アーティストが規制の時代をサバイブするためのアイデアとは? 『美術手帖』4月号は「表現の自由」特集

あいちトリエンナーレで浮き彫りになった、アートと表現をめぐる問題を徹底探究!

美術出版社

芸術祭の一部展示中止や、文化庁の補助金不交付といった介入問題を引き起こした、あいちトリエンナーレ2019。この事件のプロセスで、アートと表現をめぐって、どんな問題が噴出したのかを明らかにするとともに、再び同じことが繰り返されないために、規制を回避するためのアイデアと方法を紹介する。


 昨年8月に開催された「あいちトリエンナーレ2019」は、メディア・アクティビストの津田大介芸術監督のもと、ジャーナリスティックな視点で企画された芸術祭として打ち出された。ところが開始早々に、《平和の少女像》を展示していた一企画「表現の不自由展・その後」に対して強い批判が起き、同企画は中止に。参加作家たちの働きかけもあり、展示は全面再開したが、この過程で補助金不交付を文化庁が決定したという事実は、いまも残ったままだ。

 本特集では、まず津田大介氏や、作家たちの連携プロジェクト「ReFreedom_Aichi」メンバーへのインタビュー、また客観的な視点で総括する黒瀬陽平氏のインタビュー等を通して、同芸術祭の功罪を検証する。

 もちろん国内外の歴史を振り返れば、美術表現にまつわる規制や検閲は、あらゆる時代と地域で起きている。過去に起きた表現規制をめぐる事件を列挙した記事「表現の自由と規制の事件簿」を見ると、天皇制や、わいせつ問題、政治や権力をめぐる表現など、タブーをめぐる表現規制は繰り返されていることがわかる。

​ そこで、そうした規制や検閲を受けた場合、萎縮せずにどう乗り越えるのか、対処法を知るために、会田誠やChim↑Pomの卯城竜太らアーティストたちに、これまでの経験や、考え方をインタビュー。さらに、アメリカでつくられた検閲を回避するためのマニュアルも紹介。規制に対していかに取り組むべきか、心構えを解説している。

  そして今回の事件の背後にある諸問題として美術の社会における存立や、現代美術を教え、伝える機関や制度における課題をテーマにした座談会を組んでいる。公費による芸術支援や、美術を学ぶための環境づくりとはどうあるべきかという問題、さらには美術館は観客にどう開かれるべきかという根本的なテーマをめぐり、森美術館館長の片岡真実らキュレーターたちの議論も展開されている。

 ​最後は様々な立場で美術に携わる人々から、今回の事件の背景にある問題やそれを解決するための提案を集めることで、より多角的な論点をあぶり出すことを試みている。この特集を手引きとし、これからも議論を続けていくことで、事件が発展的に活かされ、規制や介入を許さないムードづくりへとつながることが望まれる。


 特集
「表現の自由」とは何か?
芸術を続けるためのアイデアと方法



PART1 検証:あいちトリエンナーレ2019

藤井光×加藤翼×キュンチョメ ReFreedom_Aichi インタビュー

「あいち宣言・プロトコル」全文掲載

CHRONOLOGY 時系列で振り返る、あいちトリエンナーレ2019

津田大介インタビュー

黒瀬陽平インタビュー
 

PART2 アーティストに聞く規制対処術

 会田誠×卯城竜太(Chim↑Pom)
パブリックに美術をどう開くのか?

岡本光博
規制とどうつき合っていくか?

小沢剛
コードをすり抜ける変化球の投げ方

ブレット・ベイリー
ポストコロニアル世界における戦い方

アンドレ・ライポルト
政治的アクションと芸術活動の相関関係

 
PART3 規制に対処するための基礎知識

全米反検閲連盟(NCAC)
スヴェトラーナ・ミンチェバインタビュー

検閲回避完全マニュアル

表現の自由をめぐる事件簿

コラム:「アトピック・サイト」展/「アトミックサンシャインの中へin沖縄」展/ろくでなし子事件

「規制」をめぐるキーワード解説
表現の自由/天皇制/国家と検閲/日本軍「慰安婦」/わいせつ

 図解:現代日本の文化政策基礎講座 作田知樹=解説


PART4 美術を続けるための議論と提言

国家による芸術支援は必要か?
林道郎×志田陽子×明戸隆浩

現代美術を学び、伝えるための環境づくりとは?
神野真吾×高嶺格×会田大也

美術館は観客にどう開かれるべきか?
遠藤水城×片岡真実×相馬千秋 司会=成相肇

美術と表現を続けるための21の提言
天野太郎/アンドリュー・マークル/伊藤ガビン/碓井ゆい/加須屋明子/小池一子/白川昌生/住友文彦/田中功起/手塚愛子/土屋誠一/中垣克久/仲山ひふみ/能勢陽子/日比野克彦/藤幡正樹/星野太/馬渕明子/水沢勉/藪前知子/米田知子



翻訳論考
絵画の約束
イザベレ・グラーフ=文 大森俊克=翻訳

ARTIST PICK UP
青野文昭/角田純

 ARTIST INTERVIEW
カミーユ・アンロ
三木あき子=聞き手
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『美術手帖』4月号 2020年3月6日(金)発売
定価1600円+税
発行元=美術出版社
『美術手帖』公式サイト https://www.bijutsu.press/books/4243/

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会社概要

株式会社美術出版社

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都品川区上大崎3-1-1 目黒セントラルスクエア
電話番号
-
代表者名
山下和樹
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2015年05月