所
町に鉄の匂いがした時代、あるいは犬の系図
「まる」のいた風景
寺町の情景
同じ過ち
くりかえしのうた
鳥の囀り、クジラの嘆き、死者たちの呟き―あるいは藤井貞和の詩
汗が塩になるまで
それでもおれたちは生きていく
失われた風景
谷川俊太郎と安東次男―あるいは夏と冬の光景
老いらくの探偵が見つけたもの
魂の居場所
古い写真が出てきた
「共和的貧しさ」について
スモールワールド
光る切符
偶然の旅行者
あとがき 世界を揺るがす大事件と市井の人々
【プロフィール】
平川克美(ひらかわ・かつみ)
合名会社隣町珈琲代表、立教大学客員教授、ラジオデイズ特別顧問。
早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、内田樹氏らと翻訳を主業務とするアーバン・トラストレーションを設立。1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe Inc.の設立に参加。
主な著書は『移行的乱世の思考ー誰も経験したことがない時代をどう生きるか』(PHP研究所)、『小商いのすすめ』(ミシマ社)、『俺に似たひと』(医学書院)、『株式会社という病』(文藝春秋)、『移行期的混乱ー経済成長神話の終わり』(筑摩書房)など。
カフェ・ヒラカワ店主軽薄 https://plaza.rakuten.co.jp/hirakawadesu/
隣町珈琲 http://tonarimachicafe.asia/
ラジオデイズ http://www.radiodays.jp/
twitter https://twitter.com/hirakawamaru
書名 :見えないものとの対話~喪われた時間を呼び戻すための18章
著者 :平川克美
発売日 :2020年4月11日
販売元 :株式会社大和書房
URL :http://www.daiwashobo.co.jp/book/b502628.html
サイモン&ガーファンクルが歌った「早く家へ帰りたい」という曲を聞いていると、かつて国内を旅していたときに通り過ぎたいくつかの駅のホームの光景が浮かんでくる。
呟くように始まるメロディに乗せられた「I’m sitting in the railway station」
という歌い出しが、青年期の旅先の空気を呼び出してくれるのだろう。
この歌にくりかえし出てくる言葉。
I wish I was Homeward bound.
「もし、いまのこの旅が、うちへ帰る旅の途中だったら」という意味である。
原詩のタイトルは「Homeward Bound」、邦題は「早く家へ帰りたい」。
なかなか含蓄のある翻訳である。この歌の気持ちは、邦題のほうがよく表しているように思える。
しかし、この邦題だと単なる願望を表しているだけであるとも取れる。
「もう二度と家へ帰ることはできない」からこそ「帰りたい」のだ、という不可能性については、この日本語だけではうまく表現する事ができない。
英語の歌詞には、仮定法過去が使われている。
学校では仮定法過去は「I wish I were」と習ったが、当時は変な言い方をするなあと思ったものだ。
何でI=一人称単数の構文に、 were=二人称複数のbe動詞を使うんだと。
でも、この奇妙な言い方には、何か不思議な力があるようにも思えたのである。
それはともかく、わたしには歌詞のこの部分が、「もしあのときにもう一度戻れるなら」と聞こえてしまう。
それはすでに失われてしまった過去のある時間であり、過去のある場所である。
過ぎ去ったものは二度と戻らない、などと書けば老人の懐古趣味かと笑われそうだが、英語特有の「仮定法過去」とは、不可能を可能にする言葉であり、一人称単数の文章に使われるwereという複数形二人称動詞は、まさに過去を呼び戻すためのマジックワードのように思えてくる。
何かを破壊することでしか、得られないものもある。(本書より)
平川君はここでも僕が前に聞いたのと同じ話をいくつも繰り返している。
でも、僕はつい聴き入ってしまう。
語るたびに彼の物語は滋味を増し、未聞の深みに達するからである。
――――― 内田樹
「何の役にも立たない」から読みたくなる。珠玉の言葉、魂の言葉が詰まったエッセイ。
【目次】
まえがきにかえて 「何の役にも立たない」何か
孤独なイナゴ
われわれが生きている場所
町に鉄の匂いがした時代、あるいは犬の系図
「まる」のいた風景
寺町の情景
同じ過ち
くりかえしのうた
鳥の囀り、クジラの嘆き、死者たちの呟き―あるいは藤井貞和の詩
汗が塩になるまで
それでもおれたちは生きていく
失われた風景
谷川俊太郎と安東次男―あるいは夏と冬の光景
老いらくの探偵が見つけたもの
魂の居場所
古い写真が出てきた
「共和的貧しさ」について
スモールワールド
光る切符
偶然の旅行者
あとがき 世界を揺るがす大事件と市井の人々
【プロフィール】
平川克美(ひらかわ・かつみ)
1950年東京生まれ。
合名会社隣町珈琲代表、立教大学客員教授、ラジオデイズ特別顧問。
早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、内田樹氏らと翻訳を主業務とするアーバン・トラストレーションを設立。1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe Inc.の設立に参加。
主な著書は『移行的乱世の思考ー誰も経験したことがない時代をどう生きるか』(PHP研究所)、『小商いのすすめ』(ミシマ社)、『俺に似たひと』(医学書院)、『株式会社という病』(文藝春秋)、『移行期的混乱ー経済成長神話の終わり』(筑摩書房)など。
カフェ・ヒラカワ店主軽薄 https://plaza.rakuten.co.jp/hirakawadesu/
隣町珈琲 http://tonarimachicafe.asia/
ラジオデイズ http://www.radiodays.jp/
twitter https://twitter.com/hirakawamaru
【書籍概要】
書名 :見えないものとの対話~喪われた時間を呼び戻すための18章
著者 :平川克美
発売日 :2020年4月11日
販売元 :株式会社大和書房
URL :http://www.daiwashobo.co.jp/book/b502628.html
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